リョケン、経営改善計画を支援 オンラインセミナー開く

2021年7月2日(金)配信

支援事業を説明するセミナーのようす

 リョケン(佐野洋一社長)は6月18日(金)、「経営改善計画策定」のオンラインセミナーを開いた。国の経営改善計画策定支援事業の内容や制度について、リョケンが計画策定を支援した企業の事例を交えながら、コロナ禍で業況の改善や課題を抱える参加者に説明した。

 経営改善計画策定支援事業とは、国が認める専門家の支援を受けて経営改善計画を策定する場合に、専門家(認定支援機関)の支払い費用の3分の2(上限200万円)を国が補助するもの。認定支援機関を活用して金融機関の返済条件などを変更することで、資金繰りを安定させながら業況の改善や金融支援の更改など、中長期的な経営戦略を再構築できる。

 認定支援機関であるリョケンの岩城雅郁研究員は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経営環境の悪化状況や、経営者が抱えている悩みなどの調査結果を紹介。認定支援機関の中でリョケンを介する利点について、岩城氏は「旅館・ホテル業界の経営や業務運営改善支援で数多くの実績がある。数多くの成功事例から、お客様の状況に応じた最適な改善策を提案できる」と強調。「経営上の課題を経営者とともに検討し、対応策の実施に向けて支援する。将来の方向性をともに考え、中長期経営計画の立案をサポートする」と意気込んだ。

 最後に同社の支援事例の一例として、客室数100室で平均基本宿泊単価1万円の大規模旅館での事例を紹介した。

 リョケンは、同旅館からコロナ禍で主力だった団体客の減少で売上も減少傾向となり、コストの上昇や債務超過などの相談を受けたと説明。そこで経営改善計画の策定を協力し、経営ビジョン、月ごとの販促やコスト管理のための活動を明確化した。これにより、金融機関の信頼が得られ、金融スキームの変更が受けられたほか、計画策定時は各部門長の意見を反映したため、責任意識が醸成されたなど、業況の改善や課題解決に向けて進展した成果を披露した。

「観光革命」地球規模の構造的変化(236) 自由で開かれたインド太平洋

2021年7月2日(金) 配信

 G7サミット(先進7カ国首脳会議)が英国で2年ぶりに開催された。米国第一主義のトランプ前大統領は欧州勢と対立したが、国際協調主義を標榜するバイデン大統領の登場でG7がどのように変化するか注目された。

 今回のG7で最大の焦点になったのは中国問題であった。米英日は中国の覇権主義に厳しく対峙する姿勢を示したが、独仏伊は中国との経済関係を良好に保ちたいために両陣営の間の温度差が明瞭になった。

 しかし、G7は民主主義や人権尊重を重視しているために首脳宣言では中国に厳しい意見が盛り込まれた。新疆ウイグル自治区や香港での人権尊重、東・南シナ海の現状への深刻な懸念、台湾海峡の平和の重要性を強調、両岸問題の平和的解決など踏み込んだ意向が組み込まれた。

 今回、中国の覇権主義を牽制するために「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の重要性が首脳宣言で明記された。議長国の英国は豪印韓南アの4カ国を特別招待して、FOIPの重要性を演出した。さらに中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗して、発展途上国に対するインフラ整備のための投資に言及した点も注目されている。

 中国はG7の首脳宣言で人権問題だけでなく、台湾問題やFOIPが強調されたことに対して強い遺憾の意を表明しており、今後の中国の出方が注目される。中国を牽制しつつ、深刻な紛争が生じないように最大限に尽力するのは日本の役割になるが、日本の外交力は万全であろうか。

 G7の首脳宣言で「香港での人権尊重」が明記されて間もなく、中国共産党への批判的姿勢で知られる香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」の幹部が逮捕され廃刊に追い込まれた。中国の習近平指導部はG7による批判にも拘らず、香港で人権抑圧を強化している。

 コロナ禍についてはワクチン接種の進展で数年の内に沈静化が可能であるが、中国共産党政権による覇権主義はより強化される可能性が大である。ポストコロナにおける国際観光復興に向けて最大の不安定要因は中国の覇権主義であり、FOIPによる抑止力が重要になる。日米同盟を基調にしつつ、FOIPとの関係を援用し、なおかつ日中関係を良好に維持する困難さを抱えながら、日本は未来を無事に切り拓いていけるだろうか。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

水に入るミュージアムと花と一体化する庭園 7月2日からチームラボTOKYOに新エリアがオープン

2021年7月1日(木) 配信

Floating Flower Garden

 チームラボプラネッツ TOKYO DMM(東京都江東区)に7月2日(金)、「Garden Area」がオープンする。新しく1万3000株を超えるランの花や本物の苔を使用した庭園作品が加わり、「水に入るミュージアムと花と一体化する庭園」となる。チームラボの猪子寿之代表は、「都会の中で、何か新しい庭園体験を創りたかった」と両作品への思いを語った。

