民泊物件に、古民家を活用 全国古民家再生協会と連携 (ホームアウェイ×楽天ライフルステイ)

2018年6月4日(月) 配信

記者発表会では、ホームアウェイの木村日本支社長(左)と全国古民家再生協会の井上事務局長、楽天ライフルステイの太田宗克社長が登壇した

 民泊仲介大手のホームアウェイ(エクスペディアグループ)と楽天ライフルステイは6月4日(月)、全国古民家再生協会(園田正文理事長)との提携を発表した。古民家を活用した一棟貸しなど、各地域への送客・消費増実現する民泊展開を目指す。ホームアウェイと楽天ライフルステイが販売を担い、全国古民家再生協会が該当する古民家の安全性を認定する。認定に当たっては、楽天ライフルステイと協力し物件の収益性も調査する。投資額の回収など、先を見据えたアドバイスを行う。

 住宅宿泊事業法(民泊法)の施行が迫るなか、合法物件の確保が急がれていた。観光庁の発表によると、民泊の届け出は5月17日(木)時点で724件と極端に少ない。各仲介業者は施行日(6月15日(金))以降、違法物件を掲載できなくなるため、掲載数が一時的に落ち込むことも予測されている。安定した物件供給を実現するためにも、仲介業者自らによる物件発掘・開発が必要とされていた。

 家主不在型の一棟貸しに特化した民泊スタイル(バケーションレンタル)を推進するホームアウェイはすでに、欧米を中心にファミリー・グループのリピーター客を抱えていた。国内の古民家を再生・利活用することで、インバウンド需要を地域に波及させることも可能だとみる。

 6月4日(月)に行われた記者発表会で、ホームアウェイ日本法人の木村奈津子社長は、「バケーションレンタルなら、プライベートな空間を提供できる。宿泊形態を増やせば、多様化する国内外の観光客のニーズにも沿える」と、ホテルや都市型民泊との違いについて強調した。

 提携する全国古民家再生協会は、大工など職人らによって構成させる組織。古民家を知り尽くした300人のエキスパートが認定に当たり、宿泊施設となる古民家の安全性や泊まり心地を保証する。

 「調査費は一棟5万円を想定している。施工や運用面でノウハウを持つ楽天ライフルステイと協力して事に当たるため、投資額の回収を意識した古民家再生を実現できる」と、同協会の井上幸一事務局長は、報道陣に対し説明した。当初の認定目標数は30軒。1年間掛け、300軒を目指す。

スノーリゾート活性化に向け、アクションプログラム2018の骨子案を提出 観光庁

2018年6月4日(月) 配信 

検討会のようす

観光庁は6月1日(金)に東京都内で、第4回のスノーリゾートに関する有識者会議を開き、アクションプログラム2018骨子案を提出した。「国内外からのスノーリゾートへの誘致に向けた取り組み」と、「スキー場の経営に関する課題への対応」を両輪とする。同日は中国・欧州のスノーリゾート市場の有識者から、誘客に関するプレゼンテーションがあった。アクションプログラムは7月に策定する見通し。

 誘客に向けた取り組みのモデル事業では、訪日外国人のセグメントを意識した受入体制の整備を進める。アジア市場の中国と、欧米豪市場をそれぞれターゲットにしたスノーコンテンツの造成・魅力の発信などをはかる。

 課題への対応に関しては、グリーンシーズンの体験プログラムの実現に向けて需要調査や検証などを実施する。スキー場の経営悪化に伴う事業の再生や、廃業・撤退について事例収集や課題の整理も行っていく方向だ。

 同会では、日中スノー産業交流協会の王聖慧理事長から委員にプレゼンがあった。昨今、中国からのスキヤーが日本に訪れている理由を「中国国内より雪質が良く、欧米より近くて安く、さらにサービスが良い」と説明。一方で「宣伝活動は都道府県単位ではなく、国単位で行ったほうが良い。ライバルは欧米国で、まずは日本に来てもらうことが重要だ」と呼び掛けた。

