プリンセス・クルーズ見学

 大型豪華客船「プリンセス・クルーズ」の船内見学会に参加した。レストラン、バー、プール、劇場など充実した施設に目を見張ったが、なかでも驚いたのは日本式の大浴場があったこと。展望風呂やサウナ、打たせ湯を備え、モダンな雰囲気の脱衣場も含め、さながら高級旅館のようだった。同船が日本発着クルーズに投入された04年の大規模改装で誕生したという。

 来年は日本発着クルーズとして初めて、ベトナム・香港・台湾など東南アジアを周遊するコースを設定したほか、6日間のショートクルーズなどもある。代金は最安1人9万7千円からと思いのほかリーズナブル。

 なんとなく高い!というイメージがあったクルーズ船だが、今回の取材でより身近に感じることができた。

【土橋 孝秀】

【WIT(Web in Travel)国際会議 OTAのトップリーダーが熱く議論】投資、買収、提携、撤退 ―今後の展望を問う

(左から)西田裕志氏、宮本賢一郎氏
(左から)西田裕志氏、宮本賢一郎氏

「変わりゆく日本市場」テーマに
 世界各国からオンライン旅行会社(OTA)などの代表らが集まる「WIT(Web in Travel)JAPAN& NORTH ASIA 2016」国際会議が6月3日に、ヒルトン東京お台場(東京都港区)で開かれ、国内外のOTAのトップリーダーらが参加した。投資、買収、提携、撤退――。それぞれ自分たちを中心に駆け抜けてきたOTA企業が、現在、そのあり方を模索している。登壇者は熱い議論を交わしながら、これからの展望を語った。
【平綿 裕一】

 今やITテクノロジーと旅行業は切り離せない関係となっている。同会議は旅行業界や市場の流行に関して、北東アジアをはじめとするアジア市場を中心に、OTAや、航空業、ホテル・旅館業などの代表らを迎えて行われた。

 パネルディスカッション「変わりゆく日本マーケット―主要OTAの動向」では、楽天トラベル事業部副事業長兼編成・マーケティング部部長の高野芳行氏、ヤフーショッピングカンパニー予約事業本部トラベルサービスマネージャーの西田裕志氏、リクルートライフスタイル執行役員旅行領域担当の宮本賢一郎氏、一休社長の榊淳氏、i.JTB執行役員兼販売本部副本部長の山口健一氏が登壇した。司会は同会議の実行委員長を務める、ベンチャーリパブリック社長の柴田啓氏。登壇者らに踏み込んだ質問を投げかけた。

高野芳行氏、榊淳氏、山口健一氏
高野芳行氏、榊淳氏、山口健一氏

 リクルートの宮本氏は、「日本のモバイルのシェアが3年後にどうなっているか」との質問に対し、他の登壇者は50―70%になると予想するなか、40%と回答。理由を問われると、「モバイルの比率が高くなっていく流れは変わらないと思う。しかし、日本の国内市場の人口構成比は他のAPAC(アジア太平洋地域)と異なっていて、国内市場は50歳以上のシニア層が半数以上という事実もある。なので、進展が遅いのではないかと考えている」と推論を展開した。

司会の柴田啓氏
司会の柴田啓氏

 また、司会の柴田氏は、「今回、ヤフーだけのセッションを作ろうとした。なぜなら過去20カ月の間に、ここにいる一休を含め、かなり旅行分野に投資をされた」と前置きし、ヤフーの西田氏にいったいどれほど投資したのか聞いたところ、「約1千億円で、これほどの金額を投資したのは他分野を含めて、旅行分野がおそらく初めて」と答え、旅行分野への野心を顕わにした。続けて柴田氏は、「その投資がどれほど利益をもたらし、毎年どれほど回収できるのか」と踏み込んだ質問をすると、西田氏は「短期的には答えづらい」と濁しつつ、「ヤフーは旅行分野で多くのサービスがあり、さまざまなソリューションがある。買収や提携をしたところは、ヤフーが基本的に持ってなかったコンテンツを保持している会社。そこを組み合わせれば、可能性は無限に広がっていく」と事業拡大に自信をのぞかせた。

 このあと、ディスカッションは海外事業の話題へ移り、司会の柴田氏は、リクルートの宮本氏、楽天の高野氏らのそれぞれの海外事業について焦点を置いた。

 柴田氏は、リクルートの海外事業について、「インドネシア、フィリピンなどで数年OTAの事業を行っていた。しかし、この1年程でほとんどすべての会社を子会社にし、構造を変えた」と説明し、そこで何を学んだのか宮本氏に問うと、「ローカライズの重要性。結局、地域各国ごとに商習慣の違いがある。一見同じようなWebマーケティングのルールに当てはめても、それぞれの現地スタッフが、現地に合ったかたちで対応しないといけない」と答え、自社の海外事業に関して冷静な分析をした。

 柴田氏は、楽天が今年に入りシンガポールやマレーシア、インドネシアなどのeコマース関係のオペレーションすべて閉鎖したことに触れ、その理由を高野氏に質問。これに対し、「選択と集中だ」とし、「楽天は『Vision2020』を掲げて3つの柱を立てた。これは、ストロングビジネス、スマートビジネス、スピードビジネスで、この3つの戦略的分野に投資していく。売上高は1兆7千億円、営業利益は3千億円を目指す」と述べた。ひとまず非選択としたエリアから離れ、3つの分野に集中していく構えだ。

