淡路島うずしおクルーズが 小学生以下のこども無料乗船キャンペーン実施!

2018年7月2日(月) 配信

渦と咸臨丸

「うずしおクルーズ」を運営するジョイポート南淡路(兵庫県南あわじ市)は、2018年7月14日(土)~8月31日(金)の期間、全世界の小学生以下の子供たちを対象に、うずしおクルーズへ無料で招待するキャンペーンを実施する。

 キャンペーンを機に、全世界の子供たちに世界中でもここでしか体感することができない「鳴門海峡の渦潮」の素晴らしさを知ってもらうことで、「鳴門海峡のうず潮の世界遺産登録運動」の機運を高めたい(同社)としている。

全世界の小学生以下のこども達をうずしおクルーズへ無料招待!

大鳴門橋の真下を通過

対象  : 全世界の小学生以下の子供たち

期間  : 2018年7月14日(土)~8月31日(金)

時間  : 出航時刻は日によって変わるのでホームページを参照。

申込方法: 保護者がチケット購入時に小学生以下の子供の人数を伝える

鳴門海峡の渦潮について

 大阪湾側から進んだ潮波が鳴門海峡に達し満潮になったとき、鳴門海峡方面へ進んだ潮は満潮を過ぎ干潮になる。この時の播磨灘側(満潮)と紀伊水道側(干潮)で海面の落差(段差)ができる。海面の高い播磨灘から海面の低い紀伊水道へ一気に海水が流れ込み、海底の地形などの条件が揃って「うず潮」が発生する。海面の落差は、大潮の時では約2㍍にも達する。鳴門海峡のうず潮は、潮流時速20㌔、渦の大きさが30㍍に達することから、「世界一のうず潮」と言われている。

渦潮世界遺産登録推進運動について

 現在、兵庫、徳島両県の関係団体などでつくる「世界遺産登録推進協議会」が、自然遺産もしくは文化遺産での登録を視野にいれており、兵庫県が自然面、徳島県が文化面を担当している。自然面を担当する兵庫県では2017年度から2019年度までの3年間で渦潮を科学的に調査することになり、鳴門海峡での現地調査もスタートしている。鳴門海峡の渦潮を学術的な側面から分析することによって、世界遺産にふさわしい現象だと証明することが可能になり世界遺産へ向けた大きな一歩となることが期待されている。

東京2020オリンピック期間中、ホテルシップ事業を展開(JTB)

2018年7月2日(月) 配信

JTBは、東京2020オリンピック期間中に横浜港でクルーズ船に宿泊する「ホテルシップ」を展開する。

 近年のオリンピックでは、宿泊施設としてホテルシップが多く活用されている。バンクーバー2010OPは、クルーズ船3隻が34~38日間停泊し、19万人が宿泊した。過去ロンドン2012、ソチ2014、リオデジャネイロ2016の大会でも導入されており東京2020でも必要性が高まっている。

 政府が大会開催時の宿泊需要に対応する方策の1つとして、活用を推進している。ホテルシップ実施は、大会後は大規模MICEや世界規模のスポーツ大会などでの活用も視野に入れる。

 また、大会開催期間中は山下ふ頭周辺をオリンピックの活気を体感できる場にするため、同社と横浜市が連携して企画を打ち出していく予定。

商品内容(予定) 

商品名:JTB東京2020メモリアルホテルシップ・サン・プリンセス客船滞在プラン(仮称)

チャーター期間:2020年7月23日(木)~2020年8月9日(日)宿泊18泊 ※2泊3日を1パッケージとしたトータル9回のパッケージ

予約受付開始日:2019年春以降に発売予定

ご旅行代金:1人2泊 7万円台(内側客室)~60万円台(スイート) (1人1泊あたり3万円台~30万円台) ※上記は1室を2人で利用する場合の1人の金額

≪旅行代金に含まれるもの≫ ※通常航海時と同等内容 滞在中の食事代、船内エンターテインメント・ショー観覧代、船内フィットネス・センター、プール・ジャグジー、スポーツコート、客室テレビプログラム使用代など

≪旅行代金に含まれないもの(一例)≫ アルコール、清涼飲料等の飲料代、一部有料レストラン、エステ、ビューティーサロンなどの一部船内有料施設の利用代金など

その他:停泊中の船内ではカジノの利用とショッピングの免税は適用除外 商品内容は予定であり未確定。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(90) 無駄が効率的な創客を実現する 「きっと喜んでくださる」

