石川県で統一商品、KNTと日本旅行がコラボ

3月10日の会見後、KNTの野中雅彦氏(左)と日本旅行の木村陽一氏
3月10日の会見後、
KNTの野中雅彦氏(左)と日本旅行の木村陽一氏

 近畿日本ツーリスト(KNT)と日本旅行は、石川県にスポットを当てた企画商品を共同で造成し、販売する「日本の旅 き・ら・り いしかわ」を展開する。期間は4月1日から9月30日まで。国内旅行2、3位の両社が、価格まで統一した企画商品を直営、提携販売店、ネット販売も一体となって実施するのは初めての試み。

 石川県観光連盟とJR西日本金沢支社も協力し、期間中の送客目標は、両社計で前年同期比10%増の11万人に設定している。

 今回新たに展開するプランは、能登半島最先端の秘境パワースポット「珠洲岬(聖域の岬)」など、個人では行きにくい地域を周遊するバスプランを設定したほか、1泊2食に能登丼など「いしかわランチ」を味わう「1泊3食付プラン」を展開し新たな旅のスタイルを提案する。

 KNT取締役兼執行役員個人旅行事業本部カンパニー長の野中雅彦氏は「赤い風船は今年40周年、メイトは来年40周年を迎える。両社の長年のノウハウを結集して地域観光の宝を見つめ直し、地域を元気にしていきたい」と述べた。

 日本旅行取締役兼常務執行役員営業企画本部副本部長の木村陽一氏は「両社が一体となって展開することで、新たな需要を生み出すことを目指す。一過性ではなく、プロジェクトを成功させ、継続的に実施していきたい」と語った。

 KNT旅連石川支部(79社)の山岸繁樹支部長は「石川に特化した企画で、旅連としては大変ありがたい。大きな期待をしている」。

 日旅連石川支部(70社)の吉田眞啓支部長は「石川県は金沢に代表される歴史・文化、食の魅力があり、能登には温泉の魅力がある。人に優しい石川県のホスピタリティを全面に出して全国の皆さんをお迎えしたい」と述べた。

 両社コラボ企画「地域を元気にするプロジェクト」は石川県を第1弾とし、今後は他地域での展開や、地元旅行会社や異業種とのコラボ企画も視野に入れている。

ANA、東北へ支援金1億円、物資輸送や救援者の渡航協力も

 全日本空輸(ANA)はこのほど、東北地方太平洋沖地震を受け、被災者の救援や被災地の復興のため、1億円の支援を決定。ANAグループでは、役職員による義援金の募集も行っている。

 また、日本政府と地方自治体の要請に応じて、救援物資の無償輸送協力、救援支援者への無償の座席提供を行っている。期間は4月15日まで、問合せ先03-6735-1000(平日の午前9-12時、午後1―5時)。ANAマイレージクラブ会員には、マイル寄付相当額を復興支援の義援金としてANAホームページ(http://www.ana.co.jp)から1000マイルを一口として受付している。

予備費1500万円を被災者へ、日本ホテル協会が総会で決定

 日本ホテル協会(小川矩良会長)は3月17日、東京都港区のホテルオークラ東京で2011年度春季通常総会を開き、今年度予算の予備費1500万円を東北地方太平洋沖地震の被災者への義援金と、被災した会員ホテルへの見舞金にあてることを決めた。
 また、今後は会員ホテルの協力のもと、会員ホテル従業員やホテル利用者を対象に募金活動を行っていく予定。

No.274 東日本大震災 特別紙面 - 復旧に向け、協力体制を

東日本大震災 特別紙面
復旧に向け、協力体制を

 3月11日午後2時46分ごろ、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震により、東日本大震災が発生した。震災から1週間が経過しても、被災地との連絡がつかない地域が多くあり、情報収集が困難な状況にある。本紙は18日現在、東北地方エリアの主な宿泊施設の営業状況を調べた。東北運輸局ではホームページでホテル・旅館の営業状況を発表している(16面に掲載)。業界内では、一日も早い復旧に向け義援金による支援や、協力体制づくりが始まっている。

