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〈旬刊旅行新聞6月1日号コラム〉旅の面白さ 「便利さ」という物差しとは対極に

2018年6月1日
編集部:増田 剛

2018年6月1日(金)配信 

文明の利器を超えた「想い」が旅を面白くする

アジア9拠点で検索エンジンマーケティングや、アセット(資産)などのグローバルコンサルティングを展開しているアウンコンサルティングはこのほど、世界13カ国の「親日度調査」を実施した。

 対象国・地域は、韓国、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピン、英国、オーストラリア、米国。それぞれのエリアで18歳以上の男女100人に聞いている。

 「日本人が好きですか?」の質問には、「大好き」「好き」「嫌い」「大嫌い」で回答。最も親日的な回答をしたのは、シンガポールだった。69%が「大好き」と答え、残り31%が「好き」と答えた。次いでオーストラリアは59%が「大好き」、38%が「好き」、2%が「嫌い」、1%が「大嫌い」という結果。米国や英国がこれに次ぐ親日度を示した。

 一方、韓国は12%が「嫌い」、8%が「大嫌い」と回答し、親日度は13カ国中最下位だった。中国も12%が「嫌い」、6%が「大嫌い」と答えた。しかしながら、韓国で80%、中国では82%が「大好き」「好き」と好意的で、軒並み日本への関心や好感度は高い結果となっている。

 旅先を選ぶときに、大きな判断要素となるのは、自分がその地を訪れたときの反応や対応である。旅人として歓迎されているのか、招かれざる客なのかというのは、街を歩き、数軒の店に入れば分かる。

 あまり歓迎されていないときは、店に入った瞬間のスタッフの表情や態度にも現れる。露骨な場合もあれば、垣間見えるときもある。昨今、外国人観光客が急増している日本でも、そのような傾向が顕在化しているように映る。

 旅人として知らない土地を旅する以上、「歓迎されないこともある」とハナから予想しているので、私はいちいち気にしない。むしろ、日本に居てはあまり感じることがない、“アウェイな雰囲気”に包まれるのも、旅先の酸味の利いたスパイスの一種だと捉え、静かに呑み込むことにしている。だが、そうは言っても、親近感を持って接してくれる土地には、何度も再訪したい気持ちになる。

 例えば、台湾では日本語を話せる人が多いため、言葉によるストレスをあまり感じることがない。また、道に迷っても、わざわざ目的地まで連れて行ってくれたりもする。海外で何度か手痛い体験をしていることもあり、親切な態度で外国人に寄って来られると、逆に警戒心が芽生えるのだが、安心して好意を受け入れることができる数少ない場所である。

 最近は、高性能な音声翻訳機器やアプリも開発されている。ほぼ世界中の主要言語にも対応できる商品もある。これらがあれば、旅先の言葉を苦労して覚えることなく、意思の疎通が可能である。

 しかし、旅や人間関係といった高度な文化的行為は「便利さ」という物差しとは、まったく別の次元にある。むしろ対極にある。母国語以外の言語を学び習得するには、対象国の人たちや、彼らの文化を好きにならなければ難しい。好きだけでは通用しない相当なエネルギーも必要だ。だからこそ、実際に言葉が交わされ意思疎通ができた瞬間に熱意が相手にも伝わり、双方が感動を覚える。文明の利器を超えた「想い」が旅を面白くする。

(編集長・増田 剛)

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