星野リゾート、新ブランド「LUCY」設立 自然観光で地方誘客へ
2025年4月22日(火) 配信

星野リゾート(星野佳路代表、長野県・軽井沢町)は4月22日(火)に開いた会見で、6つ目のホテルブランド「LUCY(ルーシー)」を立ち上げ、2025年9月1日、尾瀬国立公園(群馬県・片品村)の入口である鳩待峠に1号店をオープンすると発表した。コンセプトは、「心揺さぶる山のホテル」。訪日客が都市部に集中するなか、自然観光を強化し、地方誘客をはかる。
星野代表は、山岳観光の宿泊場所である山小屋は、真剣な登山客を中心に利用されていることを説明。「山での提供が困難といわれていた快適な宿泊体験を用意し、登山者以外も気軽に山を楽しんでもらえるホテルを目指し、訪日客の地方分散をはかる」と語った。風景や星空、動植物など山ならではの体験をより多くの人の身近に感じてもらえる宿泊体験を用意していく。
同ブランドでは、プライベートな寝室や温水洗浄トイレ、シャワー&パウダールーム、肉・魚・玉子の贅沢な食事、コンビニ、無制限のWi-Fiを提供する。
このうち、食事については群馬県の名産品豚肉を活用したLUCY豚汁を用意。さらに、魚や山の幸の副菜もそろえ、山岳観光に向けた栄養補給をサポートする。
宿泊ならではの体験として、夕日や朝日、夜の山を楽しめるアクティビティやコンテンツも開発していく。
また8月1日(金)、同ホテルの隣に日帰り施設として、はとまちベースCafe&Shopを先行して開業する。登山前後の休憩や食事場所として活用してほしい考えだ。
宿泊料金は2人1室利用時、夕食付で1人1万4050円から。客室数は25室。
LUCYは北海道~関西までを西洋人として初めて踏破したというイギリスの旅行家イザベラ・ルーシー・バードさんに由来。同社は、多くの人に新しい旅を体感してもらおうと、名前の一部をブランド名とした。
今後、富山県・立山など複数の楊岳地域での展開を予定している。
このほかの開業予定では26年春、群馬県・草津に「界 草津」をオープンする。同ホテルは高台にあることから、温泉街にアクセスできる宿泊者専用のトンネルを建設していく。
□宿泊税で需要低下 「導入後目標達成に責任を」
星野代表はさまざまな地域で導入に向けて議論されている宿泊税について、「価格全体が上がるため、利用客は減少する。宿泊事業者は需要回復のため、宿泊税の導入前と同じ金額で泊まれるよう宿泊料金を値下げするだろう」とした。「お客様からいただく料金は変わらない一方で、新たな税として宿泊税を納めるため、実質的な増税になる」と主張した。
導入する際は「優秀な経営者をDMOのトップに就任させ、地域の目標達成に向けて明確な責任を持たせるべきだ」と提言した。