民主党観議連が発足、「観光政策立案の発信他に」

 民主党の観光振興議員連盟が3月30日、発足した。会長には、衆議院議員・国土交通委員長の川内博史氏(鹿児島第1区)が就任した。

 衆議院第2議員会館で開いた設立総会で、川内会長は「旅館3団体と連絡を取り合って現場のさまざまな意見を聞かせていただきながら、この議連を観光政策立案の発信地にしていきたい」とし、「政府が立案する観光政策が、観光の現場でおもてなしされている方々の要望とストレートに反映されていない場合には、我われが指摘、提言、協議などをしていきたい」と強調した。

 同連盟には、地元に観光地を抱える議員を中心にスタート。今後、活動方針に賛同する議員には広く門戸を開き、拡大していく考えだ。

 設立総会では、参加した旅館3団体がそれぞれ発足したばかりの観議連に要望を行った。全国旅館生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長はNHK受信料について「少なくとも英国放送協会(BBC)と同程度の料金にして負担軽減を」と要望。国際観光旅館連盟の佐藤義正会長は「固定資産税に係る土地評価及び建物評価制度の抜本的な見直しに加え、国際観光ホテル整備法に基づく登録旅館・ホテルに係る固定資産税の2分の1の軽減、これに伴う国から地方への交付金などによる支援の実施をお願いしたい」と述べた。

 日本観光旅館連盟の近兼孝休会長は「国内旅行需要の拡大による地域の振興と活性化のために、一定額以上の支出を伴う国内旅行費用について、所得控除とする措置を」と要望した。

 川内会長は、「(旅館3団体からの要望について)真剣に議論を積み上げて、実現に向けて取り組んでいく」と述べた。NHK受信料については、BBC方式が実現した場合のNHK側の減収分の試算などを、旅館3団体が調査をしたうえで、NHKとの交渉に入っていく考えだ。

 同議員連盟設立の発端は、昨年9月16日に鳩山内閣が発足する直前に、鳩山氏から川内氏に直接連絡があり、「今、目の前に全旅連の方々がいらっしゃっている。これからの日本経済の中心となる観光振興のための議員連盟を作って、観光産業の皆さんの発展のお手伝いをするように」といわれたという。

 民主党観光振興議員連盟の役員会員は次の各氏。

【顧問】
鹿野道彦▽山下八洲夫▽高木義明▽土肥隆一▽鉢呂吉雄▽柳田稔▽前田武志▽小川敏夫

【会長】
川内博史

【副会長】
横光克彦▽筒井信隆▽近藤昭一▽奥田建▽小宮山泰子▽黄川田徹▽笹木竜三▽牧野聖修▽植松恵美子▽川崎稔

【事務局長】
橋本清仁

【事務局次長】
和嶋未希▽山尾志桜里▽玉城デニー▽熊田篤嗣▽三村和也

加賀屋を特別表彰、30年連続1位・35年連続トップ10(プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選)

 石川県和倉温泉の加賀屋(小田孝信社長)で3月20日、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(旅行新聞新社主催)の30年連続総合第1位、ならびに35年連続総合トップ10入選を讃える特別表彰の授与式が行われ、全社員が見守るなか、旅行新聞新社の石井貞徳社長から小田真弓女将に記念盾などが手渡された。

 石井社長は「35年連続ベスト10入選にとどまらず、30年連続第1位という金字塔を打ち立てられた。時代が常に変化するなか、同じことをしていたのでは、到底成し遂げられないこと。経営陣はもちろん、何より従業員一人ひとりが加賀屋を大切に思い、そしてお客様へのおもてなしを大事にしてきた証。これを自信に、今後も日本が世界に誇る“おもてなし”の文化を大切に育んでいってほしい」と祝辞を述べた。

 小田女将は「30年連続で第1位に選ばれたことは身に余る光栄。支えたくれたお客様や地域の方々に深く感謝したい。将来の展望は非常に分かりにくいが、今後も『変えるべきもの』『守るべきもの』を見極め、“もてなしの心”を大切に、100年にわたり引き継がれてきた“加賀屋の流儀”を、その時代時代にお客様が望むかたちで発展させていきたい。まだまだ気配り、目配りが不十分だが、今後も皆様に喜ばれる宿づくりにまい進していく」と謝辞を述べた。

 表彰式では、今年の100選と同時に発表された第7回「もてなしの達人」に選ばれた同館の藤森公二支配人に対し、あらためて賞状と記念品が贈られた。

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は、全国の旅行会社(支店・営業所含む)による投票をもとに、もてなし、料理、施設、企画の4部門と、その合計点からなる総合100選を毎年1月に発表する。1976(昭和51)年に第1回が開かれ、加賀屋は今年の第35回まで、連続で総合トップ10に入選。第6回から30年連続で総合第1位に輝いた。

訪日客誘致の新ロゴ決まる、嵐が “日本の顔” に就任

「尽きることのない感動に出会える国、日本」

 観光庁は4月6日、訪日観光プロモーション用の新たなキャッチフレーズ「Japan. Endless Discovery」と桜をあしらったロゴを発表した。「尽きることのない感動に出会える国、日本」を意味するもので、海外の方々に何度も日本に訪れてもらい、その都度、桜に代表される日本の豊かな自然や歴史、伝統文化や若者文化、食や地域の人々の暮らしといった「日本の多種多様な観光資源を深く知ってほしい」という気持ちを込めた。

