総額52%増の373億円、訪日受入事業は93%増(17年度観光関係予算概算要求)

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 観光庁がまとめた2017年度の概算要求では、前年度予算比58%増の316億2800万円を求めた。ストレスフリーの旅行環境の整備に155億3200万円、観光産業の革新に123億4400万円、観光資源の魅力向上に33億3100万円、その他に4億2千万円。また、東北の復興枠として57億3500万円を求め、総額で同52%増の373億6300万円を要求した。訪日客の受入環境の整備と海外プロモーションが大きな額を占めるが、従来の規制・制度など抜本的な見直しや、地方創生に資する事業なども加速化させる。また、税制改正でインバウンド向けに酒税の免税制度の創設が要望された。
【平綿 裕一】

酒税の税制改正を要望

〈ストレスフリー〉
 17年度は「ストレスフリーの旅行環境の整備」に前年度比93%増の155億3200万円を要求した。このうちユニバーサルツーリズム促進事業に3200万円。今年度の補正予算で「訪日外国人旅行者受入基盤整備・加速化事業」に155億円を計上したが、同事業を17年度の新規施策として、補正予算と同じ155億円を要求した。

 新規施策の背景に、堅調な増加傾向にある訪日客が一因にある。今年7月時点で約1400万人を超え、引き続き増加すれば秋を過ぎるころに2千万人に達する。続けて、20年に4千万人、30年には6千万人へ向け、さまざまな動きが活発化している。このスピード感のなかで、観光に関する多くのインフラ整備と連携する。また、ハード・ソフト両面からの受入環境整備を通じて、世界水準の観光拠点の整備を、さらに加速化させていく考えだ。

 具体的な施策を見ていくと、ハード面に102億円を充てて観光案内所や交流設備、クルーズ船受入環境などの整備、改良を支援する。ソフト面は、宿泊施設のインバウンド対策で館内の無線LAN環境整備やトイレの洋式化、多言語化などを支援し、53億円を充てる。

 ユニバーサルツーリズム促進事業では、20年の東京オリンピック・パラリンピックや高齢化社会を踏まえ、既存の観光案内所の「バリアフリー相談窓口」化を促進する。現在は全国28カ所ほどだが、各都道府県1カ所ずつに設置を目指す。

〈観光革新と国際競争〉
 「観光産業の革新と国際競争力の強化」全体で、同39%増の123億4400万円を求めた。このうち、日本政府観光局(JNTO)によるビジット・ジャパン(VJ)事業に100億円(JNTO運用費交付金)、国と地方の連携によるVJ事業に15億円、MICEの誘致の促進に2億3800万円を充てた。JNTOは運用交付金で100億円を要求しているが、このなかに訪日プロモーションやMICE関連のプロモーションなども含まれる。

 VJ事業は観光庁の15億円とJNTOの運用費交付金100億円の内数で、既存市場の確保に加えて欧州米豪を中心とした富裕層市場開拓に取り組む。プロモーションは、「映像」の力を最大限に駆使し、質が高く魅力ある訪日観光のブランドイメージを確立し、グローバルメディアを介して世界に発信する。

 MICE関連は観光庁の2億3800万円で、MICE商品の企画、開発や経済波及効果の調査、ユニークベニューなどを支援する。JNTOは100億円の内数で、日本のMICE統一ブランドを活用した日本初の年間を通じた大規模なキャンペーンの展開など、海外プロモーションを強化する。

 また、健全な民泊サービスの普及は新規施策として1億3400万円を要求した。新たな宿泊モデルとして期待は大きいが、近隣住民とのトラブルなども予見される。観光庁は今回の要求額で、民泊に関する相談窓口や広報の設置をはかる。

 通訳ガイド制度の充実・強化は同156%増の5千万円と大幅に拡充した。業務独占の廃止から名称独占へ移行したうえで、通訳案内士の質を担保していく。業務に即した試験改善や研修制度の導入および更新制の義務化、地域ガイド育成支援などに取り組んでいく。

 そのほか、新規施策で旅行業における情報セキュリティの強化支援事業に3100万円を、観光人材育成支援事業では3億9100万円を計上。人材育成は(1)観光経営を担う人材(2)観光の中核を担う人材(3)即戦力となる実務人材――の3層構造で育成、強化をはかる。それぞれ順に育成拠点を、大学院段階(MBAを含む)に形成、大学観光学部のカリキュラム変更、地域の観光分野の専修学校などの活用で対応。

