秋葉原で記念イベント、免税店シンボルマーク使用開始

秋葉原で記念イベント
秋葉原で記念イベント

 観光庁が創設した「免税店シンボルマーク」を活用した情報発信に取り組む輸出物品販売場等税務懇話会(阿部英行会長)は1月31日、同マークの使用開始に合わせ、外国人旅行者が多数訪れ同マークを掲示する秋葉原電気街で「免税店シンボルマーク使用開始記念イベント」を行った。

 阿部会長は「日本と海外では免税制度が異なる。海外では税込価格で購入し出国時に還付を受けるのが主流だが、日本では購入時に免税を受けられるので、持っているお金をすべて買い物に使える」と日本の免税制度の利点を強調。「この良い制度をもっと情報発信するため、免税店シンボルマークを全国の免税店に掲げ、分かりやすく発信していきたい」と語った。

 来賓の篠原康弘観光庁審議官は「2千万人の高みを目指すには、外国人旅行者に便利な環境を整えていくことが必要。日本でしたいことのトップにショッピングが挙がり、これまで免税の対象外だった化粧品や食料品なども含め、10月から対象品目が拡大されるので、免税店とシンボルマークを全国に広め、アピールしていきたい」と語った。

 同マークは外国人旅行者の消費税免税の対象品目が全品目に拡大されたことを受け、免税店のブランド化と認知度向上を目指し創設。4月には、観光庁が同マークを掲げる免税店リストを取りまとめ、日本政府観光局(JNTO)のホームページで国内外に発信する。

「旅館と酒蔵」座談会、にいがた地酒の宿で誘客へ(新潟県旅組青年部)

意見交換会のようす
意見交換会のようす

 新潟県旅館ホテル組合青年部(荻野光貴部長)は1月29日、新潟県・弥彦温泉の四季の宿みのやで、新年会を開き、昨年からスタートした「にいがた地酒の宿」プロジェクトでタッグを組む同県酒造組合青年部の新星会、にいがた美醸主宰の村山和恵さんと「旅館と酒蔵の取り組むべき課題」をテーマに意見交換を行った。

 村山さんは「新潟の酒はもたれないので、長く楽しい時間を過ごすことができる」と前置きしたあと、「お客が自由に楽しめる仕掛けが必要。女性客の立場では酒器が自分で選べたらうれしい」と語った。

 新星会のメンバーからは「にいがた地酒の宿の話を耳にしたとき、日本酒が観光誘客のツールになると認めてもらえ、うれしかった」「新潟の酒は淡麗で飲みやすい」「新潟の仕込み水は軟水なので飲み飽きすることなく女性受けする」などの意見が出た。

 旅館側からは「今後増加する外国人旅行客に日本酒は重要なアイテム」「宿泊客と接する仲居さんが日本酒について知らないことが多い。仲居さん向けの勉強会も必要」「提供する日本酒の瓶の容量をもう少し小さいものが作れないのか。さまざまな種類を味わってほしいが今の容量だと飲み比べが難しい」「旅館が新潟92の酒蔵を活かしきれていなかった」「工場長や杜氏さんも表に出てこだわりをお客に伝える工夫をしてほしい。例えばなぜこの瓶の色なのか、なぜこのラベルなのか。そうしたストーリーも関心を集める要素」などの発言があった。

 意見交換の最後に村山さんは、「提供する側が良いと思うこと、宿泊客が良いと思うこと。この差をなくすことが重要で、ソフト面が切り札。今一度自分たちがズレていないか、そして個々のニーズに対応できているか考えてほしい」と結んだ。

 「にいがた地酒の宿」プロジェクトは新潟の地酒を提供し、県内産の食材を使った地酒に合う献立、プランを旅館・酒蔵が一緒に開発していくもの。昨年3月にスタートしたが両者が一堂に会しての意見交換会は初めてで、荻野部長は「さまざまな意見を出し合えた。今後も継続していきたい」と話している。

カジノの学会設立、産業の正確な情報を啓発

ロケーション・エンタテインメント学会が設立
ロケーション・エンタテインメント学会が設立

 国内外の有識者が発起人メンバーとなり、カジノを核とする大型複合施設とIRに関する調査・研究を目的とした「ロケーション・エンタテインメント学会」が設立した。

 同学会事務局となる金沢工業大学は、2011年に米国、韓国のカジノ企業を交え、産学協同の協議会「ロケーション・エンタテインメント研究協議会」を設立。合法化を直前に控え、活動活性化のため「ロケーション・エンタテインメント学会」として発展させ、有識者による研究を進めていく。

