津田令子氏(トラベルキャスター・旅行ジャーナリスト) 40周年祝賀パーティー

2026年5月6日(水) 配信

感謝の言葉を伝える津田令子さん

 トラベルキャスター、旅行ジャーナリストとして活躍する津田令子氏は3月27日、東京都新宿区の「日立目白クラブ」(旧学習院昭和寮)で40周年祝賀パーティーを開催した。津田氏と関わりの深い、地域の代表者や観光関係者が発起人となり、50人を超える出席者が集った。津田は出席者に感謝の言葉を述べ、50周年に向けて、さらなる活躍を誓った。

出席者が記念撮影

 冒頭、津田令子氏は自身の経歴を紹介しながら、貸切でのパーティー会場となった「日立目白クラブ」(旧学習院昭和寮)との“ご縁”と、3月27日が処女出版の発行日であり、結婚記念日でもあることを紹介しながら、50人を超える出席者に感謝の言葉を述べた。

 パーティーの発起人は、板橋区議会自由民主党幹事長の元山芳行氏、館山市観光協会室長の木村義雄氏、元御前崎市観光協会会長の下村裕氏、嬬恋村村議会議員の下谷彰一氏、前安曇野市観光協会専務理事の白澤勇一氏、元安中市観光係長の須藤俊夫氏、松蔭大学観光メディア学部学部長の古賀学氏、伊豆視覚障害支援センター代表の前田敏昭氏、郷土割烹伊豆の味おか田代表取締役の岡田正司氏、旅行作家、日本エッセイストクラブ常務理事の秋山秀一氏、旅行新聞新社社長の石井貞德氏の計11人。

旅行新聞新社の石井貞德社長が開会あいさつ

 開会のあいさつで旅行新聞新社の石井貞德社長は「津田さんには旅行新聞の紙面にコラムを執筆いただき、毎号大所高所から観光業界にご提言をいただいている。また『NPOふるさとオンリーワンのまち』の理事長として全国にネットワークを広げられてこられた」と、40年間にわたる精力的な活動に対し、お祝いの言葉を述べた。

元山芳行氏

 発起人を代表して元山芳行氏は「津田さんは旅の専門家として先頭を走っていらっしゃる。地域をリスペクトし、わかりやすく自分の言葉で旅の魅力を語られ、地域振興にもご尽力されている。さらなるご活躍を期待している」と語った。

唐澤隆氏

 長野県・飯島町の唐澤隆町長は「津田さんとのご縁で、西村京太郎先生が飯島町を舞台に『赤と白のメロディ』を執筆された。津田さんとの共著やトークショーでも飯島町の知名度を大いに上げていただいた」と謝意を述べた。

寺前秀一氏

 元日本観光協会理事長で、人流・観光研究所の寺前秀一所長は日観協時代、「既に津田さんはテレビなどメディアで活躍されており、『あの津田さんのいらっしゃる協会ですか?』と細かな説明をせずに理解してもらえたことが多々あった」と思い出を語った。

山崎浩一氏

 エフエム熱海湯河原専務理事の山崎浩一氏は「毎月第1、第3土曜日の午前9時30分から津田さんの旅番組『土曜旅カフェ』を放送させていただいている。この先10年、20年、熱海から楽しい旅の情報発信によって観光を盛り上げていただきたい」と激励した。

吉田寛氏

 東京會舘取締役本舘支配人の吉田寛氏のあいさつのあと、乾杯の発声は、旅行作家、日本エッセイストクラブ常務理事の秋山秀一氏が務めた。

乾杯の発声をする秋山秀一氏
(左から)古賀学氏、白澤勇一氏、下村裕氏

 乾杯後も来賓のあいさつは続いた。津田氏と深い関わりのある元御前崎市観光協会会長の下村裕氏、前安曇野市観光協会専務理事の白澤勇一氏が津田氏の地域貢献に感謝を表した。元上司の松蔭大学観光メディア学部学部長の古賀学氏も登壇。余興では舞踏家、バレエダンサーとして活躍する村上千津子氏の踊りに会場はさらに華やいだ。

