スカイダックが横浜に、受付所と待合所も開設(日の丸自動車)

満席の人気ぶり。記念品もプレゼントされた
満席の人気ぶり。記念品もプレゼントされた
富田浩安社長
富田浩安社長

 日の丸自動車興業(富田浩安社長)が運行する水陸両用バス「スカイダック」が10月3日、横浜港でグランドオープンの記念式典を行った。横浜・桜木町の日本丸メモリアルパーク、赤レンガパークにチケット受付所と待合所も開設。

 当日は全42席が完売し、一般の客らが約1時間の水陸運行を楽しんだ。

 スカイダックは横浜市が進める「~水・陸新発見!横浜みなとまちめぐりプロジェクト~」(構成法人=日の丸サンズ、シティアクセス)で、8月10日からプレオープンし準備を整えてきた。

 同プロジェクトは、街と海の観光をシームレスに結び、水辺空間に親しみ楽しめる環境を整備する。また、水辺周辺の賑わいの創出や活性化につなげることが目的。そのために、横浜港の景観を気軽に陸と海から楽しめる水陸両用バスを試験導入した。

 今後は官民一体で横浜の発展に寄与し、3年ほどかけて持続可能な事業かを判断していく。

 スカイダックは、アメリカやオーストラリア、ロンドン、パリなど世界各国の観光地で運行している。富田社長は「世界各国と同じように、横浜の観光名物としていろいろな人に乗ってもらいたい」と語った。

 来年の3月末まで運行し、料金は大人3500円、子供1700円。事前予約は不可で、運行時間の1時間前から先着順で発売する。

来年3月“維新博”、高知城歴史博物館も開館(高知県観光説明会)

尾﨑正直知事
尾﨑正直知事

 高知県は9月16日、大阪市内のホテルで旅行会社や報道関係者を集め、観光説明会を開いた。

 尾﨑正直知事が約30分のプレゼンテーションを行い、来年3月4日開幕の「志国高知幕末維新博」の概要やJRグループの四国DCに向けた準備などを紹介した。

 維新博は大政奉還150年を迎える来年に第1幕、明治維新150年を迎える2018年に第2幕を展開する。第1幕開幕日にはメイン会場となる県立高知城歴史博物館が、高知城追手門前にオープンする。博物館は3階建てで、「坂本龍馬書状」「大政奉還建白書写」など幕末・維新関連の資料約6万7千点を収蔵。最上階には高知城を一望できる展望ロビーなども備え、新たな観光拠点となる。

 開館時間午前9時から午後6時(日曜日は午前8時開館)。料金は常設展大人500円、企画展同700円。大型バスの乗降は可能。駐車は周辺有料駐車場利用。

 そのほか、高知駅前の「こうち旅広場」も3月4日リニューアル。龍馬の生家セットを展示する「龍馬伝幕末志士社中」が無料化になり、館内での飲食も可能にする。

 さらに、維新博第2幕となる18年春には県立坂本龍馬記念館の新館がオープン。博物館仕様となり、貴重な本物資料を数多く展示するという。

 維新博では高知市内のこれらメイン・サブ会場に加え、県内に20の地域会場を設定し、周遊観光を促す。

 尾﨑知事は「四国DCでは、ごめん・なはり線にトロッコ列車の特別運行や、4つの寺院の特別公開などがある。当然ながら、DCの素材と維新博の素材を組み合わせることができる。我われもそのように作っている」と述べ、維新博・四国DCを機会とした高知周遊観光を呼びかけた。

「100選」の中間集計

 第42回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の投票が今年も10月1日から始まった。締め切りは10月末日。全国の旅行会社からの投票に基づき、「ホテル・旅館100選」と「観光・食事、土産物施設100選」および「優良観光バス30選」をそれぞれ選出する。「ホテル・旅館100選」の中間集計の1回目を紹介する。
(順不同)

 【北海道】
 あかん遊久の里鶴雅・あかん湖鶴雅ウィングス▽登別石水亭▽知床第一ホテル▽知床グランドホテル北こぶし▽十勝川温泉第一ホテル▽第一滝本館▽観月苑▽ニュー阿寒ホテル▽知床プリンスホテル風なみ季▽ホテル鹿の湯花もみじ▽ザレイクビュー TOYA 乃の風リゾート▽洞爺サンパレスリゾート&スパ▽HAKODATE海峡の風