 しかし、高野氏は、「グローバルという意味では台湾などが『ストロングビジネス』に位置する。引き続き楽天カード台湾や楽天市場台湾など、連携し、コラボレーションして日本と同じような下地を生み出していく」と話し今後も基本的に海外事業に力を入れて活動していくことを強調した。

 ディスカッションの終盤では、それまでとは違った向きの質問もあった。

 一休の榊氏は、もし明日仕事を変えられて、海外OTAで働けるとしたらどこの企業にいきたいかという質問に対して、「トリップアドバイザー」と回答し、「個人的な見解だが、バリューチェーンが広がってきていると感じている。川上のサーチのところから、予約、そして旅後の口コミの共有など、バリューチェーンをすべて押さえている。これは非常に優位なポジションだと思っている」と理由を語った。

 i.JTBの山口氏は、もし観光大臣になり100億円の予算を組まれたら、なにに使うかという質問に対し、「交通費を安くし移動費を抑えられることができれば、いろいろなところに交流ができるのではないか、移動がとにかく簡単にできれば、もっと活性化していくはず」と話した。

 ディスカッション全体を通して、柴田氏を中心にさまざまな質問や議論が展開された。今後は海外OTAが、ますます日本市場に参入してくることは避けられず、これについて脅威に感じるかとの質問に、登壇者ら全員が少なからず脅威に感じていると述べ、 近年国内OTAのトップリーダーらが慌ただしく動いている理由も垣間見ることができた。

バス事業の原点を、安心と安全を確保(日本バス協会)

上杉雅彦会長
上杉雅彦会長

 日本バス協会(上杉雅彦会長、2374会員)は6月16日、東京都内で2016年度の通常総会を開いた。上杉会長は冒頭で、「1月15日、軽井沢で重大事故が発生し、若く尊い命が多く失われた。心から哀悼の意を表したい」と述べ、「今後はバス事業の原点、いうまでもなく安心と安全の確保が大前提となる。これが当然できたうえで、さまざまな事業展開がある。このことを今日この総会の席で再確認したい」と会員に訴えかけた。

 今年度は軽井沢スキーバス事故を受けて、格段の事故防止対策をする必要があるとし、「事故防止対策に最大限に取り組む」などの重点取組事項を設定。再発防止に同協会全体で取り組んでいく。このほかに「貸切バス事業者安全性評価認定制度」の推進があり、昨年度に比べ申請事業者が多くなったが、今後もさらなる拡大を進める。加えて旅行業界や一般の利用者に対して、認定事業者の証明である「SAFETY BUS」のマークやステッカーの周知をはかる。

 また、観光庁の16年度予算に、訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策として、新規に80億円が計上されたと報告。そのなかに2次交通対策として、ICカードの導入等に関するインバウンド対応の支援などが含まれており、これを活用して、観光立国への対応を進めていくとした。

「日本遺産」の価値探る、7月9日、東洋大で(余暇ツーリズム学会)

 余暇ツーリズム学会観光地域ストーリー研究部会(丁野朗会長)は7月9日、東洋大学白山キャンパス(東京都文京区)で第2回研究会を開催する。

 第1部では、文化庁文化財部記念物課前課長の加藤弘樹氏による基調講演「『日本遺産』におけるストーリーの価値と狙い」が行われる。

 第2部では、ストーリーづくりを実践する現場から、具体的な成果や課題を検証するパネルディスカッション・公開ブレーンストーミング「観光まちづくりに求められる地域ストーリーとは?」が行われる。

 パネリストには加藤弘樹氏と栗原博氏(日本商工会議所地域振興部長)、矢ヶ崎紀子氏(東洋大学国際地域学部准教授)、松田優一氏(横須賀市経済部担当部長)、森本昌憲氏(藤田観光元会長・本部会副会長)、渡邊正範氏(十日町市産業観光部長)、ファシリテーターには丁野朗氏が登壇する予定。また全体講評は、東洋大学名誉教授・本部会副会長の井上博文氏が行う。

 会場は東洋大学白山キャンパス1号館1404教室。時間は、午後1時30分から4時30分まで。また午後5時30分から7時30分まで懇親会も開かれる。参加費は研究部会2千円(学生1千円)、懇親会が4千円程度(実費)。定員は研究部会100人、懇親会50人でともに先着順。申し込みは

http://kokucheese.com/event/index/403347/まで。

17年、石垣など初寄港へ、ダイヤモンド・プリンセス

17年は最長シーズンに
17年は最長シーズンに

 世界3大クルーズ会社の一つ、プリンセス・クルーズ(米国)が運航する大型豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」が6月10日、神戸港に入港し、マスコミ関係者などを対象に見学会が行われた。あわせて、沖縄県・石垣島などへの初寄港を含めた2017年の日本発着クルーズの概要など紹介した。

 同船は、三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造され、全長290・2メートルの11万6千トン。「日本の造船史上最大の船」として04年デビュー。14年からは日本発着クルーズで使用され、同年に行われた大規模改修では日本式の展望浴場「泉の湯」や寿司レストラン「海(Kai)寿司」など、日本人向けの施設が充実した。

 乗客定員は2706人で、客室数は全1353室。メイン・ダイニングは船内に5カ所あり、クルーズ中は指定テーブル制をとり、毎日同じウェイターが担当することで、客の好みなどを把握し、もてなしに努める。