2018年7月1日(日) 配信 

「きっと喜んでくださる」(画像はイメージ)

打ち合わせのあと、その方々との楽しい懇親会が終わりました。出張続きのうえ、お客様と食事をする機会も多くなり、少し疲れていました。ホテルで早めに休もうと思っていたのですが、そのホテルの最上階に、私の大好きなお店が入っており、この数カ月間、行っていないことが何となく気になりました。

 部屋に入ったら出るのが億劫になると思い、ホテルに到着後すぐにレストランに向かいました。スタッフが私の顔を見るなり、「西川さん、お帰りなさい」と、温かい言葉で迎えてくれるレストランです。

 「カウンターでコーヒー一杯だけいただきます」と声をかけると、すぐに案内してくれました。カウンター席には「西川さん、お帰りなさいませ。仙台出張お疲れ様でした。今夜もゆっくりとお寛ぎいただけますように」というメッセージカードが、ランプの横にそっと置かれていたのです。

 私が宿泊することは、ホテルからレストランに連絡が入っていたかもしれませんが、夜遅いチェックインが多かったので、立ち寄ることは今までもそう多くありません。まして、今回は久しぶりで夜も遅く、「行きます」との連絡もしていません。席が空いていなければ顔だけ出して、部屋に入ろうと思っていたのです。

 そんな私を、待っていてくれていたのが、そのメッセージカードでした。思わず言葉に詰まってしまいました。「こんなことをされたら、また来たくなる」。それがレストランカシータのおもてなしなのです。

 連絡して行けば、そのメッセージカードはいつもありました。ただ、今回は突然の思い付き行動です。いつ来ても対応できるメッセージを準備していたのか。いいえ、そのメッセージは明らかに、その日だから使えるものでした。

 では、「今日は来るかも」と偶然に思い付いて用意したのか。その答えが頭に浮かんだとき、つい涙を流してしまいました。きっといつも宿泊予約した日には、こうしてメッセージカードが用意されていたのではないだろうか。毎回待ち人来ずで、無駄になることの方が多いかもしれない。でも来られたときにはきっと喜んでくださるだろう。その瞬間のために多くの無駄な時間を使う。ここにおもてなしの極意があります。

 ビジネスの目的は、創客です。1つの感動が創客につながるとしたら、これほど効率的な営業はありません。スタッフも楽しみながら、お客様が感動されるその風景を想像しながら、メッセージを創ってくれたに違いありません。「わぉ!」と、奥のテーブルから声が聞こえました。またリピーターがこの瞬間に生まれたのでしょう。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

「観光革命」地球規模の構造的変化(200)米朝首脳会談と東アジア観光

2018年7月1日(日) 配信

今まで以上に中国、韓国からのインバウンドが必要

 訪日旅行者数は4月末で1051万人に達している。このまま順調に推移すれば、今年中にインバウンド3千万人の実現が確実だ。昨年の訪日旅行者数は2869万人で、そのうち中国から735万人、韓国から714万人で両国だけで全体の5割。とくに韓国からの訪日旅行者は16年に509万人であったが、17年に714万人へと激増している。

 韓国人による訪日激増の背景には中韓関係の変化がある。16年当時の韓国はパク・クネ政権下で中韓蜜月関係が実現され、経済・観光交流が進展した。16年の中韓観光交流は両国合わせて1500万人に達していた。さらに韓国ロッテグループは中国東北で最大の都市・瀋陽で約3千億円の資金を投入して「瀋陽ロッテタウン」の建設に力を入れていた。ロッテワールドを核にして、ショッピングモール、ホテル、コンドミニアムなどの大規模開発を進めていた。

 ところがパク・クネ政権は北朝鮮による核・ミサイル開発に対抗して、米国主導によるTHAAD(高高度防衛ミサイル)システム導入を決定したために中韓蜜月が終わりを告げた。中国は直ちに韓国への団体旅行商品の販売中止を決定し、禁韓令(中国国民による韓国観光の統制)を発した。またロッテが慶尚北道で所有するゴルフ場をTHAAD設置のための用地として提供したことを受けて、中国国内でロッテボイコット運動が生じると共に、瀋陽でのロッテワールド建設工事停止の動きが生じた。

