JTBとAirbnb、遊休資産を滞在資源に「地域未来にぎわい工房」創設

2025年10月2日(木)配信

(左から3番目)JTBビジネスソリューション事業本部長の大塚雅樹専務と、Airbnbのネイサン・ブレチャージク共同創業者兼最高戦略責任者

 JTBとAirbnb(エアビーアンドビー)は10月1日(水)、地域の遊休資産を滞在資源に変える新たな取り組み「地域未来にぎわい工房」の創設を発表した。多様な業界の企業や団体と共に地域の課題を解決し、持続可能な価値を生み出す活動を本格化し、2028年までに全国125地域への展開を目指す。

 両社は今年1月に空き家の利活用を通じた地域の受入環境整備に向けた包括連携協定を結び、主に東日本で活動を進めてきた。複数地域での対話や実証を重ね、観光支援の枠を超えた“持続的なにぎわい創り”が地域に必要であるとの考えに至り、発展させた今回の取り組みを始動した。

 「地域未来にぎわい工房」は両社が核となり、多様な企業や団体と共に運営・展開を前提とした共創型の取り組み。役割としては、JTBが自治体とのネットワークを生かしたプロジェクトの企画や実行、賛同企業と連携したサービスの提案や開発を進める。Airbnbはプロジェクトへの伴走支援、マーケティング支援やゲスト送客を行う。加えて、賛同企業は自社の専門性や資源などの強みを生かしたサービスや技術を地域課題に応用できる地域創生の取り組みの機会になると示した。

 対象地域は、滞在環境の需要と供給のバランスに差がある地域で、重点テーマに①再エネ地域②産業集積地域③防災対応地域④離島・周辺地域――の4つを設定。空き家などの遊休資産を、再生可能エネルギー事業や産業集積地域の人材滞在支援のほか、災害時の避難所や仮住まい、観光・移住検討者の交流拠点の活用などを想定している。

 東京都内で行われた発表会に登壇したAirbnbのネイサン・ブレチャージク共同創業者兼最高戦略責任者は、「日本の地方宿泊予約数は24年に前年比で25%増加した。Airbnbにおける地方旅行の3件に1件は国内旅行者によるもの。日本は世界で最も人気のある旅行先の1つであり、国内旅行者と増加傾向にある訪日外国人旅行者の双方から強い需要の伸びがみられる」と話し、地方活性化に向けた可能性に期待を示した。

 JTBビジネスソリューション事業本部長の大塚雅樹専務は「宿泊施設がない地域ではビジネスが厳しい」と、旅行事業が根本に抱える問題に言及した。「JTBは旅行事業から交流を創り出す事業に変化している。地域のアイデンティティーを引き出し、外へ伝えていくストーリーが極めて重要」と述べ、Airbnbとの連携の強みを語った。

 先駆けて、25年4月から取り組みが行われている北海道・上ノ国町(工藤昇町長)では、DIYやワークショップ、企業と連携したリノベーションやアメニティ整備が進み、2軒の遊休資産が宿泊施設に転換された。工藤町長は「今後町全体で30~40の泊まれる場所を整え、地域ぐるみで受け入れ体制をつくっていきたい」と話した。

 「地域未来にぎわい工房」には、大日本印刷や良品計画が参画を表明しているほか、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、オリエントコーポレーション、損害保険ジャパンも参画する。新たな企業が各地域から加わることで、持続可能な未来を築く新しい地域創生のモデルを全国へ広げていきたい考えだ。

免税廃止は政府歳入にマイナスと主張 17団体が制度維持を求め政府に提言書

2025年10月2日(木) 配信

調査結果から論拠を示した

 小売業や観光業、旅行業、宿泊業、飲食業、労働組合など業界17団体はこのほど、外国人旅行者の消費税免税制度に関する共同提言書を加藤勝信財務大臣、中野洋昌国土交通大臣をはじめ、各国会議員に提出した。外国人観光客数、消費額の目標達成には「ショッピングツーリズム」の推進が重要だが、仮に廃止となった場合には政府歳入にマイナスの影響があるとし、要となる免税制度は堅持すべきだと訴えた。

