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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(120) 経験豊富なお客様が感動して本物のおもてなし 「流石」のサービスを

2021年1月4日(月) 配信

 

 私たちが追い求めるのは、お客様が満足する接客だけではダメです。満足したお客様の「また来ます」という嬉しい言葉は、選択肢の1つとして残っただけです。また利用してもらうのがビジネスであり、その確率を高めるのが仕事です。

 リピートをより確かにするのは、満足を越えた感動です。どんなに優れた接客者が多くのお客様を満足させても、「必ずまたここを利用したい」という感動を創り出すのは難しいことです。多くの感動を体験した人の心には、残念ながら響かないかもしれません。満足したお客様が増えれば、間違いなく企業はブランディングされていきます。

 しかし、その評判で一見さんを多く集客できても、未来への不安は消えません。経験豊富なお客様に「ここは流石だ」と感動を与えるおもてなしで、リピーターを創造し続けることが大切です。

 先日、久しぶりに金沢・和倉温泉へ旅行しました。今回はどこを周ろうかと悩みましたが、金沢で人気の「寿司タクシー」を思い出し空き状況など問い合わせると、「大丈夫です。ぜひお越しください」と嬉しい返事が来ました。

 タクシー会社の感動を創造する仕事が始まったのはここからです。予約に必要な事柄だけでなく、利用者が楽しめる質問や提案がたくさんありました。

 その1つが、金沢市内のタクシーが、和倉温泉まで迎えに来てくれるという提案でした。観光と時間の効率を考えていただいての提案でしたが、地理的に疎い県外の私には想像もできないコースもあり、利用日から初めて一般公開される、気多大社の「入らずの森」の特別参拝も提案してくれました。

 道中で立ち寄った道の駅では、ドライバーが共に店内に入り、商品を詳しく説明してくれました。その話を聞いて、道の駅に立ち寄った理由を強く感じました。家内も両手いっぱいに買い物をすることができました。

 観光地では私の携帯で何枚も写真を撮ってくれました。その時にも「もう少しこちらに」と、写真の立ち位置にも、より良い構図になるように気を配ってくれたのです。

 最後は、タクシー会社のスタッフが最終目的地の寿司屋まで訪ねて来て、ドライバーが携帯で撮った写真をメッセージ付きの手紙と共に用紙に貼って届けてくれました。「ここまでされたら、びっくりだね」と家内が感動していたのはもちろんですが、私にとっては今回の旅の最大の目的である家内の喜ぶ姿が、一番嬉しいおもてなしとなったのです。

 多くの感動サービスを探し続けている私にとっても、どうすれば喜んでもらえるかという目的を探り、手間のかかる「考動」の実行に、心から感動する旅となったのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

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