北京に日本留学の広報拠点、留学生30万人計画に向けて(JTB)

 JTBは9月を目途に、中国・北京市に日本留学の広報拠点となる「中日留学信息中心」を設置する。政府の「留学生30万人計画」を受けて、同社は昨秋からグループの海外拠点網を活用し、日本の大学が共同で利用できる「海外大学共同利用事務所」(JCSIJ)開設に向けた準備を進めてきたが、JCSIJ第1号として北京市のビジネス街に設置する。

 事務所には、参画した日本の大学の執務スペースのほか、現地学生が日本留学に関する情報を収集できるスペース、留学相談コーナーなどを設け、大学に代わって情報提供する。また、各参画大学に対しては、個別の要望に基づいて、現地校の情報調査やアンケートによる市場調査、現地学校への営業セールス代行、留学説明会の開催、留学申請用書類・留学ビザのチェックなど各種サービスを行う。今後はソウルや台北でも各種調査やPRなどのサポート体制を整えていく考え。

 日本学生支援機構によると、日本国内の留学生受け入れ数の第1位は中国で、09年5月現在、全体の59・6%を占める。一方、09年度の中国人留学生の留学先はアメリカ、オーストラリア、イギリスに次ぎ、日本は4位で全体の7・8%にとどまっている。JTBは「中国は海外への留学生数が毎年20%強ずつ伸びており、日本の大学は留学生獲得に期待を寄せている」とし、「中国の学生に対して留学先としての日本を意識づけし、学生獲得のための活動を支援していきたい」としている。

訪問率1位は新宿、中国人は秋葉原がトップ(JNTO訪日外客訪問地調査2009)

 日本政府観光局(JNTO)は7月30日に、「JNTO訪日外客訪問地調査2009」を発行した。1万5355人の訪日外国人旅行者を対象にインタビューを行った報告書で、日本国内の訪問地や旅行形態などを調査。これによると、09年の都市・観光地別の訪問率は、新宿が34・8%でトップ。中国旅行者のみでは、秋葉原が42・4%で最も多かった。観光客が訪日前に期待したことは、「日本の食事」(58・5%)が「ショッピング」(48・5%)を抜いて初めて1位となった。

 「日本の食事」に期待

 同調査によると、回答者のおおよそ3人に2人が関東を訪れ、3人に1人が関西、5人に1人が中部、10人に1人が九州を訪れる傾向にある。

 都道府県別の訪問率上位は、(1)東京(58・8%)(2)大阪(24・4%)(3)京都(20・6%)(4)神奈川(16・7%)(5)千葉(12・7%)(6)愛知(9・6%)(7)福岡(8・6%)(8)北海道(8・0%)(9)兵庫(7・9%)(10)山梨(6・8%)となった。北海道が兵庫県を初めて上回り8位になったほか、中国人に人気の高い山梨県がトップ10位に入った。

 都市・観光地別訪問率では、新宿が(34・8%)で04年の調査開始以来首位を続けている。以下(2)銀座・有楽町(25・4%)(3)浅草(25・0%)(4)大阪市(23・5%)(5)渋谷(20・3%)(6)京都市(20・2%)(6)秋葉原(20・2%)(8)上野(19・3%)(9)原宿・明治神宮(17・3%)(10)六本木(15・4%)の順で、東京都心部エリアが上位を占めた。温泉地では、20位に箱根(7・1%)、22位に札幌・定山渓(6・6%)、23位に神戸・有馬温泉(6・5%)がランクインした。

 観光客が訪日前に期待したこと(複数回答)では、「日本の食事」が「ショッピング」を抜いて初めて1位となった。3位は「温泉」(43・4%)、4位は「自然景観、田園風景」(41・8%)、5位は「伝統的な景観、旧跡」(37・6%)となった。

 さらに、「日本の食事」に満足した回答者を対象に、とくに満足したメニューを聞いたところ(1)寿司(42・1%)(2)ラーメン(20・8%)(3)刺身(19・8%)(4)天ぷら(11・1%)(5)うどん(8・9%)が上位にランクした。

 訪問目的は、観光が48・8%、商用が30・6%とこの2つで約8割を占める。観光客の旅行形態では、個人旅行が63・8%と08年の57・5%から大きく伸びた。

邦人援護件数3.7%増、政情不安のタイがトップ(外務省 09年度)

 外務省はこのほど、2009年の海外邦人援護統計を発表した。それによると海外における事件・事故などにかかわる総援護件数は前年比3・7%増の1万6963件、総援護人数は同4・1%増の1万8843人となった。海外渡航者数は同3・4%減と3年連続で減少しているなか、総援護件数と総援護人数は2年連続で増加した。

