大型連休、5地域に分割

「ずらして春と秋に5連休、休暇分散化へ政府案提示」

 観光立国推進本部(本部長=前原誠司国土交通大臣)の休暇分散化ワーキングチーム(座長=辻元清美国交副大臣)の第2回会合が3月3日に開かれ、ゴールデンウイーク(GW)の地域別分散と、秋にも大型連休を創設し、地域別に分散して設置する政府案が出された。休暇分散化よって、旅行料金の低廉化、渋滞の解消、観光地の雇用安定化などにつなげていきたい考えだ。

 政府が示した原案は、GWの憲法記念日(5月3日)、みどりの日(同4日)、こどもの日(同5日)の祝日を記念日として残しつつ休日とせず、その代わりに日本を5つの地域ブロックに分けて、南から順に5―6月のそれぞれの週の月・火・水曜日に振り分け、5連休を創出する。

  「秋の大型連休」(5連休)の創設では、ハッピーマンデーの対象となる海の日(従来は7月20日)、敬老の日(同9月15日)、体育の日(同10月10日)を従来の記念日に戻し、こちらも休日とはしない。その代わりに10月と11月の第1週の月・火・水曜日を休日として、北から5地域がスライドして休暇とする。

 5つの地域ブロックは、A「北海道・東北・北関東」(人口2196万人)、B「南関東」(同3586万人)、C「中部・北陸信越」(同2282万人)、D「近畿」(2084万人)、E「中国・四国・九州・沖縄」(2621万人)に分割する案で、政府が参考にしたフランスでは国を3つのゾーンに、ドイツでは州別に分けて休暇分散している。

 WGの冒頭、辻元座長は「休暇を分散化することで多くの人が旅行に行きやすくしたい。都市と地方で多くの人が行き来するようになれば格差の解消につながるのではないか。産業界や教育界などとも慎重に検討しながら実現に向けて進めていきたい」と語った。その後、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会の代表者が休暇分散化に賛意を表明した一方で、「十分な準備期間の確保」や、営業担当者が休日であっても担当エリアが営業している場合には対応しなければならないケース、さらには、GWがなくなることで休暇減少につながる企業もあるのでは、などの課題も出された。

仏の休暇制度参考に、観光庁が休暇シンポ開く

 観光庁は2月26日、東京国際フォーラムで休暇シンポジウム「新たな成長戦略としての休暇改革」を開き、休暇日分散化をいち早く取り入れたフランスの休暇制度などを参考に、日本型の休暇のあり方についてさまざまな角度から検証した。

 基調講演「休暇取得・分散化の意義」には、東京大学大学院経済学研究科教授の伊藤元重氏が登壇。伊藤氏は「経済活動の制約は、豊かになるほど予算よりも時間的制約が大きい。日本でも時間の価値が高まっている。余暇は成長戦略の面白い切り口」と語った。また、「働く」にという言葉は(1)レイバー(2)ワーク(3)プレイヤーの3つがあり、産業革命でレイバーからワークに変わり、今は人間にしかできないプレイヤーへと変わる過渡期にあり、「トータルな生き方を休暇と一緒に考えていくべき」と話した。

 続いて在日フランス大使館参事官のジュール・イルマン氏が「フランスの休暇制度」について説明。「フランスでは3つのゾーン別に時期をずらした学校休暇を実施しており、6150万人の休暇を分散することで渋滞や事故、旅行代も少なくて済む。観光産業にもよく、ウイン―ウインの休暇制度だと思う」と語った。また、「フランスは仕事と大切な私生活の時間をバランス良く生活しており、海外移住の専門誌の調査で、5年連続世界で1番住みやすい国となった」と話した。

 パネルディスカッションでは、伊藤氏がコーディネーターを務め、4氏がパネリストとして参加した。

 杉並区教育委員会教育長の井出隆安氏は「今は学校の教室にもエアコンが入っており、夏休みの6週間連続休暇を分散させることも可能。沖縄から北海道まで季節も違うため、夏休み前線のように少しずつずらしていくことも有効」と述べた。

 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏は「日本で育児休暇が取れないのは職場のムードが大きい。男性の育児休暇は“義務化”が必要」と提案した。そして、「日本人はそろそろ極端な“勤勉の美徳”をやめよう」とし、「人生を楽しむことが第一で、ワーク・ライフ・バランスではなく、ライフ・ワーク・バランスと呼ぶべき」と強調した。

