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「観光革命」地球規模の構造的変化(252)  五輪都市と創造都市

2022年11月14日(月) 配信

 

 30年前を振り返ると、国内的にはバブル崩壊後の激動期で、世界的にはソ連崩壊後の大転換期であった。そのころに大規模イベントの未来について議論がなされていた。要約すると「19世紀を代表するグローバルイベントは万国博覧会、20世紀を代表する大規模イベントは五輪だった。

 では21世紀にはいかなるイベントが隆盛化するだろうか」という議論だった。万博は「国家の科学技術の成果を競い合う祭典」、五輪は「人間の身体的能力を競い合う祭典」だったので、21世紀には「人間の精神的成果をめぐる祭典」が重要になると予想された。ところが大阪では2025年の大阪・関西万博が準備され、札幌では30年の冬期五輪誘致が検討されている。世界の変化を大局的にみると、万博も五輪も時代錯誤的な発想であり、強い違和感を禁じ得ない。

 ユネスコは04年に「創造都市ネットワーク」を発足させた。その目的は「創造性を持続可能な開発の戦略的要素として認識している都市間の協力を強化すること」。ユネスコは7つの創造的分野(工芸、デザイン、映画、食文化、文学、メディアアート、音楽)を対象にして、加盟都市認定を行っている。札幌市は13年にメディアアート分野の創造都市として加盟認定された。

 今年10月下旬に札幌市で「ノーマップス(NoMaps)」と題されたイベントが開催された。「地図なき領域を開拓する」という願いを込め、今回は3年ぶりのリアル開催。その目的は①クリエイティブ産業の活性化と他産業への波及②創業支援・新産業の創造・投資の促進③クリエイティブな市民文化の醸成④札幌・北海道の国際的知名度・魅力の向上⑤「世界屈指のイノベーティブなまちSAPPORO」の実現。

 未来に向けて切磋琢磨する人たちが集い、アイデアを広げ、気づきを共有しながら、新たな領域を切り拓くための出会いと発見が溢れる場の提供が展開された

 「Web3」やスタートアップなどをテーマにした40本以上の討論集会が開催された。NoMapsの魅力は連日夜に開催されるミートアップ(交流会)にあり、ビジネスからアート、エンタメなどジャンルを超えた人々の出会いでにぎわった。札幌の未来を冷静に考えると、冬季五輪の再誘致よりも創造都市としてのさらなる発展の方が重要と感じる。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

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