参加者からのメッセージコーナーも

 ロビーを埋め尽くすお花や祝電が寄せられ、会場で披露されたあと、「ザ・一言メッセージコーナー」として津田氏自身がマイク片手に会場を回った。

木村義雄氏と小谷加菜氏

 津田氏と親交の深い元NHK文化センターさいたま支社長の内田美穂氏や、館山市観光協会の木村義雄室長と小谷加菜氏、主婦の友社ゆうゆうtime副編集長の牧谷里香氏、NHK文化センター事業本部担当部長の吉田祥子氏らが津田氏とのエピソードを語り、会場は楽しいトークに盛り上がった。

津田さん、アシスタントの本橋範子さんを囲んで
パーティー会場は華やかな雰囲気に
美味しい料理に笑顔溢れる
多くのお花も届けられた

津田令子氏の感謝の言葉 人生を大きく変えた5つの場面

 本日は、トラベルキャスター40周年の祝賀パーティーにご参加いただきましたこと、心より感謝申し上げます。

 少しのお時間を頂戴しまして、私の人生を大きく変えた5つの場面についてお話させていただきます。

 まずは、母校の共立女子学園です。

 1.共立女子学園

 身長も低めで引っ込み思案だった私が、両親の心配をよそに中学から共立女子学園のある皇居近くの竹橋駅までラッシュアワーのなか、電車通学にめげることなく楽しく通い続けることができました。

 共立では、「誠実、勤勉、友愛」という精神を学びました。

 振り返れば、トラベルキャスターの足掛かりになった高校の3年間、人文地理部の部長を担うなかで、地域の文化や歴史、地理を知ることに魅力を感じるようになりました。

 共立を選んでくれた両親に改めて感謝いたします。

 続いては、NHKのテレビの取材で知り合った作家の西村京太郎先生です。

 2.西村京太郎先生

 トラベルミステリーの巨匠vsトラベルキャスターというスタイルを確立し、2人で全国数十カ所を行脚し、ユーモアたっぷりのトークを交え、会場を笑いの渦にできたこと。のちに先生からは、「聞かれたくないことを、グサッと聞いてくる。まぁ君は、天職だね」と言われたことが懐かしく思い出されます。

 対談本まで出していただき、神保町の三省堂で「行列のできるサイン会」も行いました。

 3.NHK、NHK関連の皆様

 NHKの番組に24年間もの間レギュラー出演させていただいたこと、そして最年少でNHK放送文化賞という身に余る賞をいただくことができたこと。とくに首都圏放送センターやラジオセンターのチーフプロデューサー、広瀬久美子アナウンサーには感謝の気持ちしかありません。そしてNHK学園、NHK文化センターとの出会いにつながっていきました。未だにNHKという大きな看板の下でお仕事させていただいております。

 4.飯島町の4賢人

 飯島町ふるさと大使として、市町村のアドバイザー的役割を担わせていただくきっかけを与えて下さった本日お見えいただいております唐澤隆町長、元町長の高坂宗昭様、そして元議長の松下壽雄様、さらに元副町長の箕浦税夫様との出会いは、のちに御前崎市や安曇野市、館山市との関わりを持つきっかけになりました。長い間、飯島町の地域振興に関わらせていただける仕組みをお作りいただいたご英断に感謝申し上げます。

 飯島町では西村京太郎先生とのトークショーも開催させていただきました。先生は飯島町を気に入り「赤と白のメロディ、君は飯島町を知っているか」という新書までお出しいただきました。

 5.1つの社団法人と2つの財団法人

 20年にわたり在籍させていただいた日本観光協会(現・日本観光振興協会)との出会いも、大きく人生を変えました。フリーランスになった今でも日観協時代に構築した人脈は生かされています。

 さらに休暇村協会、厚生年金事業振興団、NHKでは、公的であっても個別の宿泊施設の紹介はできなかった時代に、強力なバックアップによって公共の宿の紹介をさせていただき、「公共の宿といえば津田さんだね」と言われるほどでした。

