【特集No.642】24年度観光関係予算概算要求 113%増の670億円を要求

2023年9月7日(木) 配信 

 観光庁は2024年度予算の概算要求で、前年度予算比113%増となる670億4700万円を求めた。このうち、一般会計は241億1200万円。このなかに、22年度第2次補正予算で措置した国庫債務負担行為の歳出化予算120億円が含まれる。東北の復興枠では、ブルーツーリズム推進支援について同61%増の4億3500万円を要求。国際観光旅客税(出国税)を充当する項目には同113%増の420億円。人材不足への対策や、双方向交流拡大に向けた各国政府観光局との連携促進に向けた事業へ、戦略的に取り組む。

【馬場 遥】

 

人材不足対策へ4億円計上 持続可能な観光地域づくり

 

 24年度予算要求の主要事項について、「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」の3つの柱を重点として、持続可能なあり方で全国あまねくその効果を広めるべく、事業に取り組む。

 「持続可能な観光地域づくり」では、全体で162億6400万円を計上した。

 昨今の観光需要回復に伴い、宿泊業をはじめとした各業界で人材不足が顕著となっている。観光庁は、今後さらなる増加が見込まれる観光需要を着実に取り込み、旅行者数・旅行消費額を増加させるために、受け皿となる宿泊業の人材不足の解消が急務だとして、4億円を計上した。

 この「観光地・観光産業における人材不足対策事業」では、各地方ブロック単位での宿泊業特化型の就職説明会や、マッチングイベント、合同企業説明会への出展支援、採用ホームページ・採用パンフレットの作成などの広報強化に対し、事業者の採用活動を全面的に支援する。また、特定技能試験合格者の雇用のためのマッチングイベントの実施や、受験者を増やすためのジョブフェアのPR活動などを通して、観光地における外国語人材の確保に努める。

 人材活用の高度化に向け、機械化・DX化推進のための設備投資支援など短期的な対策や、経営の高度化などの中長期的な対策など、あらゆるフェーズの人材不足対策を総合的に行う。

 インバウンド需要が回復するなかで、訪日外国人旅行者のニーズに対応できる通訳ガイドの確保が重要であるとして、「通訳ガイド制度の充実・強化」に取り組む。通訳案内士登録情報検索サービスの運営や、訪日外国人旅行者からの需要が見込まれる特定カテゴリーに関する研修などを実施する。

 観光需要拡大に伴う混雑に関連して、観光庁は、「オーバーツーリズムや自然環境の保護というGX(グリーントランスフォーメーション)の観点からも、持続可能な観光の推進が大きな課題となっている」と示した。

 これを踏まえ、「持続可能な観光推進モデル事業」では、観光GX・混雑防止としてマイカー規制の実施や、伝統的な町並みの保全のための歴史的資源の活用や収益化など、地域の持続可能性の向上に資するモデル実証を行う。…

 

【全文は、本紙1912号または9月15日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

〈旬刊旅行新聞9月11日号コラム〉――今年の夏休み 中・大規模旅館に子供たちの笑顔

2023年9月7日(木) 配信

 8月下旬に避暑のため、栃木県の那須町を訪れた。しかし、今夏は日本各地で猛暑が続き、関東の高原リゾートの代表格である那須周辺も、昼間は35度をあっさりと超えた。私が思い描いていた「夏の涼しい高原」とはかけ離れた状況だったが、自然豊かな那須の底力を随所に感じられた旅だった。道路は木々の緑に覆われ、滞在中のドライブも爽やかな気分になれた。

 

 折しも天皇ご一家が4年ぶりに那須御用邸で静養されており、那須エリアはいつも以上にロイヤルムードが高まっていた。

 

 東北自動車道を降りると、まずは那須千本松牧場に向かった。最近は旅先の観光地でソフトクリームを食べることが反射運動化しており、真っすぐソフトクリームの店に並んだ。その後、昼食は「清流の里」で蕎麦と、ナスのどぶ漬けを食べた。殺生石を観光したあと、1300年の歴史を有する「鹿の湯」で硫黄泉に浸かった。

 

 

 今回はホテルサンバレー那須に宿泊した。ファミリー客が大半を占めていた。近年は旅館に泊まると高齢者の姿が圧倒的に多く、コロナ禍になってその傾向はさらに顕著になったが、たくさんの子供たちの笑顔で館内はとても活気づいていた。

 

 7月下旬には石川県・山代温泉のゆのくに天祥を訪れ、新滝英樹社長にインタビュー取材(本紙3面掲載)をした際も、夏休みに入った子供たちが館内プールのウォータースライダーで遊び、ロビーの駄菓子コーナーや温泉たまごづくりを楽しんでいたのが印象的だった。