〈地方創生〉
 「地方創生の礎となる観光資源の魅力向上」の大枠で33億3100万円を計上。このなかで、広域観光周遊ルート形成促進事業に19億9千万円、地域ブランド確立支援事業に2億5200万円、テーマ別観光による地方誘客事業に1200万円を充てる。テーマ別観光では、新しいテーマの設定も視野に支援する。加えて、地方創生に役立つ観光施策の検討、評価、改善に必要となる各地域の観光統計を整備するために5億3千万円を充てる。

 東北の復興に関しては、全体で57億3500万円を要求した。東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業(東北観光復興対策交付金)は44億6600万円、JNTOによるVJ事業(東北観光復興プロモーション)で10億円、福島県における観光関連復興支援事業では2億6900万円を充てる。20年には12年の3倍にあたる150万人泊を目標に、復興に向けた取り組みを強く推進する。

 17年度はインバウンド向けに酒税の免税制度も要望された。消費税が免税となる輸出物品販売所の許可を受けた酒蔵で、インバウンドを対象に販売した場合、酒税が免税となる。同制度を創設することで、地方の酒蔵ツーリズムを振興し、日本産酒類の認知度を向上させ、さらに輸出促進をもはかっていく。

旅のプロ ― 空気のような存在こそ練度が高い

 魚を釣りに行っても、酒場のバーに座っても、その人が一つのことにどれくらい訓練を積み重ねてきたか、という練度が自然なかたちで感知される。遊びだけではなく、仕事においても熟練の度合いが鈍い光を放つ。

 旅も同様である。旅行会社の社員と同行取材の旅を経験してきたが、彼らはホテルや航空機、鉄道などの裏事情に精通する旅のプロだけあって、自ずと添乗員的な役回りになる。これはさまざまなトラブルに遭遇し、乗り越えたり、回避したりしてきた経験の層が意識せずとも、凛々しさや、頼もしさを醸し出しているせいでもある。

 自分自身の旅を思い返してみると、わりと色々なところに行って来たな、と感慨にふけることもある。辺鄙な場所にも好んで訪れたし、後で考えると「危険な橋を渡った旅」もいくつかある。

 業種を問わず、年がら年中、世界中を駆け回るビジネスマンも、思いのほか多い。彼らは決して旅行業界の人間ではないのだが、国際空港などでの空き時間の潰し方や、搭乗手続きの手際の良さを目の当たりにするにつけ、いつまで経っても旅の錬度の上がらない己の旅の素人ぶりに気づかされる。

 出張帰りの新幹線に乗っても、私は未だに缶ビールとビーフジャーキーや柿ピーなどを買って、夕暮れが迫る田園風景を眺めながら、ひとときの旅情を楽しんでいる。しかし、しばしば巡り合うのは、隣に座るビジネスマンが車窓に映る景色には一切目を向けず、ミネラルウォーターで乾いた喉を潤しながら、一心にパソコンの画面を見つめ、企画書やら、管理データなどを作成している場面だ。

 「この人はもう、新幹線での大移動は日常であって、座席はオフィスのデスクと同じであるのだな」と赤ら顔で、旅に動じない男に感心してしまう。

 誰かと旅をすることで、その人のことをより深く理解できる。

 旅行作家やトラベルライターと言われる人たちと旅を共にすることがよくある。彼らは、一言でいえば、旅に「貪欲」である。朝日が綺麗に見える場所があると聞けば、朝4時に起きて、その場所に行こうとする。夜中に星がくっきり見えると耳にすれば、それが真冬であろうと、セーターを何重に着込み、外に出る。これらは極端だが、例えば旅に貪欲な人と、一般的な人が2人で旅に出たときに、一方は近くに話題の店があると「せっかくだから行こう」と誘う。一方は「ホテルでゆっくりしたいのでこれ以上出歩くのは疲れるから嫌だ」と感じるケースが往々にしてある。

 夫婦や恋人同士で旅をすると、このような細かな行き違いが重なり、その結果「この人とは旅のスタイルも、生き方もすべてが合わない」と別れるパターンもある。旅とは恐ろしいものだが、そのような深い関係でなければ、「へぇ~、この人はこんな旅の仕方をするんだ」と新たな発見をすることもある。