 施設では屋外プールサイドに設置された大型スクリーンで映画を楽しむ「ムービーズ・アンダー・ザ・スターズ」や、最上階デッキの大人専用スペース「サンクチュアリ」などが人気。日本語が話せるスタッフ約100人が乗船し、クルーズライフをサポートする。

 17年の日本発着クルーズは4月20日から11月10日出発までの約7カ月間。13年の日本発着就航以来、最長のシーズンになるという。横浜・神戸を母港に全28出発日設定(うち4本はチャーター)。

 初寄港となる石垣を含めた「那覇・石垣島・台湾リゾートクルーズ8日間」は、14万7千円から。気軽にクルーズを楽しんでもらおうと、6日間のショートクルーズ4コースや、初となる東南アジア周遊クルーズも設定した。

【第14回浴衣が似合う温泉地】2年ぶりに草津温泉が1位、2位城崎温泉、3位下呂温泉

 旅行新聞新社は「第41回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」発表冊子内、さらに本紙と業務提携する地球の歩き方T&Cのウェブ「日本の歩き方」(2016年2-3月)内でネットユーザーを対象に、「浴衣の似合う温泉地」のアンケートを実施、その結果、全国191の温泉が推薦され、草津温泉(群馬県)が2年ぶりに第1位になった。第2位は昨年1位だった城崎温泉(兵庫県)、3位には下呂温泉(岐阜県)が入った。4位以下は伊香保温泉(群馬県)、黒川温泉(熊本県)、道後温泉(愛媛県)、銀山温泉(山形県)、熱海温泉(静岡県)、有馬温泉(兵庫県)、別府八湯(大分県)が続く。回答数は3943、有効回答数は3870。発表にあたってはトップ10のみ順位と代表的な推薦理由を、以下は地域別に順不同で紹介する。
(アンケート期間:2015年7月11日~2016年4月30日 回答数:3943、有効回答数:3870、推薦温泉地数191)

第1位 群馬県 草津温泉(707票)

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浴衣を着てのんびりと湯畑を散策できていい。/温泉地として独立していて風情があり浴衣でも違和感がない。/湯もみショーや温泉らくごなどのイベントも充実しているから。/温泉街の街並みは和の装いがフィットすると思う。/湯畑から上がる湯けむりに浴衣姿がよく映えると思い選びました。近くに温泉が楽しめる施設もたくさんあるので、浴衣で湯畑周辺を散策するのも草津温泉の最大の魅力だと思います。/湯けむりの中、下駄でカランコロンと歩くのが風情があっていい。/湯畑を中心に温泉街の雰囲気を今に残していて街並みが浴衣で歩く姿が似合うと思うので。/街全体が硫黄の香りに包まれていて、情緒があるので。/テルマエ・ロマエを見て。/湯畑周辺を観光しながら、浴衣を着て足湯を堪能するのが似合うと思うので。/温泉街も凄いですが、何よりも湯畑が印象的だからです。/湯畑の周りを昼も夜も歩け、硫黄の香りと湯気の立ち上るようすに浴衣がピッタリです。/浴衣でライトアップされた湯畑を歩くのは素敵だと思います。/温泉街が湯畑を中心に徒歩圏内でまとまっている。足湯や公共浴場も多くあり、浴衣で歩き回るのにちょうどいい。/湯畑を中心ににぎわいが似合う温泉街だから。/湯畑周辺は、少し離れたところでさえお湯の香りがする。/湯畑周辺が浴衣を着ての散策にぴったりだから。/湯畑やお土産処を浴衣でぶらりする姿に憧れるため。/昼間はにぎやかな温泉街、夜はしっとり薄暗い雰囲気のある温泉街。昼も夜も違った雰囲気の温泉街を浴衣で歩きたいと思いました。湯畑を浴衣でお散歩なんて風情があると思ったからです。/温泉地自体が浴衣で出歩きやすいよう整備されている。また、実際浴衣で出歩く人も多く、自然と街の雰囲気が良く自分も歩きたくなってしまう。/湯畑の周りを浴衣で散歩したいから。/旅館の中だけではなく、湯畑周辺も浴衣で歩く姿が様になる温泉地だと思う。/温泉街がとても景観が良く、中心にある湯畑から湯気が出ているので、浴衣と景観のコントラストが絶妙に合うと思います。/湯畑から温泉の白い湯気が上がり、温泉地の情緒がある。夜はライトアップしていて一層いい雰囲気。

第2位 兵庫県 城崎温泉(619票)

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浴衣で川沿いを歩くのがとても温泉街らしくてよい。/外湯への行き来で歩く下駄の音が良い。/外湯巡りの際に浴衣が多くて、風景に溶け合っていたので。/外湯巡りに浴衣が似合います。/町並みに風情があり、浴衣で歩くのにピッタリな土地だと思うから。/浴衣と、川と、柳のコントラストが綺麗だから。/昭和の香りがする温泉街が残っている。/温泉街を浴衣で歩く、夕方のゆったりした時間が最高に良いです。心が落ち着く街並みです。/浴衣を着て外湯を巡るのは、とても情緒があります。/温泉がたくさんあって、昔ながらの建物と旅館がなんとも言えない風情があるので、浴衣と合っています。/街並みの雰囲気と浴衣がとても調和するから。/志賀直哉の小説にも出てくる由緒ある温泉地。/外湯巡りが有名で夕方の風景が素敵だから。/石造りの太鼓橋がかかる川と柳並木に、浴衣姿は絵になる。/湯めぐりで街を歩いている人たちが可愛い浴衣を着ているのをよく見るからです。 雪が降っているとさらに風情があって素敵です。/浴衣の種類もたくさんあり、いろんな色から選ぶことができました。着付けもお店の人にやってもらえたので最高に満足できました。/温泉地としてもこぢんまりとまとまっていて、何度行っても落ち着く。/外湯めぐりをする時に街並みにマッチすると思います。/浴衣の貸し出しサービスを利用し、可愛い浴衣を着て温泉街を歩ける。/浴衣を着てカランコロンと下駄の音を鳴らして外湯巡りをするのが城崎温泉の楽しさです。/レトロな温泉街の雰囲気。/川沿いの小道をそぞろ歩くには浴衣が一番だと思うから。

