日本秘湯を守る会 星会長「47年間引き継いできた理念を確認したい」

2021年12月16日(木) 配信

 日本秘湯を守る会(星雅彦会長、160会員)は12月15日(水)、静岡県熱海市の大観荘で2021年度(第47回)定時社員総会を開いた。コロナ禍で本格的な開催は2年ぶり。

 星会長は「47年間引き継いできた『共生』の理念を皆でもう一度確認したい」と力強く語った。販売面では、昨年度るるぶトラベルとの5年間の連携契約が期限を迎えたが、新たに3年契約を結んだ。秘湯Webサイトの予約システムと連動した会計ソフトの構築など、IT化も進めている。

 日本秘湯を守る会は1975(昭和50)年に、33軒の山の宿が集まり創立した。

 “旅人の心に添う 秘湯はひとなり”の理念のもと、会員が親戚のような関係性で47年間継承してきた。星会長は「『売れれば、それでいい』という目的の集まりであれば、とうに無くなっている」と語り、「共生」の理念を大切にしながら「常に新しい旅文化の創造を目指していきたい」と述べた。

 20年3月に解散した朝日旅行の協力会だった「日本旅文化を創る会」が、今年3月に姿を消した。「日本秘湯を守る会」に加え、「日本源泉湯宿を守る会」、「日本文化遺産を守る会」を存続させ、法人格を持たせる考えだ。

 また、これら3部会(法人)を傘下に収める「日本温泉文化を守る会」を新たに設立。社員総会後には新ロゴも公表した。今後は、3部会合同での事業も検討していく。

 22年度は、同会会員宿を紹介する書籍「日本の秘湯」ガイドブックの22版目の出版を予定するほか、「宿泊客や会員宿にも、もっと使いやすいように」と、公式Web予約サイトのリニューアルも計画している。

佐藤好億名誉会長

 佐藤好億名誉会長は「日本の原風景を一番持っているのは、我われ秘湯の宿。自分の生まれた故郷を未来につないでいく覚悟を持って、地域の温泉文化を残していってほしい」と語り掛けた。

事実関係の確認急ぐ Go To不正受給疑惑で(観光庁長官会見)

2021年12月16日(木) 配信

観光庁の和田浩一長官は12月15日(水)、会見を開いた

 観光庁の和田浩一長官は12月15日(水)に開いた会見で、「コロナで深刻な影響が出ていた関連事業者に対し支援を行った。顕在化した業界の課題に対し、補正予算と来年度予算を使って事業を進めていく」と、2021年の総括を行った。また、エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社2社がGo Toトラベル事業で不正な給付申請を行った疑いで、同庁は12月9日(木)、Go To事務局に事実関係の調査を指示した。

 ジャパンホリデートラベル(大阪府大阪市)とミキ・ツーリスト(東京都港区)が1万8000泊以上の架空の宿泊料金を給付申請したとし、親会社のHISは12月9日(木)に調査委員会を設置した。

 これを受けて、観光庁は同日、Go To事務局に対し本件の事案も含め、このほかの不正・不適切な事案の調査も徹底するよう指示を行った。

 和田長官は、「事実であれば誠に遺憾。予算は国民の税金であり、不正な申請は決して許されるものではない。HISと事務局の調査により判明した事実関係をもとに、適切に対応していく」と述べた。

 来年1月から再開する予定だったGo Toについて、「Go Toと地域観光事業支援の実施は、国内の感染状況が落ち着いていることが大前提となる」(和田長官)とし、年末年始の感染状況や専門家の意見を踏まえ、1月末の再開を目指し検討を進めていく。

 

地域ブロックへ拡大 14県が隣接県を追加

 観光庁は、「地域観光事業支援」の県内旅行の割引事業に対する支援状況について、15日(水)時点で43都道府県に交付を行ったと発表した。

 また、「県民割」の対象範囲の拡大について、現在は青森、岩手、宮城、富山、石川、山梨、長野、滋賀、島根、福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島県──の14県が少なくとも1県以上、隣接県からの旅行者による県内旅行を支援対象に含めている。

 ワクチン接種証明やPCR検査陰性証明などの活用で、安全・安心の確保がはかられていることや、旅行先・出発地の都道府県の感染状況がレベル3となった場合は停止することなどが要件に盛り込まれている。

 

