F1層へ、五島列島や天草の魅力発信を強化

2018年8月27日(月)配信

ツアーづくりを行う参加者

九州観光推進機構(石原進会長)は、潜伏キリシタン関連の世界遺産登録をきっかけに、五島列島や天草の魅力発信を強化する。ターゲットは、F1層(20―34歳の女性)だ。8月25日には、東京都内でセミナーを開き、F1層25人が参加。五島・天草料理の試食や、旅のモデルコースづくりを通じ、SNS(交流サイト)で同年代に情報を発信した。

 セミナーでは、遊びのリアル体験投稿メディアを運営するプレイライフ(佐藤太一CEO)のプランナー、内田あゆみさんが登壇。教会巡りの見どころやおすすめの食などを、現地取材の写真や感想も交え紹介した。その後、五島市と熊本県の東京事務所からも、お薦めの風景や祭りなどの情報を提供した。

 

別府・旅館ホテル組合がエアビーと連携

2018年8月27日(月) 配信

別府市旅館ホテル組合連合会と、民泊仲介のエアビーアンドビーが連携を発表した

別府市旅館ホテル組合連合会(大分県別府市)は8月27日(月)、エアビーアンドビー(Airbnb)との連携を発表した。エアビーアンドビーが提供するプラットフォームに、別府市内の宿泊施設を掲載し、来訪者の増加を目指す。同連合会会員である市内111軒の旅館ホテルが参画することとなる。

 別府市は、19年開催予定のラグビーワールドカップのキャンプ地でもある。注目が高まるこの機会に、世界191カ国・8万を超える都市で事業展開するエアビーアンドビーとの連携によって、知名度をさらに高めたい考え。

 両者は今後、プロモーション活動でも協働していく構え。日本を代表する湯処・別府市を、どう世界に売り込んでいくのかに注目が集まる。なお、エアビーアンドビーによると、旅館ホテル組合との連携は国内初となる。

丹鉄が全線運転再開を記念して「出発式」を開催、無料招待も

2018年8月27日(月) 配信 

被害は、京都丹後鉄道にとって、過去最大となった

 

京都丹後鉄道を運行するWILLER TRAINSは9月1日(土)から、観光列車を含む全便で通常通り運転を再開すると発表した。西日本豪雨の影響で約2カ月の間、運転の見合わせ・ルート変更が発生していた。全線運転再開を記念するとともに、復旧作業などに対する「感謝の意」を込め、運転再開日に西舞鶴駅で出発式を行う。「丹後くろまつ号」の無料招待も実施する。

 同社は「この出発式を1つの区切りとして、沿線の皆様に支えられている鉄道ということを忘れず、これからも地域のシンボルとして地元の方々に愛される鉄道を目指していきます」とコメントした。

 出発式は、9月1日の午前8時~午前8時10分ごろまで。西舞鶴を8時10分に発車する「丹後くろまつ号」を見送る。出発式では、沿線住民や、復旧作業に関係した人、丹鉄の応援者らを招待。丹鉄珈琲とスイーツコース提供事業者の「アメイロビストロアルル」のスイーツ1品を提供する。さらに、京都府立西舞鶴高等学校吹奏楽部の演奏や、舞鶴観光協会キャラクター「ちょきまる」、三鶴幼稚園生、永福保育園生による旗振りで、運転再開を祝う。

全線記念出発式を実施

 このほか、「#つながる丹鉄」のハッシュタグを付けて投稿されたSNSの写真や、災害から復旧に至るまでの取り組み写真の展示を、9月1日(土)~9月30日(日)の間、西舞鶴駅構内で行う。なお、9月1日は、丹後くろまつ号に展示する。

丹後くろまつ号 無料招待

 「#つながる丹鉄」のハッシュタグに加え、「#くろまつに乗車したい」のハッシュタグで、 SNSに投稿した人を対象に9月1日(土)の「出発式」で運行をする丹後くろまつ号に無料で招待する。無料招待は席に限りがあるため抽選となる。結果は8月30日(木)にダイレクトメッセージで案内する。