 分類別でみると、強盗・窃盗・詐欺(被害犯罪・財産犯)が1・3%増の5160件、遺失(旅券・財布等)が5・0%減の2672件、その他(事故・犯罪加害・他案件)が9・7%増の9131件。内訳は窃盗が4334件(構成比25・5%)、遺失が2672件(同15・8%)、所在調査が1648件(同9・7%)、疾病が949件(同5・6%)など。

 地域別では、アジアが5・2%増の7305件と最も多く、次いで欧州が3・2%増の4056件、北米が4・2%増の3409件、中南米が2・4%減の736件、大洋州が4・4%減の734件、アフリカが6・4%増の432件、中近東が0・7%減の291件。

 在外公館ごとの援護件数をみると、タイが1193件と最も多く、(2)上海1071件(3)フィリピン927件(4)ロサンゼルス742件(5)フランス684件(6)ニューユーク668件(7)イギリス657件(8)韓国641件(9)香港629件(10)中国451件など。

 疾病者はアジアが最も多く681人、次いで欧州が125人、北米が81人と続く。行方不明者はアジアが63人、欧州が21人、北米が16人など。麻薬犯罪者は合計56人中、アジアが34人と6割以上を占めている。

着地型のバリアフリーツアー、介護する人も楽しめる旅へ、神戸、別府の旅行会社が企画

 兵庫県神戸市で5年前から活動するNPO法人「ウイズアス」 (鞍本長利代表)は行政、観光・交通事業者、福祉団体、大学などと連携して神戸ユニバーサルツーリズムを実践。現地でのサポート体制を整え、発地からの介助者同行の経費負担を削減。気軽に神戸観光を楽しめるようにした。

 滞在中のケアを障がい者や高齢者を持つ家族などと打ち合わせ、宿泊施設へ情報提供や必要に応じた入浴、食事の介助人派遣、観光時のリフト付タクシーなどの手配、車イス、吸引器などのレンタル、緊急時の医療サービス、コンシェルジュ、手話通訳などさまざまなサポートを行っている。

 この5月には第2種の旅行業資格も取得。着地だけでなく神戸発のツアーも企画し、伊勢志摩のバリアフリー宿を販売している。さらに北海道、沖縄、熊本などで活動するNPOと連携したツアーも企画。10月には沖縄2泊3日のバリアフリーツアーの発売を予定する。

 鞍本さんは「国の補助事業など活用してユニバーサルツーリズムを進めてきたが、財政的に自立しないと長続きしない。旅行業取得でツアー販売ができれば、収益も見込め全国にUTが拡大できる」と期待を強める。

 一方、大分県別府市で7年前から旅行業(旅行業第2種)を営む企業組合オフィスケイ(栗屋しのぶ代表理事)が、旅行の新分野として乗り出す「着地型バリアフリー旅行商品“別府やさしい旅”の開発と販路開拓事業」が、経産省の補助事業「地域産業資源活用事業計画」に6月17日認定された。

 手話通訳やヘルパー2級資格を持つ組合員が多く、バリアフリー旅行への関心は高かった。認定を受けたことで、今年度から別府温泉のモニターツアーやヘルパー資格を持つトラベルサポーターの養成などを行い、2012年度にバリアフリー事業取扱人数280人、売上4500万円を目指す。

 7月17、18日には全盲と車イス夫婦のモニターツアーも実施し、受け入れの課題を学習。今後3回のツアーを実施し、11月からはトラベルサポーターの講座もスタートさせる。栗屋さんは「別府の温泉を生かした長期滞在やリハビリなどツアーに取り入れたい」と意欲を燃やす。

2010年度日本観光ポスターコンクール入賞作品

 

 金賞の国土交通大臣賞に輝いたのは、東日本旅客鉄道東京支社の「夏の家族は、北東北。―小岩井農場・五能線千畳敷駅」――。日本観光協会(西田厚聰会長)は6月に開いた2010年度通常総会で、10年度「第60回日本観光ポスターコンクール」の入賞作品を表彰した。専門審査委員の小谷育弘氏(武蔵野美術大学名誉教授)と北山孝雄氏(北山創造研究所代表・プロデューサー)、篠崎日向子(宣伝会議「広報会議」副編集長)に加え、共催、協賛、後援団体などが審査を行い、応募総数268点・448枚のなかから、金賞1点、銀賞7点、入賞9点の計17点を選出した。