観光で「稼げる地域」 来年度予算に盛り込む

 観光庁は、観光地の再生・高付加価値化の事業について、経済対策で1000億円の予算を盛り込んだ。

 22年度予算では、今年度予算の550億円から倍近い1000億円を要求。補助費の上限は2000万円を1億円までに引き上げた。これに伴い、補助率は従来の2分の1から、一定の条件を設けて3分の2まで認めるとした。

 和田長官は、「今年は宿・旅館のリニューアルや、廃屋の撤去などで景観を改善するなどの支援を、230の地域に対して行った。また、観光コンテンツの磨き上げでは、全国約1000の地域に対して取り組みを進めてきた」と振り返った。

 「事業規模拡大により、多くの観光地において面的な再生や高付加価値化が計画的・効果的に行われると見ている。国内交流需要の拡大とともに地域産業を強くしていき、『稼げる』地域を作っていく」と話した。

「週末ご褒美旅」構築へ 神奈川県・湯河原町でモニターツアー

2021年12月16日(木) 配信

宿の歴史に触れる

 神奈川県・湯河原町は現在、20~30代の女性の取り込みへ、新ブランド「週末のご褒美旅」の構築を進めている。

 テーマは、「癒し」。湯河原町の高級旅館のおもてなしと、多様な観光コンテンツをコンパクトに楽しめる新しい旅のスタイルを提案する。

 10、11月にはモニターツアーを実施した。今後収集したアンケートを参考に内容を磨き上げ、来年度以降の商品化を目指す。

 10月29~30日に実施したモニターツアーは、ふきや旅館への宿泊から始まった。同館は3つの貸切風呂と、岩造りの露天風呂を備えた男女別の大浴場があり、7つの湯めぐりを楽しめる。料理は毎月内容を変え、提供している。

 モニターツアーのメインは、国の登録有形文化財となっている4旅館巡り。各宿の歴史や特徴などを宿の女将など「湯河原人(まち案内人)」に直接聞くことで、宿泊機会を創出することが狙い。新ブランドの核にもなるコンテンツだ。

富士屋旅館 旧館

 旧館、洛味荘、新館からなる「富士屋旅館」は、閉館から17年の時を経て2019年に生まれ変わった宿。現存する建物のなかで最も歴史があるのが1923年に建てられた旧館で、2020年に国の登録有形文化財に指定された。

源泉 上野屋の足湯

 湯河原で最も長い歴史をもつといわれる「源泉 上野屋」は、江戸時代ごろから湯宿を始めたと伝えられている、湯河原温泉の数ある旅館の中で一番古い宿。1930年に建てられた本館、23年に建てられた別館、36年ごろに建てられた玄関棟が国の登録有形文化財となっている。最上階には足湯と、昭和初期に作られた客室を改築した湯上り処があり、湯河原の大自然を愛でながら癒しのひと時を過ごすことができる。

 1882年創業の「藤田屋」は、東郷平八郎を始め多くの文化人、著名人の足跡が残る宿。宿は本館と新館からなり、本館が有形文化財として登録されている。

 1888年創業の「伊東屋」は、島崎藤村ゆかりの宿で、小説「夜明け前」の原案を練ったといわれる。 館内見学では、明治天皇の侍従長であった徳大寺実則公爵滞在のために大正初めに造られた部屋などを見学し、同館の歴史に触れた。

 今年4月、万葉公園の入り口に「万葉公園玄関テラス」がオープンした。1階にあるテイクアウト専門のカフェではドリンクやスイーツなどを提供。湯河原ゆかりの作家などの本も自由に持ち出せるようになっており、公園内での読書や、カフェタイムを楽しめるようにした。

万葉公園内を巡る

 また川沿いの遊歩道も新調し、新たに7つのテラスを設置。各テラスでもくつろぎの時間を過ごすことができる環境を整えたほか、8月には日帰り入浴施設「惣湯テラス」も開業した。モニターツアーでは万葉公園の歴史を聞きながら、園内を回った。

 同ツアーは、観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業(第一次)」の支援を受け、地域活性プランニング(東京都)が企画プロデュース・運営役を担った。

 また、モニターツアーには跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の学生も参加。20代女性の目線で湯河原を体験し、観光関係者らと意見交換を行った。