 JTIC.SWISS(日本語インフォメーションセンター)の山田桂一郎代表は、スイスにある山岳リゾートのツェルマットについて発言。山田代表は「年間200万人泊ほどで約900億円稼いでいる。その約4割がスイス人。これは大事で、自国民・地元民が楽しんでいないと成功しない。マーケティング、ブランディングを無駄なく効率的に行う必要がある」と強調した。

読売旅行、坂元隆専務を代表取締役社長に内定

2018年6月4日(月) 配信

坂元隆氏

読売旅行(川島紳明社長)は5月30日(水)の決算取締役会で、坂元隆専務取締役(総務・経理・国際事業・経営改善担当)が6月13日(水)付で代表取締役社長に就任することを決めた。6月13日に開催される定時株主総会と取締役会で、正式決定する。

 なお、川島社長は取締役会長に就任する。

 坂元 隆氏(さかもと・たかし)。神奈川県出身、59歳。82年早稲田大学政治経済学部卒業後、読売新聞東京本社入社。11年同社国際部長、12年同社編集局次長、13年同社論説副委員長、14年読売旅行常務取締役などを歴任。16年から同社専務取締役。

旅行券などが当たるキャンペーン、女子旅サイトで実施(JTB) 

2018年6月4日(月) 配信

「Instagram」投稿キャンペーン

JTBは(髙橋広行社長)は、旅情報サイト「女子旅COLLECTION『マイトリ~Find My Trip~』」で「マイトリしよう!キャンペーン」を実施している。Webサイト内のスロットゲームやSNSに写真を投稿すると、景品がもらえるというもの。

 「マイトリスロットキャンペーン」は、1日1回挑戦できる。スロットで「マ・イ・ト・リ」の4文字を集めると応募でき、抽選で5人にJTBの旅行券3万円、2人にOLYMPUSのミラーレスカメラなどが当たる。2018年7月31日(火)まで実施する。

 「Instagram投稿キャンペーン」はInstagram(SNS交流サイト)に「#マイトリ」とハッシュタグを付けて女子旅写真をシェアすると、投稿した写真をプリントしたJTBトラベルギフト(カード型旅行券)1万円分が、毎月1人抽選でもらえる。2019年3月31日(日)まで。

 「女子旅COLLECTION『マイトリ~Find My Trip~』」は、旅の情報や現地に詳しい「マイトリサポーター」が各地の話題スポットなどの情報を毎月紹介する。さらに今回、サイトのデザインを一新。より情報を見やすく、快適に利用できるようになった。詳細は下記URLを参照。

女子旅ポータルサイト「女子旅COLLECTION『マイトリ~Find My Trip~』」 

ザ・プリンスギャラリー 山王祭で6月10日限定の体験を提供

2018年6月4日(月) 配信 

山王祭町会渡御(イメージ)

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町(大森伸翁総支配人)は2018年6月10日(日)、日枝神社で2年に1度行われる「山王祭」のお練り行列に参加できる体験プログラム「Gallery Experience~MATSURI~」を1日限定で提供する。

 同ホテルは4月から、訪日外国人旅行者を中心とした宿泊客に充実した滞在時間を提供するため、歴史や文化、リフレッシュをテーマにした体験プログラム「Gallery Experience~Destination Discovery~」の提供を始めている。

 「山王祭」は、江戸三大祭の筆頭としても数えられ、江戸時代に歴代将軍が上覧した天下祭といわれる伝統ある祭礼。2年に1度の大祭を、より間近で見て日本文化に触れてもらうため、氏子町会が神輿とともに巡行する町内渡御に参列する1日限定の体験プログラムを用意した。当日は半股引に半纏という祭り装束を着用し、約300人の渡御行列に参列。お祭りムードー色の紀尾井町内を練り歩く。