 Floating Flower Gardenは本物の着生ランを使用したアート作品で、鑑賞者が近づくと花が上昇を始め、ゆっくりと道を形成する。この道を奥に進んでいくと、後方の花がゆっくりと下降し、自身が花と一体化する没入体験が楽しめる。種類ごとに、パートナーの昆虫の行動に合わせて香りの強くなる時間が異なるため、朝、昼、夜と刻々と空間の香りが移り変わっていくのも特徴だ。

呼応する小宇宙の苔庭

 呼応する小宇宙の苔庭は、広い苔庭に銀の卵形体オブジェが無数に置かれた作品で、日中と日没後で作品の表情が変化するところがポイントだ。日中は、オブジェを軽く押して音を鳴らし、この音がほかのオブジェに呼応するようすを楽しむ。一方、日没後に光る同オブジェを軽く押すと、ほかのオブジェも音を出しながら色が変化していくようすを見ることができる。

〈観光最前線〉動かされながら鑑賞する

2021年7月1日(木) 配信

鳥獣戯画 甲感(明治時代の模本)

 トーハク(東京国立博物館)の国宝「鳥獣戯画」展に。甲・乙・丙・丁、4巻、全場面が観られる貴重な機会。本体と切り離され、掛軸などに仕立て直されて伝来した断簡や、原本では既に失われた場面を留める模本も展示するという、贅沢な展覧会だった。

 同絵巻は、作者も、描かれた当時の姿も、何もかもが謎に包まれている。正しい場面展開すら分からないので、解釈も難しい。

 今回は、有名な甲巻を動く歩道に乗って鑑賞するという、不思議な体験も。有名な絵は誰も彼もが長時間滞在するうえに、空いた隙間に後から人が入ってくるから、観る前に疲れてしまうのが難点だった。もっとゆっくり堪能したいと思う反面、効率的に観られるから悪くない。新しい鑑賞のカタチになるのか、注目だ。

【後藤 文昭】

最後の晩餐を表現 平日限定でサパーを提供(メズム東京、オートグラフ コレクション)

2021年7月1日(木) 配信

「最後の晩餐」をモチーフに

 メズム東京、オートグラフ コレクション(生沼久総支配人、東京都港区)は10月29日(金)まで、レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作「最後の晩餐」の世界観を表現した「サパー」を平日15食限定で、16階のバー&ラウンジ「ウィスク」で提供している。

 イエス・キリストが 12人の弟子と共に食卓を囲み、弟子の1人による裏切りを静かに予言する情景を、登場人物の生い立ちや縁のある地などにちなんだバラエティ豊かなスイーツ&セイボリー(塩味の食べ物)13種類とペアリングモクテル(ノンアルコールカクテル)で表現。一例として、イエス・キリストは、パンを取り「これがわたしのからだである」と言い、杯を取り「これがわたしの血である」と言って弟子たちに与えたという有名な伝承から着想を得て、パン・ド・ カンパーニュ(チーズ入り)を仕立てた。

 同企画は、有名絵画をモチーフに、遊び心あるスイーツとペアリングモクテルをセットにした新感覚アフタヌーンティー「アフタヌーン・エキシビジョン」の第3弾。過去には、 ダリの「記憶の固執」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」から着想を得たスイーツとスコーン、モクテルを提供した。

JAL、成田拠点のLCC戦略を本格始動 コロナ後の需要に対応

2021年7月1日(木) 配信

3社でLCCのネットワークを構築する

 日本航空(JAL)はこのほど、成田空港を拠点としたLCC(格安航空会社)戦略を本格始動すると発表した。新型コロナウイルスの影響で悪化した財務体質を早期に回復し、コロナ後の需要に後れを取らないよう対応していく。取り組みの一環として、春秋航空日本(SPRING JAPAN)とジェットスター・ジャパンの2社に追加融資を実施。JALグループのもう1つのLCCであるZIP AIRとともに3社でネットワークを構築し、LCC事業を強化することで、さらなる成長につなげていく。

 今回、SPRING JAPANはJALグループの連結対象子会社となった。中国の春秋グループが持つ高いブランド力と販売力を生かし、中国からのインバウンド需要に応えていく。また、将来的には直行便が就航していない中国国内の地域から成田への路線拡充を目指す。

 ジェットスター・ジャパンは引き続き、豪・カンタスグループと連携しながらそれぞれの強みを融合させて、日本国内の市場拡大に努めていく。

 なお、2社への追加融資は2020年11月に公募増資で調達した資金の一部をあてるという。

諏訪市 「諏訪湖の花火」が毎日開催 36日間の打ち上げ決定

2021年7月1日(木)配信

諏訪湖サマーナイト花火(イメージ)