ツアーを振り返って

参加者の声

 人々のおもてなしが一番の魅力でした。高級で品のあるというイメージは変わりませんが、今回参加してその魅力にプラスして、親しみやすさが加わりました。

 温泉が湯河原一番の魅力。7つの湯めぐりをふきや旅館でできて、満足でした。

 説明を聞くことで、宿の価値を知ることができました。湯河原に文化財の宿があることが新発見でした。

 読書やカフェタイムを大自然のなかで楽しめる施設は少ないので、新しくなった万葉公園は若い人たちに流行るのでは。

 横浜や東京から箱根に出掛ける際には、小田原での乗り換えが必要だが、湯河原は乗り換えが必要ないので、仕事終わりに来る場所としてのアクセスがいい。

(跡見学園女子大学生の声を含む)

ツアーのねらい 関係者が語る

 高級という湯河原のイメージに対し、若者にも手が届く値段で宿泊してもらい、20~30代女性の認知度を高めることが今回のモニターツアーの狙いです。そのために金曜泊、レイトチェックインとし、夕飯を提供しないことで、宿泊料金を抑えました。旅行業者に商品化していただくことが目標です。
 各旅館さんでも需要があればプランを作っていただけると思うので、今回のモニターツアーをお試しの機会として考えていただければと思います。(湯河原町役場 宮下睦史 観光課長)

 おなじみさんになっていただくためには、旅館から出ていただくことが大事です。町を歩き、地元の人が気が付いていないような魅力的な場所を発見してもらう。独自の湯河原を見つけていただきたいと思います。(湯河原温泉観光協会 久能木孝一 企画課長)

 湯河原には約70件の旅館があり、宿泊料金もさまざまです。消費者のニーズに合わせ、宿ごとにどういったプランを出していくかは、それぞれの判断になります。
 ふきやでは日帰りプランを実施していきますが、こういったプランを通じて高級旅館の敷居を低くしていくのもいいと思います。(湯河原温泉ふきや 山本一郎 代表)

 湯河原は箱根や熱海に比べ、宿泊客は2割以下と日帰り客が多く、若年層の認知度低下が課題であることから、「次世代の来訪」を増やすために今回のモニターツアーを企画しました。

 元々ある「歴史ある温泉旅館」や「ひとのおもてなし」を観光資源として、疲れを癒しに来訪させ、若年層でも手が届く憧れの温泉地として発信してもらう狙いです。参加者の声を検証し、さらにブランドイメージの定着を目指していければと思います。(地域活性プランニング 安黒道晃 ゼネラルマネージャー)

 今回のモニターツアーを通し出された意見を吸収し商品化につなげることで、より湯河原に若い人が来てくれればと思います。(近畿日本ツーリスト横浜支店 上山伸二 営業課長代理)

オリエンタルホテルズ&リゾーツ、メンバーシップ開始

2021年12月16日(木) 配信

写真はイメージ

 ホテルマネージメントジャパン(荒木潤一社長、東京都渋谷区)は12月16日(木)、今年6月に立ち上げたホテルチェーンブランド「オリエンタルホテルズ&リゾーツ」の独自メンバーシップである「CLUB ORIENTAL(クラブオリエンタル)」を始めた。これを記念して、2022年2月28日(月)までの宿泊を対象に、会員限定で最大50%オフにて宿泊できるお得なプランを提供している。

 クラブオリエンタルメンバーは、「オリエンタルホテルズ&リゾーツ」の自社予約サイト経由で、グループ内全国16施設の会員限定プランを利用できるほか、館内レストランでの利用特典などが受けられる。入会金、年会費は無料で、登録後すぐに利用できる。

 特典対象ホテルは次の通り。

 【関東エリア】オリエンタルホテル 東京ベイ▽インターナショナルガーデンホテル成田▽ホテル オリエンタル エクスプレス 東京蒲田【中部エリア】ホテル オリエンタル エクスプレス 名古屋栄【近畿エリア】神戸メリケンパークオリエンタルホテル▽オリエンタルホテル ユニバーサル・シティ▽なんばオリエンタルホテル▽ホテル オリエンタル エクスプレス 大阪心斎橋▽オリエンタルスイーツ エアポート 大阪りんくう▽オリエンタルホテル京都 六条【中国・四国エリア】オリエンタルホテル広島【九州エリア】オリエンタルホテル福岡 博多ステーション▽ホテル オリエンタル エクスプレス 福岡天神▽ホテル オリエンタル エクスプレス 福岡中洲川端【沖縄エリア】オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ▽沖縄ハーバービューホテル