 体験プログラムは季節ごとに更新し、「ザ・プリンスギャラリー」ならではのディープな体験による、記憶に残る充実した滞在時間を提供していく。

「Gallery Experience~MATSURI~」*要予約

提供日時:2018年6月10日(日) 午前9:00~午後1:00

 ※発興式は午前10:00から

場所:ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 集合

料金:無料

対象:ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の宿泊客

内容:

 紀尾井町町会の祭り装束を着用し、氏子町会の渡御に参列して町内を練り歩く。

問い合わせ:コンシェルジュ係

 TEL:03-3234-1111(受付時間 午前8:30~午後8:00)

URL:下記のページリンクから

※予約は2018年6月8日(金)午後3:00まで。

※人数に限りがあり、また内容が変更になる場合もある。

※神輿を担ぐことはできない。

※氏子町会の行事の一員として加わるため、参列の注意事項は町会の指示に従う。

HIS、売上高は過去最高の3412億円 旅行事業が好調

2018年6月4日(月) 配信 

澤田秀雄会長兼社長

 

エイチ・アイ・エス(HIS)が5月31日(木)に発表した2018年10期第2四半期(17年11月~18年4月)連結業績によると、売上高は前年同期比25・5%増で過去最高の3412億4700万円だった。営業利益は同22・1%増の76億2300万円で増収増益。旅行事業の好調さが奏功し、ミキグループなどの新規連結による増収額は540億円に上った。引き続き海外展開はM&Aを軸に進め、海外旅行事業で20年に現在の約1・5倍となる4千億円の売上を目指す。

 当期純利益は同31・3%減の35億5500万円、経常利益は25・8%減の78億1400万円だった。ウォーターマーク札幌不動産売却の特別利益26億円があったが、円高基調で為替差損を13億円計上。このほか、アジアアトランティックエアラインズ(AAA)債権放棄の特別損失16億円などが響いた。

 事業別にみると、旅行事業の売上高が同27・1%増の3036億8800万円となった。営業利益は同15・9%増の41億8900万円と好調。M&Aを行ったミキグループなどの売上高が、今期は6カ月分加わったことで、同167%増と大きく貢献した。

海外現地法人の売上高は17年で1615億円ほどだった。今後は18年で2500億円、19年は3100億円、20年には4千億円を目標とする。澤田秀雄会長兼社長は同日の会見で「さらにその先は1兆円も目指す」と力を込めた。

 訪日旅行は花見シーズンなどの商材を強化し、同96%増の伸びを示した。日本発の海外旅行はグアムの減便などで売上高は26%減だったが、欧州方面でカバーし同20%増に着地した。

 ハウステンボス(HTB)グループは、HTBエナジーの成長で売上高は同22・5%増の208億2300万円で推移した。営業利益はラグーナテンボスの入場者減少と、HTBエナジーの燃料コスト増加で同4・0%減の36億2千万円だった。

 HTB単体では前期水準まで回復した。売上高は同0・9%増の145億2900万円、営業利益は同0・1%増の41億1100万円で増収増益。入場者数は同5・6%減の139万6千人だった。澤田氏は「ここ数年伸ばしてきて今は安定収益になりつつある。ただ、クルーズ誘致やカジノなども積極的にチャレンジしていく」と述べた。

 ホテル事業は同72・4%増の62億4千万円、営業利益は同44・4%増の7億1300万円と堅調に伸びている。前期に子会社化した台湾のグリーンワールドホテルグループが大きく増収に寄与した。変なホテルの首都圏進出も順調に滑り出し、増収増益となった。

 HISの事業の柱は第1が旅行事業、第2の柱がHTB事業となる。澤田氏は「ホテル事業を第3の柱として育てている。変なホテルを中心に、ほぼ毎月1、2軒展開している。21年までには100軒を目指す」と強調した。

 会見では候補地についてバンコクやソウル、ニューヨークを挙げた。ニュージーランドはすでに土地を購入し「土地が広く、敷地の半分は変なホテルを建て、もう一方は通常のホテルを建設する予定」と話した。