 免税制度廃止による経済影響については、ジャパンショッピングツーリズム協会など小売業関連7団体が7月に、訪日意欲が高い海外在住の外国人を対象にアンケートを実施。この調査では、免税制度の廃止で訪日外国人旅行者による消費額は1兆4304億円減少すると算出された。これに伴う税収の減少額は3003億円となり、仮に制度廃止によって2000億円の消費税収増があったとしても、歳入全体では1003億円の減少となり、歳入にはマイナスの影響があると試算した。

 調査のとりまとめなどを行ったジャパンショッピングツーリズム協会は「免税制度を維持し、ショッピングツーリズムを振興することが、異文化理解や国際交流の促進、日本全体の活力向上、GDPの増加につながり、また、観光立国政策における課題の解決にも寄与すると捉えている」とし、免税制度の在り方については多角的な視点からの議論を求めている。

HIS運営のHcross、人事課題解決に向けた報告会開催へ 桜美林大学との連携で

2025年10月2日(木) 配信

Hcrossのロゴ
 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が運営する人的資源の一層の活用を目指す研究機関「Hcross」(藤野匡生所長、東京都港区)は11月5日(水)、桜美林大学新宿キャンパスで、同大学と連携し、企業の人事課題解決と学生の実践的な学びを目的とした「共創プロジェクト」の第一弾として、「DEIB(Diversity=多様性、Equity=公平性、Inclusion=包括性、Belonging=帰属意識)」をテーマにした活動報告会を開く。
 
 同研究機関は、さまざまな人事課題をテーマに設定し、学生の新鮮な視点を掛け合わせることで、新たな解決策を探る「共創プロジェクト」を開始した。この取り組みを通じて、情報提供の場を超え、企業と次世代が未来の人事課題を共に解決していく「共創のハブ」となることを目指す。

 同プロジェクトの第一弾として、「DEIB」をテーマに、グローバルな視点と実践的なスキルを兼ね備えたビジネスパーソンの育成を目指し、多様な専門分野の学びを提供している桜美林大学ビジネスマネジメント学群のゼミと連携。当日は、学生チームが同大学の川﨑昌准教授と近山和広准教授のもと、半年にわたり進めてきた「企業におけるDEIB推進のコンテンツ検討」に関する活動の成果を報告する。質疑応答や意見交換の時間も設け、参加者全員で学びを深める。

「一般社団法人民泊・小規模宿泊施設運営・管理事業者協会」が設立

2025年10月2日(木) 配信

設立時の会員企業

 民泊や小規模宿泊施設の運営・管理を行う事業者5社が集まり、このほど「一般社団法人民泊・小規模宿泊施設運営・管理事業者協会」(JAMM、東京都新宿区)を設立した。代表理事には、matsuri technologies社長の吉田圭汰氏が就任。地域と共生した民泊・小規模宿泊の市場を発展させることを目指す。

 訪日外国人観光客の増加に伴い、民泊・小規模宿泊施設市場は急速に拡大。多様な宿泊ニーズへの対応や地域経済への貢献など、重要な観光インフラに成長する一方、一部の違法民泊、施設による近隣トラブルなど課題も顕在化している。こうした状況を受け、民泊業界が自ら健全な市場の発展を主導し、地域社会との共生を実現しようと、協会の設立に至った。

 活動内容は健全な民泊の普及促進や政策提言と広報活動、行政連携、会員同士の連携強化などを予定している。

吉田圭汰代表理事

 吉田代表理事は「民泊や小規模の宿泊施設は、観光立国を進めようとしている日本にとって欠かせない産業の1つのピース」と述べ、「私たちJAMMは、業界の取り組みを見える化し、地域社会と共生しながら、安心で健全な民泊の普及を進めていく」と意気込む。

【国土交通省】人事異動(10月1日付)

