「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(246)」 「百景図」を活かす(島根県・津和野町)

2025年7月6日(日) 配信

茶業とB&Bを営むコーディネーター

 「アンノン族」という言葉は、若い人々には既に「廃語」だろうか。1970年代に創刊された女性向け雑誌「an・an」や「non・no」は、美しいカラー写真の旅行特集を掲載。これに魅了され、雑誌片手に多数の若い女性が各地に押し掛けた。山口百恵の旧国鉄ディスカバージャパン「いい日旅立ち」(1978年)の時代である。

 小京都と呼ばれた各地も、多くの女性たちで賑わった。その一つが山陰の小京都と呼ばれた津和野である。雑誌には、当地の美しい風景とともに、洒落たファッションに身を包んだ女性モデルがいた。その土地を訪れることで誌面と同化したいという気持ちもあったであろう。さながら、現在の「インスタ映え」にも通じている。

 6月初旬、その津和野を訪ねた。重伝建地区の街並みは、昔のままの重厚で落ち着いた風情である。地域の方々が、この町の変わらぬ姿を保ち続けているのであろう。

 しかし、その努力の反面で、津和野はいつの間にか古い観光地になっていた。「40年続く定型化された通過型観光モデル」を払拭できず、一時はホテル廃業や観光客の減少など大きな危機に直面していた。

 この危機を払拭すべく、2015年に日本遺産「津和野今昔~百景図を歩く」という物語が認定された。「百景図」とは、津和野藩の茶室管理などもする 「御数寄屋番」という役職にあった栗本里治が藩内をくまなく巡り、名所・風俗・食文化などをスケッチし、約4年の歳月をかけて描いた百枚の絵のことである。

 日本遺産第1号となって以降、行政が主導して、重伝建地区の入口に「日本遺産センター」を開設するなど、全国に先駆けたモデル的事業が高く評価された。しかし、これまで町並みの保全に力を入れてきた民間事業者たちの活動を必ずしも上手く取り込めず、活動は低迷していた。

 そこに、Uターンして地元で茶業とB&Bを営む女性プロデューサーが起用された。百景図と津和野物語を素材に、食や泊の再生など、地域再生計画を描き、若者たちに働きかけながら、一つずつ事業の形にする地道な活動が始まった。

青葉山と茶畑

 津和野百景図のシンボルの一つ、青葉山の麓の茶畑にデッキを設置し、風景とともに茶を愛でる事業、e―bikeで百景図の物語を巡るサイクルツーリズム、重伝建エリアの空き屋を活用した古民家ホテルやカフェの再生など、多くの事業が次々と動き出した。廃業していた旅館も観光庁補助金などを活用しながら、地域の拠点ホテルとして再生した。ホテルの料理には、百景図に因む食材が多用されている。このような津和野の計画と事業が評価され、昨年度は日本遺産の重点支援地域にも選ばれた。

 地域再生は何よりも地域の方々の想いと一つ一つの活動の積み重ねが重要である。津和野が若者や家族たちの新たな聖地になることを期待したい。

(観光未来プランナー 丁野 朗)

【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その51- 信玄公ゆかりの武田神社&恵林寺の神仏巡礼(山梨県甲府市、甲州市) 甲斐の虎・信玄公の聖地めぐり 瞑想時間を過ごせる庭園

2025年7月5日(土) 配信

 今回の精神性の高い旅は、甲斐国の戦国武将・武田信玄公ゆかりの神社仏閣の巡礼をご紹介します。武田神社も、恵林寺も、清々しい空気感があり、日ごろのストレスまみれの生活から脱出させてくれるような心地にさせてくれる聖地です。

 良い思考を保ち、プラスの流れを作るためには、成功者たちの95%が、瞑想や深い思考の時間を持っているというデータがあります。あのアップル社の創業者のスティーブ・ジョブズは瞑想を愛し、若いころから京都の禅寺を訪れていたり、曹洞宗の老師から直接指導を受けていたりしたといいます。 

