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【特集 No.668】伊予鉄バス 運転士不足解消の先進モデルに

2025年5月1日
編集部:長谷川 貴人

2025年5月1日(木) 配信

 伊予鉄バス(愛媛県松山市)は、旅行新聞新社が取材活動などを通じて見聞きした観光業界の取り組みのなかから、創意工夫の見られるものを独自に選び表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2024」(2024年12月1日号発表)の優秀賞を受賞した。深刻化する運転士不足のなか、2年連続の早期賃上げ、全国初の「自動運転レベル4」路線バスの本格運行などの運転士不足解消に向けた先進的な取り組みに“積極的に挑戦”する同社について、清水一郎社長に話を聞いた。

【長谷川 貴人】

春闘前倒し 2年連続賃上げ、完全自動運転バス本格運行へ

 伊予鉄バスは、1944(昭和19)年に伊予鉄道のバス事業として開始し、2018(平成30)年の持株会社体制への移行に伴い、現在の伊予鉄バスとして事業会社化した。愛媛県の中央部に位置する中予地方を中心に、路線バスや貸切バス事業を行っている。

 清水社長は、伊予鉄バスや伊予鉄道などの持株会社である伊予鉄グループ(旧伊予鉄道)社長も務める。21年からは全国約2300のバス事業者で組織する日本バス協会会長として、各都道府県のバス協会とともにバス事業の発展に向けて取り組んでいる。

 公共交通の業界全体で深刻化する運転士不足について、清水社長は「当社においてもバス運転士は不足しており、現状の路線や便数を維持していくのがやっとの状況」として、「持続可能な公共交通としていくためには、安定した運転士の確保が必要であり、そのための処遇改善に取り組んでいる」と語る。

 そして、「具体的には所定の休日を増やし、週休3日も選べる職種を作るなど働き方改革を進めている」と説明する。さらには、23年12月、例年春季に実施している労使交渉を前倒しして行った結果、賃上げを早期に実施することで合意に至った。

 この結果、24年1月当時で1人平均5%以上の賃上げ、9%以上の初任給引き上げなどを実施した。年間休日数も8%増やし、完全週休3日制も選択可能な新しい働き方を新設した。

 今年25年1月においても、3カ月の前倒し分を含み、1人平均7%以上の賃上げを達成。引き続き春闘を前倒しして行い、2年連続で1月に賃金アップを実施し、初任給もこの2年間で3万円以上アップした。「このような『人的投資』などを行っていくために、運賃改定を実施したが、利用者の方々にもその主旨は一定のご理解をいただけていると考えています」(清水社長)。運転士不足が深刻化するなか、早期の制度改定により従業員の処遇改善につなげることで、モチベーションアップや、さらに採用強化につなげることを目指している。

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