 中韓観光交流に黄信号が灯ったが、17年5月に親北派のムン・ジェイン大統領が就任し、今年6月12日に史上初の米朝首脳会談が開催され、北朝鮮の非核化に向けた第一歩が踏み出された。具体的な非核化への道筋は不透明であるが、ムン政権の下で中韓関係が円滑化し始めており、中韓の経済交流・観光交流の進展が予想されている。

 日本政府は20年にインバウンド4千万人を目指しており、今まで以上に中国、韓国からのインバウンドが必要だ。しかし中国も韓国も観光立国に注力しており、観光客誘致合戦の激化は必至だ。史上初の米朝首脳会談によって北朝鮮の非核化の幕が開いたが、一方で日中韓による観光客誘致合戦の激化を招来するので、今後は東アジア諸国に力点を置いたインバウンド戦略の修正が必要になる。

コラムニスト紹介

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

〈旬刊旅行新聞7月1日号コラム〉変わりゆく買い物のスタイル 旅は永遠に「行く」商品である

2018年6月30日(土)配信 

旅行もスマートフォンで買うのが主流に

 九州の小さな町で生活していた幼いころ、毎日母親と買い物に行くのは、家から歩いて2分ほどの個人商店だった。

 その店は子供たちの駄菓子屋も兼ねていたので、お菓子やアイスクリームなどの種類は豊富にあった。10畳ほどの狭い売り場には、醤油や豆腐、砂糖、塩などのほかに、ノートや鉛筆、洗剤などが必要最低限の品数で売られていた。昭和のノスタルジックな風景である。

 近隣は農家が多い地域だったので、その店ではお米や野菜は扱っていなかった。だが、小さな棚にあんパンや、クリームパンが並んでいたのを思い出す。肉を買うときには、母親の自転車の後ろに乗って、少し離れたスーパーマーケットに行かなければならなかった。魚介類はリヤカーに魚を並べたおじさんが売りに来た。

 小学生になったとき、小さな店の斜め前にスーパーマーケットが開店した。肉も野菜も、薬局も、雑誌もそろっていた。パンコーナーにはあんパンとクリームパン以外にも、美味しい、おしゃれなパンがたくさん陳列されていた。子供も、母親たちも、新しくオープンしたスーパーばかりに行くようになった。小さな駄菓子屋はひっそりと店を畳んだ。

 そういえば、本屋も小さかった。駅の近くにあった棚が5つほどしかない本屋で読みたい本を選んで買っていた。ある時期から急速に大規模店舗が街に増えてきた。同じように広い書店もあちこちに建った。中学生になった私の行動範囲は飛躍的に広がり、大きなスーパーマーケットや書店で自分のほしいものを手に入れる自由を得た。

 あの小さな店の斜め前に建ったスーパーマーケットも数年で店を閉めてしまった。開店当時、驚くほどにぎわっていたのに、より大きなスーパーマーケットが国道沿いにできると、すぐに廃れてしまった。小さな店が大きな店に呑まれ、さらに大きな店に呑まれていく町の変化をまざまざと見せつけられた。

 今は大型ショッピングモールが日本各地に散在している。けれど、大型店舗は買い物に行くだけで疲れるし、ひと通り何でもそろうが、本当に欲しいものは、そこにはない。むしろ、適度な売り場面積で、新鮮な食材が手に入る近場のスーパーマーケットの方が使い勝手がよい。

 最近は、趣味に関するこだわりの逸品や、本、服なども、インターネットで買うことが増えてきた。ネットでの買い物に慣れると、どんな大型店舗であっても選択肢の少なさに不満を覚えてしまう。不思議な感覚だ。

 「幼少時代の方が悩むこともなく、幸せだったのかもしれない」と思うほど、ネット上の商品は無限にある。買い物は店に行く時代から、ネットで購入し運送業者さんに届けてもらう時代へと様変わりしている。とても便利になったが、無限の品から選ぶ手間が増えた。

 買い物のスタイルが急激に変化するなか、「旅行を買う」スタイルも大きく変化している。航空券や宿泊予約は、手元のスマートフォンで簡単にできる。前もって口コミ情報を入手し、周辺の観光や、グルメ情報も詳細に得ることも可能になった。ただ、旅はモノとは違い、買った商品(旅)を自ら動いて体験しに行かねばならない。楽しくもあり、煩わしくもある。旅は永遠に「行く」商品であることが、今後さらに着目されるはずだ。
(編集長・増田 剛)