 ときには1人だけの時間を持ち、神仏の空間に出向き、祈りを捧げたり、瞑想をしたりする時間を持つことで、不要なマイナス感情を断ち切り、今まで気づかなかった進むべき方向性が見えてくるはずです。

 

 

 そんなときこそ、お参りしていただきたい聖地の1つ目は、山梨県甲府市の武田神社です。甲府市はワイナリーや観光農園も多くあり、歴史的観光資源にも恵まれ、武田信玄ゆかりの「湯村温泉郷」「積翠寺温泉郷(せきすいじおんせんきょう)」などもあります。また、作家の太宰治が新婚時代に過ごした土地とのこと。

 さて、その武田神社は、「甲斐(かい)の虎(とら)」の異名を持ち、勇猛果敢な騎馬隊を率いて、徳川家康や上杉謙信にも怖れられた、戦国時代きっての名将「武田信玄」をご祭神としてお祀りする神社。武田信玄は、猛々しく戦うイメージが強い一方、法律の制定や当時としては珍しい合議制政治の導入など、内政においても手腕を発揮したことで知られ、高い人気を誇る武将です。また、「清和源氏」を祖とする名門「甲斐源氏」の流れをくみ、源頼朝や足利将軍家とも血縁関係にあり、「川中島の戦い」で、しのぎを削った上杉謙信とのライバル関係など、物語性の高い武将でもあります。

武田神社(山梨県甲府市)

 その武田神社は、「人生に勝つ、自分に勝つ」という願いが叶うといわれていて、とても強い勝運をいただける開運スポット。毎年、武田信玄公の命日である、4月12日には例祭という大きなお祭りが開催され、甲府の街が盛り上がります。JR甲府駅北口から、バスでも行けますが、おすすめは徒歩です。徒歩30分程度です。駅から真っ直ぐに、武田通りを歩いていくと、桜の並木道になっていて、山梨大学があり、武田家・家臣の武家屋敷跡もあり、かなり心地良い時間を過ごせます。

 格別の高貴な癒しに包んでくれる2つ目の聖地は、同じく山梨県の甲州市にある、恵林寺。こちらは、信玄公の菩提寺でもあります。JR塩山駅からバスでも行けますが、歩いていくことをおすすめします。塩山駅から、徒歩40分程度です。恵林寺へ行く途中には、600年の歴史を持つという塩山温泉もありますし、風光明媚な景色に心を潤してくれるでしょう。

恵林寺庭園(山梨県甲州市)

 恵林寺は臨済宗妙心寺派のお寺であり、1330年に禅僧の夢窓国師によって開かれ、江戸幕府5代将軍綱吉公の側用人である、柳沢吉保のお墓があることでも有名。こちらには、信玄公のお墓もあります。

 本堂の明王殿には、県指定文化財の「武田不動尊」が安置されています。生前に、信玄公が京から仏師を招き、自らと対面させて、そのお姿を摸刻させたという等身大の坐像です。信玄公は剃髪した毛髪を漆に混ぜ、自ら坐像の胸部に刷毛で塗り込めたといわれています。

 本堂の裏側にある庭園は、まさに瞑想時間を過ごすのに最適な場所。美しく静かなひとときを堪能できます。この庭園は国の名勝指定を受け、夢窓国師による築庭の代表作。心穏やかに禅を感じて、ただひたすらに寛いでみてはいかがでしょうか。

 

旅人・執筆 石井 亜由美
カラーセラピスト&心の旅研究家。和歌山大学、東洋大学国際観光学部講師を歴任。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

九州産業交通HD、人吉・球磨PRするラッピングバス運行 アニメ「夏目友人帳」とのコラボで

2025年7月4日(金) 配信 

ラッピングバスのイメージ

 九州産業交通ホールディングス(岩間雄二社長、熊本県熊本市)は7月1日(火)から、TVアニメ「夏目友人帳」とコラボレーションした熊本地域応援プロジェクトの一環として、熊本県の人吉と球磨の観光PRを兼ねたラッピングバスを運行している。