 熊本県・桜町の再開発事業を担う九州産交グループの売上高は、同0・3%減の108億4500万円。営業利益は同43・1%増の3億4900万円で減収増益となった。澤田氏「現在、再開発事業は建設費を700億円以上かけ、商業施設を建設中。来年の秋に開業を予定し、来期から大きく利益に寄与してくるはず」と期待を寄せた。

 HISの18年通期は、売上高が前期比18・8%増の7200億円、営業利益は同8・7%増173億円で増収増益を見通す。経常利益は10・9%減の175億円、当期純利益は31・4%減の91億円とした。売上高は前期にM&Aをしたグループ会社が年間で寄与することで、大幅に増加する見込みだ。

今後の展開

 海外旅行会社のM&Aやホテル建設・買収、システム開発を含め、20年までに毎年500億円を投じる。3年間で1500億円と、投資を活発化していく。澤田氏は「世界展開を強化する。世界274カ所の店舗拠点を生かし、その国々で3本の指に入る旅行会社にしていく。今後も世界に向けてM&Aを行っていく」と事業を加速させる考えを述べた。

 今後はホテルやバス、アクティビティなど、サプライヤー側にも軸足を置く。世界一のランドオペレーターを目指す方向だ。このため、世界水準のシステム構築をはかる。システムの開発では、M&Aをしたミキグループやメリットトラベルなどが持つプロダクトをつなぎ合わせる。共通のデータベースを構築し、BtoBのチャネルで売り出していく。2、3年をかけて実現していく見通し。

 このほかエネルギー事業では、バイオマス発電所を19年7月に建設予定で想定売上は80億円。17年にHTBエナジーは48億円の売上高だった。今後は18年に110億円、19年は200億円、20年には350億円の達成を計画する。

全旅連の「観光元年」に~全旅連・多田計介会長インタビュー

2018年6月4日(月)配信 

全旅連・多田計介会長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(多田計介会長)は6月6日、福岡県福岡市内で第96回全国大会を開く。多田会長は就任1年を振り返り、「初年度は民泊に尽きる1年だった」と語る。住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行されるが、行政や宿泊4団体、メディアなどとの連携を重視し、「違法民泊」への監視を強めていく考えを示した。人手不足や風営法の規制など、直面する課題にも積極的に取り組んでいく姿勢だ。

【聞き手=本紙社長・石井 貞德、構成=増田 剛】

 ――全旅連会長に就任して1年間。振り返って、現在の心境や、今後注力すべき活動について伺いたいと思います。

 初年度は、民泊に尽きる1年でした。北原前会長が一生懸命に民泊の問題に取り組まれていました。しかし、残念なことにどこかでボタンの掛け違いが生じてしまい、全旅連の主張が、官邸の進める施策の「反対勢力」に映り、自民党本部とも溝が広がってきました。

 そこで、我われも「民泊反対ありきではない」と主張し、決められたことは受け入れる姿勢を示しながら、運用の内容が粗すぎる点を指摘しました。人命を預かったり、地域の安全・安心を守る法令を順守してきた宿泊業の長い歴史のなかで、とくに安全性などの面で、今回の民泊を取り巻く動きに大きなギャップを感じたからです。

 住宅を宿泊事業に転用するといっても、最終的な目的は、我われ旅館ホテル業とまったく同じです。「民泊は住宅地域でも営業可能」というのはいかがなものかと、観光庁にも我われの立場を何度も説明しました。

 17年12月に策定された住宅宿泊事業法のガイドラインは、運用面の管理などの規制が予想以上に厳しいために、事業者の申請数は少ない状況のようですが、6月15日の施行後にどのように動くか、注視していかなくてはなりません。ただ、我われの主張がある程度通用して、民泊が新しいビジネスとして、〝境目なく爆発的に”広がっていくことがなくなったのは、一つの成果だと捉えています。「地域住民らの行動で自分たちの街を守れる」という流れが成立したのだと思っています。