2025年10月2日(木) 配信

 国土交通省は10月1日付の人事異動を発令した。

 大臣官房付・即日辞職(国土交通大学校長)山田哲也

 国土交通大学校長(勤労者退職金共済機構理事)大澤一夫

 辞職〈9月30日付〉 勤労者退職金共済機構理事(大臣官房付)山本泰司

 大臣官房付・即日辞職(東北地方整備局副局長)渡邊茂

 東北地方整備局副局長(水資源機構理事)藤井政人

 大臣官房付・即日辞職(内閣府沖縄総合事務局次長)山田哲也

 大臣官房付・出向 内閣府沖縄総合事務局次長(日本高速道路保有・債務返済機構理事)逢坂謙志

 大臣官房付(日本高速道路保有・債務返済機構理事)甲川壽浩

 辞職〈9月30日付〉 日本高速道路保有・債務返済機構理事(大臣官房審議官〈都市局担当〉髙橋正史

 大臣官房審議官〈都市局担当〉(近畿地方整備局副局長)出口陽一

 近畿地方整備局副局長(日本不動産研究所首席研究員)佐藤忠晴

 大臣官房政策立案総括審議官(大臣官房政策立案総括審議官〈併〉大臣 官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)長井総和

 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官(復興庁統括官付審議官)瀧澤謙

 大臣官房付・出向 復興庁統括官付審議官(水資源機構理事)古橋季良

 辞職(大臣官房海外プロジェクト審議官)小笠原憲一

 大臣官房海外プロジェクト審議官(人国際協力機構理事)川村謙一

 総合政策局次長(鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事)三宅正寿

 辞職〈9月30日付〉  鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事(大臣官房審議官〈危機管理、海事局、港湾局担当〉) 堀真之助

 大臣官房審議官〈危機管理、海事局、港湾局担当〉(大臣官房審議官〈鉄道局担当〉)足立基成

 大臣官房審議官〈鉄道局担当〉(航空局総務課長)田島聖一

 航空局総務課長(鉄道局付)北村朝一

 任命 住宅金融支援機構監事 黒田康幸

NAA、航空燃料SAFを地産地消へ 原料栽培・抽出する実証実験スタート

2025年10月2日(木) 配信

栽培中のスイートソルガム

 成田国際空港(NAA、藤井直樹社長)はこのほど、植物「スイートソルガム」を成田空港周辺の用地で栽培し、持続可能な航空燃料SAFの原料となるバイオエタノールを抽出する「SAFの地産地消に向けた実証実験」を始めた。将来的には、スイートソルガムの栽培を拡大し、SAFの製造から使用までを地域内で完結させる地産地消モデルを構築することで、脱炭素と農業振興を目指す。

 同社は「サステナブルNRT2050」を策定し、成田空港から排出されるCO₂を削減することで脱炭素化をはじめとした持続可能な社会の実現を目指している。とくに排出量が大きい航空機からの削減をはかるため、持続可能な航空燃料SAFの導入を推進。この一環で、今回の実証実験をスタートした。

 SAFの原料は現在、主に廃食油などが使われている一方、2030年以降にSAFの需要の増加に伴い、今後新たな原料の必要性が高まるという。スイートソルガムは、温帯エリアの本州でも生育可能であり、搾汁液からSAFの原料の一つであるバイオエタノールを製造することができる。

はとバス×JALグループ 「羽田空港ベストビュードライブ」の特別編を運行へ

2025年10月2日(木) 配信

JAL SKY MUSEUM

 はとバス(武市玲子社長、東京都大田区)と日本航空(JAL、鳥取三津子社長、東京都品川区)、ジャルロイヤルケータリング(JRC、前澤信社長、千葉県成田市)の3社は11月、コラボレーション企画として、「羽田空港ベストビュードライブ」特別編を運行する。人気の「JAL SKY MUSEUM見学」と「JAL国際線ビジネスクラス機内食ランチ」が楽しめる。

 羽田空港ベストビュードライブは2022年6月から運行を開始。普段は入ることができない羽田空港内の制限区域での撮影が楽しめることから、好評という。今回は初めて2社と連携し、特別なバスツアーを企画した。

