三重県内は480億円に、伊勢志摩サミットの経済効果

 三重県はこのほど、5月26―27日に開催される伊勢志摩サミットに関わる直接的経済効果の中間試算結果を発表した。これによると、県内では約480億円、県外の591億円と合算し、全国では約1071億円の直接的な経済効果を見込んでいる。

 2008年に開催された洞爺湖サミットの事例を参考に、県内需要増加額を約391億円、県外は約105億円と想定。その増加額を産業36部門に分類し、試算した直接経済効果が県内で約332億円、県外は約153億円にのぼる。

 また、直接効果にともなう原材料などの購入による生産額である「第1次間接波及効果」は県内分が約85億円、県外分が約267億円と算出した。

 「直接効果」と「第1次間接波及効果」を通じて発生する雇用者所得のうち、新たに消費される民間消費支出の増加による「第2次間接波及効果」は県内分は約63億円、県外は約170億円と試算した。

 県内で経済効果の高い産業の1位は、建設業で258億1千万円。2位は不動産業で35億5千万円。

「安心安全な取引推進」、2年連続福島県内で開く(埼旅協業務懇談会)

浅子和世会長
浅子和世会長

 埼玉県旅行業協会(浅子和世会長)は3月29日、福島県・岳温泉の「陽日の郷 あづま館」で業務懇談会とセールス会を開いた。埼旅協、協定会員連盟(森田繁会長)、特別協定会員連盟(酒井禎一会長)の会員ら参加者は200人を超え、昨年の母畑温泉・八幡屋に続き、2年連続で福島県内での開催となった。浅子会長は「東日本大震災から5年が経過したが、福島県は原発事故の関係で復興が遅れている。少しでもお手伝いができれば」と開催地選定の経緯を説明した。

 さらに、「貸切バスの新しい運賃制度は、消費者感覚と乖離している面もあり、全国の会員からさまざまな要望書が全旅協本部に届いている。本部も国土交通省との間で議論を続け、少し先行きが見えてきたと思った矢先に、年始のスキーバスの事故が発生し、また振り出しに戻ったような状況」と話した。そのうえで、「国会でも『旅行会社が一番悪い』といった議員の声も聞かれた。二階俊博会長からもご説明いただき、理解をしていただいている」と報告した。

 さらに、浅子会長は「受入施設との間で安心安全な取引ができるように埼旅協では全旅クーポンで会員施設に送客した場合、報奨金制度も設けている。4月1日からは、㈱全旅は入会に際して補助金制度を用意しており、受入会員のためにも全旅クーポンでの取引を推進していきたい」と語った。

 全旅協の國谷一男副会長は、3月17日に鹿児島で開いた第11回国内観光活性化フォーラムは盛大な大会になったと報告し、受入会員に向けては「バスの運転手さんの安全運行のために、安心して休憩できる場所、静かに眠れる部屋のなどのご配慮をぜひお願いしたい」と述べた。

 講演会「かんたんマーケティング&『魔法の接客術』セミナー『選んでいただくために』」では“モヒカン”がトレードマークの接客コンサルタントの生駒俊介氏(エフ・エイ社長)が登壇。生駒氏は「魔法の接客術」の本質(5K)として、(1)価値観(2)感情(イメージ)(3)コト(ストーリー)(4)関係性の構築(5)感謝――に「感動接客」を加え、「人は、その人の価値観と感情によって、購買するかを決定している」と強調した。

戦国パーキングエリア

 NEXCO中日本は今年2月、新東名高速道路の新区間の開通にともない、戦国時代の合戦をモチーフにした「長篠設楽原PA(パーキングエリア)」をオープンさせた。

 愛知県新城市にある長篠設楽原PAは、戦国時代に武田軍と織田・徳川連合軍が争った「長篠・設楽原の戦い」の跡地に隣接している。そのことから上り線側は武田軍、下り線側は織田・徳川連合軍の本陣に見立てたデザインの施設になっており、下り線側には物見やぐらと馬防柵が再現され火縄銃も展示されている。施設内の土産物コーナーでは、刀剣や火縄銃などのレプリカまで販売している。