第3位 岐阜県 下呂温泉(227票)

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至るところに足湯があり、大きな川や風情のある場所であるので浴衣が非常に似合うと思います。/川沿いの涼しげな風が、浴衣にぴったりでした。/温泉街に風情がある。近くに足湯などもあり浴衣で足湯巡りなども思い出になりそう。/下呂の街並みが夜は古風で和の雰囲気なので、浴衣姿でのお散歩が良く合うと思います。/高山に近い山間にある、日本三名泉と言われる下呂温泉は、古き良き温泉街をそのまま保存されている感じがするので、とても似合うと思う。/浴衣姿で川原に打ち上げられる花火を見るのが似合います。/日本の温泉の原風景が残っています。行くたびに懐かしさを感じます。温泉そのものも良いですが、町全体の雰囲気が良いです。/ネオンに照らされた温泉街の真ん中に川が流れ、その両脇にいくつかのお店が並んでいます。/夏に夕涼みがてら、川べりを浴衣姿で散歩するイメージがあります。/旅館の離れから見た景色に紅葉があり、ゆったり温泉に入り浴衣が似合うと思いました。/周囲を山に囲まれ、都会の慌ただしい騒音から離れた落ち着いた雰囲気が、浴衣で過ごすのによく似合っていると思います。/温泉街をのんびりと歩くのに似合っている場所なので。/冬の雪景色の中で浴衣が似合うからです。/川沿いで花火が打ち上がったり、温泉情緒があって良い雰囲気だったから。/川が流れていて、昔ながらの温泉地なので、浴衣で歩くのが一番しっくりきます。/温泉街の雰囲気、夏にはお祭りや花火があり、にぎやかであるため。/日本的な温泉の良さと、お洒落なお店も最近は多くて、浴衣姿で散歩するのが似合う街だと思います。

第4位 群馬県 伊香保温泉(192票)

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石段の雰囲気に浴衣がとても似合います。/浴衣を着て射的やスマートボールに出かけたい。/東京からのアクセスが良いからか、比較的若い旅行者が多いと思うので、楽しく浴衣で過ごせそうです。/山に囲まれて、湯畑が大きく、もっとも浴衣が映える場所だと思います。/坂道とノスタルジックな雰囲気がタイムスリップした感覚になるから。/長い長い石段を浴衣でお散歩はなんとも風情があります。タオル片手に色々なお宿の湯めぐりは石段でつながる旅館街ならではの楽しみです。/夕暮れ時に浴衣で伊香保石段街を歩く人々を見て、温泉街を訪れたんだと実感でき、また柔らかい照明と浴衣、石段のコントラストに風情を感じました。/実際に行ったときに、石段を浴衣姿で歩いている人が多くまさに温泉街という感じがしました。海外から来た人が楽しそうにしていたのが印象的です。/以前、旅行した時に浴衣姿で歩いてとてもよかった思い出があります。/浴衣が色々選べるので凄く良かったです。彼女もとても気に入っていました。また可愛い浴衣も多く、彼女が、いつもより可愛く見えました。/浴衣を着て石段を散策したり、赤い橋を渡ったり、景色とマッチして風情があると思います。/街並みに雰囲気があるので。階段がノスタルジックでいい。/良い意味で垢抜けない町だから、旅館の薄い浴衣で出歩いても恥ずかしくない。どっぷり温泉気分に浸れる。/伝統ある伊香保温泉には外国のお客さんも多く来るから喜ばれてよいと思う。

第5位 熊本県 黒川温泉(156票)

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町並みに風情がある。湯めぐり手形があり、浴衣を着て湯めぐりをするのが楽しいから。/温泉手形を使って浴衣で温泉を移動するのがとても情緒があるため。/街並みと浴衣姿の人がよく合っていて、その空間が好きになりました。/カラフルな浴衣を提供してくれるホテルもあるため、いろいろな人が着て歩いています。/風情ある中に現代の要素が入り、美しい浴衣が映えます。/街全体に統一感があり、浴衣で散策が似合う町。/温泉街であり、旅館が建ち並ぶ小道を浴衣をきて巡るのはとても風情があるから。/夏の夜の町並みに風情があるから、浴衣が似合うと思う。/温泉街の中央に小川が流れていて、その両側の散歩道の雰囲気が浴衣に似合うから。/温泉街をそぞろ歩くのが楽しい。温泉手形を持って、浴衣でお出かけするのが何よりの楽しみです。/入湯手形で温泉めぐりができ、浴衣が町並みにも合うと思うから。/温泉地全体がこぢんまりとしていて、ゆったりした時間が流れているから。/情緒ある雰囲気で、非日常を感じさせてくれる。

第6位 愛媛県 道後温泉(152票)

