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温泉むすめで温泉地の魅力発信 ファン獲得し若者を温泉旅行に エンバウンド

2024年6月4日
営業部:後藤 文昭

2024年6月4日(火) 配信

約170人のファンが会場に

 岐阜県・福地温泉で4月14日から温泉むすめ「福地珊瑚」の活用が始まった。同温泉地を含む奥飛騨温泉郷では、2021年から温泉地の魅力を国内外に発信する地域活性化プロジェクト「温泉むすめ」をスタート。温泉むすめを活用した情報発信に注力するなどし、若い世代を中心に来訪者数を増やすなか、ファンの思いが新キャラクターの誕生につながった。ファンと共に温泉むすめの活用を考え、双方向で地域の魅力を発信する同温泉郷の取り組みをまとめる。

双方向で地域の魅力PR ファンと共に活用する存在に

 岐阜県・福地温泉は奥飛騨温泉郷の5つの温泉地の一つで、古くは村上天皇が訪れたという伝説の残る標高約1千㍍の谷間にある温泉地。国道から離れた場所にあることから、静かな時間を過ごすことができるのが魅力だが、認知が十分でないことや旅行形態の変化などさまざまな要因によって、宿泊者数が減少傾向にあるという課題を抱えている。

 こうした課題は奥飛騨温泉郷全体の課題でもあり、同エリア全体の年間宿泊者数は1992年の約114万人をピークに減少傾向が続き、2019年には約60万人にとどまった。宿泊施設数も99年の約170軒をピークに減り続けている。

 そこで同温泉郷が着目したのが、温泉地の魅力を国内外に発信する地域活性化プロジェクト「温泉むすめ」。2021年から「奥飛騨五十鈴」の活用を開始。23年6月11日には、平湯温泉のPRを担う温泉むすめ「平湯みつば」とともに、「奥飛騨温泉郷特別観光大使」に任命するなど、両温泉むすめを活用した情報発信に注力し、若い世代の来訪増加につなげている。

 なかでも、閑散期となる冬の集客を目的に1月9日―3月31日に実施したスタンプラリーには関係者の予想を上回るファンが集まり、温泉むすめを導入していない施設でもファンが滞在を楽しみ、エリア全体に大きな経済効果をもたらしたという。

中野梓氏

 こうした変化に関し奥飛騨温泉郷で温泉むすめプロジェクトに取り組む五十鈴&みつばぽか推し隊の中野梓氏(奥飛騨の宿 故郷・女将)は、「イベントを通じて、私たち地域住民が気が付いていなかった魅力的な風景や、観光素材になりそうな場所をたくさん教えていただくことができました。加えて、アンケートでは、2次交通などに対してなどさまざまな角度からの意見をいただけたので、行政や交通事業者などさまざまな分野の関係者を巻き込んで展開できるきっかけになりそうだと感じています」とイベントを振り返る。また、温泉むすめのパネルを設置したりグッズを販売したりしていない店舗にもたくさんのファンが訪れ、SNS(交流サイト)で情報を発信していたことに触れ、「地域全体で活用するのが難しい場合でも、地域のどこか1カ所がコンテンツを活用することでファンに地域を知っていただけるきっかけになる。そして、訪れて下さったファンが個々の目線で温泉地の魅力を発信してくれることも温泉むすめの魅力」と語る。

福地温泉の温泉むすめ 4月14日デビュー

デビューした福地珊瑚(© ONSEN MUSUME PROJECT)

 4月14日、福地温泉で温泉むすめ「福地珊瑚」のお披露目が行われ、同日から活用が始まった。

 福地珊瑚は、「奥飛騨五十鈴」と「平湯みつば」を応援するファンの思いから誕生した温泉むすめ。同日、「福地温泉 昔ばなしの里」で行われたお披露目会には全国から約170人のファンが参加。お披露目会に登壇した中野氏は、「五十鈴ちゃん、みつばちゃん、珊瑚ちゃんと一緒に奥飛騨温泉郷を精一杯盛り上げることをお誓い申し上げます」と宣言した。

 集まったファンからは、「温泉むすめは色々な入り方ができるコンテンツで、キャラクターを担当している声優さんのファンも参加されています。なので、奥飛騨温泉郷に3人目の温泉むすめが誕生したことで、ますます多くの人の目に触れる機会になるのではないかと思います」「岐阜県内にいる温泉むすめ6人のそれぞれの温泉地が近いので、周遊イベントなどを企画してもらえたら」「無理のない範囲で、ファンと地域の皆様が一緒に楽しむきっかけになるような活用のカタチにしてほしい」などの声が聞かれた。

 福地温泉では今後、福地温泉観光協会主導で、温泉地全体の旬の話題の提供や施設・観光情報の発信などに福地珊瑚を活用することで、温泉地の認知度向上や宿泊者数の増加につなげていく考えを示す。

 加えて、温泉むすめのファンだけでなく、国内外から奥飛騨温泉郷・福地温泉を訪れる人と地元住民をつなぐ架け橋となり、地域の魅力を世界に発信し、盛り上げていく存在になることを期待している。

温泉むすめはきっかけ 情報発信は即時に

 福地温泉では、「奥飛騨の宿 故郷」と「民宿 内山」が「奥飛騨五十鈴」の宿泊プランを展開し、宿泊者数の増加につなげるなど、同キャラクターによる温泉地の活性化が実を結びつつある。こうしたなかで新たに「福地珊瑚」が誕生し、お披露目会以後も同温泉むすめの宿泊プランへの問い合わせが多く寄せられるなど、さらに注目度が増している。

 しかし、このような状況に対し中野氏は「温泉むすめは単なるPR素材ではなく、ファンと一緒に活用していく存在。温泉むすめは奥飛騨温泉郷、福地温泉に来ていただくきっかけであって、大切なことは訪れてくださった人がこの場所を素敵だと思って下さること」と慎重な姿勢を示す。

 また、情報発信に際しては①リアルタイムの情報②ありのまま③共感――の3点を意識。「奥飛騨温泉郷、福地温泉の旬の情報を受け取っていただいてから実際にお越しいただくまでの間に景色などが少しずつは変化してしまいますが、そのズレも楽しんでいただきながら、自分なりの発見をしていただき、地域のファンになってもらいたい」と力を込める。

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