 1月22日に金沢工業大学虎ノ門キャンパスで開かれた記者会見で、佐藤仁会長は「カジノ法案が通れば、法律、経営、観光資源としての統合マーケティングなどカジノ産業の学識を持った専門家が必要になる。これまでのノウハウが少しでも役に立つのであればと思い立ち上げた」と学会設立の意図を説明した。北谷賢司副会長は「近年増えている中華系の海外旅行客はカジノに対して関心が高い。東アジアからの観光客誘致拡大にはカジノなどの大きなアトラクションが足りない。観光立国に向けた競争力強化や経済成長の起爆剤として役立つ」とカジノ産業の利点を語った。今後は、3―4カ月ごとにシンポジウムやセミナーを開き、カジノやゲーミング産業の正しい情報の啓発活動、海外からの問い合わせ対応や情報交換などを行っていく。

 アジア人はゲーム好き
 税率と設置数が鍵

 その後、「激変するカジノ産業 アジアにおける成功例から考える、日本のカジノ創設と展望」と題した設立記念シンポジウムを行い、パネルディスカッションでは、それぞれの立場からカジノ産業について語られた。カンボジアでカジノを経営するGoodLuck9 Casino & Hotel Presidentのアン・ユンモ氏は、「以前はカジノがゲームをするためだけの場所だったが、現在は家族や会社の同僚、恋人などと一緒に楽しむ方向へ変化している」との見解を述べ、「総合エンタテインメントが含まれる複合リゾート」とした。

 Global Gaming for MGM Resorts Internationalの元社長でカジノ経営に詳しいロイド・ネイサン氏は、「アジアの人はゲーム嗜好が高いので、カジノ産業はしばらく成長を続けるだろう」と展望を語った。立法化を目前に、すでに外資が日本国内でオペレーションを始めており、日本のマーケットを利益性高い市場になると見ているとの分析を紹介。日本でのカジノの成否のカギに(1)税率(2)設置カ所数――の2点を挙げた。

 シンガポールでは2カ所に限定し、25億円の投資で豪華なカジノを設営。ネイサン氏は、「もし、1億円ずつの投資で25カ所に作っていたら、客の奪い合いで失敗していた。どのくらいの規模のものを何カ所造るかを決めるのが先決」と助言した。

 学会発起人メンバーは次の各氏。

 【会長】佐藤仁(東急レクリエーション社長)【副会長】北谷賢司(金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所所長、エイベックス・インターナショナル・ホールディングス社長)【理事】千代勝美(エフエム東京社長、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所客員教授)▽北山孝雄(北山創造研究所代表、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所客員教授)▽ロイド・ネイサン(英国/米国カリフォルニア州弁護士、Global Gaming for MGM Resorts International元社長)▽鎌田正彦(SBSホールディングス代表)▽秋山弘志(東京ドーム顧問、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所客員教授)▽中村規脩(オークローンマーケティング相談役共同創始者)▽林和男(ぴあ特別顧問共同創始者)▽三枝利行(東急不動産常務)▽和田史久(GoodLuck9 Casino & Hotel会長)▽清水太郎(シミズオクト社長)▽多田宏行(前三井不動産S&E総合研究所所長、東京藝術大学講師)▽金山勉(立命館大学国際部副部長教授)▽村井好博(金沢工業大学理事、産学連携機構事務局長)【監事】大橋卓生(虎ノ門協同法律事務所弁護士、金沢工業大学虎ノ門大学院准教授)【事務局長】泉屋利吉(金沢工業大学虎ノ門大学院事務室長)

新社長に松田氏、生井社長は会長に(阪急交通社)

松田誠司氏
松田誠司氏

 阪急交通社は2月3日、4月1日付で取締役常務執行役員・西日本営業本部長の松田誠司氏が社長に就任すると発表した。生井一郎社長は会長に就任する。

 阪急阪神ホールディングス体制の中核会社として1年が経過し、旅行事業の目途が経ったことやブランド「トラピックス」が25周年を迎えたことなどから、さらなる成長に向けて経営管理体制の強化をはかる。

 松田 誠司氏(まつだ・せいじ)。1977年関西学院大学経済学部卒業。同年阪急交通社入社。2007年、執行役員・旅行事業本部九州営業本部長、09年取締役執行役員・九州営業本部長などを歴任。12年から現職。