災害からの復旧写真・SNS投稿写真の展示

 災害から復旧に至るまでの取り組み写真の展示と、「#つながる丹鉄」のハッシュタグを付けてSNS(ツイッターか、インスタグラム)に投稿された写真の一部を西舞鶴駅に展示する。展示期間は、9月1日(土)~9月30日(日)まで。※9月1日(土)は丹後くろまつ号で写真を展示する

SNSへの写真投稿方法

 ツイッター公式アカウント「kyototangorailway」か、インスタグラムをフォローし「#つながる丹鉄」をつけて写真を投稿。写真は、丹鉄沿線の風景や、丹鉄車両など、丹鉄にまつわるもの。募集期間は、8月24日(金)~8月29日(水)まで。

特急タンゴエクスプローラーを限定運行

 運行再開に合わせ、「タンゴエクスプローラー」が、連休初日の9月15日(土)限定で運行する。西舞鶴駅から豊岡駅までの1往復を、特急列車として走る。JR線との乗り継ぎを考慮したダイヤで、日本三景の“天橋立”、人気観光地“城崎温泉”などへのアクセスが便利だという。「1日限定の運行なのでこの機会にぜひお楽しみください」(同社)。

【下り】西舞鶴発(10:10)→宮津発(10:34)→天橋立発(10:45)→峰山発(11:07)→網野発(11:14)→豊岡着(11:44)

【上り】豊岡発(13:23)→網野発(14:03)→峰山発(14:10)→天橋立発(14:42)→宮津発(14:48)→西舞鶴着(15:24)

【国内旅行の消費動向】 4~6月期、単価上昇・旅行者数は減

2018年8月27日(月) 配信

国内旅行の消費動向が発表された。2018年4~6月期は、消費単価が前年と比べ増加したが、旅行者数は減少となった

観光庁はこのほど、2018年、4~6月期の国内旅行消費動向を発表した。前年同期と比べ、1人当たりの旅行単価が大幅に増加した。宿泊旅行は9・5%増の5万5056円、日帰り旅行は1万6234円と同5・8%の増加となった。「観光・レクリエーション」項目の消費単価も好調。宿泊(5万9906円、同7・8%増)と日帰り(1万5500円、同1・3%増)と、各々でプラスに。

 一方、旅行者数は全体で13・4%のマイナス。宿泊と日帰り旅行ともに減少したため、日本人の国内旅行消費額は5・0%減の5兆1315億円となった。「観光・レクリエーション」項目でも、宿泊旅行では2兆3308億円(同4・4%減)、日帰り旅行は8712億円で同5・6%の減少を記録した。

 国内旅行全体の消費額に注目すると、16年4~6月期から17年7~9月期まで6期連続で前年比プラスを記録していたが、それ以降減少と増加が交互につづく不安定な状態が続く。

 月ごとの消費額(国内旅行全体)をみると、5・6月でそれぞれ同5~9%と大きく落ち込み足を引っ張った。5月の宿泊旅行の減少率は同マイナス2・8%。日帰り旅行は同15・0%の大幅減となっている。6月の宿泊旅行は同9・2%減、日帰り旅行は同10・3の減少で3カ月連続でのマイナスとなった。

着地型の体験企画「飛騨みんなの博覧会」 9月から受付開始

2018年8月27日(月)配信 

飛騨美人をモデルにした2018年メインビジュアル

岐阜県飛騨市はこのたび、2018年9月15日(土)~10月28日(日)まで開催する「飛騨みんなの博覧会」公式ガイドブックの完成を発表した。公式サイトに全44の体験プログラムを公開し、9月1日(土)午前10時から申し込み受付を開始する。

 飛騨みんなの博覧会(通称:飛騨みんぱく)は、長良川おんぱくなどで知られる温泉博覧会(おんぱく)の手法を、飛騨市版にカスタマイズした着地型の体験観光イベント。昨年秋に第1回目を開き、2年目となる今年は秋と冬に開催する。体験プログラムはジビエや鮎などのグルメから、ものづくり、街歩き、森歩きのほか、BMXやドローン体験などを用意している。