 元休暇村協会の木村義雄理事は、現在館山市観光協会の室長としてのお立場で、今も関わらせていただいております。

 そういった方々のおかげで、見たもの聞いたことを、常に発信し続けられていることは最高に幸せです。

 50周年に向けて、1人でも多くの方々に旅の感動をお伝えできるように、精進して参りたいと思っております。

 皆様の変わらぬ、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げて、感謝の言葉とさせていただきます。

 そして結びにあたり、これまでNPO法人ふるさとオンリーワンのまちの専務理事でもあり、公私共にお支えいただいております旅行新聞新社の石井貞德社長に、心よりの感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、誠にありがとうございました。

 

【旅行新聞×Beach UP】“嗜好マッチング”が新たな集客モデルに 一気通貫でDXサービス提供

2026年5月5日(火) 配信

旅行新聞新社・石井貞徳社長(左)とBeach UP・赤尾日栄社長

 旅行新聞新社(石井貞德社長、東京都千代田区)は、観光業向けに多言語案内や旅ナカ・旅アトサービスなどを提供するBeach UP(ビーチアップ、赤尾日栄社長、東京都新宿区)と協業し、宿泊施設向けに集客DXサービスの提供を始める。AIを活用した宿と宿泊客とのマッチングを元に、次回の旅行を自動案内する仕組みで、クーポン割引や広告による集客からのシフトチェンジを提案する。

 近年、よく耳にするDXという言葉。デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術とデータの活用でビジネスモデルを変革し、そこから生まれる新しい価値で、競争上の優位性を確立する取り組みを指す。

 これを実現させるため、宿泊業向けにもセルフチェックインシステムやAIチャットボット、清掃管理システムなど、顧客満足度向上や人手不足解消に向けたさまざまなサービスが提供されている。

 今回、旅行新聞とBeach UPが共同提案する集客DXサービス「サイコロ」は、消費の根幹は顧客満足からという、ごく当たり前の視点に立ち返り設計した。宿泊客に旅ナカで付加価値を提供しつつ、その行動を分析。宿泊嗜好も踏まえ、AIが自動で次の旅行を提案する。宿泊予約機能も備えたことで、一連の流れを途切れなく提供することができる。

 Beach UPは、全国各地で館内自動多言語化サービス「More Japan(モア・ジャパン)」も提供している。共同提案を通じ、シンプルかつ最適な組み合わせで、宿泊施設の要望に応えていく。

行動データ元にAIが次回旅行を自動提案

 集客DXサービス「サイコロ」のコンセプトは「偶然の出会いが旅をつくる。サイコーのロケーション」。この言葉を、集客に向けた手順のなかで具現化した。

 サービスの流れはこうだ。旅行会社やオンライン旅行会社(OTA)、自社公式サイトなど、予約導線は問わず、チェックイン時にすべての宿泊客に対し、宿のオリジナル折紙「重ね紙」(=14面旅館革新のすゝめ参照)をプレゼントする。台紙のQRコードをスマートフォンで読み込むと、オリジナル観光マップやおすすめ店、観光施設などの情報を蓄積した、限定公開の交流サイト(SNS)を閲覧できる。

 宿泊客にはこの情報を手掛かりに、まち歩きや宿泊滞在を楽しんでもらう。コンテンツは地元のおすすめに加え、グループ内で共有できる旅行日記や写真アルバム、割り勘計算機能も利用できる。この段階では気軽に利用できるよう、個人情報を求めず設計しているのがポイントだ。

 ユーザー登録を求めるタイミングは、存分にサービスを楽しんでもらったあととした。登録者には、旅ナカで撮った写真や宿のプロモーション動画を素材に自動生成される「お土産動画」をプレゼントする。加えて、旅ナカの行動、宿泊データをAIが分析し、自動で嗜好に合った次の旅行プランを提案する。

 宿泊施設側の視点では、宿泊客に旅ナカで満足度の高いサービスを提供するとともに、AIが抽出した親和性の高い顧客に向け、「特別な招待状」を送り、新規の来館や再訪を促すことができる。これを繰り返すことで、嗜好マッチングによる新しい集客モデルの確立を目指す。