 03年のビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の開始とともに使われてきた「Yokoso! Japan」を7年ぶりにモデルチェンジし、英語を使用することでより広く世界に浸透させたい考え。

 また、観光立国のイメージ役として、人気タレントグループの「嵐」を観光立国ナビゲーターに起用。嵐は韓国、中国、台湾などで公演を行い、アジアでも絶大な人気を誇っており、今後は“日本の顔”として、訪日観光のプロモーションリーダーを担う。

 さらに、観光親善大使を新設し、裏千家第15代家元・千玄室氏が就任した。

休暇分散、6月に最終案、秋の国会に法案提出へ

 観光庁の溝畑宏長官は3月31日、観光業界の専門紙との会見で、休暇分散化について春と秋に5つの地域に分散して5連休を設置する政府案について、ワーキングチームなどで検討し、4月中にも中間的な方向性を示す方針を述べた。さらに、6月の政府の成長戦略としてとりまとめるまでに最終案を決め、秋の臨時国会で法案提出を目指している。仮に法案が可決した場合、実施について、1年以上の準備期間が必要だろうとの見方を示し、12年からの実施が妥当と話した。

 溝畑長官は「休暇分散化は、国民すべてに関わる問題。丁寧に説明していきたい」と語った。

「中国個人ビザ要件緩和4月中に一定の方向性」

 中国人の訪日個人観光ビザの要件緩和については、7月から中国全土拡大になるのに合わせて、年収25万元以上という経済要件の緩和や、手続きの簡素化などの調整が最終段階に入っており、「4月中には一定の方向性を示し、7月の全土拡大に間に合うようにしたい。日本への入国の敷居を低くするための最終的な調整を行っている」と話した。中国人訪日個人観光ビザは09年7月1日から北京、上海、広州の3地域を対象に発給されており、1年後の全土拡大に向けて試験的な条件などを加えていた。

日旅商品、全旅クーポンで精算、クーポン会員1500社と日旅が提携

 株式会社全旅(池田孝昭社長)と日本旅行(丸尾和明社長)は4月1日、業務提携契約を行い、全旅クーポン会送客会員(約1500会員)が日本旅行の企画・実施する国内・海外旅行商品、宿泊券については、全旅クーポンによる精算が可能となった。

 中小旅行会社が大手ホールセール商品を取り扱う場合、供託金を納めなくてはならないなど厳しい条件があるが、今回の業務提携で、クーポン会員は、自社で取り扱った日本旅行の商品の代金を一括して全旅クーポン会の精算サイトで精算できる。

 (株)全旅はクーポン会員の利便性を向上させることで、さらなる会員の増加と取り扱いの拡大を見込めるというメリットがある。一方、日本旅行は100%全額保証の全旅クーポンによる精算のため、債権管理業務が不要になるなど事務処理面での業務効率化がはかれるほか、債権の焦げ付きのリスク回避したうえで、クーポン会員の中小旅行会社に自社商品の販売網拡大につながる利点が一致した。

 全旅クーポン会送客会員と、大手旅行会社との契約は日本旅行が初めてとなる。

「びゅう」を受託販売、㈱全旅がJR東日本と提携

 株式会社全旅はこのほど、東日本旅客鉄道(JR東日本、清野智社長)と国内旅行業務提携契約を結び、JR東日本の募集型企画旅行商品「びゅう」ブランド商品の受託販売を始めた。さらに、JR東日本からユニット商品(宿+鉄道)の提供を受け、(株)全旅の「地旅」商品を組み入れた募集型企画旅行商品の造成・販売を行う。

 一方、JR東日本は、(株)全旅が提供する「地旅」商品をランドユニットとして組み入れることで、募集型企画旅行商品「旅市」のさらなる充実を目指す。

 (株)全旅は「JR東日本と今後も相互協力体制を強化し、国内旅行の活性化に向けた旅行商品の造成・販売を進めていきたい」と話している。

今年のGW旅行動向(JTB)旅行人数・費用ともにプラスへ

「国内…マイカーで遠距離志向」
「海外…3年ぶりに50万人突破」

 JTBがこのほどまとめた2010年ゴールデンウイーク旅行動向(4月24日―5月4日)によると、国内旅行人数は前年同期比0・9%増の2150万人、海外旅行人数は同4・3%増の50万8千人と、ともに前年を上回る見通しだ。

 今年のGWは4月30日を休めば7連休となる。加えて、高速道路のETC休日特別割引も7日間連続で適用され、国内はマイカー利用の宿泊旅行の増加や、遠距離志向が強まることが予想される。また、大河ドラマなどの影響で、高知や松山、長崎の人気が高まりそう。平安遷都1300年祭で関西方面の観光客の増加も見込まれる。

 一方、海外旅行は、曜日配列の良さや、安定した円高が後押しし、07年以来3年ぶりに50万人を超える見通し。遠距離では欧州、ハワイ、近場ではグアムや中国の人気が高まっている。