 昨年8月23―24日の2日間、全国47都道府県の理事長が東京に一堂に集結し、「全旅連常務理事・理事研修会」を実施しました。私は「地域住民や利用者が安心安全に暮らし、施設利用ができる環境整備を、我われがリーダーとなって進めていこう」と呼び掛けました。そして、本部の提案を各地域の理事長が中心となって運動していただきました。

 今だから言えますが、当初「民泊に関する条例に関しては30%の都道府県に動きがあれば評価していいのではないか」とも考えていました。結果的には約68%の都道府県が、保健所を有する市町村などの首長の発言によって新たに条例が定められたり、検討がなされたりしています。全国の理事長を先頭に、組合員の皆様が汗をかいた運動が実った結果だと思っています。私は2000年3月に撤廃された「特別地方消費税」の“撤廃運動”以来の大きなうねりを感じました。

 今回の運動は中央ではなく、地方で拡散し、各地で〝運動”が行われたことが大きな特徴です。大所帯の全旅連組織が、全身を駆使して1つの目的に向かってがんばった〝一体感”を得られたことが、47都道府県の理事長の1人として、この1年間で最も大きな成果だと思います。

 ――6月15日の住宅宿泊事業法施行後については。

 例えば私の地元・石川県金沢市では、行政の立場から保健所の中に指導的な窓口が設置されています。3年後に見直しもあるので、行政や民間機関と協力し、地方の皆様方としっかりと連絡を取りながら、注視していきたいと思っています。

 6月15日以降は、アンダーグラウンドに潜る民泊事業者がかなり出ることが予想されます。

 地域住民の皆さんは元より、日本旅館協会や日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟など宿泊4団体が連携し、「違法民泊はダメ」というメッセージを発信する。法治国家である日本の法律に従って「治安維持にも協力していく」ように、旅行会社やOTA(オンライン旅行会社)、メディアなども巻き込むことが大事です。しっかりとコミュニケーションを取って対処していきたいと思っています。

 ――旅行会社も民泊の販売へと動いています。

 消費者は旅館やホテルと、民泊を使い分け、ときには「価格を重視することもある」との理解も必要でしょう。

 一方、我われ旅館やホテルは、自分たちのおもてなしのサービスをもう一度見直し、良質なサービスをこれまで以上に磨き、価値を高めていくべきです。

 ――人手不足も宿泊業界では大きな課題となっています。

 全旅連は7割の組合員が小規模旅館。労働力の要求も、地域や規模によって異なります。アンケート調査をすると、外国人労働者へのニーズは千差万別です。中・大規模は「とにかく労働力がほしい」という回答が多くあります。組合員に役に立ち、モデルになるような取り組みや、考え方などの情報を本部が吸い上げて、広く伝えていくことが大きな役目だと思っています。

 ――宿泊業4団体で構成する「宿泊業外国人労働者雇用促進協議会」では、外国人技能実習制度の活用も検討されています。外国人労働者についての考え方は。

 「外国人の労働力は不可欠」というのが大前提です。押し寄せる波には勝てず、変わっていく部分もあるかと思いますが、都心の有名ホテルもベッドメーキングなどは多くの外国人労働者が担っています。

 一方、お客様との接点が多い部署では、文化の大きく違う地域の外国人の雇用は、難しい部分もあるのではないかと考えます。

 このため、「即戦力」的な教育システムが必要だと思っています。働く外国人も歓迎され、お客様からも感謝される「三方良し」の枠組みができないか。学校のような仕組みをつくり、一定のレベルに達した者には認定証などを発行するのも一つのアイデアだと思います。宿泊4団体で連携して考えていきたいと思います。

 全国の旅館やホテルでは、「1日2時間のみ」「週に3日」など多様な就業形態も進んでいます。私の宿でもある職場では、漁師さんがスタッフの半数を占める日があります。悪天候が続く時期などは漁に出られないため、不漁のシーズンなどは、若い漁師さんが当館のバックヤードでお手伝いに来てくれたりもしています。これらも面白い人材発掘の一例だと思っています。