 新城市では、春から夏にかけて「長篠・設楽原の戦い」関連のイベントを多く開催するため、とくに戦国ファンには併せて楽しめるプランを提案したい。

【長谷川 貴人】

ガイド8人が入社、“上を向いて頑張って”(札幌観光バス)

8人がバスガイドとして入社
8人がバスガイドとして入社

 札幌観光バス(福村泰司社長、北海道札幌市)に4月1日、バスガイドとして採用された8人が入社した。福村社長は入社式で「バスガイドは観光を支える重要な人材。いつも上を向いて頑張ってほしい」と迎えた。

 同社は貸切バスの専業事業者として、バスガイドの育成に力を入れている。今回の入社で社員バスガイドは総勢28人、平均年齢は20・8歳になった。研修を経て5月中旬にはバスガイドとしての第1歩を踏み出すという。

国の登録有形文化財に、湯主一條の木造本館

風格ある木造本館
風格ある木造本館

 宮城県・鎌先温泉の温泉旅館「時音の宿 湯主一條」(20代目当主・一條一平氏)はこのほど、木造建築2棟と土蔵が国の登録有形文化財に指定された。木造建築の2棟は、宮城県内でも最大級の規模を誇る。一條家が代々守り継いでいる山(一條の森)からすべて切り出したスギ材を使い、通し柱を多用。また四周に廊下を配しているため、外観は端正だ。しっかりと作られているため、「東日本大震災でもびくともしなかった」(一條氏)という。 

 この木造本館は湯治場の客室として長い歴史を重ねてきたが、2008年の別館の客室総リニューアルに合わせて、木造本館は食事会場と変化した。現在は個室料亭「匠庵(しょうあん)」として、料理のテーマ「森の晩餐会」(月替わり)を個人客を中心に提供している。

 客室のある別館は快適な“現代”的な空間。露天風呂付客室一條スイートをはじめ、8タイプの部屋を選べる。食事は、別館の客室から「時の橋」を渡って木造本館へと“タイムスリップ”した気分を味わえるのが特徴だ。

 客室は24室、個室料亭24部屋。バーラウンジ有り。料金は1万6350円から(平日2人利用時の1人料金)。

 問い合わせ=電話:0224(26)2151。

“観戦客を観光客に”、神奈川県と相互連携(HIS)

(左から)黒岩知事、平林社長
(左から)黒岩知事、平林社長

 エイチ・アイ・エス(HIS、平林朗社長)と神奈川県(黒岩祐治知事)は3月29日、神奈川県内で共同記者会見を開き、2019年のラグビーワールドカップや、20年の東京オリンピック・パラリンピックなど、相互の連携を強化しインバウンド観光を戦略的に推進していくための協定を締結した。この協定により今後両者は(1)観光資源の発掘・磨き上げ(2)海外PRの展開(3)インバウンドツアーの企画・販売(4)観光人材の育成――を行っていく。

 黒岩知事はインバウンドツアーの企画・販売について、ラグビーワールドカップ2019の観戦者を観光客として同県に迎え入れるため、〝1千本のスペシャル観光ツアー〟に取り組んでいくことを発表。「神奈川県には横浜や鎌倉だけではなく、三浦半島や大山など第4の観光地になれる場所が多くある。また、地元の生活感を体感できる商店街や市場なども豊富なので、まだ知られていない場所をツアーに組み込みPRしていきたい」と述べた。

 平林社長は、神奈川県の15年の訪日外国人延べ宿泊者数が前年比51・7%増の217万2550人泊で、全国9位であることに触れ、「今後の数値目標として、延べ宿泊者数を全国5位くらいにできるように努力していく」と意気込みを語った。

 なお、HISは県の行政実務研修員制度を活用し、日本人職員1人(1年間)とベトナム人現地職員2人(半年間)を神奈川県に派遣。県行政の理解を深めた社員の育成をはかる。

東京五輪運営の中核に、3社が公式パートナー(JTB 、KNT―CT、東武トップツアーズ )