 1人当たりの旅行平均費用も上回りそうだ。国内旅行は同3・0%増の3万8千円。海外旅行は同4・7%増の22万3100円と増加する見込み。

「旅ぷらざレンタカー」ヤフートラベルと提携、10年度は8億円を目指す(日旅)

 日本旅行とヤフーが提携し、4月1日から日旅「たびプラザ」のレンタカー予約サイト「旅ぷらざレンタカー」が、Yahoo!JAPANが運営する旅行情報サービス「Yahoo!トラベル」のレンタカー予約カテゴリーに加わった。

 「旅ぷらざレンタカー」への参画レンタカー会社数は現在約3500店舗だが、提携による相乗効果も見据え、随時拡大しながらレンタカー販売の拡大を目指す。「旅ぷらざレンタカー」の今年度販売目標は8億円(前年度は5億円)に設定している。

4月28日リニューアルオープン、新生ハウステンボスが始動、HIS会長の澤田氏が新社長に

「観光ビジネス都市目指す、3年後に売上130億円見込む」

 旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS、東京)によって経営再建を目指すハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)は3月26日、HTB内のホテルで今後3カ年の事業計画を発表した。新生HTB社長にはHISの澤田秀雄会長が就任。テーマパーク単独路線から転換し、他の企業や専門機関と連携して「観光ビジネス都市」を目指していく。2011年度に営業利益の黒字化をはかり、12年度は入場者152万人、売上高130億円、営業利益3億円を見込む。

 記者会見に臨んだ澤田社長は冒頭、HISやホテル、スカイマークエアラインなどこれまでの取り組み事業と九州産交、モンゴルの銀行、信濃鉄道など再生した実績を強調。「HTB再生は今まででもっとも難しく、もっとも楽しい案件になると思う。スタッフ、市民、九州経済界など全員の応援で世界に誇れる観光ビジネス都市にしていきたい」と決意を述べた。

 新生HTBのコンセプトは(1)花と自然を大切にする王国(2)ゲームとエンターテイメントの王国(3)健康と美の王国――の3つを掲げ、4月28日の第一期リニューアルオープンから、有料のテーマパークゾーンをホテルヨーロッパ前の運河までとし、他のエリアをフリーゾーンにして展開する。

 フリーゾーンにはアウトレットやコールセンターなどのベンチャー企業を誘致し、さらに医療観光、リフレッシュリゾートの観光ビジネス都市としてアジアを中心に国内外からの集客を目指す。 テーマパークゾーンは、閉鎖中の店などを半年から1年かけオープンして集約させ、にぎわいのある楽しいエリアに生まれ変わらせる。有料ゾーンからフリーゾーンへの往来も自由にできる。

 入場料金の見直しも行い、現在の大人3200円を2500円に引き下げる(GW、正月など繁忙期は3千円)ほか、5月6日―7月16日までのキャンペーン期間は、平日の午後3時半―5時半を入場無料、6時以降は200円にする。高いと言われた食事料金なども見直す。

 オープン後は外部顧問の協力でさまざまなエンターテイメントも展開する。4月28日―5月5日までは、フォークグループとして活躍した「あのねのね」の清水国明さんが中心になり、コンサートやミュージカル、イリュージョンなど行う。芸能人が定住し、専用劇場で芸を披露する構想もあるという。

 園内を使った実体験型の宝探しイベントは、全国35カ所で実績を残す「ラッシュジャパン」が担当。閉鎖中のミュージアムスタッドではフジテレビが7月ごろに「ホラータウン」をオープンさせる。オルゴールや美術品など生かした洋風怪奇の館にし、イルミネーションでゴースト達の夜を演出する。夏前には200のキャンプサイトをつくり、釣り掘りもオープンする。秋には世界的なガーデニング大会の開催も計画する。

 閉鎖中のホテルデンハーグは、「入場者300万人を目途に再オープンを検討」(澤田社長)とし、当面は既存ホテルの稼働率アップを目指す。

新千歳国際線旅客ターミナルビル3月26日にオープン

 北海道新千歳空港の新しい国際線旅客ターミナルビルが3月26日に開業した。従来の施設に比べると5倍の広さになる。年間最大100万人の利用も可能という。総事業費は約206億円。全体のオープンは来年夏を予定している。

 国際線旅客ターミナルビルは、鉄骨造り(一部鉄筋コンクリート)地上4階、地下1階建て。延べ床面積は1階部分のサービス道路も含め約6万1300平方メートル。1階はバス・タクシー乗降場や手荷物荷捌き場。2階が到着ロビーで3階が出発ロビーとなり、4階はラウンジやフードコート。土産物店などの商業施設は、利用客が集中する2、3階フロアをメインに配置されている。

 現在、国際線の定期便はソウル、上海、北京、香港、台北、グアムなど9路線、週42往復している。チャーター便の2009年の実績は26都市966便になる。

 なお、国内線へつながる連絡施設は2階(来年には3階にもオープンする)。動く歩道や電動車などを導入。宅配や手荷物一時預りのカウンター、ポーターサービスもある。