得られたデータ可視化AIによる業務代行も

 「サイコロ」で提供する仕組みを、常時一元管理する画面が「ダッシュボード」だ。ユーザー登録した会員と自館とのフィット(適合)チャートを表示するほか、招待状の受取・利用状況確認など、必要な情報を自動で取得・解析する。簡単な画面と必要な機能で「AIを活用し、新たな戦略を考えていきたい」などの声に応える。

 加えて、旅行新聞の過去記事を学習したAIも搭載する。この知見を生かしたSNS投稿文やチラシ・ポスターなどの自動生成、課題解決策の提案機能も備える。

利用率意識した館内多言語化サービスも

 Beach UPは、旅館の女将の声を取り入れ商品化した宿泊施設向けの館内案内多言語化サービス「More Japan」の提案にも力を入れている。

 大浴場や食事場所など、さまざまな館内案内をAI自動翻訳で英語やフランス語、中国語、韓国語など11言語で提供する仕組みだ。セールスポイントはQRコード付きのルームキーからアクセスできる点だ。

 現在、QRコードによる館内案内は、読み込み率が低いという課題を抱えている。この点に着目し、チェックイン時に手にする部屋の鍵をサービスへの入口とし、利用機会を高めるよう工夫した。これにより、「利用率80%を実現している」(Beach UP)という。

 両社は今後、現場ニーズを踏まえ、各サービスの最適な組み合わせを提案していく。

Beach UP 赤尾 日栄 社長 「宿と旅人の“共鳴”可視化」

 旅館・ホテルの本質は「一期一会」のおもてなしにあります。しかし、現代の宿は過度な業務負担と集客の荒波に晒されています。私たちは、旅行新聞が創刊してから長きにわたり記録し続けた日本の宿の魂と、最新のAI技術を融合させました。

 提供するのは単なる効率化ではありません。宿の特徴や特性と旅人の趣味嗜好や目的をマッチングする「サイコロ」エンジンは、宿と旅人の「心の共鳴」を可視化するサービスです。また、旅行新聞新社の膨大な知見を学習したAIは、貴宿の魅力を物語(SNS・提案)として紡ぎ出します。

 なぜ今、DXなのか。それは、デジタルによって生まれた余白を、再び「人間にしかできないおもてなし」に充てるためです。日本の伝統美を未来へつなぐため、私たちはデータという新たな武器を手に、お宿の皆様と共に歩みます。新しい旅の形を、今ここから共に創り出すことができれば幸いです

【プロフィール】

 赤尾 日栄(あかお・にちえい)氏 2004年から外資系通信会社で、キャッシュレス決済代行システムの設計、開発に従事。その知見を生かし、SBペイメントサービスでは数百社におよぶ加盟店へのプラットフォーム導入を指揮。13年から自ら代表として複数の企業を設立。教育現場での保護者・学校間コミュニケーションアプリの開発や、スポーツ団体向けDXソリューション構築を通じ、アナログな現場をデジタルで支える仕組みづくりを推進。23年Beach UP設立。同社代表取締役就任。

旅行新聞新社 石井 貞德 社長 「両社の強みで宿の集客支援」

 「旅行新聞」は1975年の創刊以来、観光業の発展に寄与すべく発行を続け、昨年創刊50周年を迎えることができました。読者の皆様には改めて感謝申し上げます。

 事業の柱となる紙面発行に加え、観光業界で最も歴史のある宿泊施設のランキング「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」も継続発表しています。近年は事業のブランド化を進めるとともに、台湾をはじめとしたインバウンド向け情報発信、宿の広報を支援する事業などを積極的に進め、入選施設の魅力発信に寄与して参りました。

 このようななか今年度から、多言語案内や観光地探索、旅アト向けプラットフォームを開発・提供するBeach UPと協業し、互いのノウハウを生かすことで、宿泊施設の集客支援に乗り出します。シンプルかつ必要なものがそろったユーザインタフェースの提供はもちろん、新聞社としての情報・コンテンツも盛り込んだ、サービスとして提案させていただきます。

