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LINKED CITYの全容に迫る⑤ 地域をエンターテインメントシティに

2021年12月6日
編集部:長谷川 貴人

2021年12月6日(月) 配信

(左から)川村晃一郎氏、川村文彦氏、小野氏、岡田氏(画面)

 国際観光施設協会(鈴木裕会長)の旅館観光地分科会(川村晃一郎分科会長)は今年3月、観光型スマートシティ「LINKED CITY」構築に向け研究会を発足した。地域資源とAI、IoTデジタルオープンプラットフォームによる事業インキュベーションで雇用を創出。都市と地域、地域と地域をつなげることで分散型社会の構築を実現させることが狙い。

 今回は地域が課題にしている観光客の集客や回遊などの関係人口の創出に向けて、地域の人が活躍できるコンテンツづくりに取り組む活動に迫る。

 川村(文):ソニーのグループ会社であるコーギア社では、地域が課題にしている集客や回遊の支援事業に取り組んでいます。この一環として、ソニーが開発した音声によるAR(仮想現実)のスマートフォンアプリ「Locatone(ロケトーン)」を活用し、街巡りのツアーを造成し配信しています。

 同アプリは今、YOASOBIさんやLiSAさんなどの大物アーティストを起用したツアーで注目が集まっています。これからは地域とのツアーにも力を入れていき、その地域に行かないと、音と仮想現実を体感できないものをコーギア社からも仕掛けていきたいと考えています。

 小野:ツアーで指定された場所に行くと、その場所でしか聴けない音声ガイドを聴けたり、ARを合成した写真が撮れたりできます。撮影した写真はツイッターやインスタグラムなどのSNS(交流サイト)で、ハッシュタグを付けて投稿ができます。

 コンセプトは「地域全体をエンターテインメントシティに」。地域ならではのコンテンツを掘り起こし、磨き上げてつなげていくことでカタチにしていきます。

「ロケトーン」で音声を聴きながら街巡りを楽しめる

 川村(晃):自治体や観光協会などから委託を受けて、アプリに掲載するコンテンツを作るということですね。自治体側は見せ方のアドバイスを受けられ、こういうことに感度の高い人らの集客にもつなげられます。

 ガイドさんはお願いすること自体にハードルが高かったり、開始時間などの制約があったりしますが、これは現地に着いたらいつでもツアーを始められますね。

 川村(文):一番はガイドさんに直接案内してもらえることが良いのですが、今は3密回避の時代。スマホだけあれば個人ででき、3密を比較的避けやすく、疑似ガイドとしても役に立つというのがソニーが開発したこの「ロケトーン」アプリです。

 一方で、面白いガイドさんのノウハウをアプリに落とし込んで、アーカイブ化する利用もできます。地域を魅力的に語ることができるガイドさんの引退などの課題に直面している地域もあると思いますので、段々失われていく可能性があるものをデジタルで解決していき、次世代につないでいければと思います。

 岡田:ラポ社では、写真や動画をイベントやテーマパークで、リアルタイムに参加するゲスト同士のスマホで共有できるフォトシェアリングサービスを開発しています。SNSの普及に伴い、インスタグラムで指定のハッシュタグが付いた写真を収集して、1つのサイネージなどに映し出すサービスも始めました。

 これらは元々、ウエディング利用で開発し展開していましたが、コロナ禍でウエディング需要が激減し、リアルタイムで人が集まる機会がなくなっていきました。そんななかで、ソニーマーケティングさんから法人向けブラビアを活用した客室インフォメーションのサービスとして展開できないかとお話をいただきました。

 ホテル客室やロビーのブラビア画面に、旅の思い出として投稿した地域のインスタグラム写真をシェアし、観光予備群の宿泊客に地域観光を訴求する。ホテルを起点にしたまちのにぎわい創出を進めています。今は北海道帯広市の「NUPKA Hanare(ヌプカハナレ)」でテスト的に導入しており、今後色々な観光地域に入れていければと考えております。

フォトシェアリングサービス(イメージ)

 川村(文):ロケトーンと連携できるかもしれませんね。ロケトーンで投稿した写真を、ホテルのディスプレイに映して共有してもらう。アプリをダウンロードして写真と同じ場所に行けると案内してもらえれば良い流れです。そのためには、まずロケトーンでその地域の知る人ぞ知る場所をピックアップしたツアーを用意する。ツアー化されていれば紹介がしやすく、より好循環につながることでしょう。

 川村(晃):ホテルのフロントの人が紹介するのが重要だと思います。旅行で一番過ごす時間が長いのはホテルですし、泊食分離の宿泊に特化した地方ビジネスホテルほど逆にハマり、転機になるのではないかと感じます。ちょっとした会話とこのようなテクノロジーを使うことで地域観光が発生するということは、ホテルとして良い投資ではないでしょうか。

 川村(文):ツアーの企画が重要になっていきますね。一番重要なのはどういう設定と脚本を書くのかだと思います。

 川村(晃):地元コンテンツということだと“方言を話す”おばあちゃんと、ナレーションによる掛け合いとか面白そうですね。

 川村(文):面白いですね。実際に公開されているツアーを見てもらうとわかるのですが、比較的掛け合いのものが多いです。ナビゲーターと全然地域を知らない人とが掛け合っていく内容のものが、聴いていてリズムが良くて聴きやすい。

 川村(晃):フォトシェアリングサービスもロケーションツアーサービスもありますから、そこにどういうコンテンツを入れていくか。これからの観光の磨き上げの発信ツールになりますね。

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