〈観光最前線〉「虹」テーマに観光CP

2018年6月30日(土) 配信

「虹色の旅」をPRする西川貴教さん

 滋賀県は7月15日から12月24日まで、観光キャンペーン「虹色の旅へ。滋賀・びわ湖」を実施する。県全域を会場とする大型キャンペーンで、220を超える地域観光プログラムなどを通して、歴史や食などの魅力を発信する。

 県出身で滋賀ふるさと観光大使を務める歌手の西川貴教さんをPR役に任命。虹色のヘアや衣装をまとった奇抜なスタイルで、滋賀をPRする動画も話題だ。西川さんがプリントされたラッピング電車「虹たび号」も期間中、近江鉄道で運行する。

 滋賀は琵琶湖をはじめとした豊かな自然、多くの文化財など魅力的な観光資源を持ちながら、観光認知度がそれほど高くない。ラグビーW杯や東京五輪の開催を控え、官民が幅広く連携しながら「滋賀ならではの旅」を打ち出す。

【土橋 孝秀】

民泊施行日、届け出3728件 田村明比古観光庁長官「環境の醸成が必要」

2018年6月29日(金) 配信 

田村長官が報告、6月21日・国土交通省内

 

住宅宿泊事業法(民泊法)が6月15日に施行された。観光庁は6月20日の会見で、施行日時点の民泊届け出数が3728件だったと発表した。1カ月前と比べ約3千件、1週間前からは約1千件も増え、ホストらは急ぎ足で届け出た格好だ。ただ、旺盛な訪日外国人旅行者に十分に対応できる数とは言い難い。田村明比古長官は増加の阻害要因とされる上乗せ規制などに対し「環境の醸成が必要」と語った。
 
 「きちんとしたルールができる前に一気に増えてしまった。住民は民泊全体にグレーなイメージを持っているが、海外からは需要が大きく増えている。これらのギャップが元で、地域によって条例の制定や手続きの上乗せが起きている」と民泊の現状を振り返った。

 今後の方針については優良な民泊サービスの事例を増やしていく考え。田村長官は「一般の人々の理解を深めていくことが、過度な規制の緩和のために必要になってくる。行政も住民の懸念や不安が強いなかで慎重に対応している。今後は環境を醸成し、合理的な規制を促す努力が重要だ」と強調した。

 一方で、簡易宿所と特区民泊の件数も増加している。

 簡宿をみると京都府京都市で2015年度末は696施設、16年度末は1493施設、18年4月は2366施設と急増した。大阪市は特区民泊が別途あるものの、簡易宿所は16年度末が292施設、18年5月末は494施設だった。田村長官は「365日営業できるのは簡易宿所のひとつの利点である」と増加の要因を推測する。

 特区民泊をみると大田区が16年度末で33施設117居室、今年5月9日時点では52施設316居室となった。大阪市は16年度末が48施設95居室、今年4月30日時点が651施設1899居室と大きく伸びた。

 同法の180日規制のほかに、自治体の上乗せ規制を避け、簡宿や特区民泊に流れる動きも強いことがうかがえる。

 なお、6月15日時点で管理業者は871件で仲介業者は46件の申請があった。

量と質、中華系OTAの衝撃 世界標準を日本でも (Ctrip)

2018年6月29日(金) 配信

Ctripグループ事務事業部 副総裁 ビクター・ゼン氏インタビュー

インタビューに応じた吉原氏(左)とゼン(Tseng)氏

中国最大手OTA(オンライン旅行会社)Ctrip(シートリップ)が日本展開を加速させている。グループ事業を統括するビクター・ゼン(Victor Tseng、曾怀亿)氏と、国内マーケティング責任者の吉原聖豪氏に話を聞いた。同社はOTAながら、7千ものリアル店舗を有する。【謝 谷楓】