 本事業が宿泊業発展に役立つよう取り組んで参ります。皆様の関心をいただけますと幸いです。

「観光人文学への遡航(71)」 外交と観光・覇権国家の思い通りにならなかった日本

2026年5月4日(月) 配信

 日本も高市首相の発言に反発した中国から同様の観光面での圧力にさらされた。親中な一部のオールドメディアは、それのインパクトを必要以上に強く報道した。しかし、パラオほどの大きなインパクトを残すことにはならなかった。それには4つの要因が考えられる。

 第一に、日本の観光市場は規模が大きく、かつ多様である点である。中国市場の存在感は大きいが、訪日需要は一国に依存しているわけではない。韓国、台湾、東南アジア、欧米豪など今や幅広い市場に支えられている。そして最も特徴的なのが、厚い国内旅行市場の存在である。したがって、特定国からの来訪者が減少しても、直ちに観光基盤が崩れるわけではない。この市場の厚みと多様性は、観光がハードパワーとして用いられた際の耐性となる。

 第二に、中国人観光客の増加に対して、日本社会は必ずしも全面的に歓迎していたわけではなかった。経済効果の一方で、混雑や生活環境への影響などオーバーツーリズムの問題が顕在化していた。観光客数の増加は無条件に望ましいものではないという認識が広がっていたため、送客減少も単なる損失ではなく、観光のあり方を見直す契機として捉えられることとなった。

 第三に、日本の観光政策は量から質への転換を模索していた。訪日客数の拡大を追求しつつも、地方誘客や長期滞在、高付加価値化、持続可能性といった「数だけではない観光」が重視されてきた。これにより、一国依存型の大量送客モデルのリスクが相対化され、特定市場の変動を契機に観光の高度化をはかる余地が生まれた。

 第四に、日本は観光以外の経済基盤も厚い。観光関連産業への影響は大きくとも、製造業や国内市場など複数の柱が存在するため、観光の変動が国家全体の意思決定を左右する圧力にはなりにくい。

 以上の点から、日本は観光を通じた政治的圧力に対して、一定の耐性を備えていたといえる。ただし、それは恒常的な安全を意味するものではない。観光市場の構造や依存関係を不断に見直し、観光を外交・安全保障・地域社会の持続可能性と結び付けて考える視点が今後も不可欠である。

 以上の比較から、観光がハードパワーとして機能するか否かは、観光客数そのものではなく、市場構造、政策設計、社会的認識、経済基盤といった複合的要因によって規定されることが明らかとなった。

 とくに、特定市場への依存度が高い場合、観光流動の変化が国家の意思決定に対する外部圧力として機能しやすい。一方で、市場の多様性や政策的分散が確保されている場合には、その影響は相対的に限定される。

 したがって、観光政策は単なる需要拡大ではなく、リスク管理および構造的安定性の観点から再設計される必要がある。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(256)」 江戸街道プロジェクト(関東広域)

2026年5月3日(日) 配信

江戸街道キックオフイベントのようす

 3月下旬、東京ミッドタウン八重洲1階ガレリアで「江戸街道(Edo Shogun Roads)」の海外向けプロモーションのキックオフセレモニーが開催され参加した。国土交通省関東運輸局が2022(令和4)年度からスタートした「江戸街道プロジェクト」の次の展開に向けた活動の一環である。

 江戸街道プロジェクトとは、日本橋を起点とする「五街道」(東海道・日光街道・奥州街道・中山道・甲州街道)と、その枝道である「脇往還」(日光御成道・成田街道・水戸街道・三国街道・北国街道など)を生かして、1都10県にまたがる広域関東エリアの地域活性化を狙った活動である。かつての宿場町などを核とした地域の歴史、文化、食や温泉など、街道沿いの地域資源を編集し、これら地域の魅力発信力とブランド力を高めることを目的としている。