「WOW RIDE」AR、VR活用で新感覚のバスツアー実現 12月15日にバスツアー試乗会を行う

2021年12月16日(木)配信

WOWRIDEの車内(公式提供写真)

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)は2022年2月から、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を活用した都市観光バスツアー「WOW RIDE(ワゥ ライド)」を始める。乗車中は車窓やモニターに映像を映し出し、陸海空、令和から江戸時代へと時空を移動するVR体験を楽しめる。

 同ツアーは、同社とKNT-CTホールディングス(米田昭正社長)、フジ・メディア・ホールディングスの総合広告会社のクオラス(松下幸生社長)が共同で製作。従来のVR体験はVRゴーグルなどを装着して独りで楽しむものが多かったが、これはシートに座っているだけで非日常空間を体感でき、同乗者とリアルタイムで感動を共有できるようにした。

 ツアーの総合演出は、映画監督・堤幸彦さんが務める。脚本は俳優・池田鉄洋さんが担当し、映像には池田さん本人をはじめ、俳優・温水洋一さん、お笑い芸人・ガンバレルーヤよしこさんが出演する。さらに、日本が世界に誇る大怪獣「ゴジラ」が登場。道中の歌舞伎座では、歌舞伎役者・片岡愛之助さんが歌舞伎の楽しみ方を紹介する。

 また、人気声優の梶裕貴さん、日笠陽子さんが声の出演を務める、オリジナルショートアニメも登場。お笑い芸人やタレントがMCを務め、ツアーのガイド役を担う。

 なお、ツアー設定日、旅行代金、販売受付方法などの詳細は22年1月に発表を予定している。

「WOW RIDE」、バスツアー試乗会を行う

「WOW RIDE」バス外観

 「WOW RIDE」のツアー開始に先立ち、12月15日(水)に報道関係者向けの試乗体験会を実施した。発着地は、東京・銀座の複合商業施設「GINZA SIX」に隣接する、銀座六丁目バス乗降所。出発すると日本橋や東京駅、皇居、国会議事堂、東京タワー、レインボーブリッジ、豊洲、勝鬨橋、歌舞伎座を約60分間掛けて周遊した。

 当日はGINZA SIXを出発後、銀座の成り立ちを映像と演出で紹介し、車窓から見える老舗の「和光」と「山野楽器」の前を通る。そうすると温水さんが車窓正面に登場し、AR技術を用いた演出で乗客を盛り上げたあと、車窓左側でガンバレルーヤよしこさんとの“銀ブラ”するツーショットが撮影できる。

車窓正面にしがみつく温水洋一さん

 京橋交差点付近に着くと、江戸時代へタイムスリップする演出後、車窓全面が江戸の町の景色へと一変。池田さん演じる一心太助による江戸の町の紹介や、当時の魚河岸を再現した映像が見られる。常盤橋付近に着くと、全4話で構成されるショートアニメの第1話の上映が始まった。

池田鉄洋さん演じる一心太助が江戸の町を紹介する

 そして、東京駅で再び温水さんが登場したり、皇居付近で池田さん演じる井伊直弼による桜田門外の変の事件のようすを体感するなどしたあと、折り返し地点となる国会議事堂へ向かう。その後も、東京のランドマークを上空や地下鉄、水中などアトラクションのような映像とともに周遊し、エンディングを迎えた。

レインボーブリッジ上は2階建てバスならではの遠景も

 今回、有名なランドマークを周遊する東京観光の定番を採用することで、初めて東京観光をする人に喜んでもらうと同時に、これまで知らなかった東京の魅力を再発見してもらうことを狙う。

「提言!これからの日本観光」 “セパレートツーリズム”を

2021年12月16日(木) 配信

 事態宣言解除を受けて少しずつではあるが国内観光客も戻り始め、観光地や観光業界にも安堵感が広がりつつある。今後も求められる対コロナ警戒態勢のもとで、またコロナ禍以前の観光ブーム時の反省から、これからの「観光」は単なる復活ではなく、今後の観光ニーズに応える「新しい観光」でなければならないと思う。