 夏目友人帳は、累計1800 万部を突破した漫画。2008年からTVアニメとして放送されている。小さい頃から妖怪を見ることができた少年「夏目貴志」が、祖母レイコの遺産である友人帳に書かれた妖怪と触れ合う物語。

 ラッピングバスには人吉と球磨の風景のほか、夏目友人帳のキャラクターとくまモンが描かれた。貸切バスツアーや熊本発福岡行きの高速バスなどで使用される。

全国女将サミット2025開く 「交流の場、学びの場に」(国際ツーリズムトレードショー)

2025年7月4日(金)配信

「全国女将サミット2025in国際ツーリズムトレードショー」に約30人の女将が集った

 「全国女将サミット2025in国際ツーリズムトレードショー」(主催=旅行新聞新社)が6月25日(水)、東京ビッグサイトで開かれた。同日~27日(金)まで開催した「iTT─国際ツーリズムトレードショー」を会場に、全国から約30人の女将が参加。久しぶりの再会を喜び、会話に花を咲かせた。

石井貞德社長

 開催にあたり、旅行新聞新社の石井貞德社長は観光業界の深刻な現状を訴えつつ、宿泊施設それぞれが抱えている課題が異なる認識を示した。女将に向けて「皆様一人ひとりが解決していかなければならない。今日集まった女将たちは、この大変な時期を乗り越えられる」とエールを送った。

 続けて、今回の開催は昨年同様、国際ツーリズムトレードショーを主催するRX Japanの協力のもと実施できたと報告し、RX Japanの山田舞主任を紹介した。山田主任は「観光・宿泊業の課題解決につながるヒントを得られるような場をつくっていきたいと思い、(国際ツーリズムトレードショーを)年1回開催している。この貴重な時間を皆様の交流の場や、学びの場にできたら嬉しい」と述べた。

「元湯陣屋」の宮﨑知子女将

  交流会では、神奈川県・鶴巻温泉にある老舗旅館「元湯陣屋」の宮﨑知子女将が登壇し、「無駄省く『デジタル化』で、ワンランク上の『もてなし』を」と題したトークセッションを行った。旅行新聞新社の鈴木克範営業統括部部長が聞き役になり、宿泊施設のデジタル化について、宮﨑女将がDXや働き方改革に取り組み、共有情報で“もてなし力”を高めることに成功した経験や工夫を女将目線で話した。

 宮﨑女将は「デジタル化でバックヤード業務を圧縮し、そこから捻出した時間と労力を表の接客に使う。これを常日ごろからやっていくことが重要」と、デジタル化に合わせた働き方の習慣化が不可欠と語った。

トークセッションのようす

 交流会終了後は、各自展示会場の見学や専門セミナーを聴講するなど、施設運営の参考となる知見を深めた。

 夕方からは、東京タワーの麓に構える豆腐会席料理店「東京 芝 とうふ屋うかい」で懇親パーティーが開かれ、盛会裏に終わった。

懇親会も盛会裏に終わった

東京駅前に都内の祭りが集結 9月12~14日に「TOKYO わっしょい」

2025年7月4日(金) 配信

江戸文化の多様性を国内外に発信

 東京都は9月12日(金)~14日(日)まで、東京駅前の行幸通りで、東京都内各地の祭りや芸能団体などによるパフォーマンスイベント「TOKYO わっしょい」を開く。東京の祭りの独自性や多様性、江戸文化の魅力を国内外に発信し、観光客と都民、演者が一緒に楽しめる空間を演出する。

 東京駅から皇居へ続く「行幸通り」に、ステージと櫓を特設。伝統的な祭りや地域振興としての祭り、伝統芸能など東京で親しまれているさまざまな祭りの見所を凝縮したパフォーマンスを披露する。会場には江戸文化体験ブースやユニバーサルスペースも設置する。