昨年開催時に実施した提灯づくりのようす

 8月31日(金)には、飛騨市古川町の円光寺でオープニングセレモニーを開く。各主催者が集まり、翌日からの受付スタートに向けて最終研修と決起集会が行われる。各プログラムのPRタイムもある。開催時間は午後7時から(決起集会は午後8:30ごろを予定)。

昨年の決起集会のようす

 冬の飛騨みんぱくは、来年1月中旬~2月中旬に実施する予定。内容は現在募集中のため未定とする。

「飛騨みんなの博覧会 秋」概要

期間:2018年9月15日(土)~10月28日(日)

場所:飛騨市内各地

受付開始日:2018年9月1日(土) 午前10:00~

参加方法:WEBサイト、もしくは各プログラムに電話で事前予約

参加費:各プログラムによる

プログラム数:44種

主催:岐阜県飛騨市

URL以下のページリンクから

日本人の5割、”旅先”調べで現実からエスケープ KAYAK

2018年8月27日(月) 配信 

昼食後の午後2時~6時が検索が多い

 

 仕事の合間に旅先検索――。旅行検索エンジンのKAYAK(カヤック)がこのほど発表した調査によると、51%以上の日本人は勤務時間内に旅行先を検索していることが分かった。旅行検索がとくに多い時間帯は、午後2時~午後6時だった。約17%は昼食から戻るタイミングでソウルやホノルル、バンコクなどの旅行先を探しているという。

 KAYAK 日本・韓国ジェネラルマネージャーの山下雅弘氏は、「一般的な旅行検索デバイスはデスクトップからモバイルへと大きく変容する一方で、勤務時間内に旅行先のインスピレーションを得ている人も多いでしょう」と調査を振り返った。

Desktop Escapeをリリース

デスクトップで簡単に検索へ

 

 今回の調査を踏まえ、同社はこのほど、オフィス時間の旅行先検索をアシストする「DesktopEscape(デスクトップ・エスケープ)」をリリースした。オフィスライフからひと時でも逃避したい社会人に向けた無料デスクトップアプリだ。

 アプリをダウンロードすると、デスクトップの背景は90以上の旅行先の写真に定期的に変更されるようになる。利用者の最寄り空港から旅行先への一番安い往復航空券や、現地の気温、飛行時間まで、デスクトップから離れることなく情報を入手できる。気に入った旅行先があれば、「Escape(脱出)」ボタンを押すだけで、KAYAKのウェブサイトで予約可能だ。

 「毎日の生活の大部分にPCが寄り添うデジタル時代だからこそ、一瞬のスキマ時間を利用して気分をリフレッシュできるデスクトップ・エスケープをぜひインストールしてもらいたい。世界各地の憧憬地のイメージとともに、毎日のオフィスワークはより楽しく、より華やかに彩られるでしょう」(山下氏)。

 ダウンロードは下記から

 ※上記の調査は、2017年1月1日~18年7月31日までの間にKAYAK.co.jp上で検索されたデータを元に、旅行期間が2018年1月1日~2018年12月31日までの宿泊・航空データ、および前年同時期の同データに基づいている。調査で想定した勤務時間は午前9時~午後6時。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(163)」 江戸・東京を象徴する玉川上水(東京都羽村市)

2018年8月26日(日) 配信

玉川上水の羽村取水堰。左側を流れる多摩川から取水する

厳しい暑さの7月下旬、玉川上水の羽村取水堰を訪ねた。玉川上水は、かつて江戸市中に飲料水を供給した歴史的上水道であり、1653(承応2)年に、羽村から四谷までの全長43㌔が開削された。羽村で多摩川の水を取水し、武蔵野台地を延々と東進、四谷大木戸に設けられた「水番所(水番屋)」を経て江戸市中へと分配された。江戸幕府が開かれる前の1590(天正18)年に建設された神田上水とともに、我が国の二大上水と呼ばれる。
 