 JALの格納庫が見学できる、予約困難な「JAL SKY MUSEUM」を盛り込み、ランチは一部のJAL国際線ビジネスクラスで提供している機内食が味わえる。

 2階建てバスの羽田空港制限区域内のドライブでは、バスから降りて航空機の見学も間近でできる。ティータイムはJAL国際線ビジネスクラス(韓国路線)で出されているデザートを提供。土産はファーストクラスの機内食パティシエが丁寧に手作りした、非売品の焼き菓子セットを用意する。

 運行日は11月3日(月・祝)で24日(月・祝)の2日間。料金は3万3000円。小学生以上が参加できるが、料金は大人と同額。発着は東京駅。なお、現在3日は満席となっている。

【旅行新聞 創刊50周年メッセージ】 観光庁 長官 村田 茂樹氏

2025年10月2日(木) 配信

 本紙は今年、創刊50周年を迎えた。共に歩みを重ねてきた観光関係団体や提携紙のトップから、これまでの労いや今後への期待を込めたメッセージをお寄せいただいた。順不同で紹介する。

                    ◇

 

今後も業界盛り上げを 

観光庁 長官 村田 茂樹 氏


 旅行新聞が、創刊50周年を迎えられましたことに心よりお祝いを申し上げます。

 本年の訪日外国人旅行者数および訪日外国人旅行消費額は、過去最高を更新するペースで推移しており、観光は力強い成長軌道に乗っているものと受け止めております。これは、政府のみならず、民間事業者や地方自治体など幅広い関係者が一丸となって講じてきた観光立国の実現に向けた取り組みが実を結んだ結果であります。

 観光庁としましては、こうした良い流れをさらに確固たるものとし、「持続可能な観光」の実現や、地方誘客の促進に向けて一層注力して参ります。

 地方創生につながる観光がかつてないまでにクローズアップされている現在、長年、観光専門紙として情報発信をリードしてこられた貴紙の役割はますます重要であり、今後ともより一層観光業界を盛り上げていただくことを心より期待しております。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(9-10月号)」

2025年10月2日(木) 配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 戦後80年の夏が明けた本号の特集は「池澤夏樹が見る日本」です。ご自身も80歳を迎え、フランスとも縁がある池澤夏樹さんに独占インタビューを受けていただき、日本のこの80年の歴史を語っていただきました。話題は多岐にわたり、憲法改正や日米安保問題から、日本の世襲政治、昨今の貧困化や高齢化問題、原発、沖縄だけではない米軍基地問題、右傾化、ソーシャルメディアやフェイクニュースなど。悲観的になりがちなテーマが多かったですが、最後は希望についても語っていただきました。旅行ページでは、昨年フランス語版の「Japon caché」(英語版「Hidden Japan」, 2023)が出版された東洋文化研究家のアレックス・カーさんから、尊敬する白洲正子が書いた「かくれ里」の現代版だというこの著作についてうかがいました。

〈フランスの様子〉変わり続ける観光都市パリ

「ツーリズム:コロナ禍前の高水準を取り戻すパリ」8月28日付。経済紙Les Echosのウェブサイトより

 8月末発表の速報によると、この夏のパリの観光客は数の上では昨年とほぼかわらずだが、年間予想だと、今年のパリ市の観光客は3700万人以上で、ほぼコロナ禍以前の水準に戻るという。◆パリで急増しているのは、前年比24%増のサウジアラビアなどの中東の富裕層だという。◆中国人旅行客も、まだコロナ禍前ほどではないものの、前年比4割増、日本人旅行客も34%増だったという。◆この夏のパリにはいくつも新しいスポットもできていた。◆復興したノートルダム大聖堂や、昨年のオリンピックで設置されていた気球型聖火台のほか、観光客にはあまり関係ないかも知れないが、セーヌ川での遊泳解禁、自転車ロードレース「ツールドフランス」の最終日コースにモンマルトルの丘が設定されたなど。◆この流れで宿泊業はかなり好調だが、そうでもない業種もある。◆物価高だけではなく、民泊のようなキッチン付きの宿泊形態が増えていることもあり、外食産業は逆に売上は減少傾向だという。◆しかし、フランスの外食産業も進化しており盛り返しが期待される。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旅行新聞 編集部〉