 

 大人限定のスタイリッシュな小規模旅館が増加するなか、中・大規模旅館に子供たちの笑顔が溢れることは、旅館業界の未来を考えると良いことである。

 

 20年近く前、福島県の旅館で「夏休み子供無料プラン」を見つけ、4人の小さな子供を連れて旅館で過ごした夏を思い出した。大人2人分の宿泊料金しか支払ってないため、滞在中ずっと申し訳ない想いがあったが、初めての家族旅行だったこともあり楽しい記憶として残っている。今となってはその宿に感謝の気持ちしかなく、恩返しをしたいと思っている。

 

 

 ホテルサンバレー那須はチェックイン時に、ロビーにさまざまなウェルカムドリンクが用意されていた。少し驚いたのは梅酒が置いてあったことだった。暑い外から館内に入ると、すぐにロビーに案内された。氷を入れて、冷えた芳醇な梅酒を飲むと、体の奥に沁み込み、チェックインまでの時間を心地よく過ごすことができた。カップで掬うアイスクリームも数種類用意されており、到着直後から宿の評価が大きく上がった。

 

 人手不足のなか、オペレーションの工夫も見られた。フロントと売店をスタッフが兼ねて手際よく対応されていたし、ビュッフェ会場で食べ終わったお皿をすぐに下膳することが徹底されており、ストレスなく楽しい食事ができた。

 

 

 夕食後は、「近くの教会でプロジェクションマッピングのイベントがあります」とスタッフから教えてもらっていたので、出掛けた。庭園も夏らしくライトアップされており、夜の高原らしい涼しさのなか、美しい光の演出を楽しんだ。

 

 翌朝は那須ステンドグラス美術館や、乙女の滝などに立ち寄った。20代のころに訪れて、再訪を楽しみにしていた「戦争博物館」は、残念なことに休館していた。

(編集長・増田 剛)

 

旅荘海の蝶、白蝶館の最上階を改装 天空の露天風呂付ルームに

2023年9月7日(木) 配信

4室をリニューアルオープン

 旅荘海の蝶(三重県伊勢市)は5月から白蝶館の最上階を改装し、8月1日に「天空の露天風呂付ルーム」として、4室をリニューアルオープンした。

 各部屋(61平方㍍)からは伊勢の島々が一望できる。信楽焼の湯舟を採用するなど、和のモダンリビングに設計。鳥羽の自然に同化した心地の良い造りになっている。また、各部屋には女将厳選の異なるエルメスのスカーフや、野草が活けられているのも、安らぎを感じられる。

 中かほる女将は、「別荘代わりの宿をコンセプトに、すべてにおいて優しく、使いやすさを追求して設計した」と語る。

江口健一料理長

 料理を担当する同ホテルの料理長で、アンドグループ副総調理長の江口健一氏は、「伊勢志摩の『地産美見』を使用し、味だけでなく見せる料理を心掛けている」とアピールする。

外貨両替サービスで提携 世界11通貨に対応、京都駅内に1号店開く(日本旅行、みずほ、Ctrip、京都駅ビル、JFS)

2023年9月6日(水) 配信

外貨両替所イメージ

 日本旅行(小谷野悦光社長)はこのほど、JFS(陳清揚代表)、みずほ銀行(加藤勝彦頭取)、トリップドットコムグループおよび子会社上海Ctripフィナンシャルサービス(章婷婷代表)、京都駅ビル開発(若菜真丈代表)とともに、訪日外国人観光客向けインバウンド施策として、外貨両替サービスにおける戦略提携を始めた。

 日本旅行ら5社は9月13日(水)から、京都駅構内にある日本旅行TiS京都支店内に、京都駅ビル開発の協力の下、Ctripの外貨両替所をオープンする。

 対象となる通貨は、米ドル、ユーロ、中国元、オーストラリアドル、英ポンド、香港ドル、カナダドル、タイバーツ、スイスフラン、シンガポールドル、スウェーデンクローナ──など11通貨に対応している。

 飛行機や新幹線など主要の交通機関を重点的に、2024年度中に10店舗までの拡大を目指す。

日本バス協会、日本のバス120年 清水会長がメッセージ発信

2023年9月6日(水)配信

清水一郎会長

 日本のバスは、1903(明治36)年に京都で運行を始めてから、今年9月20日(水)の「バスの日」で120年の節目を迎える。これを契機として、日本バス協会の清水一郎会長(伊予鉄グループ社長)は8月31日(木)、メッセージを発信した。

 同協会は周年記念として9月1日(金)、バス停にまつわる写真投稿の募集を「X(旧ツイッター)」で始めた。テーマは「バス停から見える風景」と「バス停のある風景」の2つ。同協会の「X」アカウントをフォローし、「#日本のバス120年」と、「#バス停から見える風景」または「#バス停のある風景」を付けて投稿し応募できる。