□ポータルサイトと見間違う予約アプリ

 爆買いは影を潜めたが、訪日中国人旅行者数は未だ増加傾向にある。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、5月までの累計来訪者数は約330万人。前年同期と比べ20%以上伸長し、全体の4分の1に及ぶ。インバウンド消費額の指標〈外国人観光客売上・来店動向【速報】〉を見ると1、2月の免税総売上高は前年同月比プラス30%。3月以降は同50%増に迫る勢いが続く。免税カウンターの国・エリア別来店者数のトップも中国人旅行者が占める。事業者にとって、中国人旅行者は依然無視できない存在なのだ。

 消費浴旺盛な中国人旅行者の訪日需要に応えてきたのが、Ctripだ。創業は99年、03年には米国・NASDAQに上場し、時価総額は約2・5兆円。昨年11月に国際ブランド(Trip.com)を立ち上げ、日本を含む13カ国で本格的なグローバル展開を開始。会員数は世界で3億人を超える。

 同社の強みは、提供するスマートフォン端末用予約アプリ(Ctrip)1つで航空券から宿、レンタカー、飲食店、アクティビティまでワンストップで予約手配ができること。口コミ情報も豊富。レビューを読み、日本に行きたいと思い立てばすぐ、予約に進める。

 アプリは総合ポータルサイトと見間違うほど内容が充実している。訪日中国人旅行者の3割が、Ctrip経由とされているが、このアプリを目の当たりにすると頷かざるを得ない。旅行や飲食、SNS(交流サイト)など、さまざまなジャンルのサイトや機能が1つのアプリにまとめられ、ウェブブラウザなどを開く理由が見当たらないのだ。「移民サービス」という海外移住を支援するカテゴリまである。

 高い技術力を持つCtrip。真骨頂はアプリ以外にもあるという。

□7千のリアル店舗を運営

 今回インタビューに応じた、Ctripで各グループ事業を統括するビクター・ゼン(Victor Tseng)副総裁(Corporate Affairs VP)は、こう語る。

 「Ctripは、中国全土で7千のリアル店舗をフランチャイズ展開している。アプリでは、富裕層の多いFIT(個人旅行客)をターゲットに、店舗では一般ユーザー向けのパッケージツアー(団体旅行)販売に注力してきた。スタッフの助言を受け、ユーザー自身が備え付けのタブレット端末で購入する」。

 来店者は、アリペイといったモバイル決済で支払いを済ませることができるため、オンライン会員に登録する必要はない。個人情報を取得し、個人旅行を促すなど、リピーターに育てる施策は行っていないのかという問いに対し、ゼン副総裁はこう応じる。

 「意図的ではない。顧客の需要に基づくサービスの提供を心掛けている。店舗でのみ商品を購入する非会員客についても個人情報を取得できるが、あくまでニーズに応えるためのプロモーションに活用するだけだ」。

訪日中国人旅行者の旅行形態の変化(構成比) 「訪日外国人消費動向調査」(観光庁)をもとに、旬刊旅行新聞編集部が作成した

 実際、中国人旅行者の成長は著しい。14年には6割を占めた団体旅行が17年には4割にまで減り、個人旅行と立場が逆転した【グラフ参照】。7千店という膨大なタッチポイントを持つため、同社は意図せずして旅行者の成長に寄与しているのだろう。

□国内旅行会社とも連携

 7千店を運営できる大規模市場は、サービスの質を磨くためにも有効なようだ。同社は24時間の電話対応を取り入れ、キャンセルからクレーム、緊急時対応までさまざまな要望に応えている。6月18日に発生した大阪府北部の地震でも、キャンセルに伴う返金を一手に引き受けた。

 「中国では近年、EC事業を中心にサービスの質的“レボリューション”が起きている。我われもしっかり対応している。万が一の際、ユーザーはCtripにのみ連絡すれば良い。その結果、大手ホテルチェーンともウィンウィンの関係を築いてきた」とゼン副総裁は自信を見せる。

 サービス面で一番驚かされたのは、アプリ内に埋め込まれたSNSの存在だ。旅ナカで困りごとに遭遇した際に質問を投稿でき、不特定多数のユーザーからアドバイスを得られる。東京にあるこのレストランに行きたいが道に迷ったと入力すれば、即座にレスポンスが来る。チャットが、コンシェルジュ機能も兼ねているのだ。

 高品質なサービス提供は、日本展開でも生かされている。国内のマーケティング事業を統括するCtrip Air Ticketing Japanの吉原聖豪代表(GM)は説明する。

