NAA21年度中間連結決算、約90億円の赤字縮小 オリパラや観光需要増加

2021年11月19日(金) 配信

田村明比古社長。「国から支援されている。今後も、安定した運営が可能だ」と説明した

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が11月18日(木)に発表した2021年度中間連結決算(21年4~21年9月)によると、営業損失は216億6800万円(前年同期は306億5100万円の損失)と赤字額を約90億円縮小した。

 東京2020オリンピック・パラリンピックの関係者の利用や、LCC(格安航空会社)による夏季における国内旅行の需要増加に対応する複便などが主な要因。

 営業収益は、前年同期比20・6%増の400億5200万円と2期ぶりの増収となった。

 運用の効率化をはかり、最大限のコスト削減に努めたが、経常損失は220億6300万円(同301億3500万円の損失)、中間純損失は230億100万円(同424億7700万円の損失)。

 21年度通期連結業績予想は、国際的な出入国制限の緩和状況が不透明であることから、5月に発表した見通しを据え置いた。営業収益は前期比11・4%増の800億円と3期ぶりの増収を見込むが、営業損失は620億円、経常損失が660億円、当期純利益は670億円と予想する。

 今後は経営状況改善のため、工事内容を見直すなどしてコストをより削減する。

 田村社長は「(1日当たり3500人の)上限が緩和されるなど明るい兆しも見えているが、各国の感染状況は波があり、需要の予測が難しい。国からは引き続き、支援されている。今後も、安定した運営が可能だ」と説明した。

四国・瀬戸内の観光PR 11月27(土)~28日(日)、大阪市内で物産展開く

2021年11月19日(金) 配信

来社した中井陽一郎主査(左)と森夏子主事

 岡山、広島、山口の瀬戸内3県と徳島、香川、愛媛、高知の四国4県の在阪事務所などは11月27(土)、28日(日)、大阪市中央区の「もりのみやキューズモールBASE」で、「四国・瀬戸内観光物産展~瀬戸内から四国路の旅巡り~」を行う。

 各県・団体がブースを開設し、観光パンフレットの配布や特産品を販売する。各県のキャラクターが勢揃いするステージイベントや体験ワークショップも行い、瀬戸内エリア全域の魅力発信で周遊観光をPRする。各ブースで500円以上購入などを対象に、特産品が当たる抽選会もある。開催時間は両日とも午前10時~午後5時まで。

 物産展を前に17日(水)、山口県大阪事務所の中井陽一郎主査と高知県大阪事務所の森夏子主事が本紙関西支社を訪れ、概要を紹介した。

 中井主査は「エリア全体の魅力を発信し周遊観光に結び付けたい」と話していた。

【特集No.597】ピンクリボンのお宿ネットワーク 10周年迎え、ビジョン語り合う

2021年11月19日(金)配信

 :東日本大震災のあと、旅行新聞新社の石井社長から「ピンクリボンのお宿ネットワークを立ち上げたい。会長になってもらえないか」とお電話をいただいたことを覚えています。ピンクリボンと聞いても初めはピンと来ませんでした。当時は16人に1人が乳がんを患うと聞き、私もいつ乳がんになるかわからない、それならばと思ってお引き受けしたのが始まりです。そこから、あっという間の10年でした。

 リボン宿ネットのセミナーで桜井なおみさん(NPO法人HOPEプロジェクト理事長)の講演をお聞きし、また、患者さんや乳がん治療を受けたお客様の経験談を伺って、皆さん本当につらい思いをしてきたのだなと分かりました。

 加えて、病気になってしまったらなかなか旅館には行けないと考えている女性が多くいることが分かりました。そういう方々に対して、ネットワークを通じてお宿を知ってもらうことが大切だと考えています。

 設立2年目には、盾を作り、加盟している宿に置いていただきました。うちの宿でも、フロントに置いている盾を見たお客様からお声を掛けていただき、さらにお客様ご自身の体験や要望など、詳しいお話を聞かせていただくきっかけになっています。

 リボン宿ネットができたおかげで、どうやったら旅を楽しめるか、温泉で気持ちよく過ごせるかを患者さんと一緒になって考えられるような気がしました。

 松﨑:私自身が乳がんを患った経験がありますので、術後の傷痕を気にして温泉に入るのをためらってしまうお客様が多いだろうなという想いが以前からありました。

 2011年に行われた福岡県での女将サミットで、そういったお客様向けに貸切風呂があったらいいのではという話もさせていただきました。私にとってのピンクリボンは、そこからのスタートだったと思います。