 期間は9月30日(土)まで。テーマごとに優秀な作品を選考し、「日本のバス120年サイト」上で10月下旬ごろ発表を行う。

 このほか、各都道府県バス協会やバス事業者などでは、バスに親しんでもらうためのイベントなどを実施している。

 清水会長のメッセージ(要旨)は次の通り。

バスが新しい日本の未来を築く~日本のバス120年に当たって~

 1903(明治36)年9月20日、日本で初めてのバスが京都の地を走って、120年を迎えます。

 バス事業は、少子高齢化の影響などで、元々厳しい経営状況でしたが、新型コロナウイルス感染症により、本当に苦しみました。路線バスはコロナ禍で4千億円もの赤字となり、これは、10年や20年では取り戻せません。貸切バスも団体旅行が消失してしまい、まさに、バス事業は戦後最大の危機を迎えました。さらに、人手不足、燃料高、バスは追い込まれています。

 バスが無ければ、子育て政策の推進と言っても、通学もできません。ピンチをチャンスと捉えて、危機を乗り越えていかなければなりません。

 バスの最大の使命は安全の確保です。皆さまから信頼されるバスであることを誓います。安全という原点に返り、バスを夢のある産業にしたい。キャッシュレス化、EVバス、自動運転バスなど、皆さまから喜ばれるバスを目指して参ります。

 今後も、バスが走り続けていくことができますよう、皆様の応援をよろしくお願い申し上げます。

持続可能な取り組みで新たな発展を JATA関東支部と東京都が訪日セミナー

2023年9月6日(水) 配信

JATA関東支部鈴木誠一支部長

 日本旅行業協会(JATA)関東支部インバウンド委員会は8月29日(火)、東京都産業労働局観光部と共催でインバウンドセミナーを開き、82人が参加した。10回目を数えた今回のセミナーでは、急速に回復する訪日旅行市場において、持続可能な観光に取り組む意義や新たな発展の在り方などを学んだ。

 冒頭、あいさつに立ったJATA関東支部の鈴木誠一支部長はインバウンド市場について、コロナ禍からの順調な回復を示す一方、「現場から、日本のホスピタリティの質の低下が聞こえてきている」と懸念を示した。急激な需要の回復に伴い、観光産業の現場では人手不足が深刻化しているが、とくに顧客から苦言が多いのが宿泊施設だという。

 鈴木支部長によると、訪日客は日本的サービスを期待しており、高い価格帯で質を担保しているホテルなどは満足度が高いが、中間層の価格帯のホテルを利用する訪日リピーターから、コロナ前よりもおもてなしの質が下がったというクレームが増えている。

 「競合のタイは満足度の高いホスピタリティを提供しており、訪日リピーターの減少が懸念される。外国人観光客獲得はグローバルの戦いで、勝ちにいかなければならない」と危機感を露わにし、持続可能な観光と量から質への転換の必要性を訴えた。

 東京都産業労働局観光部の向井一弘部長は、都が東京都観光産業振興プラン「プライム観光都市東京」を旗印に観光施策を進めていることを紹介。「観光産業の経営力を下支えし、観光資源の磨き上げを推進している」と述べた。

 東京都の名所づくりとして、10月31日、池袋に新たなアニメの拠点を設ける。都が所有するセル画などを一般公開し、訪日客を誘致したい考え。夜間観光の充実は、プロジェクションマッピングの助成や都庁舎のライトアップなどを行う。同部企画調整担当の國生哲郎課長は、「東京をマッピングの聖地にしていきたい」と意気込んだ。

観光庁専門官・大野一氏

 セミナーには、観光庁観光産業課専門官の大野一氏が登壇し、「持続可能な観光に取り組む意義」について講演した。

 大野氏はオーバーツーリズムの弊害を紹介したうえで、貴重な観光資源を喪失しないためにも旅行会社による持続可能な旅行商品造成の重要性を述べた。ビジネスには懐疑的な意見も聞こえるというが、「データによると世界の83%の旅行者が持続可能な観光は不可欠と考えている。とくに欧州や豪州で意識が高く、ビジネスチャンスだ」と強調。「旅行会社の皆さんには、地域の取り組みの頑張りに応え、持続可能な観光地として伸ばしていく役割がある」と力を込めた。

 また、「今の小・中学生は当たり前にSDGsを学んでいる。取り組まなければ将来の働き手や顧客も得られない」と注意を促した。

 こうしたうえで、「持続可能な取り組みは0か100かではない」とし、観光庁が作成している「日本版持続可能な観光ガイドライン」などを参考に、「肩の力を抜いて、できることから取り組んでほしい」と呼び掛けた。

