2025年7月5日(土) 配信
今回の精神性の高い旅は、甲斐国の戦国武将・武田信玄公ゆかりの神社仏閣の巡礼をご紹介します。武田神社も、恵林寺も、清々しい空気感があり、日ごろのストレスまみれの生活から脱出させてくれるような心地にさせてくれる聖地です。
良い思考を保ち、プラスの流れを作るためには、成功者たちの95%が、瞑想や深い思考の時間を持っているというデータがあります。あのアップル社の創業者のスティーブ・ジョブズは瞑想を愛し、若いころから京都の禅寺を訪れていたり、曹洞宗の老師から直接指導を受けていたりしたといいます。
ときには1人だけの時間を持ち、神仏の空間に出向き、祈りを捧げたり、瞑想をしたりする時間を持つことで、不要なマイナス感情を断ち切り、今まで気づかなかった進むべき方向性が見えてくるはずです。
そんなときこそ、お参りしていただきたい聖地の1つ目は、山梨県甲府市の武田神社です。甲府市はワイナリーや観光農園も多くあり、歴史的観光資源にも恵まれ、武田信玄ゆかりの「湯村温泉郷」「積翠寺温泉郷(せきすいじおんせんきょう)」などもあります。また、作家の太宰治が新婚時代に過ごした土地とのこと。
さて、その武田神社は、「甲斐(かい)の虎(とら)」の異名を持ち、勇猛果敢な騎馬隊を率いて、徳川家康や上杉謙信にも怖れられた、戦国時代きっての名将「武田信玄」をご祭神としてお祀りする神社。武田信玄は、猛々しく戦うイメージが強い一方、法律の制定や当時としては珍しい合議制政治の導入など、内政においても手腕を発揮したことで知られ、高い人気を誇る武将です。また、「清和源氏」を祖とする名門「甲斐源氏」の流れをくみ、源頼朝や足利将軍家とも血縁関係にあり、「川中島の戦い」で、しのぎを削った上杉謙信とのライバル関係など、物語性の高い武将でもあります。
その武田神社は、「人生に勝つ、自分に勝つ」という願いが叶うといわれていて、とても強い勝運をいただける開運スポット。毎年、武田信玄公の命日である、4月12日には例祭という大きなお祭りが開催され、甲府の街が盛り上がります。JR甲府駅北口から、バスでも行けますが、おすすめは徒歩です。徒歩30分程度です。駅から真っ直ぐに、武田通りを歩いていくと、桜の並木道になっていて、山梨大学があり、武田家・家臣の武家屋敷跡もあり、かなり心地良い時間を過ごせます。
格別の高貴な癒しに包んでくれる2つ目の聖地は、同じく山梨県の甲州市にある、恵林寺。こちらは、信玄公の菩提寺でもあります。JR塩山駅からバスでも行けますが、歩いていくことをおすすめします。塩山駅から、徒歩40分程度です。恵林寺へ行く途中には、600年の歴史を持つという塩山温泉もありますし、風光明媚な景色に心を潤してくれるでしょう。
恵林寺は臨済宗妙心寺派のお寺であり、1330年に禅僧の夢窓国師によって開かれ、江戸幕府5代将軍綱吉公の側用人である、柳沢吉保のお墓があることでも有名。こちらには、信玄公のお墓もあります。
本堂の明王殿には、県指定文化財の「武田不動尊」が安置されています。生前に、信玄公が京から仏師を招き、自らと対面させて、そのお姿を摸刻させたという等身大の坐像です。信玄公は剃髪した毛髪を漆に混ぜ、自ら坐像の胸部に刷毛で塗り込めたといわれています。
本堂の裏側にある庭園は、まさに瞑想時間を過ごすのに最適な場所。美しく静かなひとときを堪能できます。この庭園は国の名勝指定を受け、夢窓国師による築庭の代表作。心穏やかに禅を感じて、ただひたすらに寛いでみてはいかがでしょうか。
■旅人・執筆 石井 亜由美
カラーセラピスト&心の旅研究家。和歌山大学、東洋大学国際観光学部講師を歴任。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。