玉川上水は羽村取水堰―四谷までの43㌔にわたる水路であった

 取水堰の仕組みは、17世紀に開削された当時とほとんど同じである。取水堰から玉川上水土手の約1㌔の間は、今でも桜の名所であり、季節には多くの見物客が訪れる。上水道だけでなく、18世紀以降は、武蔵野の新田開発のために、野火止用水や千川用水など多くの分水(用水路)が開かれ、武蔵野の農業生産にも大きく貢献した。

 現在の玉川上水は、取水された水の大部分が、取水堰の下流500㍍にある第3水門に設置された埋設鉄管で、狭山湖の山口貯水池、多摩湖の村山貯水池に送水され、東村山浄水場で東京都の上水道源として利用されている。残りの水は、さらに下流の玉川上水駅(西武拝島線・多摩都市モノレール)付近にある「小平監視所(旧小平水衛所)」から東村山上水道と農業用水である新堀用水に送水されている。この小平監視所が、かつては野火止用水の分水地点でもあった。

 小平監視所より下流は、かつては新宿区淀橋浄水場まで多量の水が流れていたが、1965年の淀橋浄水場の廃止に伴い送水を中止、その後長い間、空堀状態となっていた。しかし東京都の「清流復活事業」により1986年以降、多摩川の2次処理水を放流している。古い樹木が茂る中を、かつての玉川上水が流れる風情も復活した。なお、羽村取水堰から浅間橋までの開渠部を主に、2003年には国の史跡にも指定されている。

 玉川上水本流の流域には、取水堰のある羽村市はもとより、福生市、昭島市、立川市など9つの市と、杉並区や新宿区など4つの区がある。ここから分かれる分水を含めると多摩エリアの大部分と野火止用水など埼玉県の一部も網羅している。400年近くにわたって江戸・東京の水を供給してきた玉川上水の物語は、それ自体が、とても魅力的である。

 東京都は文化庁の日本遺産がまだ1つも認定されていない。東京を象徴する物語は数多くあると思われるが、これほどの歴史的価値と地域的な広がりをもった資源は他に類を見ない。

 上水沿いには優れた農産品も多く、「用水の駅」のような集客施設や、水辺のお洒落なカフェやレストランなどができれば、観光面からみても大きなポテンシャルとなる。現在は第3水門から先は水道水の取水はなく、今年から始まった琵琶湖疏水通船事業のような、抜本的な活用も期待できる。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

「女将のこえ213」山根 みよさん、伯翠庵(福岡県北九州市)

2018年8月26(日) 配信

山根みよさん 伯翠庵

どんな世界でも私らしく

 日本の港で最も門司が栄えていた昭和の半ば、伯翠庵はかつて桜の公園だった小高い丘に開業した。街中からほんの5分で着ける別天地だ。 

 みよさんは家業を継いだ3代目。裏山の木々は季節ごとに風情を魅せ、海に沈む夕景は見飽きることがないという。

 山を走り回って育った自然児は、「今度は空を体感したい」と全日空で客室乗務員になり、その後、医師と結婚して専業主婦に。夫の医療研究のため、7年をアメリカで過ごし、5人家族となって2011年に伯翠庵に戻ってきた。

 みよさんは、実母で女将の久米洋子さんと、「まさか私が継ぐことになるとはね」といまだに話すという。「思ってもみないことでしたが、姉には東京の暮らしがありますし、誰かが継がなければ大好きな場所がなくなってしまう。10年先のことを考えたとき、私がやるしかないと思いました」

 同じサービス業でも飛行機と旅館は異なる。「調理補助で身に染みた冬の水の冷たさ、施設が点在する環境で温かいものを温かく届ける大変さ。一つひとつの仕事をみんなと一緒に体で覚えるようにしてきました」

