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「提言!これからの日本観光」「観光の疲労」回復を

2017年12月24日(日) 配信

多くの地域で観光客が溢れている(写真はイメージ)

 ある観光団体の会議の席上「最近観光の疲労現象が各地でみられるのが心配だ」という意見が出た。観光が直面している課題を「疲労」と表現されていることが印象に残った。

 さまざまな行動が体力の限界を超えると起こるのが「疲労」であることはいうまでもない。まさに今、観光地の一部でこのような現象が見受けられ、その回復に迫られている。

 まず観光客の集中による交通機関の混雑である。マスコミでもよく報道されるのは鎌倉の電車と京都のバスの例である。大きい荷物を持った土地不案内の外国人を含む多数の観光客が殺到し、時間帯によっては一般市民の利用が困難となり、苦情が多発しているという。

 次に都市のホテルがいつも満室のため、観光客、ビジネス客が困っているところが続出していることだ。また、各地で外国人対象のヤミ民宿が横行し、近隣からの苦情が出たりするなど、外国人観光客急増に住民の不安感が高まっていることだ。旅館廃業が続出、部屋数は減少し宿泊受給の逼迫を増幅している。

 多くの観光地でまちの受け入れ容量を超えて観光客が入り、生活環境劣化(交通渋滞、ゴミ、騒音問題の深刻化)が目立ち、住民の中に観光への拒否反応を示す人が増加するなどの現象も起こっている。生活環境保護と観光推進とのバランスを取るため苦慮している地域も少なくない。

 それでは、この観光の「疲労」現象を回復させ健全な観光とするにはどのようにすればよいだろうか。観光「疲労」が起こる原因は観光客が特定の地域季節に集中することによることが多い。また、外国人観光客の日本人の生活慣習(観光)マナーなどへの理解不足からも起こっていると思う。したがって、集中の解消、緩和がまず必要である。場所的集中については適確な観光地情報、とくに着地発の情報によって魅力ある観光地の存在を知らせることが必要である。また、季節的集中については有給休暇や祝日制などのいわゆる休暇政策がそのカギを握っているといえよう。地域季節を問わず、万遍なく、バランスの取れた広域観光の実現が期待される。

 外国人観光客については日本の生活習慣旅行マナーを充分説明し、理解を求めることが必要である。ここでも日本の観光情報の適確な発信がそのカギを握る。日本の観光事情を理解した外国人観光客を日本側がもてなしの心をもって迎えれば観光によるよきコミュニケーションが実現し、外国人観光客の増加で生ずる観光「疲労」現象の発生を未然に防ぐことができよう。「疲労」は初期の間に体力(能力)を強化充実させることにより予防できる。このように適確な情報提供による観光「疲労」回復への努力が急務であると考えられる。

 (追記)前回の本稿で「産業観光」が「UNWTO部門賞」を受賞した記述に、受賞団体「全国産業観光推進協議会(主任 森岡順子氏)」と主任名を追記させていただく。

コラムニスト紹介

須田 寛
日本商工会議所観光委員会共同委員長
須田 寬 氏
 
 
 
 
 

 

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