 まず、いわゆるウィズコロナ下での「観光」となるため蔓延防止のカギともいうべき「密」を避けた観光であることが求められる。

 そこにはコロナ禍直前の外国人観光客急増によるブームでの反省がある。季節、曜日、時間、さらには特定地域への観光客の集中(混雑)による観光公害とさえ言われた異常事態の再来を防ぐことなどが「新しい観光」展開の着眼点となろう。

 「新しい観光」の「目標」を一言で示すならば「分散型観光(セパレートツーリズム)の展開」である。

 例えば季節、曜日による観光の集中を防ぐことである。観光地によっては混雑期(季節曜日)の観光客で市民の日常生活に支障するような交通機関など観光施設の異常混雑が生じていた。このため季節、曜日の観光の波動を平準化する「分散」観光が急務だ。

 そして、観光の時間が昼間時に集中することから生ずる観光地の混雑を防ぐため「観光」の有効時間帯を拡げ、時間別に観光客の「分散」を期すことである。

 さらに特定地域への集中から国内各地に満遍なく観光客を迎える目的地の「分散」である。

 また、第4に観光行動の内容(観光手法)の多様化も必要だ。見物と温泉、観光中心から学習や体験など幅広い「観光」としたいものと思う。

 今後のウィズコロナ下における「観光」は「密」の回避が求められるが前記各項の「分散」に加えて交通や宿泊、供食などの観光インフラの利用に際して、いわゆるソーシャルディスタンスをとった「密回避」の徹底が求められる。

 諸目標実現のためには次のような対応が必要となる。

 季節と曜日、波動の「分散」には、有給休暇の活用のほか、観光施設などの利用料金の季節曜日別の弾力的設定が求められる。

 観光時間の「分散」については既に早朝の寺院(座禅体験など)訪問、夜景観光、深夜漁の体験観光などが試みられているが24時間常時観光可能な資源開発と工夫が必要だ。

 また、地域「分散」については交通宿泊など観光インフラ整備(とくに地方)が前提となる。観光手法の多様化のためには、集中度の少ない産業観光(農漁業観光を含む)や街道観光、農漁業観光などの普及をはかることが考えられる。

 これらの目標が実現すれば国内観光は一段と質的に充実する。またコロナ禍への対抗も可能な持続的観光として定着発展できるものと確信する。そのためには、観光情報の充実と情報システムの整備・拡充からスタートすべきと考える。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

新たなふるさと納税のカタチ「旅先納税」がより便利に、ギフティ

2021年12月15日(水) 配信

太田代表取締役(右)と森執行役員

 eギフトプラットフォーム事業を手掛けるギフティ(太田睦・鈴木達哉代表取締役、東京都品川区)は12月15日(水)、旅先でふるさと納税ができる「旅先納税」に、一度の寄附者情報の登録でさまざまな自治体で利用できる「旅先納税ID」を導入した。利用者の利便性向上とともに、新たな地方創生の機会創出を目指す。

 同社は2016年から地域を活性化し、自治体のデジタル化を支援するサービスを開始。現在は38事業を展開し、80自治体が各サービスを導入している。昨年の「Go Toトラベル地域共通クーポン」では電子クーポンの領域を同社のシステムが担っていた。

 このうち、同社が提供する自治体・地域の課題を解決するデジタルプラットフォーム「e街プラットフォーム」の1サービスである「旅先納税」システムは、19年11月に岡⼭県瀬戸内市が導入以降、5つの自治体が採用している。「旅先納税」は、旅行中などに寄附をすると返礼品として、その場で即座に市町村内の加盟店で使用可能な電子商品券を受け取ることができる、ふるさと納税の新たな手段。

 また、地域で利用できる電子商品券は、プラットフォームの基本ソリューションである地域通貨や商品券、乗車券など地域の「価値」を電子化して発行するシステム「e街ギフト」を介し発行されるもの。同システムは、北海道猿払村などが導入している。

 同日、同社はオンラインで会見を開き、太田代表取締役は同社のプラットフォームについて、「自治体や企業など発行主体と加盟店、利用者のすべての参加者にメリットがある“三方よし”のサービスだ」と紹介。紙ギフト券からの脱却で、コスト削減や業務の削減、購入時の手間などが省けることを利点とした。

 「旅先納税」については、森悟朗執行役員が詳細を説明した。現状、納税者のうちふるさと納税を行っているのは約10%という総務省のデータを示しながら、「ふるさと納税未実施の90%のブルーオーシャンを狙う。カタログギフトと化しているふるさと納税の新しいカタチとして、現地での実際のサービスを返礼品に変えていきたい。新たな文化を作っていく」と意気込んだ。