(左から)戸川社長、森会長、髙橋社長、坂巻社長
(左から)戸川社長、森会長、髙橋社長、坂巻社長

 JTB(髙橋広行社長)、KNT―CTホールディングス(戸川和良社長)、東武トップツアーズ(坂巻伸昭社長)の3社はこのほど、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにおいて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(森喜朗会長)と、東京2020大会オフィシャル旅行サービスパートナーとしての契約を締結した。今後3社は同大会運営の中核となる、代表選手団・関係者の宿泊手配や、国内パッケージツアーの販売などに取り組む。

 髙橋社長は、今年8月に開かれるリオデジャネイロオリンピックの閉会式において、〝東京〟とコールされた瞬間から一気に、訪日外国人観光客の注目が日本に集まると言及。「観戦に来る訪日外国人の方々を、〝おもてなしの心〟で迎えたい。また、東北の復興した姿を見てもらいたい」とし、2社と連携し、オールジャパン体制で東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げていくと決意を新たにした。

 坂巻社長は、日本政府が年間訪日外国人旅行者数を「20年に4千万人」とする新たな目標を掲げたことについて触れ、「東京オリンピック・パラリンピックは日本が世界に誇る伝統文化を発信するいい機会になる。また、日本人も日本の良さを再発見できる」とコメント。また、戸川社長は「20年は、多くの人にとって忘れられない年となる」と伝え、ユニバーサルツーリズムの専門部署を持つ同社グループのノウハウを活かし、多くの人が楽しめる国内観戦ツアーの構築に尽力すると伝えた。

 今回の3社との契約により、東京2020オフィシャルパートナーは32社に増加。同組織委員会の森会長は「3社にはスポンサー企業というだけではなく、パートナーとして一緒に東京オリンピック・パラリンピック成功のために、協力をお願いしたい」と期待を込めた。

就業体験で国の奨励賞、南三陸ホテル観洋が受賞

松島高校の就業体験
松島高校の就業体験

 宮城県・南三陸温泉の南三陸ホテル観洋は、文部科学省主催の2015年度「青少年の体験活動推進企業表彰」で審査委員会奨励賞を受賞した。表彰各賞で33社が選ばれたが、宿泊業での受賞は同館が唯一。

 企業が社会貢献活動の一環で実施した、青少年の体験活動のなかから優れた取り組みを表彰するもの。震災後に取り組む中・高・大学生を対象にしたホテル就業体験が評価された。とくに昨年7月は、宮城県松島高校の生徒8人が、1カ月間に渡る長期実習に臨んだ。実際の勤務時間に則り、清掃、給仕、接客業務を行ったほか、震災を風化させないために運行を続ける「語り部バス」への乗車や、地元に点在する商店を紹介する「南三陸てん店マップ」の取材活動なども経験した。

 同館はこれまで、地元中・高校の短期研修から県外大学のインターンシップなど、400人以上の実習を受け入れている。

岩手県北自動車、2つの定観バス運行

ボンネットバス運行日も
ボンネットバス運行日も

 岩手県北自動車(岩手県盛岡市)は今春から盛岡や周辺観光地を巡る定期観光バスの運行を2コースで開始、懐かしいボンネットバスでの運行日もある。

 「懐かし通り 城下もりおか号」(大人2千円、子供1千円)は盛岡駅を午前9時に出発。南部古代型染の「小野染彩所」、石川啄木が新婚時代過ごした「啄木新婚の家」、国指定重要美術品の上の橋に施された擬宝珠、古い商家などの風景が残る紺屋通りを見学、午後12時20分に盛岡駅に戻る。紺屋通りでの2時間はフリータイム。運行日は4月29日―9月30日の土曜・日曜・祝日(5月5日までと6月23日―7月5日、10月2―10日は毎日運行)。また、ボンネットバスの運行日は4月29日、5月1、3、5、7、15、21、29日、6月11、19、25日、7月2、10、17、18、24、30日、8月13、20、21、28日、9月3、10、11、25日。