クルーズせとうちセミナー、「寄港地連携で、過ごし方のバリエーション拡大を」

「クルーズせとうち」セミナーを開く

神戸、宇野、高松、広島、門司の5港

 瀬戸内海に面する神戸港、宇野港、高松港、広島港、門司港の5港は1月27日、東京都千代田区の都道府県会館で「クルーズせとうち」セミナーを開いた。今年3月に国立公園指定80周年を迎える瀬戸内海は、美しい海岸線や多島美など内外のクルーズ客船にとっても人気のエリア。それぞれの寄港地が連携して、過ごし方のバリエーションを広げる必要性などが語られた。

 セミナーでは、主催者を代表して山村昭神戸市みなと総局振興課長が「魅力あるクルーズを通じて、1人でも多くの人に瀬戸内海の素晴らしさを知ってほしい」とあいさつした。続いて、5港の担当者が(1)日本の伝統文化と体験(2)歴史と郷土料理を堪能(3)愛とロマンスの地を訪ねて――の3つのテーマで瀬戸内海の魅力を紹介した。

 伝統文化と体験では、神戸港は「灘の生一本」で知られ、「日本一の酒どころ」として酒蔵巡りや、六甲山からの1千万ドルの夜景、有馬温泉などを提案。宇野港は備前焼陶芸体験などを紹介した。高松港は日本一の産地として知られる香川の松盆栽や、直島女文楽、広島港は原爆ドーム・平和記念公園など、門司港は小倉織のふろしき体験などをPRした。

 グルメでは、神戸港は神戸に集まる世界の多国籍料理や、洋菓子、神戸ビーフなどを紹介。宇野港はばら寿司、ママカリ寿司、そして果物王国岡山のフルーツ、高松港は讃岐うどん、広島港は広島お好み焼き、門司港はいわしや鯖などをぬか味噌で炊いた「じんだ煮」などを薦めた。

 また、クルーズ商品を主に取り扱うマーキュリートラベル社長の東山真明氏は旅行会社の視点から、「大型クルーズ船客に比べ、小型クルーズ船客の方が、ショッピングよりも歴史や文化に対し強い関心を持ち、『クオリティーの高い上質な船旅』を求める傾向がある」と述べ、「寄港地の過ごし方にバリエーションが不可欠。上質な洋上ライフに加え、トータルで考えられた寄港地の楽しみ方が充実すれば最高の船旅となる。5つの寄港地の連携が必要」と強調した。

 日本クルーズ客船東京支店営業部長の岸本正則氏は世界にも誇れる多島美をはじめ、橋、朝焼け・夕焼け、夜景の美しさなどを映像を交えて紹介した。

OTOA九州支部が大分でワークショップ開催

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)九州支部は2月19日、大分県大分市・ホルトホール大分でワークショップ(商談会)を開く。これまで、九州・沖縄地区で12回同様のワークショップを開いてきたが、大分での開催は初。政府観光局や各企業がブースを出展し、現地の最新情報が収集できる。

 時間は午後1―4時30分。時間内の好きな時間に立ち寄れる。出展企業はOTOA九州支部会員が14社、政観含むその他企業は10社の予定。

参加希望者は以下のURLから申込書をダウンロードし、
申し込む。
URL=(http://www.otoa.com/topics_detail.php?serial=224)。

1.開催日時: 平成26年2月19日(水曜日)13:00~16:30(予定)

2.開催場所: ホルトホール大分
        住所:〒870-0839 大分市金池南一丁目5番1号
        TEL :(097)576-7555
        アクセスマップ:http://www.horutohall-oita.jp/access

宿や街のデザイン ― つくり過ぎず、どこか懐かしい

 オートバイにはさまざまな呼び名がある。オートバイと呼ぶ人もいれば、バイクと呼ぶ人もいる。でも、私が好きな呼び名は「単車」である。まったく個人的な印象だが、バイクという呼び方は、語感的にファッション性を含んだ少しお洒落な感じがする。オートバイはもう少し“野性的なイメージ”を連想させる。そして、「単車」はチャラチャラした装飾的なものを一切排除した、無骨に鈍く光る、黒い鉄の塊りが思い浮かぶ。

 私が生まれた街は、九州の小さな海辺の工業地帯。幼い私はセメント工場で働く母方の祖父の黒い単車に乗るのが好きだった。鉄パイプがむき出しになった埃舞う工場群や、工業用のダムに単車で連れて行ってもらった。父の単車にもよく乗せてもらい、海岸線を走った記憶がある。高校生になった私は父に黒い単車を買ってもらい、山の上の高校まで単車で通った。

