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〈旬刊旅行新聞10月11日号コラム〉ロードサイドの観光施設 個人客が“寄りたくなる”施設へ

2020年10月10日
編集部:増田 剛

2020年10月10日(土) 配信

高速道路でサービスエリアに寄ることも、ドライブ旅行の楽しみの1つだ(イメージ)

 10月からGo Toトラベルキャンペーンに東京都が加わり、地域共通クーポンの配布も始まった。ようやく旅行市場も本格的に動き出してきた印象だ。それぞれが感染防止には十分に気をつけながら、旅行を楽しめる環境が少しずつ広がっていければいいなと思っている。

 
 コロナ禍では、自家用車での旅を志向する傾向が強まっている。クルマやバイクを利用した旅での楽しみの1つに、高速道路であればサービスエリア(SA)、一般道であればロードサイドの観光施設(ドライブイン)や、道の駅などがある。

 

 
 高速道路を利用する旅は一見、無機質で味気ない。世俗的な景色や看板から隔離された山の中を、ただ一本の道がうねりながらどこまでも続いていく。一切の旅情を排した世界を、時速100㌔前後で走り抜ける時間は、糸が絡みついたような、雁字搦めの日々からの解放感を得られる。休日に行くあてもないのに高速道路に乗って、行けるところまで行こうとする人の気持ちは、よく理解できる。

 
 カーナビや道路標識にSAの表示が出てきて、途中で休憩する時間も、ドライブやツーリング好きな人にはたまらない。

 
 長時間の運転で同じ体勢が続いたため、ドライバーはクルマを降りると大きく背伸びをしたり、腰を回したりして体の疲れをほぐす。

 
 空腹を感じると、フードコートでその土地の名物料理を食べることができる。ラーメンやうどん、カレーライスなどの定番メニューもそろえている。SA内のコンビニエンスストアには、地域限定商品もある。シャワー室などの設備もあり、長距離トレーラーの運転手にとっては、まさにオアシスでもある。

 
 先日、広島から神奈川まで高速道路を疾走した。夜遅くに名古屋付近を通過したとき、私は極度の疲労と空腹を感じ、突然天むすが食べたくなった。反射的に入ったSAでは、天むすは売り切れていた。だが、一度「食べたい」と思ったら諦めきれない性格のため、次の「岡崎SA」に入ると、コンビニに大きな天むすがあった。私は我を忘れて、ドライバーズシートで天むすを頬張った。

 

 
 SAのトイレは広く清潔だ。私の好物であるソフトクリームやアメリカンドッグ、タコ焼きなどもそろっている。眠気が襲ったときは、早めにSAに寄って冷たい水で顔を何度も洗う。そしてコーヒールンバのメロディーが流れる自動販売機で、クルマまで持って行けないほど熱い紙コップに入ったコーヒーを買って飲むのが楽しい。

 
 バイク置き場で、ライダーがヘッドライトについた小さな虫の亡骸を拭いていたり、荷物を締め直したりしているシーンを眺めるのも楽しい。商用車に乗ったスーツ姿のサラリーマンがちょっとしたスイーツを買い込んだりしている。

 

 
 ロードサイドの観光施設は、観光バスから降りてくる団体客を想定した施設が多い。食事メニューも団体客用のお膳がメインのところもある。自家用車やバイクの駐車場が十分でなかったり、店内の一番奥にあるトイレを借りたために、欲しいものが見当たらないのに何かを買わないといけない空気が漂っている施設に出会うこともある。

 
 個人客の視点をしっかりと取り入れることで、“寄りたくなる”お気に入りの観光施設(オアシス)に変わることができると思う。

 

(編集長・増田 剛)

 

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