 【青森県】
 ホテルグランメール山海荘▽星野リゾート青森屋▽海扇閣▽南田温泉ホテルアップルランド

 【岩手県】
 結びの宿愛隣館▽ホテル森の風鶯宿▽ホテル紫苑▽浄土ヶ浜パークホテル▽ホテル志戸平▽瀬美温泉▽悠の湯風の季▽グリーンピア三陸みやこ▽ホテル対滝閣▽愛真館▽南部湯守の宿大観▽長栄館

 【宮城県】
 ホテル松島大観荘▽伝承千年の宿佐勘▽鷹泉閣岩松旅館▽松島一の坊▽篝火の湯緑水亭▽鳴子観光ホテル▽ホテルニュー水戸屋▽ホテルきよ水▽名湯の宿鳴子ホテル▽岩沼屋

 【秋田県】
 結いの宿別邸つばき▽ホテル鹿角▽秋田温泉さとみ▽妙の湯▽鶴の湯▽駒ヶ岳グランドホテル 

 【山形県】
 日本の宿古窯▽萬国屋▽蔵王国際ホテル▽天神の御湯あづま屋▽たちばなや▽八乙女▽月岡ホテル▽ほほえみの宿滝の湯▽河鹿荘▽仙峡の宿銀山荘▽游水亭いさごや▽蔵王四季のホテル▽深山荘高見屋▽おおみや旅館▽亀や▽高見屋別邸久遠

 【福島県】
 ホテル華の湯▽匠のこころ吉川屋▽八幡屋▽丸峰観光ホテル▽大川荘▽庄助の宿瀧の湯▽風望天流太子の湯山水荘▽スパリゾートハワイアンズ▽四季彩一力▽旅館玉子湯▽陽日の郷あづま館▽檪平ホテル

 【茨城県】
 五浦観光ホテル別館大観荘▽思い出浪漫館▽筑波山江戸屋▽大洗ホテル

 【栃木県】
 あさや▽花の宿松や▽鬼怒川グランドホテル夢の季▽鬼怒川温泉ホテル▽日光千姫物語▽ホテルエピナール那須▽ホテルサンバレー那須▽ホテルニュー塩原▽湯けむりの里柏屋

 【群馬県】
 草津白根観光ホテル櫻井▽四万やまぐち館▽源泉湯の宿松乃井▽舌切雀のお宿磯部ガーデン▽福一▽ホテル木暮▽旅館たにがわ▽万座温泉日進舘▽猿ヶ京ホテル▽別邸仙寿庵▽望雲▽草津ナウリゾートホテル▽奈良屋

 【千葉県】
 満ちてくる心の宿吉夢▽鴨川館▽鴨川ホテル三日月▽勝浦ホテル三日月▽鴨川グランドホテル▽宿中屋

 【東京都】
 水月ホテル鴎外荘

 【神奈川県】
 海石榴▽箱根吟遊▽強羅花壇▽ホテル河鹿荘▽強羅花扇

 【山梨県】
 銘石の宿かげつ▽ホテル鐘山苑▽ホテルふじ▽若草の宿丸栄▽全館源泉かけ流しの宿慶雲館▽湖山亭うぶや▽秀峰閣湖月▽下部ホテル▽華やぎの章慶山▽富士野屋夕亭

 【長野県】
 ホテル翔峰▽明神館▽旅館花屋▽上林ホテル仙壽閣▽藤井荘▽あぶらや燈千▽ホテル白樺荘▽立山プリンスホテル▽緑翠亭景水▽ホテルやまぶき▽ぬのはん▽白樺リゾート池の平ホテル▽RAKO華乃井ホテル▽白船グランドホテル▽昼神グランドホテル天心▽ユルイの宿恵山▽昼神の棲玄竹

 【新潟県】
 白玉の湯泉慶・華鳳▽ホテル清風苑▽水が織りなす越後の宿双葉▽夕映えの宿汐美荘▽風雅の宿長生館▽四季を彩る湯沢グランドホテル▽ゆもとや▽四季の宿みのや▽ホテル小柳▽ホテル摩周▽赤倉ホテル▽岬ひとひら▽大観荘せなみの湯

 【静岡県】
 稲取銀水荘▽堂ヶ島ニュー銀水▽いなとり荘▽季一遊▽ホテル九重▽ABBA RESORTS坐漁荘▽ホテルカターラRESORT&SPA▽柳生の庄▽観音温泉▽稲取東海ホテル湯苑▽桂川▽ホテル伊豆急▽ホテルサンハトヤ▽堂ヶ島温泉ホテル▽ホテルアンビア松風閣▽ホテルウェルシーズン浜名湖