〈入賞作品〉

入賞作品は次の通り。

 「もうひとつの日本・東北―冬―(輝)」(東北運輸局企画観光部国際観光課東北観光推進機構海外事業部)▽「孤高草津」(草津温泉観光協会)▽「本物を求めて、犬山へ。」(犬山市観光協会)▽「姫路書寫山圓教寺~一千年の妙味。~」(姫路市観光交流推進室)▽「神戸観光ポスター『泊まりがけでゆっくり旅したくなる街、神戸』(神戸ポートタワー・神戸スイーツ)」(Feel KOBE観光推進協議会)▽「オモヒデをさがしませんか 大和のふるさと呉・思い出づくりしませんか 大和のふるさと呉」(呉市観光振興課)▽「山鹿の四季(八千代座イラスト・彼岸花・平山温泉)」(山鹿市商工観光部観光課)▽「万田抗」(荒尾市建設経済部商工観光課)▽「わんな~島」(やんばる国頭の森を守り活かす連絡協議会)

2次交通手段として、旅館で格安レンタカー(熱川温泉)

「7軒が空き駐車場活用」

 温泉地とレンタカーチェーンが新たなビジネスモデル――。静岡県東伊豆町の熱川温泉組合(小倉吉太郎組合長)の7軒の宿泊施設は7月16日から、中古車レンタカー事業を全国展開するワンズネットワーク(島一徳社長、千葉県習志野市)と提携。低価格のレンタカーを旅館・ホテルで借り、旅館・ホテルに返却するという新しいスタイルのレンタカー事業をスタートさせた。

 旅館・ホテルは空いた駐車場を活用することで、通常のレンタカー料金を約半額に抑えて提供できるようにした。宿泊先で申し込み手続きから返却まで一貫して行える簡便さに加え、格安の料金設定により、宿泊機会の増大や延泊につなげたい考えだ。

 同事業に参画する宿泊施設は、紫雲閣ホテルオグラ、熱川一柳閣、熱川温泉粋光、熱川館、ホテルカターラ福島屋、臨泉閣、熱川プリンスホテルの7軒。小倉組合長は「お客様の2次交通手段として、レンタカーの潜在需要は認識していた。まず7軒の宿泊施設で実験的にスタートし、今後、熱川温泉の滞在スタイルの多様化に繋げたい」と期待している。

 一方、ワンズネットワークは06年7月、全国で初めて良質な中古車利用により、従来の半額以下の料金を実現した、格安レンタカー事業「ワンズレンタカー」のフランチャイズチェーン(FC)展開を開始。最近は、立体駐車場やホテルなどとのFC契約を強化している。今回の熱川温泉との取り組みは、「新たなビジネスモデルを観光振興に応用するテストケース」と捉えている。

 利用料金はMクラス(マーチなど)1時間1050円、当日2625円、24時間3150円、Lクラス(プレマシーなど)同1260円、同4200円、同5250円。1BOXクラス(セレナ)1時間1575円、当日7350円、24時間8400円に設定。

8月22日まで展開、「うなぎの街成田」PR

「市内77軒がスタンプラリー」

 千葉県の成田市観光協会は7月14日から8月22日まで、市内の飲食店や物販店77店舗が共同で「成田うなぎ祭り」キャンペーンを展開している。成田と古くから深い関係のあるうなぎの消費促進と、成田のうなぎのイメージアップが目的で今年が6回目。

 期間中には、参加店舗に成田うなぎ祭りののぼり旗を立て、1千円の食事や買い物をすればスタンプが1つもらえる(1店舗最大2つまで押印)スタンプラリーを行っている。スタンプが3つ集まると、海外旅行や市内ホテル・旅館のペア宿泊券、成田の物産品豪華詰め合わせなどが抽選で当たる。

 成田うなぎ祭り初日の7月14日には、成田駅(JR・京成両駅)で成田市観光キャラクター「うなりくん」も登場して、うなぎマップ配布などのPR活動を実施した。

 成田周辺は古くから、印旛沼で獲れた川魚料理を食しており、なかでも栄養価の高いうなぎ料理は、地域の食文化として定着してきた。元禄時代になると、成田詣など江戸から行ける行楽地として繁栄。門前町の旅館では、夏場のうなぎ料理を売り物として、宿泊客をもてなした。

 距離800メートルの成田山表参道は現在でも古くからの旅館や料理店が軒を連ね、このうち約60店がうなぎ料理をメニューに入れていることから、全国でも稀なうなぎの街として、今後もPRしていく考えだ。