オーバーツーリズム対策第1回会議開く 観光客急増で混雑緩和・マナー啓発など推進(観光庁)

2023年9月6日(水) 配信

「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策会議」のようす

 観光庁は9月6日(水)、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策会議」を開いた。会議には内閣官房や警察庁、デジタル庁、総務省、文化庁、経済産業省、環境省、国土交通省各局が出席。今秋までに具体策を取りまとめる方針だ。

 7月の訪日外国人旅行者数は約232万人と、コロナ前19年の78%まで回復している。国内外の観光需要が急速に回復していることにより、一部の地域では混雑やマナー違反による地域住民への影響や、旅行者の満足度低下につながるとして問題視されている。

 8月26日(土)に開かれた岸田文雄首相と沖縄県観光関係者との車座対話では、オーバーツーリズムへの懸念や、持続可能な観光推進に向けて多くの意見が寄せられた。これを受けて岸田首相は、「観光客が集中することによって生じる混乱や、マナー違反による混乱など、政府として重要課題だと受け止め、この秋にも対策を取りまとめていきたい」と発言した。

 対策会議の冒頭で、議長を務めた髙橋一郎観光庁長官は、「これまで観光庁では、混雑の緩和あるいはマナー啓発などに取り組む地域への支援を行ってきたが、今般の総理のご発言を受け、より一層取り組みを推進する必要がある」とし、地域の意向や関係省庁の提案・意見を踏まえて、より実効性の高い対策をまとめていく考え。

観光庁・髙橋一郎長官が議長を務めた

大阪観光局とぐるなびが連携協定 食テーマに地域活性化目指す

2023年9月6日(水) 配信

ぐるなびの杉原章郎社長(左)と大阪観光局の溝畑宏理事長

 大阪観光局(畑宏理事長、大阪府大阪市)び(杉原社長、東京都千代田区)829中心相互連携強化連携協定締結た。

 テーマ観光ルート開発地域魅力り、関連イベント開催、2025大阪・関西万博醸成共同取り組

 同局万博2029以降開業見込IR(統合型リゾート施設)見据観光戦略1て、大阪全国周遊う「日本観光ショーケース」事業取り組最大誘客要素位置付

 も、若手シェフ育成目的とコンテスト「RED35主催社員地方移住魅力発掘る「地域お企業人」制度実施ている。

 同日記者会見溝畑理事長大阪素晴らしいコンテンツが、世界的認知度、消費単価全国各地コンテンツ掘り起連携で、欧米富裕層対策テーマ大阪全国ルート取り組でいい」

 杉原社長は「国内外富裕層対象ヘリ移動レストラン食事セットプランテスト販売ている。今回連携に、大阪日本各地域感動体験取り組たい

町民80人でおもてなし 秋の里山・山形県西川町で10月21日 ONSEN・ガストロノミーウォーキング開催へ

2023年9月6日(水) 配信

五感で秋を体感

 月山の麓、山形県・西川町で10月21日(土)、ONSEN・ガストロノミーウォーキングが行われる。今年2回目となる今回は、約80人の町民がおもてなし。美しい紅葉風景の中、秋の里山散策が楽しめる。

 今回のコースは、睦合地区(睦合公園・設楽酒造・長登観音)、吉川地区(坂の上公会堂・かわどい亭・トラヤワイナリー)、海味地区(寒河江川)を巡る約9㌔。

秋の風物詩「芋煮会」も

 寒河江川のほとりでは、山形の秋の風物詩「芋煮会」を実施。このほか各ガストロノミーポイントでは、月山和牛やアケビ、キノコなど秋のめぐみをふんだんに使った郷土料理が楽しめる。

 ウォーキング終了後は、県内では珍しいセルフロウリュができるサウナもある水沢温泉館の温泉で一休みしてみてはいかがですか。

 参加料金は、大人、子供(小学生)ともに5000円(ガストロノミー〈食事・飲み物〉・温泉入浴券・傷害保険込み)。

過去のイベントのようす

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新社長に富田哲史氏 浩安前社長は会長に (日の丸自動車興業)

2023年9月6日(水) 配信

富田哲史新社長

 日の丸自動車興業(東京都文京区)はこのほど、8月1日(火)付で富田哲史氏が代表取締役社長に就任したと発表した。

 6月8日(木)開催の取締役会において決議。富田浩安前社長は、同日付で代表取締役会長に就任した。

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 富田 哲史氏(とみた ・てつふみ)。2003年上智大学文学部史学科卒業後、キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)入社。06年日の丸自動車興業入社、12年常務、17年専務、20年代表取締役副社長などを歴任。