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No.438 オーダーメイドの哲学、高崎だるま、観光への提言

2016年8月20日
編集部

オーダーメイドの哲学
高崎だるま、観光への提言

 インバウンド増加や、観光大国への官民挙げての取り組みなど、観光にまつわる話題は事欠かない。変革期のなか、今後どのような姿勢で商いに臨めばよいのか。読者の疑問に答えるべく、群馬県高崎市の観光産業に大きく貢献し、6月には日本観光振興協会から「観光振興事業功労者」として表彰された中田純一氏(大門屋物産代表取締役)に話を聞いた。台湾から3000人以上の誘客を果たし、経営者と職人、2つの顔を併せ持つ中田氏からの提言に注目したい。

【謝 谷楓】

 
 
 ――大門屋の絵付け体験のプロセスを教えてください。

 絵付け体験では、実際に筆を持ち、お客様自身が達磨の髭などを描くことになります。そして、“誰のために、絵付けをするのか”という問いかけから、大門屋の絵付け体験ははじまるのです。

 団体旅行のお客様のなかには、大門屋の玄関をくぐるまで、自分がこれから何をするのか分からない方も多いのですが、「絵付け体験=達磨に絵を描くだけ」という意識では絵付け体験の意義を理解することはできません。なぜなら、達磨の絵付けは、絵を描く作業ではないからです。単に絵を描くだけならば、達磨を汚す必要はありません。禅宗の開祖と言われる達磨大師の座禅姿を模り、願いを叶える縁起物として日本人の心に根づく達磨に、絵付けすることの意義をしっかりと理解していただいたうえで、体験してもらわなければ、お客様にも申し訳ないと考えています。

 “誰のために、絵付けをするのか”という問いかけによって、「願いをかなえる」ための達磨をつくるのだという、絵付け体験の意義に改めて気づくことができます。願望が先に来ては仕方がありません。誰のための達磨かもはっきりしないのに、願い事を叶えてほしいというのでは虫が良すぎるのです。自分や家族、大切な人の願いが叶うよう、想いを込めてつくらなくてはならないと気がついたときに初めて、真剣に、集中して取り組む姿勢を持つことができます。そのような姿勢こそ、重要なのです。

 ――体験者はどのような反応を示すのでしょうか。

 職人のデモンストレーションを参考に、絵付けをしていただきますが、多くのお客様が「見るのとやるのではまるで違う」、「実際に絵付けをしてみるとこんな酷い達磨になってしまった」と落胆してしまいます。

 そのようなお客様に対しては、「日本の寺院に鎮座する仏像のなかには、荒ぶりでユニークな姿勢のものも多いけれど、手を合わせずにいられないのは、つくった仏師の意図が反映され、気持ちがこめられているから」だと伝えます。そうすると、「そうだ。自分も一生懸命描いたのだから、これでいいのだ」と納得できるのです。…

 

※ 詳細は本紙1638号または8月23日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

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