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全国旅館おかみの集い―第21回全国女将サミット2010東京―

2010年7月21日
編集部

 「全国旅館おかみの集い(「女将のための 女将による 女将の会議」)」(第21回全国女将サミット2010東京)が7月6日、東京都千代田区の帝国ホテル東京で盛大に開かれた。テーマを「匠 守るべきもの変えていくもの」とし、全国から110人の女将が参加した。21回目を迎える今回は、例年の2日開催から1日へと凝縮し、新たなスタートを切った。

 全国から110人の女将が集まり盛大に開かれた「全国旅館おかみの集い」。畠ひで子運営委員長(匠のこころ吉川屋)は「世界的な不況など不安定な状態で、めまぐるしい変化への対応を迫られることもあるが、日本の伝統やおもてなしなど、守らなければいけない大切なものもある」とテーマに触れあいさつした。「おかみの集いは今まで多くの先輩たちに支えられて20年続いている。今回21回目を迎えるにあたり、より多くの女将が参加しやすいように1日に凝縮した。今日は何か1つでも持ち帰っていただき、プラスにしてもらえれば」と語った。

 特別運営委員の石井貞徳旅行新聞新社社長は、「このような時代にこそ笑顔と心を持って取り組んでほしい。悩んで立ち止まらずに、お一人おひとりが声をあげ立ち上がり、ともに頑張っていきましょう」と力強く語った。

 畠委員長からは、昨年の第20回運営委員長でアドバイザー委員を務めた小田真弓さん(加賀屋)に記念品が送られ、感謝の言葉がかけられた。

〈展示会ブース〉
開会式と講演会会場の隣には、協賛企業16社の出展ブースによる併設展示会も行われ、最新の商品や情報を参加した女将に紹介した。

〈講師を招き4つの分科会〉
開会式と海老名香葉子さんの講演後は、4部屋に分かれて分科会を実施。第1分科会(リクルートCS推進室ゼネラルマネージャーの山田修司氏)では、「インターネット」をテーマに、旅行者の「クチコミ」に対する効果的な返信を、実例紹介を交えグループ討議。第2分科会(イーディーワン会長の橋本佳奈氏)では、「人材育成」をテーマに、若手社員の育成や、管理職とのコミュニケーションについて意見交換。第3分科会(日中文化プロデューサーでタレントのチャオ・ウェイニー氏)では、「外客誘致」をテーマに、アジアの旅行者から見た日本の旅館像や求められている情報と、宿の取り組み事例とを比較し改善点などを議論。第4分科会(山形県かみのやま温泉・古窯副会長佐藤幸子氏)では、「旅館経営」をテーマに、時代に即して変えるものと残して継承するものなど、あるべき旅館像について意見交換した。

◇◇基調講演◇◇ エッセイスト 海老名 香葉子氏

 講演には、落語家一門を支え続け、エッセイストとしても活躍する海老名香葉子氏が登壇し、業界は違えど同じ女将業としての苦悩や喜びを、経験談と人生観を交え語った。

 「笑顔が大切。いいときがあれば悪いときもある。どんなときでも笑顔でいることが一番。笑顔と優しさのあふれる宿にはまた行きたくなる」と話した。従業員の育て方については、弟子を育てた経験談を交え、「人を育てるには喜怒哀楽をしっかりと表すのが重要。その人それぞれに合ったしかり方、ほめ方を意識しては」とアドバイス。「困難を乗り越えて守っていくのが女将の役目。本当に大変だとは思うが、頑張ってほしい」と愛のこもった激励で締めくくった。

「匠 守るべきもの変えていくもの」懇親パーティ華やかに開く

 夕刻からは懇親パーティーが開かれ、世界30カ国以上で公演を行う生田流筝曲の榎戸二幸氏の琴演奏で幕を開けた。

 来賓の溝畑宏観光庁長官は、「旅館のおもてなしは日本の文化であり、女将さんは日本文化を守る舵取り役。大変なときですが一緒になって頑張りましょう」と、現場で支えている女将たちへ激励の声をかけた。「地方には素晴らしい伝統と文化がある。地方の素敵な宝を掘り起こしてブランド化し観光立国へ向けまい進していきたい。若い人たちには、インターネットという2次元の世界ではなく、外に出て実際に現地へ行き、直接自分の目で見て体で感じてほしい」と力強く語った。

 読売新聞東京本社の池田均販売局総務は「旅館に求めるのは、『くつろぎ・安らぎ・癒し』の3つ。希望の新聞を部屋まで届けてくれるサービスなど、旅館の心遣いにうならされることが多い。奇をてらったサービスではなく、気の利いたサービスをいつまでも続けてほしい」と、日頃利用することも多いという旅館に対する思いを述べた。

 続いて来賓による鏡開きが晴れやかに行われ、日本酒造組合中央会の浅見敏彦副会長は「今の時代、人気取りやスタンドプレイで守るべきものが崩れていくことが多いが、真に守るべきものは何があろうとも守らなくてはいけない。そして変えるべきものは勇気を持って変える。今回のテーマから女将さんたちの強い意志を感じた。旅館文化を明日につなぐため、明日のより良い日本のために頑張ってほしい」と力強い言葉で杯を上げた。

 開宴後は、60年代にスティービー・ワンダーやハービー・ハンコックなど、海外の大物アーティストのレコーディングにも参加した「東京ユニオンオーケストラ」の初代バリトンサックス奏者久米政男氏のサックス演奏や、日中温泉ゆもとやの檜澤久子女将と野地温泉ホテルの相模恵美子女将の唄でパーティーに華を添えた。

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