 【愛知県】
 旬景浪漫銀波荘▽ホテル東海園▽ホテル竹島▽源氏香▽伊良湖シーパーク&スパ▽風の谷の庵

 【三重県】
 戸田家▽風待ちの湯福寿荘▽ホテル花水木▽サン浦島悠季の里▽鳥羽シーサイドホテル

 【岐阜県】
 水明館▽本陣平野屋花兆庵▽岐阜グランドホテル▽穂高荘山月▽ひだホテルプラザ▽ホテルくさかべアルメリア▽十八楼▽宝生閣

 【富山県】
 延楽▽金太郎温泉▽宇奈月国際ホテル▽ホテル立山▽延対寺荘▽宇奈月グランドホテル▽つるぎ恋月

 【石川県】
 加賀屋▽瑠璃光▽ゆのくに天祥▽日本の宿のと楽▽法師▽海游能登の庄▽辻のや花乃庄▽花紫▽お花見久兵衛▽ホテル高州園▽茶寮の宿あえの風▽花つばき▽たちばな四季亭▽みどりの宿萬松閣▽ゆ湯の宿白山菖蒲亭

 【福井県】
 まつや千千▽清風荘▽グランディア芳泉▽美松

 【滋賀県】
 びわ湖花街道▽里湯昔話雄山荘▽湯元舘▽琵琶湖グランドホテル京近江

 【京都府】
 松園荘保津川亭▽おもてなしの宿渓山閣

 【兵庫県】
 ホテルニューアワジ▽ホテル金波楼▽佳泉郷井づつや▽淡路インターナショナルホテルザ・サンプラザ▽西村屋ホテル招月庭▽有馬グランドホテル▽朝野家

 【奈良県】
 さこや

 【和歌山県】
 かつうら御苑▽ホテル中の島▽ホテル浦島▽白良荘グランドホテル▽紀州・白浜温泉むさし▽花いろどりの宿花游

 【鳥取県】
 皆生つるや▽華水亭▽依山楼岩崎▽皆生グランドホテル天水▽三朝薬師の湯万翆楼

 【島根県】
 玉造グランドホテル長生閣▽曲水の庭ホテル玉泉▽佳翠苑皆美▽白石家

 【岡山県】
 湯郷グランドホテル▽鷲羽ハイランドホテル▽八景▽清次郎の湯ゆのごう館▽ゆのごう美春閣

 【広島県】
 ホテル鴎風亭▽景勝館漣亭▽みやじまの宿岩惣

 【山口県】
 大谷山荘▽萩観光ホテル▽西の雅常盤▽錦帯橋温泉ホテルかんこう

 【香川県】
 湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭▽琴平グランドホテル桜の抄▽ことひら温泉琴参閣▽喜代美山荘花樹海

 【徳島県】
 和の宿ホテル祖谷温泉▽ホテルかずら橋

 【愛媛県】
 大和屋本店▽道後プリンスホテル▽宝荘ホテル▽ホテル椿館

 【高知県】
 土佐御苑▽城西館▽三翠園

 【福岡県】
 六峰館

 【佐賀県】
 和多屋別荘▽萬象閣敷島▽大正浪漫の宿京都屋▽大正屋▽和楽園

 【長崎県】
 東園▽ゆやど雲仙新湯▽雲仙宮崎旅館▽雲仙福田屋▽ホテル東洋館▽九州ホテル

 【熊本県】
 清流山水花あゆの里▽杖立観光ホテルひぜんや▽湯峡の響き優彩▽阿蘇の司ビラパークホテル&スパリゾート

 【大分県】
 九重悠々亭▽杉乃井ホテル▽ホテル白菊▽由布院玉の湯▽花菱ホテル 

 【宮崎県】
 酒泉の杜綾陽亭

 【鹿児島県】
 いぶすき秀水園▽指宿白水館▽指宿海上ホテル▽霧島国際ホテル▽指宿フェニックスホテル▽霧島いわさきホテル▽城山観光ホテル▽霧島ホテル
 
 【沖縄県】
 カヌチャベイ&リゾート▽ホテル日航アリビラ▽沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ▽ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート

17年は116万人目指す、JTB国内旅行企画が担う(サンライズツアー)

大谷恭久社長
大谷恭久社長

 JTB国内旅行企画(大谷恭久社長)とJTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBGMT、座間久徳社長)は9月13日、東京都内で「2017年サンライズツアー商品発表会」を開いた。これまでは、JTBGMTがサンライズツアーの企画、造成、販売までを一元的に行っていたが、今年から企画・造成機能を、JTB国内旅行企画が担う。なお、2017年の販売目標は、前年比260%増の116万人を目指す。