 五街道の整備は、徳川家康が関東入府とともに手掛けた、近世初のビックプロジェクトである。玉川上水や神田上水など水のインフラ整備や、利根川・荒川などの河川付替えと周囲の海の舟運整備を通じて一大流通網を整備し、世界に類をみない100万人都市・江戸を誕生させた。

 こうした経済の隆盛が江戸に多様な文化を生み、今日でもその遺伝子が各地に色濃く残されている。本プロジェクトはその遺伝子の発掘と「江戸らしさ」の再発見・再評価のための試みでもある。

 当日は、Edo Shogun Roadsのプロモーション動画の公開、街道ごとの酒蔵・温泉・食などのテーマごとの情報発信、モデルコースや観光コンテンツ記事・動画などを掲載するポータルサイト、街道ごとの四季のルートの計17のモデルコースの紹介とともに、今回応募した「江戸文化体験型コンテンツ」の中から選定された15選の発表などを行った。

 式典には、最優秀賞に輝いた日光馬事センターの「侍文化体験」、5つの優秀賞のひとつ「徳川綱吉公縁の禅寺滞在と舟運体験」の代表者からもお話をいただいた。

各地から出店したブース風景

 広域関東には、このような江戸由来のコンテンツが豊富にある。今後は、これらをどう伝え、生かすかが大きな課題である。

 個々のコンテンツは魅力的でも、それだけで誘因力につながらない。これらを生かして地域をブランド化するには、背景にある地域の「物語」編集が何より重要である。来訪者を魅了する「物語」の編集と発信こそが、旅の大きな動機となる。

 同時に、地域をどうしたいのかというビジョンの共有と中長期の戦略、これらを持続的に運営する組織体制の整備や担う人材の育成などが何より重要となる。

 江戸街道沿いに点在する、かつての宿場町の「点」を街道という「線」でつなぎ、広域関東の「面」に拡大することが、本事業の大きな目標となる。これら受入環境の整備が、海外の方々を魅了する地域プランドに発展することを願っている。

(観光未来プランナー 丁野 朗)

〈観光最前線〉捨てる神あれば拾う神あり

2026年5月2日(土)配信

松本つなぐ横丁(※画像イメージで記事とは関係ありません)

 信州特集に合わせて、毎年4月には長野県の現地出張に出掛けている。人事異動の季節でもあり、新しく異動されてきた人、1年ぶりにお会いする人、なかには出世をして再び観光関係の部署に戻ってきて旧交を温めることができた人など、様々な出会いがあるのもこの時期ならではだ。

 出会いがあれば別れがあるのもこの時期で、理論派の広告担当者から「これからは紙媒体ではなく、ウェブ媒体にシフトしたい」とバッサリ広告予算をカットされてしまうことも多々ある。金の切れ目が縁の切れ目ではないが、それまで築き上げてきた信頼関係や人脈が一瞬にして絶縁してしまうことも数多い。

 捨てる神あれば拾う神ありというのも事実で、何度となく救われてきた。今でも人を信じることができるのは彼らのおかげだ。

【古沢 克昌】

JNTO、新たな「訪日マーケティング戦略」策定 訪日市場の多様化後押し

2026年5月1日(金)配信

出口まきゆ理事

 日本政府観光局(JNTO、蒲生篤実理事長)は4月28日(火)に開いた会見で、新たに策定した「訪日マーケティング戦略」について説明した。同戦略の策定において、出口まきゆ理事は「インバウンド市場の多様化の流れをさらに後押しすることを意識した」と話した。

 新たな訪日マーケティング戦略では、第5次観光立国推進基本計画の政府目標の達成に向け、コロナ禍以降の訪日拡大に伴う、“訪日市場の変化や地域からのニーズにも対応”した戦略へ改善させた。新たな市場調査を基に、市場の多様化や訪日ニーズの多様化などの変化を的確に把握。ターゲットの特徴や取り組みのポイントなどを具体的に整理し、持続可能な観光の推進を念頭に戦略を策定したと伝えた。