 旅慣れた人と、旅に興味の無い、あるいは旅に関心を失った不感な人は、表面的には見分けをつけづらい。旅のプロのような風情を、一見して見破られる人はまだまだだ。酒場で常連面をして目立つ奴も、まだ浅い。場に空気のように溶け込んでいる人こそが、練度が高いのである。旅先に溶け込み、空気のように存在感の無い旅人になりたい。

(編集長・増田 剛)

No.440 千草ホテル、市場環境にどう適応していくか

千草ホテル
市場環境にどう適応していくか

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第5回は、福岡県北九州市八幡で千草ホテルを経営する小嶋亮社長が登場。結婚式場業の定義に縛られず、「アニバーサリー・デザイン・カンパニー」へと発想の枠を広げ、内製化した自社の強みを活かす千草ホテル現場の取り組みを語り合った。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトⅡシリーズ(5)〉
千草ホテル

 ■小嶋:千草という名前が生まれたのは1914年で、料亭から始まっています。千草は千の草、つまり雑草のことで、「雑草のようにどんなに踏みつけられてもたくましく生き残っていきましょう」という創業者の思いが込められています。

 当時、官営八幡製鉄所ができて非常に街が盛り上がっていました。私の曾祖父が愛媛から北九州の八幡に出てきて、港湾労務者として働いていたのですが、曾祖母が小料理屋を開くと繁盛したため、料亭を始めたという流れです。料亭千草は八幡製鉄所など大企業の社長や重役の接待に使っていただいていたようです。

 戦後は、焼け野原の中で料亭を再開しました。うちは分家筋にあたり、曾祖父の長男が料亭を継ぎ、次男だった私の祖父が分かれて、1942年に割烹旅館を始めました。これが千草ホテルの直系の流れです。料亭と同じく官官接待需要を取り込みつつ、旅館機能を付加した感じです。

 しかし、あくまでも接待が中心で、宿泊機能が現在も“サブ的”な位置付けなのは、そこがスタートだからです。

 父の代になって結婚式が盛り上がり、その後、「レストランウェディング」や「ハウスウェディング」に取り組むようになっていきました。私は2015年7月に専務から社長に就任しました。

 ■内藤:完全にマーケットの需要にあわせて業態転換していったのですね。

 ■小嶋:現在は、洋室宴会と和室宴会という2種類があるのですが、洋室宴会でブライダルが伸びていき、和室宴会は今でも確実にある接待需要を取り込むために、八幡エリアに関しては広げています。最近は個人客も増え、全体の半分を占めています。…

 

※ 詳細は本紙1640号または9月15日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

観光庁関係に208億円、訪日受入基盤を整備(16年度第2次補正予算)

 政府は8月24日の臨時閣議で、2016年度第2次補正予算を決定した。観光庁関係は208億円が計上された。一般会計として「訪日外国人旅行者受入基盤整備・加速事業」に155億円、「地方誘客のための緊急訪日プロモーション」に45億円。東日本大震災復興特別会計で「東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業」に8億円が充てられた。

 国交省は補正予算国費に1兆2257億円を計上。16年8月2日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」で掲げられた4本の柱に基づき編成をした。(1)1億総活躍社会の実現の加速(2)21世紀型のインフラ整備(3)地方の支援(4)熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、防災対策の強化――この4つの柱のうち、21世紀型のインフラ整備に3828億円を計上。観光庁関係の約96%の予算がこの中に計上され、そのほか、大型クルーズ船の受入環境改善に165億9500万円や、羽田空港などの機能強化に101億3900万円、良好な水辺空間の形成による観光地の魅力向上に21億6800万円が充てられた。

洋彩和膳ラミュゾン

 栃木県日光市の「鬼怒川グランドホテル夢の季」を取材してきた。今年10月に旅館開業50周年を迎える同館では、年間を通してさまざまな50周年記念事業を実施している。

 なかでも注目の取り組みは6月にオープンした、「会話」と「食事」と「お酒」を楽しむ大人の空間、新感覚食事処「洋彩和膳ラミュゾン」だ。初の「R―12」指定で小学生以下の子供は利用ができない。

 コンセプトは「和の要素」を重視した洋食スタイル。和食だが見た目は完全にフレンチのフルコース料理。当初は20―30代の女性客を想定していたそうだが、実際にふたを開けてみると利用客の多くは50―60代の中高年層だったという。箸を使い、器は有田焼など和の陶器を中心に、日本酒はワイングラスでいただくという徹底したこだわり。センスが光る。

