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憩える場所 ― 街の中心には「何もない」空間づくり

2015年10月21日
編集部

 ヨーロッパの多くの都市は、街の中心部に広場がある。旅行者も必然的にその広場に集まって来る。広場周辺には飲食店や土産屋さんが軒を連ね、ピザやワッフル、ジェラートなどの店に行列ができたりと、のんびりとした時間を過ごしている。さまざまな国籍の旅行者たちは広場で足を休め、地図やガイドブックに目を落とし、壮麗な教会や市庁舎に目を細める。歴史ある街並みにポッカリと穴が開いたような広場があることが、旅行者にとってどんなに憩いの空間になるかを証明している。

 なかでも、ローマのトレヴィの泉は規模こそ大きくないものの、旅行者に大きな憩いを与えている。石造りの堅牢な街並みに突如現れる美しい泉。そして、後ろ向きにコインを投げ、泉の中に入ると、「もう一度ローマに訪れることができる」といった願い事が叶うという。「どれだけ自分の街に自信と誇りを持っているんだ」と、羨ましくなるほどのストーリーを作り上げる力にも感服する。

 世界最大のメガシティである東京。その中心部には皇居がある。皇居前には広大な広場があるが、しかし、観光客が自然と皇居周辺に集まって来るという意味合いとは少し異なる。都心には銀座や新宿、渋谷、原宿、六本木、浅草、秋葉原などが点在している。これら人気エリアの中心部に“トレヴィの泉”的な空間が存在したなら――と、しばしば思い描くことがある。

 街の中心部には「何もない」方がいいということも一つの考え方だ。素晴らしい観光資源があっても、人々が憩うことができる空間がなければ、居心地の良さは感じない。車や、ほかの観光客を気にせず、街の中心から四方八方360度を眺める空間があると、旅行者は自分が主役になることができる。

 さまざまな自治体に観光予算が付いた場合、普通は「何かを作る」ことに目が行く。地方議会でも何かを作ることには理解を得やすいが、何かを撤去したり、街の中心部を広場や公園にすることへの予算化は難しい。

 草津温泉は国内の温泉地で屈指の人気を誇る。温泉街の中心部に湯畑が存在していることが大きい。湯畑を囲むように、熱乃湯や共同浴場「御座之湯」、土産物店、温泉旅館などが立ち並ぶ。伊香保温泉も人気が高いのは、趣ある石段街が温泉地の中心にあり、その周辺には旅行者が憩うことができるさまざまな店舗が並ぶからだ。城崎温泉も街の中心に大谿川が流れ、川沿いで浴衣姿のまま憩える空間を大切にしている。

 東京では、とくに外国人観光客に人気の浅草。外国人観光客がひしめいている。しかし、雷門の前には大きな道路が走っているために、観光客がごった返し、記念撮影にも苦労する。もし、あの道路を広場にして、大道芸が楽しめたり、カフェテラス席などを設置できたりすると、浅草はもっと多くの観光客が集まるエリアになる可能性を秘めている。もちろん、「道路を広場に」などは不可能に近いが、夢のある景色だ。隅田川や東京スカイツリーも近く、屋形船やリバークルーズを楽しめるエリアとして、面白い。

 集客を考える場合、どうしても「足し算」的な発想になってしまう。だが、街の中心部を「無」の空間にし、観光客の視点で、もう一度自らの観光地や温泉地づくりを考えると、憩いの空間がいかに大事なのかがわかる。

(編集長・増田 剛)

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