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【KAYAK・山下雅弘氏に聞く】日本人向けサイト構築を “一人ひとりの旅スマートに”

2018年2月9日(金) 配信

カントリーマネージャー
山下雅弘氏

 米国・プライスライングループのKAYAK(カヤック)は昨年7月に、山下雅弘氏を日本のカントリーマネージャーに登用し、日本市場に本格的に参入した。利用者は順調に増えている。まずは海外旅行での利用を軸に、国内旅行での利用も見据え、日本人向けのサイト構築をはかっている。山下氏に日本市場での現状や取り組みのほか、メタサーチとしての展望を聞いた。【聞き手=飯塚 小牧、構成=平綿 裕一】

 2017年の本格参入後、利用者は順調に増えている。サイトを開設した14―17年前半より、山下氏が就任した17年後半からのほうが伸び率は高く、「自然に上手く伸びてきた」と山下氏は振り返る。ただ日本に参入した外資系旅行サイトでは、後発の部類に入る。「一番の目標はカヤックを知ってもらうこと」。今年度はとくに認知度向上に注力する。

 メタサーチは利用者に合う旅行情報をあらゆるサイトを横断・比較して検索できる。利用者を増やすため、サイト作りには“スピード”と“正確性”を重視する。香港にアジアチームを置き、エンジニアが日本人向けに研究・開発を繰り返している。

 日本人はモバイル比率が高い。カヤックにおける全サーチの4割以上がモバイルで、その中でもアジアのモバイル比率は高く、日本と韓国は頭一つ抜きん出ている。

 他方、日本人はモバイルで検索するものの、予約はパソコンで行う割合が高いという。「モバイルの強みとPCの強みを生かしたサイトを心掛けている」とモバイル一辺倒とはせず、日本人のニーズに対応させる。20年までに日本人向けサイトとしてのカタチを完成させていく方向だ。

 海外版カヤックでは04年にサービスを開始し、より多くの機能を持っている。

 米国ではLCC(格安航空会社)に対抗するため、各航空会社はエコノミークラスの棲み分けを実施。荷物の預けや座席指定などの有無で、さらにクラスを分け、低廉化させた。海外版カヤックはこれらのクラスも選択できる。

 日本でこの動きはまだないが「すぐに導入できる準備は整えている」。ただ海外で成功した機能が、日本で受けるとは限らない。日本人と外国人ではサイトの好みが異なるため、ABテストなどを徹底し“日本人に合う機能”を日々追求している。

 目指す姿は単なる旅行サイトではなく旅行ツールだ。「一人ひとりの旅をスマートにする」。ユニークな機能のサービスも提供する。

 とくに力を入れたのが「Trips(トリップス)」だ。トリップスは網羅的な無料旅程管理ツール。ホテルやレンタカー、チケットなどの予約完了メールを転送すれば、自動で旅程を組んでくれる。異なるサイト上でそれぞれ予約したメールも対応可能。旅程は友人とシェアもできる。

 フライトの運航状況を伝えるアラートやドライバーに現地住所を伝える機能も搭載。「旅を総合的にサポートできる。非常に可能性があるツール」と自信をみせる。

 このほか、「Explore(エクスプロア)」は旅先を気温やスポーツ、アクティビティなどを条件に検索ができる。昨年にはSNS(交流サイト)のインフルエンサーを招いたイベントを実施。インフルエンサーも「現地の気温で行き先を調べられることは驚いた。とても便利で嬉しい」と太鼓判を押す。 

 民泊にも積極的だ。すでに日本で民泊サービスを開始し、開発を進める。ブッキング・ドットコムや米国エクスペディア系のホームアウェイなどの民泊施設を掲載。「民泊は日本の若年層に定着しつつある。日本市場の民泊を重要視している」と語る。

 カヤックは国内旅行も使えるが、まずは海外旅行での利用を軸に置く。先行する外資系OTA(オンライン旅行会社)らも、海外旅行サイトとして日本市場への普及をはかった。

 この流れを踏襲するが、国内旅行での利用者増加はすでに視野に入っている。OTAと異なり、サイト掲載に対する営業などの準備期間は不要。「国内情報も充実し、技術・データ量ともに不足はない。あとはマーケティングやPRをいつ本格的に始めるか検討し、実行するだけ」と視界は良好だ。

 カヤック利用者のターゲット層に関しては、20―40代の男女とする。とくに「若年層はまだOTAを使いこなしてはいない。ここに余地はある」とみる。昨今、インスタ映えをテーマにした女子旅などが活況を呈している。このパッケージ化された商品が好調だということは、ホテルや航空券を個別に購入できるOTA市場では未開拓エリアだといえる。

 若年層は海外の言葉や安全に不安を感じ、海外の旅に不慣れな部分もある。一方で今後旅慣れて自信を持てば、FIT(個人旅行)として旅程を作るニーズが生まれてくる。「若者が個々人で自由に旅程を組むようになればOTAは必須。メタサーチで検索する必要性は向上する。ここで我われの出番になる」。

 カヤックはただ単に価格比較や情報量を提供するだけではない。「勘違いされがちだが、最終判断は利用者にある。すべての情報・可能性を『見やすく、わかりやすく、素早く、簡単に』検索できるサイトを作り上げることが重要な役割だ」と強調した。

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