 労働政策研究・研修機構主任研究員の小倉一哉氏は、「男の働き過ぎが社会を悪くしている。職場では“お互い様”の意識を持つべき。『休暇は労働者の義務』というフランスの考え方を日本的にアレンジすることも必要」と語った。

 東京大学大学院医学系研究科准教授の島津明人氏は「今後、企業にとって従業員のモチベーションの向上が重要課題となる。こまめに休暇でエネルギーをチャージできるシステムがあればいいと思う」と、それぞれの立場から意見を交わした。

JNTO1月推計値、訪日客2ケタ増に、韓国は約8割プラス

 日本政府観光局(JNTO)がまとめた2010年1月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比10・3%増の64万500人と3カ月連続の増加となった。インバウンド最大マーケットの韓国が大幅に好転し、全体で2ケタのプラスとなった。1月としては、08年の71万1350人に次いで2番目。

 方面別では、韓国が同78・8%増の23万2千人と大幅な伸びを見せた。「Visit Japan Year2010」キャンペーンで日本への往復航空券などが当たる懸賞の実施や、新正月の連休効果に加え、昨年韓国で日本の観光名所(秋田市、田沢湖、乳頭温泉、男鹿半島など)を舞台にしたテレビドラマ「アイリス」が放映された影響で、個人旅行や団体ツアーが多数撮影地や周辺観光地を訪れたこともプラスに作用した。

 中国は同16・4%減の9万2200人、台湾は同7・3%減の8万9900人、香港は同34・5%減の3万500人と減少したのは、いずれも旧正月の該当月の移動(昨年は1月、今年は2月)が旅行需要に大きな影響を及ぼした。  主要12市場では、韓国、タイ、米国、ドイツ、フランスが前年プラスで推移した。

 一方、出国日本人数は同8・9%増の127万7千人と6カ月連続の増加となった。円の高止まりによる海外旅行需要の高まりが追い風となった。

指宿温泉旅館組合 休暇村新築・移転で「白紙から話し合いを」

 指宿温泉旅館事業協同組合(野田譲二代表理事)は鹿児島県指宿市で2月23日、休暇村指宿本館の新築・移転について、休暇村協会側代表者と話し合いの場を設けた。

 同旅館組合は「今、新築の国民休暇村を指宿に建設するのは、完全に官による民営圧迫」(野田代表理事)と白紙の状態からの話し合いを求めていく考えだ。

 指宿休暇村の新築・移転は、現在営業していない既存の別館を解体後、その跡地にRC造り5階建て、客室数50室、定員約200人の宿泊施設を建設するもの。4月から着工し、来年4月のオープンを計画している。事業費は17―18億円。45年前から、指宿市から格安のコストで土地を借りて運営している現在の土地を返還し、移転地では環境省の土地を賃貸借する予定。

 野田代表理事は「この50年で指宿には宿泊施設が多く建設され、来客数が減少傾向にあるなか、むしろ供給過多の状況。さまざまな面で優遇処置のある、なかば公的機関の国民休暇村協会が新築の宿泊施設を作るのは小さくなったパイをより有利な条件で民間から奪うもの」と話す。

 これまでの経緯は、1月12日に、休暇村指宿の西村俊之支配人から現地宿泊施設関係者に工事計画を説明。その後、指宿の宿泊業界関係者で、「休暇村指宿の新築に反対する要望書」を作成し、民主党鹿児島県連の川内博史支部長宛に提出するなど、対応した。民主党の打越あかし議員にも要望書を提出。予算案が通る月末に、指宿市長の元で、休暇村協会側と指宿の宿泊業界関係者との話し合いの場を設けると約束を取りつけた。

 23日の話し合いの場には休暇村協会側から中島都志明常務理事らが出席。工事計画の事前説明がなかったことについて陳謝し、「これからは、旅館組合に入るなど、地域に貢献していきたい」と回答を受けたが、指宿の宿泊業界関係者は、あくまで白紙状態からの話し合いを求めていく考え。

 野田代表理事は「リニューアルであるならば問題ないが、新築工事は公益制度法人改革で一般財団法人に移行する前の駆け込み策にも受け取れる。本当に指宿の観光振興を考えるならば、休暇村跡地をマリンスポーツが楽しめるヨットハーバーなどを整備するなど、代替案はある」と話す。

「しばし京都人」がグランプリ、もう一泊、もう一度(ひとたび)大賞(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、国内宿泊旅行拡大キャンペーンの一環で、昨年末に募集した「もう一泊、もう一度(ひとたび)大賞」の結果を発表した。昨年の4月から12月までに催行された、宿泊を伴う国内の企画旅行商品と、同時期に商品化された地域コンテンツを対象に呼びかけ、22団体から47点の応募があった。