 また、訪日旅行者向け商品として現在、「サンライズツアー」と、アジアからのリピーター客向けに、リーズナブルな商品を展開する「エクスペリエンスジャパン」の2ブランドが併存している状態だったが、17年度からはサンライズツアーにブランド統合することを発表した。JTB国内旅行企画の大谷社長は、このほどの企画・造成の運営体制変更について「北海道から沖縄まで全国に拠点を持つ、JTB国内旅行企画が企画・造成を担うことで、日本全国を面で捉え、日本全国の商品ラインナップが可能となる」とし、地方分散に向けた取り組みを強化していくと述べた。

座間久徳社長
座間久徳社長

 17年の販売拡大に向けた取り組みとして、JTBGMTの座間社長は、(1)オンライン販売を強化(2)海外エージェンシー営業の拡大(3)日本到着後の予約取り込みの拡大――の3点を挙げ、「今後はツーリストインフォメーションセンターや、JTBの国内支店を利用し、対面販売も強化していく」と語った。

 17年のサンライズ商品は(1)マルチデーツアーズ(2)デートリップス(3)トレインパッケージ(4)フリー&イージー(5)エキストラス――の5つのカテゴリーを設定。英語・中国語の通訳案内士が付く、日帰りバスツアーの「デートリップス」では、ガイドとともに歩いて観光地を巡る「小江戸川越 古き良き日本の町並み散策(新宿発)」などを設定。宿泊付周遊型商品の「マルチデーツアーズ」では、日本航空の国内線を乗り継ぎ、北海道・青森・金沢・大分・沖縄・富士山など日本の主要観光地を14日間かけて巡る「JALで行く日本一周14日間の旅」を用意した。

 さらに今までのサンライズツアーにはなかったフリープラン商品の「フリー&イージー」は、FIT化が進むなか、リピーター客からの「もっと自由に旅行がしたい」という声を踏まえ、レンタカー+宿泊や、2次交通+宿泊などのセット型商品を提供する。そのほか「トレインパッケージ」は、新幹線を利用した東京・大阪・京都を発着地とした商品で、JR6社が提供するジャパン・レール・パスでは対象外となっている「のぞみ」を利用したパッケージツアーも多く取りそろえた。

 最後に素材型商品「エキストラス」では、オプショナルプランとして、外国人向けの夜のアクティビティの充実をはかるため、東京・日本橋の明治座で行われている「ナイトミュージカルショーSAKURA―JAPAN IN THE BOX」や、「ヘリコプター夜景観賞」などのナイトツアーも拡充させた。

 商品発表後には、エキストラスでオプショナルプランの1つになっている、和風マジック「手妻」が披露され、目の前で繰り広げられる所作の一つひとつに感嘆の声が上がった。

手妻を披露
手妻を披露

10年後の未来を議論、発足60周年記念シンポ開く(長野県・飯島町)

下平洋一町長
下平洋一町長

 長野県上伊那郡飯島町(下平洋一町長)は9月17日、飯島町文化会館大ホールで、発足60周年記念シンポジウム「つなごう未来へ」を開いた。飯島町は、NPO法人ふるさとオンリーワンのまち(津田令子理事長)が2014年11月に、「第5号ふるさとオンリーワンのまち」に認定。この縁もあり、パネルディスカッションでは、同NPOのメンバーと、下平町長をはじめとする地元の代表者らが「10年後の飯島はこうなる!?」をテーマに、意見交換を行った。   

 下平町長は冒頭、「60周年といえば、還暦にあたり、本当の大人の感性、感覚が身についてきた年」とあいさつし、「現在さまざまな地域で消滅可能性の危惧もあるが、飯島町の特徴である農地を管理することは非常に大事なこと」と強調した。「2つのアルプスに囲まれた自然豊かな田園地帯は、今は稲が金色に実り、ソバの花が銀色に咲いている。この素晴らしい景観は、地域の人たちが守ってきた。地方創生へ、新しい町づくりに町民の皆さんとともに挑戦していきたい」と呼びかけた。

 さらに下平町長は「飯島町は10年後大きく変わる。その最大の要因は、リニア新幹線の駅が飯島町の近くにできる計画だ」と話し、「飯島町はリニア駅の奥座敷となるが、今から準備をしなければ都市部に住民が流れてしまうこともある。飯島町にはさまざまな魅力があり、それを発掘し、田舎の底力を見せるために、子供たちが誇れる、希望のあるまちに皆でしていこう」と住民の総参加を求めた。