 体験ブースは御輿の担ぎ体験や法被での記念撮影、はち巻き、折り紙、駕籠(カゴ)乗りを用意する予定。

成田空港にハイチュウショップ 訪日客などへの認知向上はかる (森永市場開発)

2025年7月4日(金) 配信

店舗のイメージ

 森永製菓(森信也社長COO、東京都港区)のグループ会社である森永市場開発(八木格社長、東京都港区)は7月10日(木)~10月14日(火)に、成田空港第3ターミナルにおいてソフトキャンディ「ハイチュウ」の発売50周年記念POP UP SHOP「ハイチュウショップ」をオープンする。訪日客や日本人客に向けて日本のハイチュウの魅力を発信し、さらなる認知度向上をはかる。

 ハイチュウは現在、世界30カ国以上で販売されている。日本のハイチュウは、海外の商品とフレーバーやパッケージが異なることから、訪日客に人気という。同店ではハイチュウを始め、限定フレーバーの濃いぶどうと濃いいちごを発売。さらに、Tシャツ、オリジナルステッカー、ポーチなど、同店限定の商品をそろえる。

 森永市場開発は「訪日外国人や海外への土産を探す人をはじめ、特別なフレーバーやグッズを楽しみたい人にもおすすめ」とコメントしている。

万博で「ジャパンデー」開催、MISIAさんスペシャルライブなど

2025年7月4日(金) 配信

出演者全員が登場した公式催事のフィナーレ

 大阪・関西万博で7月3日(木)、日本のナショナルデー「ジャパンデー」が開かれた。政府主催の公式式典・公式催事とパレードが行われ、日本文化の伝統や多様性、創造性を発信する多彩なプログラムが展開された。

 公式式典・公式催事はEXPOホール「シャインハット」を会場に、秋篠宮皇嗣同妃両殿下御臨席のもと、「“LIFE WILL BLOOM~いのちは、何度でも輝く~”」をテーマに行われた。

 宮内庁式部職楽部による雅楽の演奏で幕を開け、ソプラノ歌手・野々村彩乃さんによる国歌独唱に続き、石破茂首相が主催者あいさつに立った。

 石破首相は「開幕以来、来場者数は1000万人を超え、大迫力の大屋根リングや斬新で創意工夫に満ちたパビリオンの数々、熱気あふれる催しが毎日のように繰り広げられている」と運営が順調に進んでいるとしたうえで、「ここ夢洲を包む万博らしい祝祭感、世界の人々と一緒に何かを作り上げているという一体感、そして会場に溢れる無数の笑顔を感じるとき、いのち輝く未来社会のデザインというテーマが、明確なかたちになっていることを実感する」と強調した。

 2025年日本国際博覧会の名誉総裁を務める秋篠宮皇嗣殿下は「ジャパンデーは日本の歴史や文化、伝統について理解を深めていただくよい機会です。最近では日本が生み出したアニメや漫画などのコンテンツが世界に広まり、国境を越えて多くの人々をつなげています。このような日本はこれからも世界各国・各地域をつなぎ、未来に貢献することができると思います」とおことばを述べられた。

 公式催事では歌手・MISIAさんが「未来への希望」をテーマにスペシャルライブを実施。「希望のうた」「明日へ」「アイノカタチ」の3曲を熱唱し、その圧倒的な歌声で会場を魅了した。

圧倒的なパフォーマンスを披露したMISIAさん

 また、漫画をモチーフに、映像と音楽、現代的なダンスを融合させた舞台演出の終盤では、政府が出展する「日本館」名誉館長を務める女優の藤原紀香さんが、阪神・淡路大震災の自身の被災体験に触れながら、メッセージを朗読し、未来への希望を訴えた。

 式典後には大屋根リング下で約30分間のパレードを実施。万博のスペシャルサポーターを務める「ハローキティ」のほか、「くまモン」「ひこにゃん」などの人気キャラクターが集合し、陸上自衛隊中部方面音楽隊の演奏に合わせて行進した。