 「もりおか酒蔵・鉄器・町屋と小岩井号」(大人3千円、子供1500円)は午後1時40分に盛岡駅を出発。盛岡の酒蔵「あさ開」で専門ガイドによる案内付きで工場見学の後、大慈寺界隈を散策。その後南部鉄器工房でショッピングを楽しみ、小岩井農場に向かう。ここで約45分見学し、午後5時35分に盛岡駅に戻る。

 運行日及びボンネットバス運行日は「懐かし通り 城下もりおか号」と同じ。

 2コースは午前、午後に分かれているので、1日かけて盛岡観光を楽しむこともできる。

 大阪府泉佐野市の「関西エアポートワシントンホテル」(東京都文京区)が3月14日に東京地裁に申請していた特別清算が、17日に決定した。東京商工リサーチによると、負債は約28億8700万円で、親会社からの借入金が大半を占める。

 同社は、東証1部上場のホテル・レジャー施設経営大手「藤田観光」(東京都文京区)の100%子会社として設立され、2000年4月に開業した「関西エアポートワシントンホテル」の運営を手掛けていた。関西国際空港の入口にあたる「りんくうタウン」の立地や、「ワシントンホテル」の知名度も生かし、14年12月期には売上高約18億7500万円を計上していた。

 しかし、「りんくうタウン」自体の集客力が低迷するなか、同社の業績も想定を下回り、同期には33億9200万円の債務超過に陥っていた。こうしたなか、藤田観光グループ組織の再編が行われ、16年1月1日付で関連会社の藤田ホテルマネジメント(現:WHG関西、京都府京都市)に全事業を譲渡し、同社は1月28日付で株主総会の決議によって解散していた。

 なお、「関西エアポートワシントンホテル」はWHG関西が継続して運営している。

No.427 ANTA国内観光活性化フォーラム、地域と連携し強い絆を

ANTA国内観光活性化フォーラム
地域と連携し強い絆を

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は3月17日、鹿児島県鹿児島市の鹿児島アリーナで「第11回国内観光活性化フォーラムinかごしま」を開いた。地域と旅行会社が現地で直接交流し強い絆を結ぶことにより、地域に根差した着地型旅行商品”地旅”を創出する機会を作りやすくするという交流型イベントだ。18日には㈱全旅主催の「第2回地旅博覧会inかごしま」も開かれ、両日で記念講演や表彰式、ブース出展などさまざまな催しが行われた。

【丁田 徹也】

 
 
 
 主催者あいさつで二階会長は地旅(着地型旅行)の取り組みについて「心と心が通う旅行商品」を創り出すことの重要性を訴えた。「魅力ある旅行商品を販売していくためには、ますます各地域の皆さんとの交流が必要だと考えている。地元の行政や観光関係者と連携を取り、地域の歴史・文化・資源・食材などの特色を活かした新たな旅行商品を作り、ANTAのネットワークを活かして送客する着地型旅行――“地旅”を創り出すために、常に知恵を絞っていかなければならない」と力説した。

 ANTAは2003年から「国内旅行活性化フォーラム」を全国で展開し、着地型旅行をPRしてきた。二階会長は「フォーラムを通じて地元の観光関係者とANTA会員、海外からの旅行関係者が強い絆で結ばれてほしい。皆様と絆を結び、国内観光の活性化や地域振興に努め、旅行業界の発展に寄与していきたい」と意気込んだ。

 鹿児島県知事の伊藤祐一郎氏は鹿児島来県を歓迎し、「日本初の世界自然遺産の屋久島や活火山の桜島、良質な温泉、豊かな食材など多彩な魅力にあふれ、お越しいただいた方に最高の思い出を提供できる」と県の魅力をPRした。

 18年に明治維新から150年の節目を迎えるに当たり、同県は大規模イベントを控えるほか、奄美・琉球の世界遺産登録に向けた活動を進めるなど、観光への取り組みが一段と進んでいる。伊藤知事は「多様化する観光客のニーズに対応した着地型観光を進め、鹿児島の魅力を国内外に広く発信する。鹿児島県は第1次産業と観光業を明確に産業の柱としている。観光業の進歩は鹿児島県の発展そのものでもあるので県としても精いっぱい力を入れていく」と地旅への期待を語った。…

 

※ 詳細は本紙1624号または4月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。