 具体的には、訪日経験率の高まりを受け、欧州を中心に「訪日経験者」「家族旅行層」のターゲットを新規追加。訴求内容や目指す方向性、情報収集源、予約方法の特徴やプロモーション手法など地域が活用できるポイントを整理した。

 このほか、訪日旅行で高いニーズがみられる「日本の食」をフックとするガストロノミーツーリズムを、市場横断戦略のテーマに設定。MICE戦略の目標に、現行の開催件数(国際会議)や消費額(インセンティブ旅行)に加え、地方誘客の推進を追加した。

 持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進では、地域の環境や文化、経済の持続可能性を高める観光の実現を目指す。市場別の戦略では、東アジアや東南アジアで、リピーターの拡大と地方分散に注力。欧米豪とその他では、初訪日層の拡大に注力し、日本への関心の向上、旅行消費額の拡大をはかる方針を示した。

訪日旅行の最新動向、今後の取り組みを説明

 インバウンド観光の最新動向については、出口理事が「2026年1~3月までの累計が約1068万人となり、2年連続で1000万人を突破した」と述べ、前年を上回る数値と報告した。「東アジア3市場と東南アジア6市場は今年に入ってからいずれの月も前年同月を上回る水準で推移。中国は25年12月以降、前年同月を下回っている。欧米豪は前年同月を大きく上回る状況で推移し、非常に好調」と現状を説明した。

 25年の地方部への延べ宿泊者数では、18市場が前年同期を上回っていると報告した。とくに米国やカナダ、欧州各市場では前年同期比120%超と好調に推移し、引き続き地方誘客に力を入れていく姿勢を示した。

 また、JNTOは訪日促進を目的とした新たなグローバルキャンペーン“Japan. Unforgettable”の開始を発表した。

 市場の多様化により、日本の旅行先としての認知度が向上したため、これまで展開していたキャンペーンをリニューアル。主なターゲットを、欧米豪を中心に存在する「訪日したことがなく、今後の旅行先の候補の1つとして日本を捉えている層(未訪日の訪日関心層)」に変更した。

 日本の多様な魅力と、いつ来ても楽しめる旅行地であると訴求する動画を制作し、秋編と冬編を先行して公開した。今秋、春編と夏編も公開予定。同動画を活用し、動画配信などのデジタル広告を展開するほか、動画と連動したウェブサイトを通じて、訪日意欲を高めていく考えを示した。

 このほか、5月17日(日)~22日(金)にかけて、富裕層向け高付加価値旅行の商談会「Japan Luxury Showcase 2026」が大阪で初めて開催すると紹介し、視察・体験ツアーや商談会の参加を呼び掛けた。

韓国観光公社、地方の魅力発信するCP 訪問先の分散化で韓国への観光需要

2026年5月1日(金) 配信

特設サイトのイメージ

 韓国観光公社(KTO、朴成赫社長、韓国・原州市)は4月27日(月)、地方観光の魅力を発信するキャンペーン「トッ,韓国 ~また、違う韓国へ~」をスタートした。地方ならではの魅力発信し、観光需要の拡大を目指す。

 キャンペーンタイトルの「トッ」は韓国語で「また」「もう一度」を意味するとともに、日本語の「~と」という意味も重ねることで、「大切な誰かと、またもう一度韓国へ」という思いを込めた。

 特設サイトではソウルと釜山、大邱、済州、清州を起点としたモデルコースを計10コース紹介。さらに、航空会社や船舶会社の運航情報、旅行会社のツアーなども掲載している。

 また、サイト内では質問に回答することで、自分に合った韓国地方の旅先を診断できる「韓旅タイプ診断」も実施する。結果をシェアするSNSキャンペーンでは、抽選で日韓往復ペア航空券や韓国美容ブランドの商品、ショッピングクーポンなどの賞品を贈る。

楽天トラベル、Rakuten AIに宿泊手配する機能を追加 提案から予約までAIが支援可能に

2026年5月1日(金) 配信

Rakuten AIの操作画面

 楽天トラベルはこのほど、利用者に最適な宿泊施設を提案するAIエージェント「Rakuten AI」に新たな予約機能を追加した。これによって、最適な宿泊施設の提案から予約までをAIが一貫してサポートできるようになった。