 なお、万博の公式キャラクター「ミャクミャク」は日本館前で行われたメディア向けのフォトセッションには参加したが、パレードには参加せず、多くの「ミャクミャク」目当ての来場者から不満の声が上がっていた。

藤原紀香さん(右から4人目)とミャクミャク(同3人目)らでフォトセッション

農協観光協定旅館ホテル連盟、菅野会長が再任 来年の創立60周年に向けさらなる飛躍を

2025年7月4日(金) 配信

菅野豊会長

 農協観光協定旅館ホテル連盟(菅野豊会長、858会員)は7月3日(木)、東京都内のホテルで2025年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、菅野豊会長(福島・ホテル華の湯)の再任を決めた。

 菅野会長は「農協観光の強力なパートナーとして、魅力的な商品の開発や情報発信、よりよいサービスを提供し、観光業界全体の活性化に努めていく」とあいさつした。また、「来年は旅連の創立60周年を迎えるにあたり、さらなる飛躍のために協力をお願いする」と会員に呼び掛けた。

清水清男社長

 農協観光の清水清男社長は「昨年度は国内、海外、訪日ともに前年を上回った。総取扱高は過去最高、利益は2期連続黒字となり、過去10年で最高益をあげることができた」と報告。今年度は「将来の増収につながる成長分野に先行投資的な資源を配置し、安定した経営基盤の確立、維持に努力していく」と意気込んだ。また、「今年度の国内重点方面として、関西3万泊、九州2万泊のキャンペーンを実施する」と宿泊拡大に向けての施策にも触れ、「パートナーとして、お客様の受け入れに配慮していただき、引き続きご支援ご協力をお願いする」と述べた。

 今年度の旅連の事業は「宿泊券の拡大」をテーマに、新たに宿泊券増売運動「ポイントぷらす」を実施する。会員施設への送客を行った農協観光の支店にポイントを付与し、それに応じて報奨することで社員の会員施設への販売意欲の拡大につなげたい考え。また、農協観光が掲げる団体総客重点方面や、「日帰り・1泊バス企画」の商品造成に協力する。

農協観光協力みのり会、西山会長が再任

 

西山健司会長(合同懇親会にて)

 同日は協定施設で組織する、農協観光協力みのり会(西山健司会長、824会員)も2025年度の通常総会を行った。任期満了に伴う役員改選では、岡山・西の屋グループの西山健司氏が会長を再任した。

 総会後は両団体合同の懇親会を開いた。今回から着席形式にし、農協観光の役員や支店長とより密に懇親を深めた。また、JAグループが推進する「国消国産」の考え方に連動し、会場の料理はすべて国産食材にこだわり提供した。

HIS、利根川花火大会観賞ツアー 混雑による長時間運転を回避

2025年7月4日(金) 配信

利根川花火大会のイメージ

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)はこのほど、9月13日(土)に開催される「第38回利根川大花火大会」(茨城県・境町)を観賞する日帰りバスツアーを売り出した。同花火大会の会場周辺には駅がなく、駐車場は例年混雑しているため、長時間の運転などを気にすることなく楽しんでほしい考え。

 同花火大会は、3万発を打ち上げ、日本最大級という。土浦全国花火競技大会や、全国花火競技大会(大曲の花火)両大会で内閣総理大臣賞の受賞歴を持つ山﨑煙火製造所と野村花火工業、紅屋青木煙火店、マルゴーの4大花火師による音楽とシンクロした花火などが楽しめる。

 ツアーでは、有料観覧席(団体シート席)での観賞のほか、夕食に香ばしい醤油の香りと豚肉のコクが相性抜群という豚丼弁当、果実畑自慢のスカイベリージェラートが付いている。さらに、土産として旬のシャインマスカット1房を用意する。料金は1人1万5900円。

第11回「ピンクリボンのお宿」シンポin熱川(あたがわ) 会場・熱川プリンスホテル(静岡県・東伊豆町)