 続いて、松下寿雄町議会議長は「シンポジウムの1部は飯島町の子供たちに未来を語っていただく。2部はNPO法人ふるさとオンリーワンのまちの方々を迎え、飯島町の将来を語り合う場になっている。未来へつながるアイデアを期待している」と述べた。

 子供たちの意見発表では、町内の小・中学生6人が「小さくても輝きのある街にしたい」など、未来の飯島町への想いや願いを発表。その後、小学生がアトラクションダンスを披露した。

パネルディスカッションのようす
パネルディスカッションのようす
津田令子理事長
津田令子理事長

 第2部のパネルディスカッション「10年後の飯島町はこうなる!?」では、NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長で、トラベルキャスターの津田令子氏が司会進行を務めた。パネリストには、飯島町から下平町長をはじめ、地域おこし協力隊員の竹馬慶宣氏、いいじま文化サロン会長の松村まゆみ氏、WAVE代表の片桐剛氏、KOUSEI代表の森光星氏ら、農業や文化、IT、建設業などさまざまな分野で活躍する地元の代表者が登壇。

 一方、NPO法人からは、秋山秀一氏(旅行作家)、竹村節子氏(温泉旅行作家)、古賀学氏(松陰大学教授)、増田剛氏(旬刊旅行新聞編集長)が出席した。

 秋山氏は「子供たちの意見発表でも語られた『小さくても輝きのあるまち』は、海外にはたくさんある。そこに住むお年寄りや子供たちも輝いている。この飯島町にもそのような輝きを感じる」と語った。

 竹村氏は「観光だけが人を集める手段ではない」と述べ、「周辺地域とは違う、ここにしかない財産は何かという部分にもう一度目を向けてほしい」と訴えた。また、「私の知り合いも飯島町に移住している。それだけ居心地の良さをもっている地域なのだなと思っている」と話した。

 古賀氏は「一つひとつの自然景観や農産物などは素晴らしいが、例えばユリの花と音楽など、さまざまな組み合わせる視点も大事」とアドバイスした。

 増田氏は「若い世代が旅をしないと言われているが、これからの飯島町を担う子供たちは東京や名古屋ばかりに目を向けるのではなく、世界を旅し、広い視点から自分たちのまちの将来を考えてほしい」と述べた。

 津田氏は「飯島町に20年間魅せられてきたが、今日子供たちの発表を聞きながら、また新たな感動を覚えた」と語り、「飯島町には3つの間(あいだ)がある。都会にはない、ゆったりとした『時間』、2つのアルプスに囲まれた自然豊かな『空間』、そして、人と人との距離感の『人間(じんかん)』が心地いい。この3つの間を守りながら、10年後の未来に期待している」と締めくくった。

シンポ後に記念撮影
シンポ後に記念撮影

アニメツーリズム協会設立、“聖地”軸に広域観光創出へ

トレードマーク
トレードマーク

 「アニメツーリズム協会」(富野由悠季理事長)が、9月16日設立された。今若い世代を中心にアニメや漫画の舞台を「聖地」と呼び、そこを巡る「聖地巡礼」が大きなブームになっている。このブームは、外国人が日本を訪れるきっかけになることもあり、観光地ではない地域にも多くの人が集まることで地域活性化につながる自治体もある。同協会は今後、アニメ聖地を88カ所選定し、それらをつないだ広域周遊観光ルートを官民一体となって造成する。
【後藤 文昭】

 同協会は、日本全国に点在する、アニメやコミックの聖地のプラットフォームとなり、広域周遊観光ルートを造成。海外・国内のジャパンコンテンツファンへ発信し、地域への観光客を増やす官民連携の推進母体としての役割を担う。「日本の知的財産と、世界中の観光客、地域(聖地)を束ね、アニメ聖地を軸にした観光資源の掘り起しと、広域観光ルートの創出」を使命とし、2020年には各地域に国内外から年間400万人の送客を目指す。

 アニメーション映画監督の富野由悠季氏が理事長に、日本動画協会の石川和子理事長とKADOKAWAの角川歴彦会長の2氏が副理事長に就任した。理事にはJTBの坪井泰博取締役と、成田国際空港の夏目誠社長、日本航空の藤田直志副社長、やまとごころの村山慶輔代表、大正大学地域構想研究所の清水愼一教授、KADOKAWAインバウンド推進部の森好文部長(事務局長兼任)らが名を連ねる。