 長野県諏訪市はこのほど、全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の一刻も早い終息を祈り、今年は特別なスタイルの「諏訪湖の花火」を実施すると発表した。7月25日―8月29日まで毎日開催され、合計36日間の打ち上げとなる。

 市制施行80周年記念「第73回諏訪湖祭湖上花火Two Weeks」は8月1―15日まで開かれる。午後8時30分から1日10分間、約500発を打ち上げる。ウィズコロナ時代に対応した新しい花火として、花火打ち上げのようすを地元ケーブルテレビやユーチューブで生配信を予定している。会場は諏訪市湖畔公園前。湖畔公園内フリースペースで観賞できる。例年行っている有料桟敷席などのチケット販売はない。臨時駐車場は旧東バル跡地多目的広場(約150台)1カ所のみ、大型バスなどの駐車場はない。主催は諏訪湖祭実行委員会事務局(諏訪市役所観光課内) ☎0266(52)4141。

 諏訪湖サマーナイト花火は7月25―31日、8月16―29日に開催する。会場は諏訪湖祭湖上花火と同じ諏訪市湖畔公園前で、午後8時30分から1日10分間、約500発を打ち上げる。主催はサマーナイト花火実行委員会(諏訪湖温泉旅館組合内) ☎0266(52)7155。

 両花火とも入場無料だが、発熱や風邪症状のある方の参加自粛、3密の回避、手指の消毒やマスクの着用などの協力を呼び掛ける。また、新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては中止する場合もある。

 新作花火大会実行委員会(諏訪観光協会内)主催で、例年9月第1土曜日に開催予定の「第39回全国新作花火競技大会」は新型コロナウイルス感染症の終息がまだみられないため、観客の健康と安全確保を考慮し、既に中止が決定している。

 問い合わせ=諏訪観光協会 ☎0266(52)2111。

国際観光施設協会 鈴木会長が再任 受託調査研究を実施

2021年7月1日(木)配信

鈴木裕会長

 国際観光施設協会(鈴木裕会長、230会員)は6月15日、ホテルグランドパレス(東京都千代田区)で2021年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で、鈴木会長の再任を決めた。

 今年度は、観光庁などの関係官庁、地方自治体、関係観光団体と密接に連携し、受託調査研究事業を積極的に行い、協会の基盤を強化する。

 また、公益事業として、3項目を掲げた。地域の自然や土地の力を生かす、賢く小さなエネルギーのシステム「エコ・小」は、10年以上続けてきた活動実績をまとめ、2030年代に向け「宿泊施設のハイブリッド化」を進める。併せて、観光施設での「木づかい運動」などの具体的な活動提案と普及運動を実施する。

 土地の力を生かしたまちづくりの手法としては、データを活用することで宿泊施設のコンシェルジュ化をはかる「町じゅう旅館・ホテル」などを提言する。日本人、外国人双方のために施設の利便性や安心安全のための調査研究の成果などを社会全般に提供する事業では、通常客室で利用できる電動車イスの普及、配膳ロボットの具体化などを進める。

 鈴木会長は冒頭、「ホスピタリティ」をテーマに自身の考えを提示した。ホスピタリティを広義に解釈すると、「人」、「物」、「社会」、「自然」の4つと関係していると説明。そのうえで、「SDGsの17項目は、ホスピタリティで解決できるということに気が付いた。これらを実行するのは観光。観光は新しい国の光を作ることができるので、力強く、重要な行為」と持論を展開した。

〈旬刊旅行新聞7月1日号コラム〉ワクチン接種が進む――「潮目が変わる」瞬間へ今から準備を

2021年7月1日(木) 配信

 
 先日、私の住むマンションの郵便ポストを空けると、地元の相模原市保健所から、新型コロナウイルスのワクチン接種の案内が届いていた。当分先のことだろう、と思っていたが、想像以上に早かった。翌日、妻宛にも同じものが届いた。

 
 周囲の人たちの多くが、既にワクチンを接種している。優先的に接種を始めた高齢者の間では、「2回目の接種が終われば、食事に行こう」といった会話も、交わされているようだ。

 

 
 日本観光振興協会は6月17日に、東京都内で「ワクチン接種に関する観光産業からの緊急アピール」を発出した(本紙4面)。率先してワクチン接種を促し、「停滞している社会経済活動の正常化」に向けて、観光産業全体で協力していく決意表明でもあった。

 
 諸外国と連携できる「ワクチンパスポート」の早期導入は、日本経済団体連合会など経済界、そして観光業界も強く要望している。国内の観光地や宿泊施設でも、さまざまな特典を付けたプランが造成されている。海外旅行、インバウンドの本格的な再開に向けては、海外から帰国後14日間の隔離措置の免除を、どのタイミングで行うのかが焦点となる。