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歴史ある建築物である道後温泉本館や特産のお土産や食べ物などの商店街は、浴衣姿で散策するのにとても情緒的だと感じます。/風情のある街並みだから。/日本最古の温泉で浴衣を着ることによってタイムスリップしたかのような感覚を楽しめる。/古き良き時代の感じがするから。/浴衣姿で商店街をそぞろ歩きするのは雰囲気がいいです。あちこちに足湯もあるから、寄り道もできます。/道後温泉本館の佇まいといい、坊ちゃん列車、温泉街、松山城など、浴衣で歩くべきです。/道後温泉本館の建物と浴衣が合う。/道後の街並を浴衣を着て歩くのがとても風情があるから。街も大好きだから。/道後オンセナートなどで各旅館オリジナルの浴衣も登場し、さまざまな人が浴衣姿を楽しんでいるから。/路面電車が走っていたり、町並みもレトロな感じで素敵。/夜の町並みが綺麗で、浴衣姿で歩くと風情があっていいので。

第7位 山形県 銀山温泉(136票)

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レトロな3階建ての木造旅館には浴衣でそぞろ歩きが最高です。/ジブリ映画の『千と千尋の神隠し』の風景そのままの温泉地です。まるでタイムスリップしたかのような景観に、浴衣姿がすごく合うと思います。/独特の風情と、照明が作り出す温泉地の雰囲気が浴衣をより自然にさせてくれるから。/浪漫あふれる日本らしい情景が素敵で、まさに和が引き立つ場所。/あの昔ながらの日本の綺麗な街並みと建物がとても浴衣に合うからです。夜になりライトアップした時や、雪の中の銀山温泉も浴衣が合います。/自動車の通れない谷筋の両側に日本建築の旅館が連なり、純和風な風景が浴衣姿を際立たせると思い、選びました。/大正時代を思わせる古い温泉街は車両も入らないので、ガス灯の下を下駄ばきで歩くのにぴったりです。/ノスタルジックな街の雰囲気に浴衣姿がよく合います。とくに夜ガス灯がともった中で浴衣姿で歩くと温泉気分がより一層高まります。/NHK連続テレビ小説『おしん』の舞台となったことでも有名で、日が暮れると温泉街にガス灯が灯ってさらにロマンチック。/街全体がタイムスリップしたような趣のある雰囲気。

第8位 静岡県 熱海温泉(132票)

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浴衣でふらりと、湯上がり散歩にぴったりな街並み。海も山も楽しめる。/浴衣で温泉街を散歩するのが、快適だからです。/海を見ながらの温泉地は夕陽がとても綺麗だからです。/夏には花火大会があるため、海岸沿いを歩いたりするのがとても楽しそうです。/浴衣に下駄で歩きたくなる風情がある。/熱海には有名な温泉地が数多くあるので、浴衣姿が絵になる地だと思うからです。/海が目の前なので、すごく合うと思います。/夜の海岸の散歩に似合うと思う。/昔からある温泉街なので、何となく、浴衣で散策すると、雰囲気が出ると思います。/夜もにぎやかな温泉地なので、浴衣でお散歩したら楽しそうなので。/年間を通して温暖な気候で、海風を浴びながら涼む浴衣がとても粋で似合いそうであるから。/温泉の湯気が道路脇から上がり、そこを歩くイメージがあります。

第9位 兵庫県 有馬温泉(125票)

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レトロな風情が浴衣と合うから。/浴衣を着て、あの町並みを歩きつつ飲み歩きするのがとても良い。/細い道で坂が多いこともあり、街並みと浴衣が良く合うと思います。/とても古風な街並みを歩いていると浴衣姿がすごく際立つから。/浴衣姿が文学的なイメージで文豪がそぞろ歩いてそうです。/街並みもレトロな感じがするので。/夏の夕涼みの浴衣が似合う所です。/歴史があって浴衣での散歩が似合いそう。/全体がレトロな感じであり、ゆったりと歩けるのが良い。/カランコロンと下駄をならして、街並みを楽しむ。/情緒ある街並みと温泉街。浴衣姿が街並みに溶け込みます。/浴衣姿でノスタルジックな温泉街を散策、すごく絵になる場所だと思います。

第10位 大分県 別府八湯(122票)

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毎日湯気が出ていて、大きな温泉地なので色々歩いても似合うと思います。/綺麗な風景に浴衣が似合いそうだからです。/別府のレトロな雰囲気に浴衣が合うから。/人気の温泉地なのに、いい意味で洗練されすぎてなくて、気楽に浴衣で散歩できる。/硫黄の香りに包まれながら、浴衣で温泉玉子を食べながら街歩きするのが似合いそう。/地獄巡りなどができるので、浴衣を来て街を散策するのが風情がある。/日本有数の温泉地で、古びた感じでなく、町並みも湯けむりも雰囲気が良い。/街全体が温泉の雰囲気をとても大切にしているからです。/日本一の温泉量を誇る別府の湯煙あふれる町並みに浴衣と下駄の音がなんとも風情があるので。

都道府県別推薦温泉地名(トップ10以外)