 問い合わせ=成田市観光協会 電話0476(24)3198。

No.254 JATAに“コーディネーター”設置 - 国際チャーター便促進へ

JATAに“コーディネーター”設置
国際チャーター便促進へ

 国際旅客航空機の定期便減便や、小型化など航空座席の減少が相次ぐなか、旅行会社にとっての打開策はチャーター便の運航だ。しかし、とくに地方の旅行会社では、チャーターに関する相談窓口や情報を得る場がないのが現状。そこで、日本旅行業協会(JATA)は海外旅行需要拡大施策の1つとして、6月7日付でチャーターに関する相談などを受け付ける「チャーターコーディネーター」を海外旅行業務部内に設定した。チャーター便の課題や現状などを関係者に聞いた。

【飯塚 小牧】

 国内発着の国際チャーター便に関する包括旅行(ITC)ルールは2008年の12月に、個札販売の拡大や第3国の航空会社が自国間以外でも就航可能になるなど、大幅に緩和した。国土交通省航空局によると、07年度の国内発着の国際チャーター便の運航状況は6561便。08年度は5814便、09年度は4985便と景気低迷などの影響で全体数は減少傾向だが、旅行会社の商品造成には航空座席の確保が必要不可欠。チャーターの促進は喫緊の問題だ。

 このような現状を受け、JATAはチャーターに関する情報の収集や提供、各関係者とのパイプ役などを担う専門家として、日本航空(JAL)やジャルパックでの勤務経歴を持つ引田潤造氏をチャーターコーディネーターに起用した。海外旅行業務部の田端俊文部長は、任命した背景を「とくに地方の会員会社はチャーターに関する情報も少なく、興味があっても相談する場がなかった。会員からの要望の声が強かった」と述べた。

 

※ 続きは本紙1386号または日経テレコン21でお読みいただけます。

東京定観4.5%増に、10年度は76万人目指す(はとバス共栄会)

 はとバス共栄会(前田伸会長、427会員)は7月7日、東京都内で2010年度総会を開いた。好調な定期観光特別企画「喝采!!はとバス劇場」の第3幕への協力・協賛やCS増進を目的とした研修会の実施などを重点事業とした。

 前田会長は「お客様、観光事業者、地域・地場産業にと三方にいいのが観光。観光立国を最初に述べられたのは松下幸之助氏といわれているが、私たちがようやくそれを実現できるチャンスがきた」とあいさつ。「共栄会メンバーそれぞれが魅力を磨きあげ、高めていくことが求められる。はとバスと車の両輪となり10年度事業をしっかりと進めたい」と語った。

 はとバスの松尾均社長は「リーマンショックや新型インフルエンザの発生など、厳しい1年だったが、社員みんなで汗を流し知恵を出した」と前年度(09年7月―10年6月)を振り返った。前年度の利用人員は定期観光が4・5%増の69万1000人、企画旅行が4・1%減の29万6400人、合計で1・8%増の98万7400人。昨年11月から41年ぶりに導入した2階建てオープンバス「オー・ソラ・ミオ」や、OGガイドによる昭和の歌謡曲ショーで東京を案内する「歌ドライブコース」など、新しい試みが好調だった。

 今期の取り組みについては「『はとバス劇場』を軸に、話題の先取り、一つ先を行く取り組みが必要。一方でマーケットニーズをとらえ、価格訴求型の商品づくりもしっかり行っていく」と語った。

 また、ビザ緩和で増加が見込まれる中国人旅行者については「大きなマーケット。訪日外客への対応のあり方を見直していきたい」と語った。

 10年度は、定期観光76万人、企画旅行30万人、合計で106万人の目標を立てた。

ASXが3社吸収合併、今年10月目途、2500億円規模に(ANAグループ)

 全日本空輸(ANA)グループ販売会社のANAセールス(ASX)と、ANAセールス北海道、ANAセールス九州、ANAセールス沖縄の4社は、7月15日に開いた各社の臨時取締役会で、今年10月1日に合併することを決めた。ANAセールス(浅川修社長)を存続会社として、3社を吸収合併する。4社の合計取扱額は2488億1700万円(10年3月決算時)となる。

 ANAグループは現在、「2010―11年度経営戦略」に則して、グループの販売体制についても機動力、実行力の向上、機能集約と体制の効率化に取り組んでいる。

 今回の合併によって国内におけるANA航空券販売に加え、国内パッケージ「スカイホリデー」、海外パッケージ「ハローツアー」など旅行事業を運営するANAセールスに一社化することで、重複機能の集約をはかる。また、人材のさらなる活用に向けて、人事流動性の向上を前提とした運営形態を目指す。