2024年7月4日(金) 配信
第11回ピンクリボンのお宿シンポジウムin熱川(あたがわ)には約50人が参加した
ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は5月26日、静岡県・熱川温泉の熱川プリンスホテルで「第11回ピンクリボンのお宿シンポジウムin熱川」を開いた。キャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさんの基調講演や、熱川プリンスホテル社長の嶋田愼一朗氏の会員活動報告、アートネイチャー広告宣伝部課長の廣道あづみさんと医療サポート推進部課長の野間恵利子さんの講演が行われた。
□ 誰の目も気にせず温泉を、旅館、行政など約50人参加
畠ひで子会長
第11回「ピンクリボンのお宿シンポジウムin熱川」には、同ネットワーク会員の旅館・企業・団体をはじめ、静岡県内の旅館や観光協会、行政など約50人が参加し、基調講演や会員による活動報告に熱心に耳を傾けた。
畠会長は、乳がんの手術や治療を受けて回復の道を辿りながらも、術後の痕などを気にして旅を諦めてしまう当人や家族たちに「以前と変わらず温泉を楽しんでもらおうと発足した。2012年の会設立時には乳がん罹患率も16人に1人と言われていたが、現在は9人に1人が罹患する病気」と、会設立の経緯や現況を振り返った。
会活動として「誰の目も気にせず、心ゆくまで温泉旅行を楽しんでもらうために会員施設を取り上げた冊子を発行している。全国の病院を通じて乳がん経験者に配布したり、ホテルや旅館に置いてもらったり、冊子情報はWeb上に加え、昨年からダウンロードできるようになった。本日のシンポジウムが皆様にとって実り多いものになれば」とあいさつした。
地元の来賓として、岩井茂樹東伊豆町長、花田淳静岡県観光政策課課長、望月宏明静岡県観光協会専務理事、加藤賢二静岡県ホテル旅館生活同業組合理事長、石島専吉東伊豆町観光協会専務理事、石島正和熱川温泉旅館協同組合組合長が出席した。
岩井茂樹町長
岩井町長は「ピンクリボン運動は乳がんに関する正しい知識の普及、早期発見、早期治療の重要性の啓発のほか、とくに治療後の生活の質の向上が大事」と強調した。リボン運動の啓発に尽力する同会に対して「長年にわたり力強く展開し、その理念に深く私自身も共鳴している。できる限りの応援を東伊豆町全体でやっていきたい」と意気込みを述べた。
花田淳課長
花田課長は「さまざまな現場の声を聞き、高齢者や障害のある人は旅をしたくても諦めてしまう、ためらってしまうという声が多かった」と報告した。これを受けて「今年度から本格的にユニバーサルツーリズムの取り組みを始めたいと考えている。今日は皆様のお話を聞き、少しでもヒントをもらって帰れるようにしたい」と語った。
11回目のシンポ盛況、熱帯びる啓発と普及
同会の会員数は、旅館が103軒、旅館組合など団体が5会員、企業が15社の合計123会員。
24年の活動内容では、毎月10月に発行する「ピンクリボンのお宿冊子」で、会員施設や宿泊特典クーポンを掲載。5万部を発行し、会員や病院、患者会を通して、希望者に届けている。
展示ブース
シンポジウムの会場には、会員企業がブースを設置し、ウィッグや入浴着、人工乳房などの製品を展示し、直接手に取って熱心に説明を聞く参加者の姿が見られた。
基調講演では、キャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさんが「『健康寿命を伸ばそう!』~ホッとできる時間も忘れずに~」をテーマに講演。会員活動報告では、熱川プリンスホテル社長の嶋田愼一朗さんが「泊るだけの旅館から、ミヂカで人が集まる旅館へ」と題して紹介した。
最後に、加盟企業のアートネイチャーから広告宣伝部課長の廣道あづみさんが「アートネイチャーのピンクリボン運動の歩み」、医療サポート推進部課長の野間恵利子さんが「アートネイチャーの医療用ウィッグ」について講演を行った。….