(左から)上住氏、村山氏、夏目氏、角川氏、富野氏、坪井氏、藤田氏、森氏
(左から)上住氏、村山氏、夏目氏、角川氏、富野氏、坪井氏、藤田氏、森氏

 同協会はアニメ聖地を、(1)アニメや漫画の舞台やモデルになった地域や場所(2)作家ゆかりのまちや生家、記念館(3)作品などに関連する博物館と建造物、施設――と定義した。12月31日までアニメ雑誌「Newtype」の協力を得て、「おすすめのアニメ・マンガ聖地」を専用サイトで募集。同サイトは日本語と英語、中国語(繁体字・簡体字)、タイ語、マレー語に対応しており、これをもとに17年度中に88カ所を選定。日本全体を聖地でつなぐ「エンターテイメントパーク」にし、旅行前から旅行後までのすべての時間軸で観光客に日本ならではの「アニメパーク」体験を提供する。

 400万人の送客達成に重要なことは、「地域と、日本の知的財産や観光に関わる企業の密接な連携」に加え、「外国人観光客の目線を持つこと」が大前提になる。そのうえで同協会は、地域と企業、著作権者をつなぎ、その土地のコンテンツを活用したサービスや商品の提供を促進していく。同時に受入環境を整備することで、新たな経済効果を創出する。聖地とされる地域では、観光資源の発掘や観光客による消費増、広域連携による送客連携などの波及効果が見込め、地域活性化につなげていく。

 9月16日に東京都内で行われた会見で富野理事長は、立ち上げた経緯を「アニメから得たモチベーションを単に心に留めておく以上に、外に向かって発信して行くことで、体験にまで育てていきたいと考えた」と説明。ビジネスの成功が無ければ、文化への貢献が得られないとし、「アニメツーリズムを通じて21世紀の日本を広く海外に理解していただき、相互協力の花を咲かせてほしい」と語った。

 観光庁の田村明比古長官は、地方消費の拡大やリピーターにつながることなど協会の活動の観光面での利点について話した。また「典型的な観光地ではないところにスポットライトを当てる」面でも同協会の取り組みを評価した。

 聖地巡礼は、多くの観光客を集められる。アニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台となった茨城県・大洗町は、同作品の放送をきかっけに多くの観光客が訪れ、観光収入増にも貢献している。自治体でも聖地巡礼を観光に活かすため、箱根町観光協会が「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とタイアップした観光パンフレットを作成するなど、取り組みの先行事例は多い。

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 一方で、聖地巡礼中の私有地への立ち入りや、コスプレをしての写真撮影、ゴミの放置などに対し、地域住民が不安になったり、苦情が出たりするケースも報告されている。

 森理事はこれらの問題について「成功している自治体の話を聞き、全体でどうするかを考えたい」と述べた。田村長官は「マナーの問題を乗り越えて、住民の方々と旅行者が共存できる社会になることが、観光先進国に向けて重要なステップだ」とコメントした。

 地域によっては、聖地巡礼に積極的ではない地域もある。また、聖地巡礼による効果を持続させ、続けられる自治体も少ない。成功した自治体のなかには地域住民の協力と理解を得て、住民参加型の聖地づくりを行っている。観光素材としてアニメ聖地が魅力的な場所となるために、地域住民も参加したくなる取り組みが生まれていくことにも期待したい。

No.442 扉温泉・明神館、時代のニーズに合った施設づくり

扉温泉・明神館
時代のニーズに合った施設づくり

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第6回は、長野県松本市・扉温泉の明神館会長の齊藤茂行氏が登場。周辺の温泉旅館が大型化するなかで、「売上を伸ばしながら利益を確保するのが経営」との信念で、時代のニーズに合った施設づくりを続けてきた明神館の取り組みを語り合った。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトⅡシリーズ(6)〉
明神館

 ――明神館の歴史から教えてください。

 ■齊藤:大正のころですが、私の祖父が入山辺村の村長だった時代に、農繁期が終われば温泉でゆったりとできる村営の宿泊施設を建てました。しかし赤字経営が続いたため、1931(昭和6)年に祖父が責任を取るかたちで、会社を作り、宿泊施設を買い取ったのが始まりです。その後、父の妹(叔母)たちが学校に通いながら、自炊湯治宿として切り盛りしていましたが、戦後になって父が経営を担いました。