26年ぶり航路復活へ 尾道―今治で実証事業

2025年10月2日(木) 配信

(左2番目から)今治市の徳永繁樹市長と尾道市の平谷祐宏市長

 西日本旅客鉄道(JR西日本、倉坂昇治社長)中国統括本部広島支社は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ海上航路整備に向けた実証事業を10月の土・日・祝日の9日間行う。しまなみ海道の全開通を受け1999年に廃止となった尾道―今治航路が26年ぶりに復活する。

【土橋 孝秀】

 同事業は同社が主導し、旅客船運航事業者の瀬戸内クルージング(尾道市)と尾道市観光課、今治市観光課の3社で作る「しまなみ未来共創協議会」、旅客船運航事業者のしまなみ(今治市)、尾道観光協会などが連携して実施する。

 尾道駅前桟橋―瀬戸田港―井口港の航路を瀬戸内クルージングが、今治港―下田水港―井口港―瀬戸田港の航路をしまなみがそれぞれ、自転車搭載可能な旅客船「サイクルシップ」を1日2往復運航する。瀬戸田港と井口港を乗り換え地点とするタイムスケジュールとなっている。

 乗船料は2日間乗り放題のみで、対象区間ごとに4種類設定。尾道―今治が5千円、尾道―井口、瀬戸田―今治2500円、瀬戸田―井口1千円。JR西日本観光ナビアプリ「tabiwa」などで販売する。

自転車を搭載して船旅が楽しめる

 実証事業に先立ち、9月10日に報道関係者向けのツアーが行われた。筆者は尾道港から瀬戸内クルージングのサイクルシップ「ラズリ」に乗船し、約40分で生口島・瀬戸田港に到着。自転車に乗り換え港周辺を散策した。約50店舗が並び古き良き趣漂う「しおまち商店街」、レモンケーキで知られる「島ごころ瀬戸田本店」などを訪ね、地域の魅力を体感した。

 その後、生口島の西側を走り抜け、多々羅大橋を渡って大三島へ。あいにくの天気で橋の上では大粒の雨に見舞われた。多島美の絶景こそ見えなかったが、海と島々が雨にかすむ幻想的な風景が目の前に広がった。

 大三島・井口港すぐ近くにある宿泊やカフェ、サイクリングポートなどの複合施設「WAKKA」で一息ついた。施設はサイクリスト向けに整備され、人気のスポット。一方でモダンな建物と瀬戸内海の景観を生かした設計がリゾートのような雰囲気を醸していた。

 施設内で尾道市の平谷祐宏市長と今治市の徳永繁樹市長らの記者会見が行われた。

 平谷市長は「尾道―今治航路の復活を目指す第一歩として、今回の実証事業に取り組む」と述べ、継続的な航路の維持と観光振興の両立をはかっていく考えを示した。尾道では年間約50万人のインバウンド観光客が訪れ、その多くがサイクリストであることに触れ、「観光客の利用が生活航路の維持にもつながる」と語った。

 徳永市長は「心の豊かさを求める時代のなか、船旅の魅力がどれだけ多くの人に実感してもらえるかが重要」と述べた。「大三島や伯方島、大島では高級ホテルの建設計画も進んでおり、しまなみ全体を“面”としてどう輝かせていくかが今後の鍵になる」と語り、今回の実証を「大きな起爆剤」と位置づけた。

 運航を担う事業者の1つ、しまなみの村上秀人社長は「橋の開通後、観光は伸び悩んだときもあったが、いまや世界のしまなみとしてのブランドが育ちつつある。サイクリングで周遊し、帰りに船を使うなど新しい観光の流れを定着させていきたい」と話した。