 人手不足の解消には、考え方や着眼点を変えていくことがポイントになります。「たすき掛け」シフトによる労働管理など、これまでの慣習に固執しないことも大事です。

 「お客様をお出迎えした客室係が翌朝のお見送りをする」――このことにこだわると、どうしても長時間労働となります。しかし、こだわっているのは我われ旅館側だけで、実はお客様はそこまで期待していないことも多々あります。

 ――全旅連という組織も大きく変わろうとしています。

 そうですね。今年の総会で定款の一部を変更します。

 定款の第一条に「観光立国の実現推進」、第五条には「観光立国推進に関する観光関係団体との連絡調整」などを追加する予定です。

 観光立国に向けて宿泊業4団体の連携強化や、大手旅行会社などとのビジネス面での連携事業も、大きな可能性を持つことになります。

 全旅連は公衆衛生に関しては、長い歴史を通じて一つひとつ積み上げてきましたが、本格的な観光への取り組みについては、今年が“スタートの年”であり、「全旅連の観光元年」だと認識しています。

 ――旅館文化が正しく理解されることも大切ですね。

 おっしゃるとおりです。例えば、旅館の宴会場は畳が大部分です。このため、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の規制の対象となっています。

 一方、ホテルの宴会場は絨毯のため、対象外です。「お酌」の文化は〝風俗営業”という江戸時代的な時代錯誤な捉え方があるのも事実です。日本文化を代表する旅館の畳文化が差別されるようではいけません。警察と協力しながら、旅館業の社会的な評価、存在意義を高めるために、新しい枠組みづくりにも取り組んでいきたいと思います。

 ――熊本地震から2年余りが経ちました。今回は熊本市で理事会・総会を開き、福岡市で全国大会を開催されます。

 我われ全旅連の仲間である熊本や大分、九州全体が苦労したなかで、井上善博九州ブロック会長とも話し合い、理事会・総会は熊本で開くことが決まりました。全国の都道府県を代表する理事長が熊本を訪れ、危機管理なども学んでいただきたいと思っています。このため、熊本をよく見ていただけるスケジュールを組みました。その後、全国大会の会場である福岡に集結する流れです。

 観光業界にとって災害は他人事ではありません。

 私も07年3月に発生した能登半島地震の際、半年間お客様が来ないことも経験しました。全旅連の仲間が経験したことから多くを学びたいと思っております。

 ――ありがとうございました。

 

 

「観光革命」地球規模の構造的変化(199)「感幸の時代」への期待

2018年6月4日(月) 配信

ホストとゲストの双方が幸せを感じられる「感幸」の創出へ

内閣府が5月中旬に発表した今年1月から3月期の国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で0・6%減であった。マイナス成長は2年ぶりのことで、日本経済の先行きへの不透明感が強まっている。今回マイナス成長に転落した最大の要因は、内需の柱である個人消費の落ち込みだ。その影響は当然、旅行消費の伸び悩みにつながる。

 国連は2013年から毎年「世界幸福度ランキング」を発表している。幸福の追求は人間の営みの核心であり、充実した生活を送ることは全世界の人々の共通の望みだ。幸福追求のためには物質的な経済成長ではなく、より公平でバランスのとれた成長が必要として「国民総生産(GNP)よりも国民総幸福(GNH)こそが重要」と主張するブータンによる提唱が全世界で認められたわけだ。

 国連の幸福度ランキングは世界156カ国の各国それぞれ約3千人を対象にして行った「ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)」に関するアンケート調査にもとづいている。人生に「幸せ」を感じる度合いと「不幸せ」を感じる度合いについて6つの指標で分析している。6指標は、①1人当たり国内総生産(GDP)②社会的支援の有無③健康寿命④人生選択の自由度(生き方を自由に選択でき、満足しているか)⑤寛容さ(過去1カ月間に慈善事業に寄附したか)⑥腐敗認知――。 

