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日本初 24時間無人の宿坊がオープン  新たな寺のあり方を

2019年7月25日
編集部:平綿 裕一

2019年7月25日(木) 配信

左手が、宿坊施設の入口。最大12人が泊まれる

 日本初となる24時間無人の宿坊施設が7月25日(木)、400年以上の歴史を持つ正傳寺(しょうでんじ、田村完浩住職、東京・港区)で始まった。宿坊などを行うベンチャー企業のシェアウィング(雲林院奈央子、佐藤真衣氏の共同代表)が運営する。泊まれるだけでなく、数珠・御守りづくりや写経体験など、住職が寺ならではの体験型コンテンツを提供する。接する機会が少なくなった寺とのつながりを回復していくとともに、宿坊を軸とした新たな寺のあり方を探る。

 現在、布施などをして寺を援助する檀家が全国で減少しており、地方部と都心部問わず、寺の維持は難しくなっている。このため、住職には大きく負担がかかり、空き寺や廃寺になることも少なくないという。

会見のようす。左から5番目が田村住職、右隣にアマター、右から2番目が雲林院代表

 同日に開かれた会見で、田村住職は「手を打たなければ、将来の寺院数は現在の半分以下になるではないか」と危機感を示した。そのうえで、「宿坊による宿泊と体験は、収入面についても、仏教に触れてもらえる点でも良い取り組みだと思った。我われの業界はかなり保守的だが、変えていくことは変えて、次の世代つなげていきたい」と意気込みを語った。

 今回の宿坊はITを駆使して住職にかかる負担を軽減した。チェックイン・アウトはテレビ通話で24時間行えるようにし、無人化を実現。オペレーターが遠隔操作しており、顔認証を経て入室できるようになる。日本人だけでなく、訪日外国人旅行者をターゲットにし、5カ国語(日・英・中・韓・タイ)で対応可能だ。

 体験については、日本人、訪日客ともに住職が立ち合う。そもそも住職が対応できるときに体験予約を受け付けるようにし、宿泊者との交流を重要視する。

 一方、シェアウィングは寺のIT化は重要だとし、尼さんのアバター「尼(あま)ター」を他企業と共同開発している。来年には完成させたい考えで、同施設にも導入を見通している。アマターは人が遠隔操作し、チェックインや宿坊案内などを行えるようにする。ビデオ通話はオペレーターが変われば印象や表情に差が出てしまうため、アマターによって差異を失くし、ブランドの統一感を出しやすくする狙い。

宿坊の部屋

 施設名は「Temple Hotel 正傳院」。本堂横にある別棟を、一棟貸しか、1階と2階で2つに分けて提供することができる。いずれも最大収容人数は12人で、体験は事前予約制。本堂や会議室も予約することができる。一棟貸しで宿泊料金は4万円となっている。

宿坊の部屋②

 なお、会見ではシェアウィングと東洋学園大学の共同プロジェクトの一環として、学生からプレゼンテーションがあった。体験型コンテンツとして、お葬式のマナーを学べる体験や、鎌倉末期から室町時代に流行した茶葉をみて産地を当てる「闘茶」などが提案された。今後、シェアウィングと東洋学園大学、正傳寺の3者で実現化に向けて検討を進めていく。

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