 乳がんの早期発見のため、多くの人に検診を勧める目的でも発足は必要なことでした。これからも啓蒙活動を続けていかなければならないと考えています。

 また、自分が乳がんを経験したと書いたうえで旅館での取り組みを記載していると、お客様から「読みましたよ、大変だったんですね」、「私もそうなんですよ」とお声を掛けていただくことが多かったです。なかなか他人には話しづらいことですし、お客様からこうして言っていただけるのはありがたいと思いました。

 活動を続けることで従業員や、患者さん、患者ではないお客様、それぞれの意識が変わるのはとてもいいことだと感じました。

 西川:リボン宿ネットのお誘いを受けた年の2月に、母親をがんで亡くしたばかりでした。そのとき、ぜひともやりなさいと母が言っているような気がして、当初から監事として携わらせていただいております。

 ひとつ残念だと思うことは、せっかく加盟したにも関わらず、リボン宿ネットから集客が望めないとみて退会されていく宿があることです。

 会員が増えるのは素直にうれしいという反面、入り方が間違ってしまうとあっさり退会していってしまいますよね。

 ネットワークから宿を知ってもらい、「一度利用していただいたから終わり」ではいけません。

 冊子を手にしてお宿を知ってもらい、お宿の良さを知ってもらい、もてなしを受けて「また来よう」とリピーターになってもらう。これが本来あるべき姿だと思います。

 加盟したからには、積極的に「こういうネットワークがあります」、「こういう対応をしているので安心していらっしゃってください」とアピールする義務があると思います。

 これは運営のやり方にも問題があるのかもしれません。ネットワークに加盟するということは、いちスタッフになるということではないかなと考えています。

 果たして現場の人たちは「またこの人に来てもらうんだ」という想いで接客しているでしょうか。リピーターを作ったという実感が、まだ成長途中だと感じます。

 営業ツールの1つとして参加されるのではなく、ほかの加盟している宿もぜひ利用してくださいねと進んで発信できるようになってほしいですね。……

【全文は、本紙1851号または11月26日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

福井県観光連盟 スーパーバイザー設置 新観光コンテンツ創出

2021年11月22日(月)配信

於保孝志氏

 福井県観光連盟は11月1日、2024年春の北陸新幹線福井・敦賀駅開業に向けて、稼ぐ観光地域づくりを加速するため、新たな観光コンテンツを創出する「観光スーパーバイザー」を設置した。

 観光スーパーバイザーは、ブランドアップ担当と、コンテンツ開発を担う人材の計2人を採用した。

 宿泊施設や食の付加価値を創造する「観光ブランドアップ・スーパーバイザー」は、アメリカのサンノゼ州立大学で観光ビジネスを学び、現地の旅行代理店で送客業務を経験後、星野リゾートグループで宿泊施設の総支配人などを務めた於保孝志さんが就任。

松尾章子氏

 先駆的な体験やアクティビティのコンテンツを開発する「観光アクティビティ・スーパーバイザー」には、休暇村協会や外国客船の日本支社勤務などを経て、地域DMOのディスカバー東広島でプロデューサー職を務めた松尾章子さんが着任した。

 それぞれ、県内の宿泊施設や飲食店、観光事業者などを巡回訪問し、新たなメニュー開発のための技術的な指導や助言を行う。

九州観光機構と7県 県民割の拡大を 国交省・観光庁に要望

2021年11月19日(金)配信

国土交通省での要望活動

 九州観光推進機構(唐池恒二会長)は10月18日、国土交通省と観光庁に「九州観光による経済活性化に関する要望書」を九州7県と共同で提出した。

 要望書では、新型コロナ感染症が拡大したことで、「観光・旅行マインドの冷え込みが続き、九州内の観光事業者の経営状況が厳しい」と訴え、「観光は幅広い分野の産業が関わり、経済効果・雇用効果も高い」と強調。