 

 
 今号の1面では、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、日本旅館協会、全日本ホテル連盟の宿泊3団体のアフターコロナに向けた方針を取り上げた。昨年は、総会を中止・延期、あるいはオンラインで開催する団体が多かったが、今年は実際に対面で行う団体が増えた。 

 
 通常、6月から7月にかけて、本紙の紙面は主要観光団体や、各都道県支部、地域の観光協会などの総会を取材した記事が、紙面全体を彩るのが“風物詩”となっている。

 
 しかし、昨年はその総会記事は極限まで減って寂しい気分になったが、今年はかなり復活した。現場で活躍している旅館・ホテル、旅行会社、地域づくりに取り組んでいる方々の顔を、紙面で紹介できることをうれしく感じる。

 
 情報があふれた時代に「観光業界の専門紙など不要だ」と思われる方もいるかもしれない。けれど、たとえ小さな会合であろうとも、できるだけ現地まで取材に行くことを大切にしている。コロナ禍で非常に厳しい環境のなかで活躍されている元気な表情や、姿を紹介したい。また、新しい取り組みや思想、アイデアなどもインタビューして、伝えていきたいと思う。

 

 
 全旅連総会では、青年部の鈴木治彦直前部長と星永重部長が、ワクチン接種率が全国民の55%に到達することが予想される9月中旬には「潮目が変わる」と見ている。「Go Toトラベルキャンペーンを再開し、宿泊業界が地方経済の活性化を牽引していこう」と、そこに照準を合わせて「55(ゴーゴー)Go To」キャンペーンを、政府や国会議員にも働き掛けていく考えだ。

 
 従業員の雇用を守る雇用調整助成金の延長も、観光業界が要望する大きな柱となっている。

 
 アフターコロナの観光業界とは、抑圧された移動制限が解放された時を指すのならば、「ワクチンパスポート」も「Go To」も呑み込まれるほど、大きな旅行の波が押し寄せるだろう。突然訪れる「潮目が変わる」瞬間を見誤らないように、今から周到な準備を心掛けたい。

 

(編集長・増田 剛)

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(126) 利用者の一日を守るタクシー運転手の行動 朝から気分を最幸に

2021年7月1日(木) 配信

 

 出張の朝、空港までタクシーを予約することがよくあります。マンションの出入口には20㍍ほどのアプローチがあり、タクシーはその外で待機しています。その日はタクシーがマンション住民の出入りをふさぐように、アプローチの正面に停車していました。住民も迷惑そうでしたが、運転手は席からそれを見ているだけでした。
 
 私が予約客だと分かると、彼は笑顔で声を掛けドアを開けましたが、その音が住民にも聞こえて振り返られてしまいました。その気まずさは、今も忘れることができません。運転手へ注意をしましたが、その後に同様のことが何度かあり、現在はそのタクシー会社は利用していません。お客様を待つ立ち姿でも、「誰がこんなタクシーに乗るのだろう」と思うようなタクシーを利用するときは、恥ずかしい思いをします。

 一方で、お客様の到着を、雨の日でも傘を差して待っていてくれる運転手もいます。タクシーに乗り込むときには、傘を差しかけてくれます。傘をたたみ乗り込むときが一番濡れるので、非常にうれしい対応です。

 ある日、予約したタクシーの運転手は、アプローチを歩いてマンションの玄関で待っていてくれました。目が合うと「ご予約をいただいた西川様ですか」と聞かれ、「そうです」と答えて傘を差そうとしたら、「傘が濡れますので、よろしければこちらでどうぞ」と運転手が持って来た傘を差し掛けてくれたのです。このおもてなし行動のすばらしさの本質は、どこにあるのでしょうか。

 私はこれから空港に行き、航空機に乗って出張先に向かいます。エントランスからタクシーまでのわずかな距離でも、持っていた傘を使えば、当然ながら傘は濡れます。小さな折りたたみ傘ではありますが、濡れたらカバンに仕舞うことができません。つまり、濡れた傘を持って飛行機に乗らなくてはならないのです。

 出張が雨で嫌なのは、雨の中を歩くだけでなく、実はその後の濡れた傘の扱いに苦慮することです。小さな行動ではありますが、運転手の行動はその日一日の私の気分を最幸のものにしてくれたのです。

 これから仕事に向かう者にとっては、朝から嫌な想いはしたくないものです。気分の悪い想いをすると、気持ちが落ち込んでしまいます。逆に、元気をもらえたら、「その日の仕事は上手く行く」といった気分にさせてくれるものです。

 旅館にとって、朝はお客様の出発が重なる忙しい時間帯です。チェックアウトに時間が掛かってしまうと、その日の楽しい時間を台無しにしてしまうことにもなります。お客様の大切な一日を守る、朝の行動を見直してみましょう。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。