 ■内藤:齊藤会長が宿に戻られたのはいつですか。

 ■齊藤:東京の大学を卒業した1970年ごろで、当時の宿は襖で仕切られた鍵のない部屋が11部屋ありました。
 私は父を説得し、1億5千万円を投資して手前の敷地に、新たに8部屋の宿を造りました。高度経済成長期のころで景気も良かったのですが、その後オイルショックが来ました。宿を新築したのは、第1次と第2次オイルショックの狭間でした。
 このため私は、営業に出て、名古屋、関西、東京の旅行会社を回りました。当時、冬期の閑散期対策として、京都の旅行会社に1泊3500円のバスプランを提案すると、この企画が大ヒットしました。宿の周辺から山菜やキノコなどを採って来て、天ぷらにして提供すると、京都から訪れたお客様は喜んでくれました。原価は1割以下でしたね。翌年には他社からも「5千円で受け入れてくれないか」といったオファーがあり、あっという間に1泊1万円まで上がっていきました。…

 

※ 詳細は本紙1644号または10月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

“ヘタ”な温泉よりも… ― 清冽な湧水が多くの人をひき寄せる

 個体差について考えることが多々ある。例えば、山に棲むヘビの行動範囲に個体差がどれくらいあるのかなど、どうでもいいことを寝しなに考え出す。すると眠れなくなり、深夜にネットで調べたりする。また、公園のベンチで日向ぼっこなどをしているときに、足元にいる右のハトと左のハトはまったく同じように見えるが、運動能力や、知能に大きな開きがあるのだろうかと疑問に思うこともある。

 動物はさておき、人間の行動範囲に関しての個体差はとても大きいのではないかと感じる。世界一周旅行を楽しむ人や、生涯放浪し続ける人もいる。将来、宇宙旅行のリピーターも現れるだろう。一方、自分の家や部屋が大好きで、「不慣れで不便な場所をあえて旅する気にならない」と、旅に一切関心のない人たちも、少なからずいる。どちらがいいとか、悪いとかの問題ではなく、同じ人間でこれほどまでに行動範囲が2極化している状況が面白いと思う。

 旅好きにとって、海外旅行は国内旅行では味わえない楽しさがあり、刺激的である。その反面、治安や食事などは、普段の生活よりも注意が必要だ。食事の度に「この料理を食べてもお腹を壊さないか」といったことを気にしながら口にしなければならない。水道の水はほぼ飲めないし、氷も危険だ。それら一つひとつが、目に見えないストレスとなる。このため、海外旅行から帰った直後に国内旅行をすると、水や食についての大きな安心感に気づき、心身ともにリラックスできる。

 国内旅行の楽しみでは、その土地の料理を食べることや、温泉も人気が高い。私自身も温泉が好きなので、旅先の宿泊施設に温泉宿を利用することが多い。人気の秘湯や、歴史ある温泉にも訪れた。名の知れた多くの名湯は「やっぱり素晴らしい」と感じたが、残念に思うことも同じくらい経験した。

 あるとき、日本を代表する温泉に感慨深く浸かっていると、地元のおじいさんが入って来きて、入れ歯を外し、湯船の注ぎ口で、慣れた手つきでごしごしと洗いだした。私は反射的に湯船から出ていた。

 これは、極端な例だが、温泉で首を傾げてしまう場面を数多く見てきた。入浴する側のマナーに問題が多すぎるのだ。今は温泉への熱意は、一時期ほどではない。一方、温泉が出ないため、タンクローリーで遠くから温泉を運んで来て、数日間循環を続けている施設もある。塩素消毒をしっかりとやられているのだろうが、私はあまり心が誘われない。

 日本は古くから温泉の恩恵を大きく受けてきた。病や傷を癒してくれる温泉だが、現在多くの温泉施設が提供する温泉の状態が、古来の自然に湧き出た温泉と同じ環境とは言い難い湯もあるのは確かだ。無条件に温泉をありがたがり、泉質もさまざまなのに、温泉というだけで体に良いと過信してしまっている傾向がある。信仰と言ってもいい。このため、温泉偽装などの問題も出てきてしまう。

 “ヘタ”な温泉よりも、清冽な湧水を加温したお風呂の方に魅かれる。水が清らかな地域は食べ物も安心だし、空気もきれいだ。大きな観光名所がなく、温泉が出ない土地であっても、悲観する必要はない。もし、そこに豊かな自然と、清らかな水があるのならば、多くの人をひき寄せる時代がきっと来ると思う。

(編集長・増田 剛)

来場者数18万人突破、17年から次なるステージに(ツーリズムEXPOジャパン2016)

テープカットで開幕
テープカットで開幕
 田川博己会長(記者会見にて)
田川博己会長(記者会見にて)

