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「提言!これからの日本観光」 頑張る本州最北の民鉄

2023年9月3日(日) 配信

 青森県の五所川原駅(五所川原市)から津軽中里駅(中泊町)間を結ぶ「津軽鉄道」は、本州最北の約20㌔の民鉄である。

 沿線人口の減少から乗客の伸びが期待できず、厳しい経営が続くが、冬期は降雪地帯の住民の大切な足としての役割も担っており、さまざまな経営努力を重ねて頑張っている。

 蒸気暖房が使えない旧型客車を逆手にとって、「暖炉列車」と銘打って車内のストーブ周辺に温かい乗客同士の対話の場を設け、話題となったり、冬期の厳しい気象条件を観光資源にする「地吹雪観光」の提案などユニークな営業施策が話題を呼んできた。

 冬の「ストーブ列車」をはじめ、夏の7、8月の「風鈴列車」、秋の9、10月の「鈴虫列車」など四季折々の風情を味わう列車の運行も話題を呼んでいる。見事な沿線の桜を眺めることができる「花見列車」も話題の1つとなっている。

 冬期のシビルミニマムとして廃線やバス転換などの効率化対策がとれない厳しい経営環境を逆手にとり、乗客誘致に活用して、冬期も含め四季折々の観光客で賑わう本州最北の民鉄として訪れる人も増加してきた。

 全路線約20㌔と短い鉄道であるため、めぼしい観光資源も少ないが、前記のようにその“逆境”を活用して、観光資源化する工夫を重ねるなど絶えず誘客努力を重ねて、本州最北の観光鉄道としても近年注目を集めていることは心強い。

 さまざまなアイデアを生かす適切な情報発信に加えて、「最北」という観光については“逆境”を逆手にとった誘客努力で観光鉄道としても着々とその実績を収めてきた。

 その1つをとってみても恐らく唯一の例であろうが、社長の署名捺印のある「特製乗車券」を観光客向けに発券し、きっぷマニアの人々の注目を集めた。

 「本州最北の津軽鉄道へようこそ 見どころ満載沿線観光をお楽しみください」のメッセージと共に、「社長」の署名捺印の入る特製乗車券もその話題作りの1つだ。沿線の写真も添えられたこのきっぷは、観光きっぷとして収集家の注目を集め、上り下りで地紋の色を変えるなどの工夫もされ、「きっぷばなれしたきっぷ」としてのきっぷ収集家の注目を集めている。

 降雪地帯では、冬期の重要な足を確保するため、乗客の少ない鉄道でも安易に廃線することはできない。

 いろいろ知恵を出し、またさまざまな演出を考える「津軽鉄道」は地方鉄道生き残りのために、“逆境”を逆手にとったさまざまなアイデア施策の活用で本格的な“観光鉄道”への脱皮に成功した好例といえよう。

 「観光資源の少ない鉄道」ということ自体を逆手にとり、「話題の多い鉄道」を演出した地方民鉄の努力に敬意を表したい。

 戦前ほとんどの私鉄が廃止した二等車(現グリーン車)を、敗戦時の最後まで守ったことが思い出される。

 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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