 今後は認知度向上に努め、全自治体のうち、15%からの参画を目指していく。

 来年1月には国内の観光人口拡大や「旅先納税」による、ふるさと納税の寄附拡大に取り組む自治体を中心に、「旅先納税広域連携コンソーシアム(仮)」を立ち上げる予定だ。

東京ミズマチのテラスに期間限定でバー設置 墨田区と東武、日大理工学部が協力

2021年12月15日(水) 配信

近隣で購入した商品を水辺で自由に楽しめる

 東京都墨田区と東武鉄道は、日本大学理工学部協力のもと、12月17日(金)から2022年3月31日(木)まで、東武スカイツリーライン・浅草-とうきょうスカイツリー駅間の鉄道高架下複合商業施設「東京ミズマチ」に併設の北十間川親水テラスに「mizube bar」を設置する。
 
 今回の取り組みは、2021年4月に墨田区と東武鉄道で締結した「墨田区内における東武鉄道沿線まちづくりに関する包括連携協定」に基づき、東京ミズマチ、北十間川親水テラス、隅田公園などの活用促進やにぎわい向上を目的に行う。
 
 日本大学理工学部海洋建築工学科の親水工学研究室で考案された欄干や手すりを利用し、手軽に使えるポータブル水辺カウンターシステム「mizube bar」を屋外常設用に改良して設置する。「mizube bar」では、水辺を見ながら東京ミズマチや近隣店舗でテイクアウトしたフードやドリンクが楽しめる。
 

阪急交通社、総額1億円分の旅行割引クーポン提供 「福たびフェア2022」

2021年12月14日(火) 配信

阪急交通社はこのほど、「福たびフェア2022」を始めた

 阪急交通社(酒井淳社長)はこのほど、Webから予約した利用者を対象に、総額1億円分の旅行クーポンを提供するキャンペーンを始めた。「福たびフェア2022」は、旅行需要の喚起に向けて、年末から新春にかけて展開する。

 12月13日(月)~22年1月31日(月)の期間中、同社のホームページで獲得したクーポンは、Web予約の際に割引として利用ができる。1回の予約で最大5000円分を利用することが可能。割引総額が1億円に達するまで、何回でも獲得できる。

 クーポン金額は、5000円以上のツアーが1000円割引、3万円以上が3000円割引、5万円以上が5000円割引となる。適用となる割引は、代表者1人の旅行代金。

 22年1月1日(土)~3月31日(木)の期間に出発するツアーやダイナミックパッケージ、宿泊プランなどの国内旅行が対象。

 ほかのCPとも併用ができ、年始の旅行や県民割、Go Toトラベル商品にも活用できる。

ロコ・パートナーズ、Relux OF THE YEAR 2020発表 総合1位はハレクラニ沖縄

2021年12月14日(火) 配信

2020年12月1日〜21年11月30日までの宿泊データをもとに決定した

 ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partners(ロコ・パートナーズ、村上文彦社長、東京都港区)は12月13日(月)、Reluxに掲載する宿泊施設を対象とした人気宿ランキング「Relux OF THE YEAR 2021」を発表した。総合1位はハレクラニ沖縄(沖縄県・恩納村)だった。

 「Relux OF THE YEAR 2021」は 2020年12月1日(火)から21年11月30日(火)までに、宿泊データなどから順位付けした「総合ランキングTOP10」と、レビューを元にした「満足度ランキングTOP10」などから構成される。

 総合ランキング1位は「ハレクラニ沖縄」が初めて受賞。ハネムーンや結婚記念日、誕生日など特別なシーンでの利用者から、高い評価を得たという。また、TOP10に入賞した宿も、特別な日における利用者が多かった。

 同社は「コロナ禍でも、大切な方との特別な旅行は、変わらないニーズがある」と分析している。

 満足度の高い宿ランキング1位は、「箱根・芦ノ湖 はなをり」(神奈川県・箱根)となった。滞在客からは「小学生の娘が1人でブュッフェで食べる料理に悩んでいた際、従業員が食べ物の説明をしてくれた」などの声が挙がった。

 「画一的でない柔軟なサービスにより支持されている施設がランクインしている」(同社)と説明した。