 祖父や父はオートバイを「単車」と呼んだ。華美さの欠片もない北九州に生まれ育った男たちの「単車」という呼び方は、妙にしっくりくるのだ。このような経験があるからか、ときどき「単車」が無性に欲しくなるときがある。

 クルマやオートバイを選ぶ際、デザインは重要な要素である。そしてデザインを目にするとき、人は各々が経験してきた過去の記憶と無関係ではない。

 モーターショーに出展される「コンセプトカー」は、未来だけを見据え、実験的に機能やデザインが作られているので、どこか地に足が付いていない印象を受けるし、そのまま街を走ったら目立つだろうが、現実感がなく存在が浮いてしまう。

 過去を切り捨てた極端な未来的なデザインは、記憶の切断であり、目新しくはあるが、その代償として空虚さが生まれる。そして未来的なデザインは、基本的に流線形であり、フェイスの尖り具合など、どこか杓子定規的であり、多様性よりも、同質的な匂いが強いのである。私が思う優れたデザインは、曲線や直線の中に言葉では説明できない、少し感傷的な、懐古的な幸せな記憶が隠されている。ほどよいセンチメンタリズムの母体に包まれながら、近未来の“謎に満ちた”未知なる世界に突き進むスリル感に、少なくともオトコたちは、胸を躍らせ、のめり込んでいくのだ。

 都市もそうである。レトロ感にあふれるパリの街並みは、完成された華やかな芸術作品のように美しいが、しばらくそこにいると、私なぞは少し息苦しさを感じる。抑制美が効いたロンドンやニューヨークの方が落ち着く。懐古調と未来志向の調和によって心地よい気分になるのだ。

 一方、ガラス張りの高層ビルが歴史のない場所に忽然と現れた未来志向の街並みは、少し歩くと疲れて飽きてしまう。

 旅館も、さまざまなコンセプトを前面に出すのはいいのだが、「つくり過ぎる」と逆に落ち着かない。「もう少しデザインが抑制されていればいいのに」と思うことがある。有名建築家や、流行りの建築デザイナーが手掛けると、自己主張を垣間見せ、それが少し鼻に突く。宮大工のように、いい仕事をしながら、妙な個性を主張したりしない職人が作る世界の方が好きだ。新しいのにどこか懐かしい。そして、つくり過ぎず、抑制の効いた街並みや宿が、多くの人々を永続的に魅了するのだろう。

(編集長・増田 剛)

No.361 「ピンクリボンのお宿」シンポin指宿 - 安心して宿に泊まれるように

「ピンクリボンのお宿」シンポin指宿
安心して宿に泊まれるように

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・福島県穴原温泉 匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は2013年12月16日、鹿児島県指宿市の「ホテル秀水園」で第2回ピンクリボンのお宿シンポジウムを開いた。NPO法人HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみさんの基調講演や会員の大正浪漫の宿京都屋(佐賀県・武雄温泉)の女将・前田明子さんの活動報告、4氏が登壇したパネルディスカッションを行い、各温泉地での取り組みや、行政などとの連携の必要性について意見を交わした。

【市沢 美智子】

 
ピンクリボンのお宿ネットワーク・畠ひで子会長
「期待の大きさを感じている」

ピンクリボンのお宿ネットワークの会員数は現在、宿泊施設90、団体会員7、企業会員15、個人2の計114会員。

 シンポジウムの冒頭で、畠ひで子会長は「2012年7月の設立以来、会員数は設立当時から倍以上になり、昨年の10月に発行された2014年版のピンクリボンの冊子が13年版に比べページ数が増えた」とし、「期待の大きさを感じている」と思いを新たにした。さらに、「12年12月には、新潟県・瀬波温泉の夕映えの宿汐美荘で第1回シンポジウムを開催。13年7月3日には東京で総会を開き、長野県・渋温泉の湯本旅館の湯本英里女将などの事例発表を聞き、自らが、がんを体験し、それでも生き生きと前向きに女将業をしている姿に、勇気をいただいた」と振り返った。

 

※ 詳細は本紙1533号または2月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

観光立国加速へ首相が指示、「行動計画」の6月改定へ(観光立国推進閣僚会議)

第4回国交省観光立国推進本部
第4回国交省観光立国推進本部

 安倍晋三首相が主宰する観光立国推進閣僚会議の第3回が1月17日に開かれ、安倍首相から、各省の大臣・副大臣・政務官へ、「2020年に向けて訪日外国人数2千万人の高みを目指す」ことや、外国人旅行者に不便な規制や障害の洗い出し、施策の速やかな実行、「アクション・プログラム」の改定など、政府一丸となって観光立国を加速するよう指示が出た。