 18年の幸福度ランキングのトップ10は、①フィンランド②ノルウェー③デンマーク④アイスランド⑤スイス⑥オランダ⑦カナダ⑧ニュージーランド⑨スウェーデン⑩豪州――の順。北欧5カ国がトップ10入りしているのは、社会的支援の充実、人生選択の自由度、社会腐敗の少なさ、寛容さなどが実現されているためだ。一方、日本は54位で、世界第3位の経済大国ではあるが、幸福度の低さは残念である。 

 日本でも90年代初頭にバブル経済が崩壊してから観光のあり方が見直され「観光」に代わって、新たに「感幸」というコンセプトが提唱され、さまざまに議論された。その要点は、観光という営みにおいてホストとゲストの双方が「幸せ」を感じることのできる在り方(感幸)の創出であった。 

 今後、「感幸の時代」の到来が期待されている。

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森 秀三)

コラムニスト紹介

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

エアトリの予約サービスがさらに充実 (エボラブルアジア)

2018年6月4日(月) 配信

エアトリの予約サービスがさらに充実。新幹線などの予約もスタート

会員規模が250万人規模となり、勢いに乗るオンライン旅行予約サイト「エアトリ」(運営=エボラブルアジア)。得意とする国内航空券分野外のサービス拡充にも力を入れ始めた。このほどトップ画面に、新たなカテゴリーとして「新幹線」や「高級旅館」、「レンタカー」、「アクティビティ」を追加。総合オンライン旅行会社として、利用者数のさらなる取り込み増を目指す。

 エアトリは昨年、お笑いコンビオリエンタルラジオを起用したテレビCM放映後、知名度が急上昇した。創業以来、旅行会社を含む国内大手企業に対し、オンライン旅行予約サイトのOEM提供に注力してきた同社。提供数は500社を上回る規模で、大手航空会社傘下のエージェントや、信販会社らに対しサービスを提供してきた。昨年3月には、東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第1部に、1年を待たず鞍替えし、急成長を遂げた。

 オンライン旅行事業を通じ、BtoBビジネスで成果を出してきたこともあり、各関連企業とのつながりも深い。今回、新たなカテゴリーにとして登録された「新幹線」の予約手配では、OEM提供先のナビタイムジャパンとの連携によって実現した。「高級旅館」については、同社傘下のやらくだ倶楽部の資源を有効活用した格好だ。

 DeNAトラベルの子会社化で取扱高は1400億円となったことから、TTA(既存旅行会社)とOTA(オンライン旅行会社)問わず、業界内での存在感が一層高まった。近年、旅行系ベンチャー企業のなかでも大きな成功を果たしているだけに、動向に注目が集まっている。

貨物線を走る列車で味わう夜景 クラツー、人気企画の夜バージョン売り出す

2018年6月4日(水) 配信

お座敷列車「華」(画像提供:JR東日本)

クラブツーリズムはこのほど、新たなオリジナルルートを採用した「お座敷列車で行く特別ルート 夜の貨物線日帰りの旅」を売り出した。

 今回は利用客の期待に応え、貨物線を走行するオリジナルルートを変更したほか、シリーズで初めて夜に走行するコースを設定した。東海道線から見える夕焼けや、高島貨物線で通る真っ暗な倉庫街など、夜ならではの車窓からの風景を貸し切りお座敷列車で存分に堪能できる。参加者には、装い新たにしたクラブツーリズムオリジナルの夜版特製サボ(行先標)と、オリジナルタオルをプレゼントする。

お座敷列車・華・宴で行く特別ルート 新・夜の貨物線日帰りの旅 概要

出発日:8月11日(土)、「華」利用。8月18日(土)・「宴」利用

旅行代金:大人1万8千円。子供は3千円引き。

募集人員:各日150人限定

オリジナルルート:

新宿発(午後6:00ごろ)=(東海道貨物線)=新鶴見信号所 =(東海道本線)= 根府川折返し(扉は開かない)= 大船(根岸線)=〈高島貨物線〉= 新鶴見信号所 = 品川着(午後9:40ごろ)

夜の貨物線の旅は、神奈川県がメインの新ルート

※やむを得ない事由により時刻が変更になる場合がある。