 2年目に火曜定休を打ち出した。「私もみんなも疲れていると感じたんです。いいサービスのためにも休日は必要。アメリカでは1カ月間のクリスマス休暇は普通のことですし、それがよりよい仕事や生活につながっていましたので抵抗はありませんでした」

 暮らしたのはノースカロライナとメリーランド。雄大な自然を上回って印象的だったのは人の温かさだった。
「何の差別もなく、子供も私もみんな現地の方々と仲良しでした。鍵もかけずに互いの家を出入りしていたんですよ。何を大切に生きるのか、心の在り方を教わりました」

 このとき出会った年配の女性は、伯翠庵まで会いに来てくれた。「あなたなら世界のどこでもやっていける」と太鼓判を押してくれたアメリカの母だ。

 その世界とは、近くて遠かった旅館だった。伯翠庵で働き始めて7年。数年後には世代交代を控える今、みよさんは思う。「働いている人の空気感が何より大事。『今日はよかったね!』と、みんなで接客を喜べる日は、空気感もよかったはずです。そんな日を増やすために、システム化や学びの場や意思疎通、国内外への情報発信と、やることは山積みです」

 「小川のせせらぎ、吹き抜ける風、鳥の声、スタッフの温かさ。食事と併せて五感も楽しんでいただける私らしい宿を目指します」。

(ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

住所:福岡県北九州市門司区長谷2-13-33▽電話:093-321-0229▽客室数:5室(25人収容)、一人利用不可▽創業:1962(昭和37)年▽料金:1泊2食付1万6632円~▽3000坪の敷地に結婚式場、宴会場、客室、茶室が点在する。料亭を主体に営業。昼3500円~、夜5000円~。火曜定休。

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

「提言!これからの日本観光」 “24時間観光”の展開

2018年8月25日(土) 配信

夜は各地で〝夜景観光が観光客を楽しませている(写真はイメージ)

観光客とくに外国人観光客の急増により、主な観光地がにぎわいを取り戻しつつある。そのなかで、新しい観光手法が各地で展開されるようになってきた。観光といえば、昼間の行動であり、夜の観光という場合、夕食後、宿泊するまちの盛り場を歩いて飲食を楽しむ程度に過ぎなかった。

 最近各地では“早朝の社寺観光”が急増している。早朝の社寺の庭園散策、社寺への参拝はもとより、座禅体験などにも大勢のとくに外国人観光客が訪れると聞く。愛知県一宮市では市民が喫茶店、食堂などで朝のコーヒータイムを楽しむ人が多いことに着目、商工会議所が幹事役となり、店舗と協議し、「一宮モーニング」と命名しまちの観光ブランドとして発信した。特色あるメニューの充実、数十店をまとめた案内宣伝パンフなどによる「一宮モーニング」〈コーヒー〉の情報発信に努めた。今では近傍の名古屋、岐阜などで宿泊する観光客が交通の便を活用、「一宮モーニング」を目当てに訪れ、まちに時ならぬにぎわいをもたらしつつある。

 他方、夜は各地で“夜景観光”が観光客を楽しませている。「工場萌え」の名で室蘭、川崎、四日市など、臨界コンビナートのある都市が連携、観光船で海上からダイナミックな工場夜景を味わうようになった。また、市内の高台から、まちの夜景をみるツアーや、博物館、美術館の夜間開館も各地で見られる。
 “深夜の観光”も始まった。高山のほたるいか漁などを深夜漁場で見学するツアーがそれである。いずれも、“光”をモチーフとした幻想的な光景に接することができ、気象に左右され、季節限定ではあるが、連日盛況という。

 このように24時間にわたるさまざまな形の観光が普及しつつある。観光客の集中による混雑を時差観光で緩和する効果も大きい。また、対象観光地では関連する観光メニューも開発している。例えば、深夜の漁場見学後、港に戻り、魚の水揚げ、早朝のせり市を見学、その後、朝市を訪問する漁業観光の新しい流れも出来つつある。

