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「トラベルスクエア」東京五輪をこう考えてみたら

2021年3月27日(土) 配信

 

 3月10日付の新聞によると、政府の方針として東京五輪、パラリンピックの海外客誘致を断念したとのこと。これで政府は絶対に五輪の名を冠したイベントはやり切る、と覚悟を決めたと思う。

 これだけ世界中に蔓延し、しかも感染率の高い新型ウイルスが出て、しかもワクチンがアフリカなども含めてグローバルに出回るのに、半年やそこらで済むわけもないだろう。それでも、挙行したいのはIOCのメンツもあるし、日本政府にもさまざまな思惑があるのだろう。こうなったら、無観客試合の実施まで想定内だと考えられる。

 観光業界は真夏なのに寒風が吹きまくりそうだ。僕自身は「そこまでして何も五輪を」と思う消極論者なのだけれど。
 さまざまな事業を取材してきて、一番難しいのは新しい領域のビジネスに取り組んで、それに失敗したと判断し、撤退を考えるタイミングだ。

 プロジェクトの当事者には、あと少しで、という未練が残るものだし、一方、企業としては、早めに決断すれば、それだけ出血量が減る。

 こういう時、すぐ思い出すのは、思案1両(考えていてもダメ)、働き10両(むやみに動いてもムダ)、見切り千両(これに続いて利食い万両というのもあるんだけど、今回は関係ないね)という戯れ言葉。

 ただし、見切る人が「ここまで」と納得することが大事なのは言うまでもない。しかし、今の日本の世論は7割以上が実施反対に傾いている。運営資金は出るばかり。それに対するリターンの客数が見込めない。さー、どうするって感じだ。

 そこで、僕に1つ提案がある。オリンピックをランキングの付く競技にしないというものだ。

 具体的はメダルを発行しない。世界中から集めたアスリートの力のある限りのパフォーマンス、美しさを見せ合う大規模なページェントに仕立てる五輪の趣旨からそれたとしても、世界の平和を願って、各国にも協力をたまわり、歴史上最高にショーアップされたスポーツイベントにする。

 実際、こんな状況下では海外の有力選手の出場辞退の続出も予想されるし、そうなるとせっかく獲れたメダルの値打ちもどうしたって相対的に下がる。選手はそれで納得できるのだろうか?

 そういうことなら、いっそお祭りに徹すれば、日本国内のお祭り五輪見学の新たな需要が発見できるかもしれない。

 それこそ、「コロナに勝つ」という名目も立てやすくなる。

 オリンピックもある意味、制度疲労を起こしている。そろそろ趣旨や形態、中身を変えていいのじゃないか。日本開催が既成の五輪の姿を見直すきっかけになるなら、それがいいという意見だ。準備不足で荒唐無稽な案とは承知のうえですぞ。

 

コラムニスト紹介

松阪健氏

 

オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏=1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

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