【北海道】
阿寒湖温泉
十勝川温泉
天人峡温泉
定山渓温泉
支笏湖温泉
登別温泉
洞爺湖温泉
湯の川温泉

【青森県】
下風呂温泉
浅虫温泉
酸ヶ湯温泉
嶽温泉
不老ふ死温泉

【岩手県】
鶯宿温泉
台温泉
花巻温泉
志戸平温泉
大沢温泉
つなぎ温泉
鉛温泉
金田一温泉

【宮城県】
鳴子温泉
秋保温泉
作並温泉
遠刈田温泉

【秋田県】
秋田温泉
夏瀬温泉
黒湯温泉
水沢温泉郷
鶴の湯温泉
湯瀬温泉

【山形県】
瀬見温泉
肘折温泉
天童温泉
蔵王温泉
かみのやま温泉
小野川温泉
湯野浜温泉
湯田川温泉
あつみ温泉

【福島県】
飯坂温泉
土湯温泉
岳温泉
東山温泉
芦ノ牧温泉
湯野上温泉
母畑温泉
いわき湯本温泉

【栃木県】
鬼怒川温泉
日光温泉
湯西川温泉
塩原温泉郷
那須温泉
奥日光湯元温泉
川治温泉

【群馬県】
四万温泉
水上温泉
万座温泉
宝川温泉
磯部温泉
湯宿温泉
老神温泉

【千葉県】
勝浦温泉
小湊温泉
白浜温泉
木更津温泉

【神奈川県】
箱根湯本温泉
湯河原温泉
強羅温泉
奥湯河原温泉
宮ノ下温泉
仙石原温泉
湯の花温泉
堂ヶ島温泉
箱根温泉

【新潟県】

瀬波温泉
月岡温泉
両津温泉
麒麟山温泉
岩室温泉
弥彦温泉
鵜の浜温泉
越後湯沢温泉
赤倉温泉

【富山県】
宇奈月温泉

【石川県】
輪島温泉
和倉温泉
湯涌温泉
粟津温泉
片山津温泉
山代温泉
山中温泉

【福井県】
あわら温泉

【山梨県】
石和温泉
湯村温泉

【長野県】
野沢温泉
馬曲温泉
湯田中温泉
渋温泉
高峰温泉
戸倉上山田温泉
別所温泉
蓼科温泉
上諏訪温泉
下諏訪温泉
大町温泉郷
浅間温泉
扉温泉
白骨温泉
開田温泉

【岐阜県】
新穂高温泉
新平湯温泉
福地温泉
平湯温泉
飛騨高山温泉
濁河温泉
長良川温泉

【静岡県】
伊東温泉
修善寺温泉
湯ヶ島温泉
伊豆長岡温泉
稲取温泉
観音温泉
舘山寺温泉
熱川温泉
下田温泉
掛川
三保
伊豆高原
中伊豆温泉
昼神温泉
天城湯ヶ島温泉
熱海温泉
蓮台寺温泉

【愛知県】
湯谷温泉
三谷温泉
蒲郡
伊良湖

【三重県】
湯の山温泉
長島温泉
鳥羽温泉郷

【滋賀県】
おごと温泉

【京都府】
嵐山温泉
鞍馬温泉
天橋立温泉

【兵庫県】
湯村温泉
洲本温泉
宝塚温泉

【奈良県】
十津川温泉
洞川温泉

【和歌山県】
龍神温泉

【鳥取県】
三朝温泉
皆生温泉
関金温泉
はわい温泉

【島根県】
玉造温泉
松江しんじ湖温泉
温泉津温泉
有福温泉

【岡山県】
湯郷温泉
湯原温泉

【山口県】
湯田温泉
錦帯橋温泉
俵山温泉

【佐賀県】
嬉野温泉
古湯温泉

【長崎県】
雲仙温泉
小浜温泉

【熊本県】
山鹿温泉
杖立温泉
菊池温泉
植木温泉
垂玉温泉

【大分県】
湯平温泉
日田温泉
由布院温泉

【鹿児島県】
指宿温泉

(順不同)

結婚式で地方創生、第5回ふるさとウェディングコンクール

受賞者らが記念撮影
受賞者らが記念撮影
桂由美会長
桂由美会長

 全日本ブライダル協会(桂由美会長)とブライダル産業新聞社は6月22日、東京ビッグサイトで行われていた「ブライダル産業フェァ2016」の会場内で「第5回ふるさとウェディングコンクール」の授賞式を行った。「ふるさとウェディング」は、少子化、非婚化の現状打破、地域の名所、旧跡、公園、特産物など地域の魅力を結婚式のスタイルに取り入れて地域活性化をはかることや結婚の素晴らしさを伝えることを目的に推進している。

 5回目の今回は22組の応募があり、総務大臣賞はウェディングページの「ここが私たち2人の育った町!丹後良いとこ再発見Wedding」(開催都市=京都府京丹後市)が受賞。この結婚式では、丹後地方に古くから伝わる出立ちの儀式を行い、式で提供される料理や酒に丹後産を使用。新郎新婦や式に列席した人が、改めて自分たちが育った場所丹後の良さを再認識できるような式を作り上げた。

 観光庁長官賞は、銀山町の結婚式実行委員会の「銀山町の歴史遺産ウェディング」(同=兵庫県朝来市)が受賞。この結婚式では、史跡生野銀山を使用し、鉱山労働や鉱山の祭りの中で使われていた動きや道具などを式に盛り込んだ。同実行委員会は今後、銀山町ならではの「銀婚式」に特化した企画を行いたいと考えている。

 全日本ブライダル協会賞は、あしもとテラスの「村で、みんなで、手づくりでウェディング」(同=山梨県北都留郡小菅村)が受賞。新郎、新婦が小菅村への移住者ということもあり、村の人たちに感謝を伝えたい、村を元気にしたいという思いから村の多くの人に協力してもらい、手づくりの結婚式を行った。

