2020年4月19日(日) 配信

あれほどにぎわった京都、鎌倉などの観光地はまったく別の場所のように様変わりの静けさである。“新型コロナウイルス”の感染防止のため、多くの集会が自粛され、ビジネスも休止状態の会社も多く、東京など大都市の交通機関も目立って空いている。自粛、自粛で観光産業は一転して“冬”の状態になった。関係企業の業績にも大きい影響が予想される。
しかし、観光関係者は手をこまねくわけには行かない。延期後のオリンピックの日程も決まり、開会までには感染症も収束する見通しだと考えられる。これからはコロナウイルスの影響をバネとして早急に観光の復調をはからないといけない。現況は新しい「令和観光」発展のための動機としたい。コロナ自粛の前の状況に戻すだけではならない。これまでの観光動向、施策は課題が顕在だったからだ。私見ではあるが、その反省から、ポスト“自粛”の観光は内外観光ともに、適切な“多様化”(分散)の実現ではないかと思う。
まず、国が大きな数値目標を掲げている訪日客誘致施策の再考の必要性を痛感する。訪日客の発地をより幅広く分散し、“多様化”した誘致施策の展開が必要だと思う。
従来、訪日客の4分3はアジアの近隣諸国だった。安定した観光需要を求めるには、国際情勢の急変も考えて世界各国の“多様”な国・地域の人々が万遍なく来日してもらえるようにセールスしたい。とくに、長期滞在が期待できる欧米や中南米、インド、中近東、オセアニアなどにきめ細かい誘致活動を展開する必要がある。
1964年の東京オリンピック開催前、日本の観光の知名度は低かった。終了後に知名度が上がり、急速に訪日客が増加した。しかし、日本の知名度は既に当時と比較しても高い。誘致は国別によりきめ細かい努力、工夫が必要となろう。
次に自粛後の内外観光客には国内全般にわたる(広域)“多様化”観光を進めたい。観光地での異常混雑は観光公害と言われ、関係の観光地住民の顰蹙と当惑を招いた。「観光客お断り」の声さえ出たほどである。速やかに各地の受入体制の再整備と整備された地方空港、新幹線、高速道路を活用するネットワークと利用システムの構築、交通インフラも総合的に整備し、“多様な”「地方起点」の観光を進めたい。いわば、「ニューディスカバージャパン」の展開である。観光地間の連携、モデルコース策定などが急がれる。
観光手法も従来の見物型中心から、行動型や学習型など「“多様”な観光」を提案したい。
内外観光客への“多様化(分散)”観光を展開するためには、AI(人工知能)やICTなどを導入した検索、予約、決済を行えるシステムが大きい役割を果たす。システム構築とプログラム作成なども急務である。現在の低迷期こそ、その好機とすべきであろう。
コロナ終息の努力と並行してポスト“自粛”の各地域の観光力を今から高めておく努力が必須だ。明日では遅すぎる。

日本商工会議所 観光専門委員会 委員







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