 同AIは2025年9月に、提供を開始。言語を理解して要望を的確に捉える処理能力やクチコミ、宿泊施設情報、ウェブの検索結果などを提案に反映することができる。利用者数と利用後の予約成約数は増加傾向にあるという。これを受けユーザーの利便性を高めようと、同社は新機能を導入した。

 予約機能の追加によって、利用者は宿泊日や施設に求める設備、重視したい点などの希望条件をAIに伝え、複数の候補から最適な宿泊施設やプランを選択し、予約ボタンから予約を完了することが可能になった。さらに、事前に楽天IDでログインすることで、獲得予定ポイントや各ユーザーが利用できる割引条件を反映した料金を確認できるほか、予約時に氏名や連絡先、カードの決済情報などの入力が不要となっている。

九州産交ランドマーク、親子マルシェとクレヨン絵描きイベント 5月3~5日にサクラマチ クマモト(熊本県熊本市)で

2026年5月1日(金) 配信

イベントのイメージ

 九州産交ランドマーク(渡邉晋司社長、熊本県熊本市)は5月3日(日)~5日(火)、サクラマチ クマモト(熊本県熊本市)でイベント「親子でタッグ!親子マルシェ in サクラマチ」と「広場がキャンバス!」を開く

 このうち「親子でタッグ!親子マルシェ in サクラマチ」は、親子がマルシェを出店する体験型企画。子供が商品の価格設定や販売を行うことで、金銭感覚や主体性、コミュニケーション力の育成をはかる。販売する商品は家庭で不要になった子供服や絵本、おもちゃなどとなっている。開催時間は午後0~4時。実施場所はサクラマチ クマモトの1 階メインエントランスとなっている。

 「広場がキャンバス!」は、来場者が花畑広場の地面を自由に使い、好きな絵をクレヨンで描けるイベント。参加費は無料。午前11時~午後4時に行う。

観光庁、観光施設の料金設定で初会合 ガイドライン策定目指す

2026年5月1日(金)配信

「観光施設・サービス等の料金設定等に関する調査・研究会」初会合のようす

 観光庁は4月27日(月)、「観光施設・サービス等の料金設定等に関する調査・研究会」の初会合を開いた。国内外の事例を踏まえたうえで、料金設定に関するガイドラインの策定を目指し、ヒアリング先の具体的な候補について議論を行った。

 冒頭あいさつで、観光庁の村田茂樹長官は「近年、観光コンテンツの維持や磨き上げ、オーバーツーリズム対策などを目的として、観光施設やサービスの料金を見直す動きが出ている。こうした事例は、他の観光施設やサービスにも参考になり得るものと考えている。有識者の知見をいただきながら、まずは料金設定の事例や分析を行っていきたい」と力を込めた。

 座長を務める東京女子大学現代教養学部経済経営学科の矢ケ崎紀子教授は「観光施設やサービスにとって、料金戦略は運営の要諦。持続可能な観光の実現に向けて、各施設の管理者やサービス提供者は、料金設定のあり方に日々真剣に向き合っていると認識している。今回の研究会では、検討に役立つ事例と分析の提供が使命。議論を深めていきたい」と述べた。

 観光庁がまとめた参考事例のうち、兵庫県・姫路城の入城料が今年3月、18歳以上は市民が1000円と据え置きで、市民以外を2500円に引き上げたと紹介。ただし、18歳未満は一律300円から無料となり、料金改定は必ずしも引き上げありきとは限らないとした。

 研究会の委員は次の各氏。

 【座長】矢ケ崎紀子(東京女子大学現代教養学部経済経営学科教授)【委員】田林信哉(Satoyakuba代表理事)▽樋口容子(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会〈NACS〉副会長)▽日高洋祐(MaaS Tech Japan代表取締役社長)▽二神真美(名城大学名誉教授)▽宮島香澄(日本テレビ放送網社長室)▽村山慶輔(やまとごころ代表取締役)