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【まえばし発酵めぐりの旅】新たな魅力再発見 風土が生んだ発酵食品

2019年1月3日
営業部:古沢 克昌

2019年1月3日(木) 配信

元祖焼きまんじゅう「原嶋屋総本家」

 群馬県・前橋市の「前橋観光コンベンション協会」は昨年、首都圏からの誘客宣伝事業として、首都圏在社のメディアを対象としたモニターツアーを開いた。同市には風土が育んだ味噌や日本酒、チーズなど数々の発酵食品が存在する。ツアーでは、同市の新たな魅力再発見として、その風土が生んだ発酵食品を食べ歩く「まえばし発酵めぐりの旅」に関連する施設などを実際に訪問し、今後の情報発信に役立ててもらうのが狙いだ。主な観光素材を紹介する。

【古沢 克昌】

 前橋観光コンベンション協会が主催した「まえばし発酵めぐりの旅」モニターツアーは、東京駅八重洲口の「丸の内鍛冶橋駐車場」からバスで移動する日帰りツアーとして企画された。

 まず到着したのが、前橋市街にある1857(安政4)年創業の元祖焼きまんじゅう「原嶋屋総本家」。江戸時代の古民家を復元した店舗内に入ると、目の前で竹串に刺されたまんじゅうが焼かれ、味噌だれが塗られていた。味噌が焼ける香ばしい匂いが食欲を刺激し、出来立ての焼きまんじゅうを試食した。群馬県民にとっては子供のころから当たり前のように食べている「ソウルフード」なので、県外者は群馬県民になった気持ちで食べてみるのも一興か。

 原嶋屋総本家の営業時間は午前10時30分から売り切れじまい。定休日は火曜日。駐車場あり。

 続いて「中央前橋駅」に移動し、登録有形文化財に指定されている上毛電気鉄道「デハ101」に貸し切り乗車。デハ101は1928(昭和3)年に製造され、動く電車としては現在日本で一番古い電車といわれている。営業当時の昭和初期を思わせるそのレトロ感あふれる角ばったデザイン、モーターが吊り掛け式と呼ばれている古典式で「ウーウー」と唸るような独特の低駆動音が車両に直に伝わり、鉄道愛好家だけでなく一般マニアからも人気が高い。

 デハ101車内では、あかぎ駅までの移動中に昼食タイム。創業1890(明治23)年の味噌漬けの老舗「たむらや」の「和豚もちぶた弁当」をいただく。餅のように柔らかい豚肉をオリジナル味噌に漬け込んだ人気の弁当だ。価格820円(税込)。

上毛電気鉄道「デハ101」車内

 午後からは1877(明治10)年創業「栁澤酒造」を見学。代表銘柄は「桂川 上州一」で全国的にも珍しい「もち米四段仕込み」で造られる贅沢な甘口の本醸造だ。こちらでは酒蔵見学と4種類の酒を試飲。5代目の栁澤清嗣さんは「赤城南麓では夏は農作業、冬は養蚕と1年中、肉体労働が多い土地なので、仕事後は夕食の前に毎晩必ず酒を飲みます。甘口の酒は酒自体に味わいがあり、つまみがなくても飲めるので、疲れた体に活力を与えてくれる甘口の酒が好まれたのだと思います」と語る。しかし、「近年は甘口の酒は絶滅危惧酒(種)です」と笑いを誘う。純米酒以上の酒も造っているが、伝統のもち米を使った本醸造を大切にしつつ、少量の仕込みで高品質を維持しているという。

「栁澤酒造」で酒蔵見学

 続いて、2013年にオープンしたチーズ工房「スリーブラウン」を訪問。「牛を飼ってチーズを作りたい」という夢を持ち続けた松島俊樹・薫ご夫妻が、11年に赤城南麓で牧場をつくり、酪農を開始。ブラウンスイス種の3頭の牛から飼育を始めて、現在は5頭の世話をしながらチーズ作りをしている。店舗では「モッツアレラ」「カチョカバロ」など、ミルクの優しい味わいをしっかり感じることのできる手作りチーズを販売している。

チーズ工房「スリーブラウン」

 前橋に来たらぜひ立ち寄りたいのが、国の重要文化財にも指定されている「臨江閣」。本館と別館、離れの茶室が渡り廊下で結ばれている。本館は1884(明治17)年、当時の群馬県令である楫取素彦(かとりもとひこ)や市内の有志らの協力と募金により迎賓館として建築された。1910(明治43)年に建てられた別館は、壮麗な外観が目を引く。大広間は詩人の萩原朔太郎の結婚式にも使われたという。

 別館1階の「かふぇあんきな」では、明治時代当時の味を再現した「維新珈琲セット」がおすすめ。季節の和菓子付きで900円。深入りローストコーヒー豆を細かく挽き、和三盆を三温糖に置き換えてシナモンを煮出したコーヒーだ。飲んだ後は萩焼の茶碗をそのまま持ち帰ることができ、珈琲以外に緑茶セットも用意されている。

 臨江閣の見学時間は午前9時―午後5時(入場は閉館時間の30分前まで)、定休日は月曜・祝日の翌日、12月28日―1月4日。入館料無料。

 モニターツアーの最後は、昼食で弁当を食べた味噌漬け専門店「たむらや」前橋南部店に立ち寄り。1階売店では群馬土産に最適な味噌漬けを販売。たむらやオリジナル味噌「さざれ石」を使用した「焼きまんじゅう」や「みそソフトクリーム」の軽食コーナーもある。2階レストランでは最大120人まで受け入れが可能。群馬ならではの「ソースかつ丼」「和豚もちぶた丼」「舞茸天ぷら」などが食べられる。近隣には物販のみの千代田本店、若宮店、高崎飯塚店もある。

たむらやの「和豚もちぶた弁当」

* * *

 前橋観光コンベンション協会は、健康食品として注目される発酵食品を切り口に、2020年春の大型観光キャンペーン「群馬デスティネーションキャンペーン」に向け、新たな誘客戦略を打ち出そうと初めて企画した。19年2月には一般市民を対象としたモニターツアーを、実際の有料ツアーは19年5月下旬―6月の間に(募集開始は年度末より)実施する予定だ。

 問い合わせ=前橋観光コンベンション協会 電話:027(235)2211。

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「【まえばし発酵めぐりの旅】新たな魅力再発見 風土が生んだ発酵食品」への1件のフィードバック

  1. 埋もれてしまいがちな郷土の伝統産業を「発酵」という切り口でくくると、新しいトレンドに見えてきます。
    群馬県民として誇れる文化が、こんな形で全国に発信できるのは、とても嬉しい。
    催行されるようになったら是非参加して、SNSなどに投稿し、魅力をアピールします。

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