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HIS、約6億8000万円不正受給 Go To調査報告書を公表

2022年1月5日
編集部:木下 裕斗

2022年1月5日(水) 配信

澤田秀雄会長兼社長。「HISはGo Toに参加したい」と語った

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は12月24日(金)、子会社であるミキ・ツーリストとジャパンホリデートラベル(JPH)がGo Toトラベル事業で不正に補助金を受給した疑いに関して、調査委員会の報告書を公表した。不正受給額は、最大で6億8329万円。全額がHIS元社長で平林朗氏が社長を務めるホテル運営会社JHAT(ジェイハット)との取引によるもの。調査委員会委員長の荒竹純一弁護士は「宿泊した事実はほとんどなかった」と述べた。

 ミキ・ツーリストは、4080万円を不正に得た。このうち、Go To給付金は2856万円。地域共通クーポンは1224万円。

 具体的には、同社はJHATと20室60泊分(1室4人)を1室1泊6万8000円、合計8160万円で買い取る契約を締結。延べ4800泊のうち実際に宿泊がなされたのは114泊だった。

 調査委員会は、ミキ・ツーリストが受け取った地域共通クーポンより高額な客室買取契約金などを支出しながら、JHATから同契約金を補填できる実態のない同社ホテルの販促活動協賛金などを得て、「給付金を両社で折半できるようにした」と指摘した。

 JPHは、給付金3億1249万4000円と地域共通クーポン3億3万円の合計6億4249万4000円を不正に受給していた。JHATから4社の団体顧客5万5053人を紹介されたうえで、1泊1人4万円の研修付き宿泊プランを販売するよう提案され、応諾していた。このことから、「JPHは主観的意図がなかった」(調査委員会)と結論付けた。

GoTo参加望む 不正金は返還へ

 澤田会長は調査報告書を受け、「監督不行き届きだった」と釈明。今後は不正に得た給付金を返還していく。

 また、1月下旬以降に再開が見込まれるGo Toについては、「子会社2社は辞退させる」とし、「HISは参加したい」と話した。

 この問題を受けて、同社は澤田会長の報酬を3カ月間、75%減額する。さらに、JPHの役員も務めるHISの中森達也取締役専務執行役員と織田正幸取締役常務執行役員は、同期間50%報酬を減額する。ミキ・ツーリストの檀原徹典社長は解任し、JPHの吴煜康社長は取締役に降格する処分を決めた。

 澤田会長は再発防止策として、HIS子会社の全社長と面接し、規定やガバナンスなどを見直していく。

640億円の営業赤字 主力の海外需要減

 調査委員会が不正受給金額を明らかにしたことを受けて、HISが12月28日(火)に発表した2021年10月期決算によると、営業損失は640億5800万円(前期は311億2900万円の損失)と2期連続で赤字となった。緊急事態宣言で長期間、旅行需要が低迷したことが主な要因。

 売上高は同72・4%減の1185億6300万円。経常損失は632億9900万円(前期は312億8300万円の損失)、当期純損失は500億5000万円(同250億3700万円の損失)と赤字幅は拡大した。

 なお、同社は子会社の不正を受けて、売上高20億100万円、営業利益5億8700万円、経常利益5億8700万円、当期純利益3億9500万円を、それぞれ減少している。

 次期は国内旅行事業をより強化するため、沖縄本島のホテルのM&Aなどを行う。渡航制限の解除時期が不透明であるため、見通しについては未定とした。

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