 宿泊旅行拡大に貢献した、旅行商品部門のグランプリは近畿日本ツーリスト(KNT)の「しばし京都人」が受賞した。本物の京都に触れる希少性の高い旅として、『暮らす感覚』をコンセプトに、長期滞在型プランなどを設定したことなどが評価された。パンフレットも長期滞在を意識し、読み物要素を多く取り入れた冊子で、情報誌的な作りに仕上げた。

 また、宿泊旅行拡大に向けた観光素材の開発でグランプリに輝いたのは、星野リゾート・トマムの「雲海テラス」。高い山に登らないと見ることができない雲海を、ゴンドラ利用で手軽にした点や一方で、他地域にもある素材を“カフェでお茶をする”という表現を盛り込み、話題性を集めたことが評価された。

 発表を行った国内・訪日旅行業務部の興津泰則部長は「初めての取り組みだったが、いい内容のものが多かった。『もう一泊、もう一度(ひとたび)』は3カ年の事業なので、本年もこの賞を実施する」と話した。また、今年度の同事業全体の取り組みについては、「具体的に各社の旅ホ連やそれに準ずる組織と連動し、事業計画にも同事業を盛り込んでいただいた。昨年以上に宿泊業界としっかり手を取っていきたい」と述べた。  グランプリ以下の各賞の受賞者は次の通り。

【宿泊旅行価値創出賞】
お得な2泊チョイスプラン(JTB)▽泊まるたび巡るたび。北海道キャンペーン(北海道観光振興機構)▽1名様参加歓迎2連泊でめぐる たっぷりじっくり下北半島完全周遊の旅(びゅうトラベルサービス)▽お二人の「日本横断」の旅(読売旅行)

【ニューツーリズム開発部門賞】
快汗!猫の手援農隊(全国農協観光協会)▽越後妻有 大地の芸術祭の里 ~アートを道しるべに里山を巡る旅(JTB)▽赤色に染まる旅!!秋の奥津渓と田舎&エコ体験(日本旅行)▽大人も子供も元気いっぱい日間賀島(名鉄観光サービス)

【審査員特別賞】
越後妻有 大地の芸術祭の里 ~アートを道しるべに里山を巡る旅(JTB)▽周って楽しむ蒲郡の旅!がまごおり周樂旅行(蒲郡市観光協会)▽~日本人よバカンスに目覚めなさい~マンスリープラン(休暇村大久野島)▽Touch Down!東伊豆(稲取温泉観光合同会社)

新キャッチフレーズで国民を旅に、4月に発表へ 溝畑観光庁長官

 観光庁の溝畑宏長官は2月26日に開いた専門紙との定例会見で、同庁が発表した「2009年 国民の観光旅行の動向と課題に関する分析」の大学生の旅行回数が著しく低下したことや、最も旅行回数が増える「社会人・結婚前」も近年減少傾向、という結果を受けて、「国が元気がない象徴。感覚を変えるためにも、4月に新しい観光のキャッチフレーズを作り、『老いも若きも旅をする』という風を作っていきたい」と感想を述べた。

 溝畑長官は、「国民全体のモチベーションが下がっている。“オールジャパン”で取り組むためにも、観光ビジネスへ本格的に他業種の参入を促してプラットホームを広げたい」と意気込んだ。

ブルートレインで九州一周、クラブツーリズム

 クラブツーリズムは昨春、東京―九州間から引退したブルートレインを利用して九州を一周するツアーを、九州旅客鉄道と近畿日本ツーリストと共同で企画した。

 日本三大車窓の矢岳越えや、日本三急流の一つである球摩川沿いの風景など美しい眺望で知られる肥薩線のほか、竜馬伝で話題の長崎などを走行。昨年10月に日南線(宮崎県)で運行を開始した観光特急「海幸山幸」への乗車なども組み込んだ。途中、かつて九州を走っていたブルートレインの8種類のヘッドマークを付け替えて運行する予定。

 出発日は5月9日と16日。いずれも3泊4日。料金は東京駅発着・大人1人が9万9800円。

島と都会の中高生が出会う旅、観光甲子園受賞プラン実施へ、「ヒトツナギの旅」 島根県立隠岐島前高校

 高校生が作り上げた「地域観光プラン」を競い合う大会「観光甲子園」(同大会組織委員会主催、神戸夙川学院大学共催)で、グランプリの文部科学大臣賞に輝いた島根県立隠岐島前高校が、受賞した観光プランを4泊5日の「ヒトツナギの旅」として3月26―30日に実施することになった。