 またブライダル産業新聞社賞は、ボルボレッタの「お伊勢さん和婚式」(同=三重県伊勢市)、アイ・ケイ・ケイララシャンス伊万里迎賓館の「新郎新婦から両親へ恩返しウェディング」(同=佐賀県伊万里市)、広島ブライダル振興研究会の「恋人の聖地ガラスの里で家族自立婚」(同=広島県広島市)、ピーブランチの「ウェディングで地域活性化大地の力を活かしたウェディング」(同=大分県豊後大野市)が受賞した。

 桂会長は今回の3組の受賞理由に「地域参加型」というキーワードを挙げた。結婚式はもともと誰でも参加できる地域の行事になっていた。が、今の結婚式はそうではない。だから「もっと地域の人たちに祝ってもらう習慣を根付かせなければ人口が減ってしまう。一番大切なことは子供たちに見せること」と結婚式の現状や自身の思いを語った。またこれを提唱した際観光庁が賛同し、旧跡や公園など本来式場ではなかった場所を式場にできるよう、動いてくれたこともあり、この『ふるさとコンクール』は地方創生につながる」とも語り、外国人が日本で式を挙げたいと思えば、インバウンド対策にもつながると考えを述べた。

公正な競争条件の確保へ、不法民泊撲滅総決起大会開く(全旅連)

桑田雅之青年部長が不法民泊撲滅に向けて決議文を読み上げる
桑田雅之青年部長が不法民泊撲滅に向けて決議文を読み上げる
北原茂樹会長
北原茂樹会長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(北原茂樹会長、1万5357会員)は6月8日、東京・新宿の京王プラザホテルで第94回全国大会を開催した。北原会長は「全旅連はこれまでも公正な競争条件の確保のために声を上げ、戦ってきた。本日開く不法民泊撲滅総決起大会は、我われ自身が全旅連の存立理由を考え、議論し合う会にしたい」と述べた。さらに「民泊の細かいルール設定はこれから。我われは組織として機関決定していかなければならない時期にある」と語った。
【増田 剛】

 北原会長は全国大会の冒頭、「6月2日に閣議決定で民泊の新しい法律が作られることになった。公正な競争条件を留保しながら新しいビジネススタイルである民泊にも取り組んでいこうとする政府の動きは6月中に一つのヤマ場を迎える。今後新しい法律ができるまでの間、我われはどのような立ち位置で受け入れていくのか、各都道府県の理事長をはじめ皆さんでしっかりと議論していただきたい」と呼びかけた。

 大会には自民党幹事長の谷垣禎一氏、自民党観光産業振興議員連盟会長の細田博之氏ら多数の来賓が出席した。全旅連は熊本地震で被災した九州地区を代表して井上善博九州ブロック会長に義援金を贈った。第19回人に優しい地域の宿づくり賞の表彰式も行われ、厚生労働大臣賞には、阿蘇温泉観光旅館協同組合(熊本県)の「外国人に優しい街づくりFlat内牧(うちのまき)事業」が受賞した。

 来年の全国大会は6月7日に石川県立音楽堂(金沢市)で行われる。石川県での開催は40年ぶりとなる。

 最後に佐藤勘三郎副会長が「各種法令を遵守し、さまざまな規制のもと、宿泊者の安心安全を願いながら真摯に営業を続けている我われ旅館ホテル事業者は、無許可営業による不法民泊施設には断固反対する。さらに旅行業法の登録もないまま、不法民泊施設をインターネットで仲介する業者に対しても厳正たる処分を求める」などとする大会宣言を読み上げた。

次期開催地は石川県に
次期開催地は石川県に

 第2部の不法民泊撲滅総決起大会では、生活衛生議員連盟の伊吹文明会長をはじめ多数の国会議員も出席。北原会長は「民泊の戦略特区・東京大田区の実例を参考にさせていただきながら、『一定の要件』の部分で我われは意見を出していきたい」とした。さらに「空き家は現在820万戸、毎年80万戸ずつ新しい住宅が着工されている。不動産投資が活発化するなか、不動産業界は民泊を賃貸アパートの空き家対策に活用しようという動きが大きくなっている」と危機感を表し、現状の不法民泊の取り締まりについても出席した国会議員に協力を求めた。

 これを受けて、伊吹氏は「民泊に関する京都市の調査では、90%以上が届け出をしていない。これを放って置いて新しく規制緩和という話は別。まず取り締まりから始めなくてはならない」と強調。さらに「各地元の議員に掛け合い、『横出しの条例』を作り、撲滅することが有効」と説明した。そのうえで、「『泊まれるだけでいい』というニーズもあるのは確か。旅館業の皆さんも将来はそのようなニーズも一つのターゲットとし、埋めていくことによって違法な民泊を締め出していく営業努力も必要ではないか」と話した。

 最後に桑田雅之青年部長は以下の決議文を読み上げた。

 民泊の営業日数は年間30日とすべし▽民泊営業の家主は個人事業主としての登録を義務化すべし▽無許可宿泊施設の取り締まりを強化すべし▽無許可宿泊施設には厳しい罰則を▽民泊を賃貸業にせず、旅館業法の範疇とすべし▽家主不在の民泊管理業者は許可制とすべし▽仲介事業者には、施設提供家主の情報開示義務を課すべし▽民泊も旅行業と同じ建築基準法の用途規制を遵守すべし――の8項目。