 このような新しい観光形態の推進にあたり、留意すべき点も指摘される。まず、夜間という時間帯から観光に伴う安全確保が求められる。また、観光対象の公開時間が延びること、新観光資源が開発されるがそれらの保全、保護ないし漁業などの本業が支障なく行えるような観光と観光資源保全との両立に努めなければならないことである。時差観光の実現により、ホテルなどの宿泊設備が宿泊と休息の両面に活用でき、効率的に活用できる。一方、和風旅館の収益源、いわゆる夕食に重点を置くサービスをむしろ朝食に重点をおくサービス形態に転換することなども求められよう。さらに土産物など物品販売業も営業時間の延伸が必要となるなど、新たな観光市場の展開も視野に入ることとなる。観光時間の拡大、時差観光は、観光産業にとっても新しい商機をもたらすなど、観光全般にわたる幅広い効果が期待される。

須田 寛

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

「井川今日子のおもてなし接客術(32)」英語にもおもてなしを

2018年8月25日(土) 配信

”生きた英語”でのおもてなしを

 旅館のスタッフ向けの「接客英会話研修」を担当しました。私の英会話レッスンをお願いしているカナダ人の先生に講師を依頼し、私は研修内容の構成や当日の通訳を含めたアシスタントという役割でした。

 研修中には沢山の質問をいただき、研修直後には受講した旅館スタッフの皆様から、「面白かった」「ぜひまたやってください」と大変な高評価をいただくことができました。

 このカナダ人の先生は、弊社で監修し販売している【旅館の接客英会話】の英文のチェックをされた方なので、一般的な日本在住の外国人よりは、旅館について精通しています。(※旅館の接客英会話 https://wa-omotenashi.jp/products)

 さらに、日本在住期間も25年と長く、日本の常識・文化・(商)慣習を良く知っていますし、大企業のビジネス英会話のトレーナーとしても活躍しているので、安心して研修講師を任せることができました。

 接客英会話の研修先は、平均して1日1組程度の海外のお客様が来られる旅館でした。スタッフの方々は、外国人が宿に来られるのは当たり前になっているものの、具体的にどのような声掛けをすれば良いかがわからず、もどかしい思いをされていたようでした。

 参加したスタッフは約20人で、年代別では約3分の2が50代以上でした。

 この旅館の経営者の言葉をお借りすれば、「彼らの英会話のレベルは小学生程度。読み仮名が付いていないと英単語を発音できない超初心者レベル」とのことでした。

 ただ、お年を召した方ほど関心度合いが高く、研修に没頭されていて、良い意味で期待を裏切られました。

 研修中に挙がった質問には以下のようなものがありました。
 ・スリッパに履き替えてもらう時には何と言ったら良いか。
 ・滞在中にお客様が外出される場合に、どういうお見送りの言葉をかけたら良いか。 
 ・お戻りの際には何と言ったら良いのか。
 ・食事が終わったら内線○番まで連絡ください、は何と言ったらよいのか。
 ・お会計のときの合計金額の伝え方は。(10万円を超える数字の数え方は)。
 いずれも些細な会話だったり、英単語とジェスチャーだけでも伝わるものですが、〝伝わる(生きた)〟英語で言うにはどうしたら良いかに、興味を持たれているようでした。

 講師から適切な回答を得た時には、「へぇー」とか「それでいいんだ」と感心して、必死にメモを取っている姿が印象的でした。

 今後、ますます増えることが予想される訪日外国人観光客にも、日本人と変わらぬ「おもてなし」が提供できるよう備えておきたいものです。
 ※研修のようすはブログで写真付で紹介しています。https://wa-omotenashi.jp/archives/3592

(おもてなしコンサルタント 井川 今日子 )

コラムニスト紹介

井川 今日子 氏

おもてなしコンサルタント 井川 今日子 氏

大学で観光学を学んだ後、船井総合研究所を経て、10年に観光文化研究所入社。全国の旅館や観光協会を中心に、女性の感性を活かした集客・固定客化支援で活躍中。商品戦略や販売促進、現場接客サービスなど多岐にわたり提案。