2024年7月4日(金) 配信

第11回ピンクリボンのお宿シンポジウムin熱川(あたがわ)には約50人が参加した

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は5月26日、静岡県・熱川温泉の熱川プリンスホテルで「第11回ピンクリボンのお宿シンポジウムin熱川」を開いた。キャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさんの基調講演や、熱川プリンスホテル社長の嶋田愼一朗氏の会員活動報告、アートネイチャー広告宣伝部課長の廣道あづみさんと医療サポート推進部課長の野間恵利子さんの講演が行われた。

誰の目も気にせず温泉を、旅館、行政など約50人参加

畠ひで子会長

 第11回「ピンクリボンのお宿シンポジウムin熱川」には、同ネットワーク会員の旅館・企業・団体をはじめ、静岡県内の旅館や観光協会、行政など約50人が参加し、基調講演や会員による活動報告に熱心に耳を傾けた。

 畠会長は、乳がんの手術や治療を受けて回復の道を辿りながらも、術後の痕などを気にして旅を諦めてしまう当人や家族たちに「以前と変わらず温泉を楽しんでもらおうと発足した。2012年の会設立時には乳がん罹患率も16人に1人と言われていたが、現在は9人に1人が罹患する病気」と、会設立の経緯や現況を振り返った。

 会活動として「誰の目も気にせず、心ゆくまで温泉旅行を楽しんでもらうために会員施設を取り上げた冊子を発行している。全国の病院を通じて乳がん経験者に配布したり、ホテルや旅館に置いてもらったり、冊子情報はWeb上に加え、昨年からダウンロードできるようになった。本日のシンポジウムが皆様にとって実り多いものになれば」とあいさつした。

 地元の来賓として、岩井茂樹東伊豆町長、花田淳静岡県観光政策課課長、望月宏明静岡県観光協会専務理事、加藤賢二静岡県ホテル旅館生活同業組合理事長、石島専吉東伊豆町観光協会専務理事、石島正和熱川温泉旅館協同組合組合長が出席した。

岩井茂樹町長

 岩井町長は「ピンクリボン運動は乳がんに関する正しい知識の普及、早期発見、早期治療の重要性の啓発のほか、とくに治療後の生活の質の向上が大事」と強調した。リボン運動の啓発に尽力する同会に対して「長年にわたり力強く展開し、その理念に深く私自身も共鳴している。できる限りの応援を東伊豆町全体でやっていきたい」と意気込みを述べた。

花田淳課長

 花田課長は「さまざまな現場の声を聞き、高齢者や障害のある人は旅をしたくても諦めてしまう、ためらってしまうという声が多かった」と報告した。これを受けて「今年度から本格的にユニバーサルツーリズムの取り組みを始めたいと考えている。今日は皆様のお話を聞き、少しでもヒントをもらって帰れるようにしたい」と語った。

11回目のシンポ盛況、熱帯びる啓発と普及

 同会の会員数は、旅館が103軒、旅館組合など団体が5会員、企業が15社の合計123会員。

 24年の活動内容では、毎月10月に発行する「ピンクリボンのお宿冊子」で、会員施設や宿泊特典クーポンを掲載。5万部を発行し、会員や病院、患者会を通して、希望者に届けている。

展示ブース

 シンポジウムの会場には、会員企業がブースを設置し、ウィッグや入浴着、人工乳房などの製品を展示し、直接手に取って熱心に説明を聞く参加者の姿が見られた。

 基調講演では、キャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさんが「『健康寿命を伸ばそう!』~ホッとできる時間も忘れずに~」をテーマに講演。会員活動報告では、熱川プリンスホテル社長の嶋田愼一朗さんが「泊るだけの旅館から、ミヂカで人が集まる旅館へ」と題して紹介した。

 最後に、加盟企業のアートネイチャーから広告宣伝部課長の廣道あづみさんが「アートネイチャーのピンクリボン運動の歩み」、医療サポート推進部課長の野間恵利子さんが「アートネイチャーの医療用ウィッグ」について講演を行った。….