 「九州はひとつ」の理念のもと、密の回避や感染予防を徹底させ「九州内の観光プロジェクト」を行う決意を表明した。

 具体的な要望では、既に実施中の「地域観光事業支援(県民割)」について、対象範囲を「同一県内の旅行割引支援」から「九州域内旅行の割引支援」への拡大を求めた。

 感染拡大時の取消料への補填やキャンセル対応費用など補助対象経費の拡充、間接経費の上限(直接経費10%)緩和、ステージ移行時の経過措置、事業停止期間に伴う実施期間の延長など弾力的な運用も要望した。

 さらに、「Go Toトラベル事業」の段階的な再開検討や期間の柔軟な対応も盛り込んだ。

全旅連青年部「Go To23年3月まで」 自民党の衆参議員に要望書提出

2021年11月18日(木) 配信

新谷正義衆議院議員(左から2番目)、星永重部長(左から3番目)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(星永重部長)は11月16日、自由民主党の衆参両院の国会議員に、Go Toトラベルキャンペーンの年内再開や2023年3月までの延長を求める要望書を提出した。

 県民割の隣県への適用のほか、両制度の割引率や補助上限など制度詳細の早期発表も求めた。

 「旅館・ホテルは地方で雇用を創出し、地域経済の中心でもある。新型コロナウイルスの拡大以降、政府系制度融資を使い果たし、次の支援策が打ち出されないと倒産してしまう」(青年部)と訴え、雇用調整助成金の特例措置の拡大を2023年度以降までの継続や、6カ月以内に解雇を行った事業者に対する受給条件の緩和、出向制度における教育訓練などの上限額引き上げも要求した。

 さらに、非常時に宿泊施設を避難先として活用する協定「災害時避難者受入施設支援事業」で必要となる消防設備などの設置費も要望。国土強靭化に資する避難所となる宿泊施設を、より増加させるために必要なバリアフリーや非常電源、断水対策としての貯水槽、救急用品などの補助も求めた。

 新型コロナウイルス感染症特別貸付の上限額の引き上げと、返済据え置き期間の緩和、コロナ禍の長期化で資金繰りが悪化する施設が増加していることを踏まえ、盛り込んだ。

 新たな需要喚起策として、ワーケーションを実施する企業に対する支援のほか、テレワークスペースと会議室の整備のサポートも求めた。

積水ハウスと美濃市がデジタル観光マップ開始 観光促進、地域活性化を

2021年11月18日(木) 配信

四季の移ろいに合わせて変わるマップ全体イメージ

 積水ハウスと岐阜県美濃市は11月16日(火)から、同市の江戸時代から明治・大正時代の歴史的建造物が立ち並ぶ「うだつの上がる町並み(国重要伝統的建造物群保存地区)」のまち歩き用に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したデジタル観光マップ「よりみちマップ」の提供を開始した。

 「よりみちマップ」は、GPSの位置情報と連動可能なデジタル型イラストマップ。旅行者は、直感的な操作で「うだつの上がる町並み」を地元の魅力情報を得ながら探索することができる。イラストマップ上に現在地を投影させながら、各店舗の営業時間や、地元の魅力スポットに関する詳細情報を確認できる。各詳細情報は飲食店や撮影スポットなどのカテゴリーに分類され、それぞれの情報を絞って表示させることも可能。

 マップの制作は、地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」で、2019年6月からアライアンスパートナーとして参画した大垣共立銀行を始め、市や地元の住民団体「ゆめまち会」や事業者らとも連携している。また、日本航空(JAL)から積水ハウスに出向中のスタッフや、エイチ・アイ・エス(HIS)から美濃市に出向している職員も制作に参加。ほかにはないここだけの魅力が詰まった「よりみちマップ」に仕上がった。美濃を旅する旅行者や地元の人にも広く利用してもらうことで、観光促進・地域経済活性化が加速することを目指す。

 今後もより鮮度の高い情報を発信していくためマップは順次更新し、最新の魅力を発信していく予定という。

Airbnb、飯田市とパートナーに リニア見据え農業推進

2021年11月17日(水) 配信

(左から)田邉泰之代表、佐藤健市長、高橋充社長

 Airbnb(エアビーアンドビー、田邉泰之代表)と長野県飯田市(佐藤健市長)、南信州観光公社(高橋充社長)は11月16日(火)、関係人口の創出を目指すパートナーシップ協定を結んだ。

 2027年にリニア中央新幹線が開業し、市内における来訪者の増加が見込まれる飯田市の佐藤市長は「都会のコピーではなく、飯田市の主要産業である農業の推進に力を入れていく」と意気込みをみせた。