 観光甲子園は昨年8月に第1回が神戸夙川学院大学で開かれ、島前高校は島と都会の高校生が出会い、島人とのさまざまな交流を通じて、元気と自信を取り戻すという「ヒトツナギ~人との出会いから始まる君だけの島前三島物語」でグランプリを受賞した。

 ツアーはプランを実証的に確認するもので、グランプリ受賞時の高校生3人を中心に8人の生徒がグループになり、地域の人たちの協力を得ながら企画した。募集定員は島前地域外に住む全国の中高生10人と島前地域内に住む中高生10人の計20人で、2月5日から募集を行った。島外からは東京、神奈川、三重県などの中高生13人が応募。「自分の世界観を広げたい」「島の文化や自然への興味」「新しい人間関係を築きたい」などさまざまな動機が参加理由にあるという。最終的には10人に絞り込んだ。

 プランでは島外と島内の生徒がペアになり、隠岐島前の西ノ島町、海士町、知夫村3島の漁師や農家など10軒でホームステイ。漁師や牛の世話など体験するほか、伝統芸能での歓芸会、島内探訪、島の秘伝料理を習ってのパーティなどさまざまな仕掛けを準備する。

 今回のプロジェクトを指導してきた同校の岩本悠先生は「参加者が集まるか心配していたが、予想以上の反響だった。生徒もこの機に、島前の魅力を知って広めてもらうよう精一杯努力したいと張り切っている」と話し準備を整える。

 なお、ちなみに参加費は島根県の補助もあり、モニターツアーとして1人5千円となった。

日本に美容の実習、台湾の専門学校から生徒20人

 台湾の東呉高級工業家事職業学校美容科の生徒たちが技能実習のため日本を訪れ、湘南ビューティーカレッジ(井出隆夫校長、神奈川県平塚市)で2月23日から7日間、エステやヘアカット、メイクなどを学んだ。

 一行は1―3年生までの生徒20人と先生2人の計22人。22日に成田到着後、同校でオリエンテーションと歓迎食事会。研修は翌23日から3月1日まで。メイクアップやヘアカットをはじめ、サロン実習・体験、ネイル実習、アロマヘッドスパ、振袖着物の着付けなどに熱心に取り組んだ。

 また、研修の合間には東京・銀座の資生堂見学や美容機器メーカー見学なども精力的にこなした。

 研修終了後は6日間の日程で京都や箱根、浅草、お台場、東京ディズニーリゾートなどを訪れて楽しんだ。鄭宛青美容科主任は「日本の美容技術を学ぶだけでなく、歴史や文化を知る良い機会だったので生徒たちも喜んでいる」と、今回の研修の感想を話してくれた。

 同校は観光科や情報科、飲食科、保育科などの学科があり、生徒数は約5千人という。なお、観光科の生徒は今までに長野県内でスキー体験などを行っているという。

気迫の甲冑ダンス、名古屋武将隊 東京に初見参!!

 名古屋おもてなし武将隊は2月9―10日、東京・有楽町駅前の東京交通会館イベントプラザで開かれた名古屋開府400年観光物産フェアに登場。気迫のこもった甲冑ダンスを披露すると、通りかかったサラリーマンやOLなどが足を止めて見入った。なかには今話題の歴女らしき女性の姿もあった。

 名古屋は今年、名古屋城築城と、清須からの町ぐるみの移転「清須越」に始まる名古屋の町が生まれた1610年からちょうど400年に当たる。これを記念して「名古屋開府400年祭」を実施している。

 名古屋おもてなし武将隊は名古屋の魅力を全国に伝えるため、名古屋ゆかりの武将6人(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・加藤清正・前田利家・前田慶次)と4陣笹隊で結成された。毎日、名古屋城で観光案内や写真撮影などを行い観光客を出迎えるほか、土・日曜日、祝日には名古屋城天守閣前で武将隊10人が集まり、パフォーマンスを披露する。

 「名古屋開府400年」は年間を通して、名古屋城特別企画展「狩野派と名古屋城400年」(4月1日―5月6日)や8月の「世界コスプレサミット」、世界最先端の現代美術や舞台芸術を紹介する「愛知トリエンナーレ2010」(8月21日―10月31日)、10月の「名古屋城本丸御殿玄関の一分公開」などさまざまなイベントを予定する。