観光立国実現へ力を込める太田昭宏国交大臣
観光立国実現へ力を込める
太田昭宏国交大臣

 今後は、関係省庁の副大臣や政務官レベルで構成される「観光立国推進ワーキングチーム」での検討を直ちに開始。5月まで有識者の意見も聞きながら検討し、6月の「アクション・プログラム」改定を目指す。太田昭宏国土交通大臣は改定内容について、2020年東京五輪を見据えて(1)ビザ要件のさらなる緩和(2)災害時の外国人旅行者の安全確保(3)多言語表示(4)無料公衆無線LAN環境の整備(5)出入国手続きの迅速化と円滑化――などの施策を挙げ、関係閣僚に協力を呼びかけた。

 そのほか、各省庁からも発言があり、谷垣禎一法務大臣はクルーズ船審査の一層の合理化など出入国管理法改正の次期通常国会提出への検討について触れ、岸田文雄外務大臣はさらなるビザの要件緩和や魅力ある日本の発信の重要性を強調した。甘利明内閣府特命担当大臣は1月中にまとめられる成長戦略関連施策の実行計画や今後の検討方針に、観光関連も位置づける意向を語り、稲田朋美内閣府特命担当大臣は京都が皮切りの「地方版クールジャパン推進会議」を開始したことを報告した。江藤拓農林水産副大臣は食文化発信への尽力を語り、上野通子文部科学大臣政務官は東京五輪に向けて全国各地で文化芸術の交流イベントを開き、日本を「文化芸術立国」として発信していくことを紹介した。

 その後に開かれた第4回国土交通省観光立国推進本部で太田国交大臣は「東京五輪はインバウンド推進の強力な追い風。この機を逃さずに、今年を2千万人の高みを目指す新たなスタートの年としたい」と力を込め、観光立国が国交省の最重要課題の1つと認識し、施策を速やかに実行するよう指示した。高木毅副大臣は航空環境の充実や入国手続きの円滑化、訪日外国人の延べ滞在日数の長期化などの課題を挙げ、「外国人観光客にたくさん日本でお金を使ってもらい、それを日本の成長につなげなくてはいけない」と語り、「東京だけでなく、全国各地で外国人観光客の恩恵を受けられるような仕掛けが必要」と問題提起した。

農観連携の協定結ぶ、観光庁と農林水産省

農村振興局・小林次長(左)と久保長官
農村振興局・小林次長(左)と久保長官

 観光庁は1月17日、農林水産省と「農観連携の推進協定」を結んだ。農山漁村の魅力と観光需要を結びつける取り組みを推進し、農山漁村の活性化と観光立国の実現をはかるのが狙い。推進協定は農林水産省農村振興局の三浦進局長と観光庁の久保成人長官名で交わした。

 これまでも両者はさまざまな連携をしてきたが、和食の文化遺産登録や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定で日本への注目が集まるなか、訪日外国人2千万人に向け、日本ブランドの確立を目指して協定を締結した。

 同日開いた共同会見で久保長官は「国として初めて『農観連携』という言葉を使ったが、農業と観光との連携が中央の役所だけではなく、日本の地域の隅々で当たり前のものになってほしいという願いを込めた」とし、「(協定の)かたちを取ることで恒久的な連携ができ、事務レベルなどさまざまな段階で場を設けることが可能になる。また、課題を明記することで、取り組む分野がはっきりする」と協定の目的や意義を説明した。一方、農水省農村振興局の小林祐一次長は「昨年12月、総理大臣を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部で、地域の活力創造プランが決定された。このなかで、美しく活力ある農山漁村の実現に向け、関係省庁が連携して取り組むためのグランドデザインが示された」と経緯を報告。「観光庁の目指す観光立国や農水省の目指す農山漁村の活性化はオールジャパンでの体制が必要。協定締結をキックオフとしてお互いに知恵を絞りたい」とし、協定が全国の関係者への大きなメッセージになると語った。

 推進協定では当面の課題として、農林漁業体験等のグリーン・ツーリズムと他の観光の組み合わせによる新たな観光需要の開拓や、訪日外国人旅行者を農山漁村へ呼び込むための地域資源の発掘・磨き上げと受入環境整備、プロモーションの推進など6項目をあげた。