 民泊物件を仲介するAirbnbとの締結については、「市長選から『日本一住みたいまちになる』を目標にしてきた。『暮らすように旅する』をコンセプトに掲げるAirbnbの農泊を通じて、移住につなげていきたい」と強調した。

 3者は今月から来年6月、農家ステイと空き家を活用した民泊を促進。天竜峡エリアでは、物件の鍵の受け渡しなどを行う施設を作り、利用客を回遊させる予定だ。

 来年1月以降に、教育旅行を中心に受け入れてきた農家には、ファミリー客などに対応できる仕組みづくりや勉強会なども行う。

 さらに、来年3月には、個人旅行を受け入れた農家民泊を振り返り、新規ホストを獲得していく。

 Airbnbの田邉代表は「農泊を農家の新たな収入源としてもらい、地域の経済活性化の機会を提供したい」と力を込めた。

 団体客を中心に農業体験などの体験プログラムを紹介する南信州観光公社の高橋社長は「教育旅行で農家に泊まった個人客を誘客し、新たな市場を形成したい」と語った。

11月19~20日、オンライン旅行EXPO 91プログラムが無料

2021年11月17日(水) 配信

3日間で世界を巡る

 ロコタビ(椎谷豊社長、東京都千代田区)は11月19(金)~21日(日)の3日間、オンライン旅行博覧会「オンライン旅行EXPO2021秋」を開く。「ロコタビ」へ無料会員登録をすると、参画55団体の91プログラムが無料で視聴できる。

 旅行会社や各政府観光局ら参画団体は、オンラインツアーなどを企画。国内から海外のリゾート地、また海外の暮らしがわかるコンテンツまで多様なメニューがそろう。家にいながら、3日間で世界一周気分を味わうことが可能だ。

 このなかで、オーストラリア・ビクトリア州政府観光局の日本オフィスが企画するのは「現地メルボルンのオージー宅よりライブ配信!」。11月20日(土)の午前11時から、メルボルン近郊に住む現地家族の部屋から中継し、オーストラリア家族の生活を紹介する。

 また、西部トラベルが企画する「日本一の温泉旅館『加賀屋』オンラインツアー 北陸 石川・富山旅」は、加賀屋の若女将のお出迎えから、客室、料理メニュー、北陸の観光地情報などを紹介する。開催は11月19日(土)の午後1時から。

 詳細はロコタビのホームページへ。

兵庫・加古川の魅力を紹介 岡田市長「市内外の人へ発信を」

2021年11月17日(水) 配信

岡田康裕市長が加古川市を紹介

 兵庫県加古川市(岡田康裕市長)は11月16日(火)、報道関係者を対象にオンラインで市を紹介する説明会を開いた。岡田市長は市の魅力を「都市と自然が近く、暮らしやすいまち」と紹介。「今はSNSなどさまざまなツールがあるが、市民にさえ市の取り組みを周知するのは難しい。今回の説明会を通し、市内外の人に広く知ってもらいたい」と趣旨を語った。

 同市は今年度から、中長期的な目標として「夢と希望を描き幸せを実感できるまち加古川」を掲げている。そのなかで、重点的な項目が「新たなにぎわい」の創出だ。加古川駅周辺を見直し、駅前に市の機能を集積させようと取り組んでいる。 

 また、「かわまちづくりプロジェクト」は、加古川の河川敷を魅力的な観光スポットに育て上げる計画だ。飲食店やイベントなどの誘致を加速させ、人が集まる仕掛けを作りたい考え。今後の河川敷イベントとして、初のイルミネーションイベント「加古川リバーライト」を12月10(金)~19日(日)に開く。プロジェクションマッピングなどのデジタルアートで、没入感ある演出を行う。

 スマートシティへの取り組みも進んでいる。代表的なものは2017~18年度に、小学校区周辺を中心に監視カメラ「見守りカメラ」を約1500台設置したこと。安心して登下校ができる環境を整備した。これにより、犯罪件数も減少しているという。

 説明会では、市の特産物にも触れた。ふるさと納税でも人気がある、東加古川醸造所のオリジナルクラフトビールや、日本初のデュラム小麦として品種登録された「セトデュール」を使用した純国産パスタ「加古川パスタ」などを紹介した。パスタに適した小麦は日本では栽培できないとされたが、8年掛けて品種改良し、16年に誕生した。