【本紙取材班】

【被災者受入れの動きも】

 観光庁は17日現在、登録ホテル・旅館について「重大な人的被害の報告は入っていない」と発表。14日時点で日本旅行業協会(JATA)の報告によると、震災地域を訪れていた旅行者は約4100人。うち、安否確認済みが約1600人、安否確認中が約2500人と公表したが、17日現在、安否確認中は約60人。

 訪日外国人旅行者については、日本政府観光局(JNTO)がインフォメーションセンター(TIC)で電話問い合わせに24時間対応している。

 福島県・穴原温泉の「匠のこころ吉川屋」では、地震発生後、水道管に亀裂が生じコンベンションホールが水浸しになった。電気・水道・ガスが使えなくなり、浴場のタイルが剥がれ落ちるなどの被害があった。当日は200人ほどが宿泊していたが、フロント職員が宿泊客を安全に誘導。翌12日には個人客を中心にバスを手配し東京まで無事に送ったという。吉川屋は4月1日から営業再開する予定だ。

 宮城県・松島海岸の松島ホテル大観荘は、ガラスの割れなど軽微な被害があったが、電気は3月15日の夜に復旧した。ガスも復旧済みで水道は4月3日ごろの復旧予定。電話、FAX、インターネットは3月20日に復旧、4月中旬の営業再開に向け準備中という。

 自治体や温泉地では、群馬県みなかみ町のように被災者を受け入れる動きも出てきている。

被災地の主な宿の営業状況

 

※ 詳細は本紙1414号または日経テレコン21でお読みいただけます。

【宿泊・観光施設様】震災関連 状況・被災者受入・融資関連リンク(3/29更新)

旅館・ホテル、観光・食事、土産物施設のみなさまへ。

東日本大震災に関連し、周辺の震災状況把握や被災者受け入れ、融資、雇用に関する情報リンクを下にまとめました。必要に応じてご参照ください。

被災状況

■東北地方太平洋沖地震に伴う東北運輸局管内の公共交通機関の運行(航)状況、主なホテル・旅館の状況について(東北運輸局)
wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/saigai110311.htm

宿泊施設の被災者受け入れ

■【観光庁プレスリリース(平成23年3月25日)】宿泊施設における県域を越えた被災者の受入体制について
www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000092.html
観光庁は厚生労働省等の関係省庁と連携し、旅館・ホテルにおいて県境を越えた被災者の受入れを支援することとしました。具体的には、
[1] 災害救助法の制度を活用し、観光庁において、関係団体や自治体の協力を得つつ受入先となる旅館・ホテルを確保することにより、被災自治体が避難所を他県に求める際の助けとなるよう尽力します。この際、移動手段の確保についても支援します。
[2] 被災された方々に宿泊及び移動に関する負担は生じません。避難所を要請した県が負担した上で、国が必要な財政措置を講じます。

■各県、旅行業者等による被災者向け支援に関する情報(観光庁)
www.mlit.go.jp/kankocho/topics06_000025.html
こちらは上記の災害救助法に基づく支援措置ではなく、善意の情報提供をまとめたもの。具体的な宿泊施設の利用条件等は申込者が確認する。

融資関連

■【政府系金融機関の融資についてのお問い合わせ】平成23年東北地方太平洋沖地震を受け、日本政策金融公庫、日本政策投資銀行、商工組合中央金庫において、融資についての相談窓口を設置しています。(財務省)
www.mof.go.jp/20110311tohoku_jisin/sk230311.htm

■【中小企業者の方へ】災害復旧貸付の実施、特別相談窓口の設置など被災された中小企業の皆様に対し、必要な情報を提供します。(中小企業庁)
www.chusho.meti.go.jp/earthquake2011/index.html

雇用関係

■平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う労働基準法等に関するQ&A等(厚生労働省)
www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016exl.html

 