【古沢 克昌】

中間取りまとめに向け、業務独占後の論点を整理(通訳案内士制度検討会)

第17回検討会のようす
第17回検討会のようす

 観光庁は8月25日、東京都内で第17回「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を開いた。業務独占廃止の閣議決定後に開催した第14回から、計3回の検討会で提示された論点を整理。9月上旬になされる予定の中間取りまとめに向け、意見交換を行った。

 これまでの委員らの主な意見が、(1)業務独占の廃止と名称独占(2)有資格者の利用促進策(3)有資格者の品質の維持・向上(4)非有資格者対策(5)地域ガイド制度(6)通訳案内士試験(7)全国的な通訳案内士団体の創設――の7つにまとめられた。

 今後は名称独占のみとなるため、外国語の幅広い表記も含めて検討し、名称だけでなく、有資格者だと見てわかる指標を作るべきとの意見が出た。通訳案内士情報の見える化や、リストの一元化、問い合せに関するワンストップ窓口の設置も必要とされた。有資格者と地域ガイド、非有資格者の違いが分かるようにグレード制創設などの意見も挙がった。

 有資格者ガイドの品質の維持・向上に関して多くの委員から研修制度、更新制度の導入に対する意見があり、旅程管理に対する知識の向上をはかるべきとされた。ただ、更新制度を仮に3年に1度とした場合、案内士は各自治体に登録されているため、自治体の負担が増す懸念も示された。

 地域ガイド制度は、通訳案内士の4分の3が都市部に偏在している現状で、対策の1つとして拡大、普及させるべきとの主張も出た。また、非有資格者対策は、登録させるべきとの意見が多く、観光警察の設置や苦情受付窓口の設置などもあった。一方、試験については、実際の業務に即した知識を問うべきだという意見が目立った。

 全国的な通訳案内士団体の創設に関しては、(1)案内士の品質を高める(2)利用者とのマッチング(3)雇用機会の創出――の3つの機能を持つべきとされた。内規を定め、自主的な組織運営などを含め、グローバルな交流の場を受け持つ団体にすべきとの意見が出た。

 また、同検討会に先立って開かれた第16回の検討会では、東京都、和歌山県、京都市が地域ガイドに関する取り組みの先例を報告した。

ピローアドバイザー講習会、四万温泉「つるや」で開く(日本橋西川)

ピローアドバイザーの資格取得に向けた講習会を実施
ピローアドバイザーの資格取得に向けた講習会を実施

 群馬県・中之条町の四万温泉「鹿覗キセキノ湯つるや」(関良則社長)はこのほど、寝具販売の日本橋西川(東京都中央区、西川八一行社長)と連携して、宿泊客に快適な睡眠を提供するため、一人ひとりに合った最適な枕を提供する宿泊プランづくりを始めた。

 同館の関社長がかねてから計画していたもので、日本橋西川のグループ会社である西川産業が認定するピローアドバイザーの資格取得に向け、5月下旬に睡眠と枕の講習会を1日かけて実施した。全従業員が枕に関するピローアドバイザーの資格取得を目指し、サービスを向上させることでリピーターの確保につなげたい考えだ。

 講習会では、高さや硬さが適切な枕で眠るといびき防止や肩凝りの解消につながることや、快眠には香りや部屋の色、衣類などが関係することなどを学んだ。

 講習修了後に全従業員がレポートを提出し、11人のピローアドバイザーが認定された。今秋には、宿泊客がアドバイザーの意見を参考に、素材や高さ、硬さが異なる9種類の枕の中から最適なものが選べる宿泊プランを開始する予定だ。

 関社長は「旅館にとって、宿泊客の快適な睡眠は欠かせないものです。ピローアドバイザーで取得した知識を生かして、お客様により良い睡眠を提案していきたい」と意気込みを語った。

バス旅行の安全確保へ、企業間の適正取引促す(委員会設置)

 日本旅行業協会(JATA)と、全国旅行業協会(ANTA)、日本バス協会は、8月30日に「貸切バスツアー適正取引推進委員会」を設置するとともに、第一回委員会を開いた。バスツアーの需要拡大と、貸切バスを利用した旅行の安全確保を目的とする。