 「14年にサイトを開き、国内ユーザー向けのUI改良に励んできた。仕入れは全国にある6支店が担当。本体傘下のメタサーチ・スカイスキャナーでは、ダイレクトブッキングも可能だ。航空券を中心に価格面で強いが、国内でも24時間の電話対応を実現し、旅ナカのサービス品質を高めている」。

 同社は地方への送客にも注力。ローカル地域の中規模旅行会社と連携し、オリジナルプランを中国に売り込んでいる。本土・リアル店舗で販売する団体商品も供給源はここにある。日本政府観光局(JNTO)と連携した東北エリアへの送客計画も進行中だという。

 同社のグローバル従業員数は3万人。需要把握に呼応した技術開発による世界標準のサービスが、日本市場を席巻する日も遠くない。国内外のOTAにとって大きな脅威となりそうだ。

NAA、東京オリ・パラに向けた基本方針と取り組みまとめる

2018年6月29日(金)  配信

定例会見で概要を説明する松本管理部門長

成田国際空港(NAA)はこのほど、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた基本方針と具体的な取り組みをとりまとめた。NAAは、同大会を成田国際空港のさらなる飛躍、発展のチャンスと捉え、将来を見据えた機能強化やさらなる利便性・快適性向上につなげる。

 基本方針は①安全・安定運用の徹底②選手・関係者の安全確保やスムーズな移動の実現③ユニバーサルデザインの更なる充実④おもてなしの心でのお迎えの――4点。安全・安定運用の徹底では、爆発物の自動検知機能を持ち、3D映像で全方向からモニタ確認が可能なCT(コンピュータ断層撮影)型のX線検査装置を19年度末までに7台導入する。

 選手・関係者の安全確保ではロンドンオリンピック・パラリンピックの成功事例に習い、各国選手団用の臨時専用ターミナルを整備。閉会式翌日に一斉に帰国する選手・関係者の安全確保や、既存ターミナルの混雑緩和をはかる。また、選手村で事前に預かった空港外チェックイン手荷物の保安検査・仕分け・一時保管を行う臨時手荷物集積所も整備する。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や千葉県が実施主体の大会、都市ボランティアを活用し、空港誘導体制の構築も行う。

 同社はこのほかにも337億円の事業費を使い、ターミナル改装などを実施。組織委員会や空港関係者(航空会社など)との連携を緊密にし、取り組みを進めていく。

夏休みは、四国エリアが人気 楽天トラベルが発表

2018年6月29日(金) 配信

今年の夏休みは、四国が熱い!

今年の夏休みは、四国エリアが人気だ。楽天トラベルがこのほど発表した、国内旅行の「都道府県別人気上昇ランキング」(速報版)によると、徳島県が前年同期と比べ30・9%増とトップの伸び率を記録した。高知県が、22・7%増と次に続く。阿波おどり(徳島市)や「志国高知 幕末維新博」(第二幕、高知県)など、四国エリアのさまざまな催しが注目を集めているようだ。

 徳島市の阿波おどり実行委員会は今年、FacebookとInstagramアカウントを開設し、国内外に対し広く、イベント情報の発信を行っている。6月14日(木)からは、Instagramを利用したフォトコンテスト企画を立ち上げ、徳島の阿波おどりに関連する写真・動画の募集を開始した。実際のおどりのほか、練習風景のようすも募ることで、行政と実行委員会、地域住民が三位一体となった誘致キャンペーンを目指す。

 「志国高知 幕末維新博」第二幕が開幕した高知県は4月、高知市桂浜に「高知県立坂本龍馬記念館」をグランドオープンし、全国から幕末ファンを魅了している。同館に問い合わせたところ、グランドオープンした4月21日(土)から6月28日(木)までの来館者数は5万7393人。前年同期と比べ1・3~1・4倍増加している。「夏休みシーズン、ぜひ多くの方に訪れてほしい」とした。

 国内旅行の「都道府県別人気上昇ランキング」(速報版、楽天トラベル調べ)、トップ5は以下の通り。なお、予約人泊数では、沖縄県がトップとなった。

順位 都道府名 伸び率
1位 徳島県 30・9%
2位 高知県 22・7%
3位 三重県 22・0%
4位 島根県 19・2%
5位 滋賀県 18・6%