No.434 蟹御殿 ・ 風の森、「ラブ旅館」という新しい価値

蟹御殿・風の森
「ラブ旅館」という新しい価値

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第4回は、佐賀県内で太良獄温泉「蟹御殿」と、奥武雄温泉「風の森」を経営する荒川信康氏が登場。2人専用の宿“ラブ旅館”という新しい価値をつくり出した荒川社長に、内藤氏は「新たな業態を切り開いてほしい」と期待する。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトⅡシリーズ(4)〉
「蟹御殿」・「風の森」

 ■荒川:私の父は佐賀県嬉野市で生まれ、呉服店の長男として家にお手伝いさんが2人いるような環境で育ちました。なのに、母とは駆け落ちのようなかたちで結婚し、唐津で暮らし始めました。両親はそこでレストランを営んでいましたが、私が小学校5年のとき、父は武雄温泉で「ラブホテル」を始めました。
 私は唐津の中学、高校を卒業後、2年間、専門学校に通い、営業職として会社に就職しました。1年ほど経った1990年のある日、父から「旅館を経営することになった」と電話がかかってきました。
 「どこで旅館をやるの?」と聞くと、「竹崎」というのです。唐津は佐賀県の北の方ですが、竹崎は南の方であまり行ったことのないところでした。次の週に見に行くと、鉄筋コンクリートの旅館がすでに建っていました。
 これが今の「蟹御殿」で、翌91年7月7日に開業しました。バブル崩壊直後でした。負債は8億6千万円で、客室は15室。稼働率80%で見積っても、当時の金利9・8%で計算すると、とても返済できない数字でした。
 私は開業日から3日間、会社を休んで手伝いましたが、「カニが冷たい」「お風呂がぬるい」「サービスが悪い」とお客様は怒りっぱなしで、私はひたすら謝り続けました。
 あまりに不安になり、「もう会社に戻らなければならないけど、宿に入った方がよくないか」と聞くと、父は「大丈夫」と静かに答えました。
 宿と父を心配しながら会社に戻りましたが、翌年の3月に父から「宿に入ってくれないか」と言われました。92年7月18日に私は宿に帰り、入社しました。23歳の誕生日でした。…

 

※ 詳細は本紙1632号または6月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

規制緩和 ― “素人”はボランティアに徹すべき

 現在、「2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人観光客の増加に備えて……」という切り口から、ホテルの客室不足などを理由に「民泊」サービスなど、さまざまな規制緩和が行われているが、現状の訪日外国人の増加と、東京五輪はそこまで大きくリンクしているわけではない。むしろ、円安やビザの緩和などによって海外から訪れやすくなったことの方が大きい。もちろん、2020年のオリンピック開催期間前後は、一時的に大幅にインバウンドが拡大するだろうが、すべての目標や計画を、「2020年」に焦点を定めるのは、あまりに危険な気がする。

 確かに、「オリンピック」は多くの人を熱狂させる“夢のある”一大イベントである。しかし、だからといって「東京五輪に向けた取り組み」ならば、なんとなく素通りが許される空気に、少し違和感を覚える。

 さて、民泊もそうだが、米国の配車サービス最大手ウーバー・テクノロジーズは、トヨタ自動車との提携に加え、フィアット・クライスラー・オートモービルズとの提携交渉を進めているとの報道があった。

 6月10日の朝日新聞の記事では、今後、ライドシェアが進めば自動車業界はクルマが売れなくなるため、「運転手にトヨタのクルマをリース形式で貸す」など、市場動向を先回りした動きが活発化している。また、米国の小売り最大手のウォルマート・ストアーズは、ウーバーの運転手に、食料品や日用品を運んでもらう配送面での提携を行うという。規制緩和されても、強者は先手を打ち、独占化を進める構図が一層際立っている。

 「シェアリング・エコノミー」(共有型経済)の考え方が、世界的な流れとして間もなく日本にも本格導入され、浸透していくだろう。「他人に料理を作ってあげたい人」と「食べたい人」をマッチングする「キッチハイク」というサービスも現れた。「自慢の料理でお金が稼げる」という謳い文句だ。

 宿泊業や運送業、そして料理業界までも、素人であっても利益を得て、商売ができるという仕組みになる。通訳案内士の規制緩和も決まり、観光業界はこれまでに経験したことのない、未知の社会構造へと進んでいくことになる。

 そうなれば、これまでさまざまな規制を受けてきた“プロ”は当然、納得するわけがない。

 シェアリング・エコノミーの社会が本格化しても、旅館やホテル、タクシー、レストランの業態は存在し続ける。では、素人が提供する有償のマッチングサービスと、既存のプロのサービスとの二者択一の際、何を選択の基準とするだろうか。

 例えば、素人だが高い評価を受けて料理を提供する人は、もはや“素人のスターシェフ”である。おかしな感じだが、そうなる。また、規制緩和される通訳案内士の資格を持っているガイドよりも、一生懸命努力している素人のガイドの方が「レベルが高い」ケースも、なかには出てくるかもしれない。

 プロと素人の差は、なにか。仕事に対する責任と覚悟だ。素人のアイドルもいるが、私は素人が醸し出す“ユルさ”にお金を出す気になれない。「素人はお金を取るべきではない」と本心では思っている。「ボランティアに徹しろ」である。プロの凛々しい「覚悟」にお金を払いたい。その意味でも法整備が必要だ。

(編集長・増田 剛)