 同委員会では通報窓口を設け、運賃違反などの情報が寄せられた場合には当事者に対し改善を求め、指導を行う。また、同委員会の審議で行政指導が必要とされた事案については、管轄行政官庁に通知する。

 委員は、加藤博和名古屋大学大学院環境学研究科准教授と佐藤博康松本大学名誉教授、三浦雅生弁護士、廻洋子淑徳大学教授、國谷一男全国旅行業協会副会長、船戸裕司日本バス協会常務理事、興津泰則日本旅行業協会国内・訪日旅行推進部長の7人。そのほか、国土交通省自動車局と観光庁観光産業課がオブザーバーとして参加している。

宿泊販売190万人へ、10月から「日本の旬 九州」CP

330人が参加しキックオフ
330人が参加しキックオフ

JTBグループ、観光復興を支援

 JTBグループが全社挙げて10月から実施する国内観光キャンペーン「日本の旬 九州」のキックオフミーティングが8月31日、熊本市内のホテルで開催された。JTBグループや旅ホ連関係者、九州各県行政・団体関係者、交通関係者など330人が参加した。

 日本の旬は1998年から、「日本の魅力再発見」をテーマに全国各地で展開されており、九州は九州新幹線全線開業の2011年から5年ぶりの開催。熊本地震からの観光復興をキャンペーンで後押しする。

 開会宣言でJTB国内旅行企画執行役員の戒田智彦九州事業部長は「JTBの優位性で九州方面の感動需要拡大をはかり、震災からの観光復興の動きを加速させたい」と決意を述べた。

 このあと、JTB常務の今井敏行国内事業本部長と常務でJTB国内旅行企画の大谷恭久社長が主催者としてあいさつした。

 今井本部長は「震災後に2千人の社員が現地視察して支店で安全性を共有し、お客様に正確な情報を伝えた」と報告。そのうえで「エースの第2四半期が九州全域販売で前年比70%まで回復、インターネットのるるぶトラベルが7月120%、8月140%、9月160%と伸びている」と説明し、「すべての販売網を使い、日本の旬九州で宿泊販売190万人を達成する」と約束した。大谷国内旅行企画社長は、日本の旬九州後の持続的な需要喚起のため、「2017年度上期に九州をエース重点販売方面として展開する」ことを明らかにした。

 日本の旬九州は「五感に触れる新体感の旅」をテーマに3月31日まで展開。世界遺産、世界遺産候補を巡るプランでは、セスナ機から見る軍艦島周遊フライトや長崎夜景クルーズ、官営八幡製鉄所関連の施設見学ツアー、宗像大社正式参拝と非公開襖絵の特別見学などを盛り込む。

 JTBファームでの「あまおうイチゴ狩り」や九州温泉満喫チケット、感動魅力人が各地で案内するプランなどを企画。長崎ランタンフェスティバルでのエース専用ラウンジや雲仙仁田峠の夜間バス運行、九州各地の本格的な美食を味わうプランも設けた。

第2期「九州ふっこう割」、9月9日から販売開始、最大4―5割引

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 九州観光推進機構は8月26日、熊本地震の観光復興対策で実施する割引付旅行プラン助成制度の第2期「九州ふっこう割」事業について、9月9日から旅行商品販売を始めると発表した。

 同事業は地震でキャンセルが相次いだ九州7県の宿泊施設や観光施設に観光客を呼び戻すため、国の支援助成金180億円を活用し7月から開始したもので、12月までの期間、150万人泊の集客を目指す。

 第1期は7―9月の夏休み需要期に焦点を当て、早期回復と即効性を重視して全体予算の約7割を配分した。 第2期は10月1日から12月28日までの宿泊分を対象とする。

 対象となる旅行形態は、国内外向けのオンライン宿泊旅行商品などの宿泊・日帰り旅行商品、割引宿泊券、訪日外国人向け周遊型宿泊旅行商品などのなかから、各県の選択制となる。

 とくに、第2期では九州域外からの誘客強化を目指しており、旅行会社には宿泊単品より足付きの周遊型旅行に取り組んでもらう。福岡、長崎、熊本、大分、宮崎5県で販売の割引宿泊券は抽選方式とする。

 上限割引率は熊本・大分県が50%、他の5県が同40%。上限金額も宿泊のみが最大1万円、交通付き宿泊旅行が2万円、周遊型宿泊旅行が2万5千円、着地型は5千円を設定する。