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「提言!これからの日本観光」 “ヘッドマーク”

2023年9月17(日) 配信 

 JRの前身旧国鉄(日本国有鉄道)では1978(昭和53)年から、全特急急行列車の前頭部に場合によっては列車後尾にその列車の種別と沿線の景観などを象徴するイラスト入りの“ヘッドマーク”を掲げることとなった。このマークは好評で当時、缶ビールやネクタイ、風呂敷などのデザインにも導入され、ちょっとしたヘッドマークブームを巻き起こしたことを当時の国鉄の担当者として懐かしく思い出す。

 一方、千葉県に「いすみ鉄道」という第3セクター経営の鉄道(旧国鉄木原線)がある。この会社は社長を公募し、そのアイデアを活かしたユニークな誘客をすることで知られている。

 最近就任した古竹孝一氏は、四国のタクシー会社の社長を務めた知見を活かし、かつて四国の旧国鉄(現JR四国)の急行列車前頭部の“ヘッドマーク”が好評だったことを思い出し、JR四国との相互送客などの連携を始めたのを機に、四国から800㌔離れた房総のいすみ鉄道の大原~上総中野間で路線に急行「四国」号と銘打った観光列車の運行を始めた。四国からの観光客誘致も目指して話題となっている。

 この列車の前頭部に、かつてJR四国各線に使用した丸形の“ヘッドマーク”を掲げて運行したので、多くの“撮り鉄”の方々が訪れた由である。鉄道会社が提携して、それぞれの沿線の方々を相互に送客することは珍しいことではなく、観光路線ではその例も多い。

 しかし、それを象徴する方法としてそれぞれのヘッドマークを借用・交換し列車名もそれに因んだものとしたのは初めての試みで、多くの“撮り鉄”の方々の関心の的となったり、実際このマークは観光客の誘致にも効果があったことが報告されている。
 鉄道車両は車両に詳しい“鉄道マニア”の方々はともかく、一般のお客様にとっては移動の手段に過ぎず、車両の型式や塗色などにも関心を持つ方は少ない。

 しかし“ヘッドマーク”を付けたため、写真撮影の対象となり、旅の思い出が残せること、また列車の性格が明示できるため、案内面での効果も大きく、最近の観光列車はほとんど何らかの“ヘッドマーク”を取り付けている。また、鉄道会社が交換して施策を展開したり、協力して誘客したりする場合の象徴ともなるなどマークの果たす役割も大きい。

 近年整備された特急列車などの“ヘッドマーク”は、案内効果のほかに優れたデザインを得た場合、大きい宣伝効果もあることが分かり、急速にほとんどの優等列車に普及した。

 ちなみに列車のイラスト入りの“ヘッドマーク”の始まりは昭和初期の旧国鉄東京~下関間の特急“富士”で当初はイラスト入りのテールマークのみであったが、戦後の49(昭和24)年ごろの復活後、間もなく機関車にも“ヘッドマーク”を取り付けたのが始まりで、これから数えても既に70年の歴史を持つに至っている。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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