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〈旬刊旅行新聞9月11日号コラム〉――今年の夏休み 中・大規模旅館に子供たちの笑顔

2023年9月7日
編集部:増田 剛

2023年9月7日(木) 配信

 8月下旬に避暑のため、栃木県の那須町を訪れた。しかし、今夏は日本各地で猛暑が続き、関東の高原リゾートの代表格である那須周辺も、昼間は35度をあっさりと超えた。私が思い描いていた「夏の涼しい高原」とはかけ離れた状況だったが、自然豊かな那須の底力を随所に感じられた旅だった。道路は木々の緑に覆われ、滞在中のドライブも爽やかな気分になれた。

 

 折しも天皇ご一家が4年ぶりに那須御用邸で静養されており、那須エリアはいつも以上にロイヤルムードが高まっていた。

 

 東北自動車道を降りると、まずは那須千本松牧場に向かった。最近は旅先の観光地でソフトクリームを食べることが反射運動化しており、真っすぐソフトクリームの店に並んだ。その後、昼食は「清流の里」で蕎麦と、ナスのどぶ漬けを食べた。殺生石を観光したあと、1300年の歴史を有する「鹿の湯」で硫黄泉に浸かった。

 

 

 今回はホテルサンバレー那須に宿泊した。ファミリー客が大半を占めていた。近年は旅館に泊まると高齢者の姿が圧倒的に多く、コロナ禍になってその傾向はさらに顕著になったが、たくさんの子供たちの笑顔で館内はとても活気づいていた。

 

 7月下旬には石川県・山代温泉のゆのくに天祥を訪れ、新滝英樹社長にインタビュー取材(本紙3面掲載)をした際も、夏休みに入った子供たちが館内プールのウォータースライダーで遊び、ロビーの駄菓子コーナーや温泉たまごづくりを楽しんでいたのが印象的だった。

 

 大人限定のスタイリッシュな小規模旅館が増加するなか、中・大規模旅館に子供たちの笑顔が溢れることは、旅館業界の未来を考えると良いことである。

 

 20年近く前、福島県の旅館で「夏休み子供無料プラン」を見つけ、4人の小さな子供を連れて旅館で過ごした夏を思い出した。大人2人分の宿泊料金しか支払ってないため、滞在中ずっと申し訳ない想いがあったが、初めての家族旅行だったこともあり楽しい記憶として残っている。今となってはその宿に感謝の気持ちしかなく、恩返しをしたいと思っている。

 

 

 ホテルサンバレー那須はチェックイン時に、ロビーにさまざまなウェルカムドリンクが用意されていた。少し驚いたのは梅酒が置いてあったことだった。暑い外から館内に入ると、すぐにロビーに案内された。氷を入れて、冷えた芳醇な梅酒を飲むと、体の奥に沁み込み、チェックインまでの時間を心地よく過ごすことができた。カップで掬うアイスクリームも数種類用意されており、到着直後から宿の評価が大きく上がった。

 

 人手不足のなか、オペレーションの工夫も見られた。フロントと売店をスタッフが兼ねて手際よく対応されていたし、ビュッフェ会場で食べ終わったお皿をすぐに下膳することが徹底されており、ストレスなく楽しい食事ができた。

 

 

 夕食後は、「近くの教会でプロジェクションマッピングのイベントがあります」とスタッフから教えてもらっていたので、出掛けた。庭園も夏らしくライトアップされており、夜の高原らしい涼しさのなか、美しい光の演出を楽しんだ。

 

 翌朝は那須ステンドグラス美術館や、乙女の滝などに立ち寄った。20代のころに訪れて、再訪を楽しみにしていた「戦争博物館」は、残念なことに休館していた。

(編集長・増田 剛)

 

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