遅れのお詫び

お知らせ

 東日本大震災の影響で、印刷所とのスケジュール変更、道路事情による配送の遅れなどによって、本紙1414号(3月21日付)のお届けが一部地域で大幅に遅れることが予想されます。お詫び申し上げます。

12年度福島大型CP、4月からプレ事業

佐藤知事(中央)とキャラクター「キビタン」(左)
佐藤知事(中央)とキャラクター「キビタン」(左)

 福島県大型観光キャンペーン推進委員会(委員長=佐藤雄平福島県知事)は2月21日、2012年度を本番として、前後併せて3年間で展開する「福島県大型観光キャンペーン」の実施計画を発表した。プレ事業と位置付ける今年4月からは、福島空港就航都市からの誘客拡大や着地型観光の推進に取り組む。

 事業は福島県、および官民で構成される「うつくしま観光プロモーション推進機構」が実施する。キャッチフレーズは「旅すればふるさと ほっとするふくしま」。キャンペーンでは(1)県民の地域への愛着意識向上(2)300件の地域からの企画提案(3)観光客満足度80%以上(4)年間宿泊者数785万人(09年比10%増)――の4点を目標に掲げている。

 大型キャンペーン期間中(12年度)は、300以上の体験プログラムなどの特別企画も実施する。各プログラムは「まなび」「食」「いやし」などのテーマ別にも広く紹介し、地域や目的などさまざまな切り口で福島の魅力を紹介する。目玉企画として、福島在住の作家・冲方丁さんの吉川英治文学新人賞受賞作「天地明察」を題材にした周遊ツアーも実施する。

 福島県では県下を3地域に分け、中通りの「うつくしま奥の細道『花・街・道』観光キャンペーン」、会津の「極上の会津観光キャンペーン」、浜通りの「うつくしま浜街道観光キャンペーン」の3事業を実施している。これら地域キャンペーンを柱に、特別企画で事業を盛り上げる。

会員増強に注力、外客対応が商売発展に

国際観光日本レストラン協会第54回通常総会

 国際観光日本レストラン協会(津田暁夫会長、241会員)は2月23日、東京都内で第54回通常総会を開いた。社会貢献活動を通した協会の認知度向上や、会員増強による協会の基盤強化、訪日外客が増加していくなかで対応の強化、公益法人制度改革に伴う一般社団法人認可への対応などを11年度の重点事業とした。

 津田会長は会員増強について「まだ実現できてはいないが都道府県に最低1軒の飲食店はある全国組織にして、会員間の親睦を深めていきたい」と語った。訪日外客への対応については、訪日外客の個人旅行客のうち57%が「食事が目的」と回答するアンケート調査結果をあげ「本物の料理を食べたいという方がいかに多いか。外客に対応できるようなメニューやサービスを何か1つでも備えて力を入れて行くのも商売発展につながるのでは」と語った。

 また、09年に協会創立50周年記念事業として夏休み期間に開催した親子体験食味大会は、10年も協会入会員の34店で開催し、583人が参加した。津田会長は「子供たちに日本の素晴らしい食文化に触れてもらい、さまざまなことを学び、食べ、体験してもらう会。マスコミにも多く取り上げられ、反響は大きかった。こういう活動を通して協会の認知度を高めていくのが一番。11年も継続実施していきたい」と語った。

MICE総研を設立、国際会議の誘致や企画など

 大型国際会議や展示、イベントや会議場の管理・運営を主な業務とする「コングレ」(隈﨑守臣社長、東京都)はこのほど「一般社団法人MICE総研」を設立、2月25日から事業をスタートさせた。

 コンベンション事業で培ってきたノウハウと経験を生かして、MICE事業の実態調査や研究、MICEの新商品や仕組みの開発に取り組んでいく。

 具体的には、国際会議・国内会議・展示会の誘致や資金計画、企画、立ち上げに関するサポート業務のほか、学会事務局業務の受託、学会事務局による学術会議の自主運営のコンサルティングなどを行う。

 〒102―0083東京都千代田区麹町5―1弘済会館ビル 電話:03(5216)5010、FAX:03(5216)5011。