 日本観光振興協会(山口範雄会長)と日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は9月22―25日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「旅は変える。人生を。世界を。」をテーマに「ツーリズムEXPOジャパン2016」を開いた。国内外から過去最多の1662コマの出展があり、来場者数は18万5800人となり、目標の18万5千人を上回った。

 22日朝に行われた主催者会見でJATAの田川会長は、ツーリズムEXPOジャパンの今後について語り、〝ホップ・ステップ・ジャンプ〟の3年間を終え、海外・国内・訪日旅行の一体のイベントとしてさらに発展させていくために、次なるステージに入る2017年からは、日本政府観光局(JNTO)、日本観光振興協会、JATAの3者による「新の三位一体型のイベント」として発展させていく旨を報告した。また、開催地として17年と18年は従来通り東京で開催を予定しており、東京五輪およびラグビーワールドカップの関連で東京ビッグサイトの利用ができなくなる19年、20年は東京以外で開催を予定している。

 22日午後から行われた開会式では冒頭、田川会長があいさつし、「ホップ・ステップ・ジャンプの3年目を迎え、このEXPOも三位一体の包括的なイベントとして、世界を代表する大きなイベントになってきた。この先の4年間では、国内については地域の魅力を送り込むDMOの役割を強化し、訪日の商談を意識したものに進化させていく」と述べ、三位一体での統合効果について強調した。続いて、国土交通省の石井啓一大臣から祝辞が述べられ、「ツーリズムEXPOジャパンを機に、九州地方への旅行需要の回復や、東北地方の観光復興が促進されて欲しい」と期待の声が寄せられた。

彫刻屋台
彫刻屋台

 その後、日観振の山口会長のかけ声のもと代表者らによる、開会を宣言するテープカットが行われ、世界最大級となる旅フェアの幕が上がった。開会式終了後、「輝き続ける日本、そして世界―インバウンド4000万人時代の交流大国を目指して」をテーマに、国連世界観光機関(UNWTO)事務局長のタレブ・リファイ氏らによるパネルディスカッションが行われ、観光の持続可能な成長の実現について、参加者が改めて考える場となった。

 同日夜に行われた、「ジャパンナイト」には、パーティーに菅義偉内閣官房長官も駆けつけ、イベントの成功を願い、祝辞を述べた。また、日本橋中央通りには、「鹿沼秋まつり 彫刻屋台」が登場し、その迫力に魅了された。

 なお、来年は9月21―24日に「ツーリズムEXPOジャパン2017」を予定している。

ジャパンナイトパーティーでの鏡開き
ジャパンナイトパーティーでの鏡開き

次期部長に西村総一郎氏、「観光の未来を創る」(全旅連青年部)

次期部長に西村総一郎氏、「観光の未来を創る」(全旅連青年部)
桑田雅之部長(左)と西村総一郎次期部長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(桑田雅之部長)は9月15日、東京都内で臨時総会を開き、政策担当副部長の西村総一郎氏(西村屋社長)の2017―18年度青年部長選任を全会一致で承認した。今回の部長選挙は7月1日に公示され、同月22―29日正午までの期間に立候補したのは、西村氏のみだった。

 西村氏は所信表明で「観光業を牽引していくのは私たち青年部。厳しい前途が見えるなかで、さまざまな課題を自分の事と捉え、しっかりとこの国のため、社会のために活動を続けていこう」と語った。青年部長として取り組む6項目に(1)人材に関する取り組み(2)国の観光政策立案への積極的な関与(3)組織および国内ネットワークの強化(4)インバウンドおよび海外ネットワークとの関係強化(5)ITを活用したソリューション開発(6)経営者としての能力向上――を挙げ、課題解決に向け行動していくと宣言した。

 人材に関する取り組みでは、旅館・ホテルの人材不足が深刻であるとし、「外国人技能実習制度」を宿泊産業に導入することを業界全体で考えていきたいとした。

 ITを活用したソリューション開発では、「宿泊業界の生産性が低い」と言われている現状を踏まえ、ハードウェアの導入に加え、「ソフトウェアの開発が、戦略構築や生産性向上につながる可能性がある」と強調した。

 最後に西村氏は、「変わらないために変わること」の必要性を語り、「観光業は、この国の未来を支える大きなシェアを占めている。観光の未来を創るのは私たち。力を合わせてこの国の未来のために力を注いでいきたい」と締めくくった。

 桑田部長は、業界を取り巻くさまざまな課題に全青年部員がスクラムを組んで取り組んできたことを振り返り、次期青年部長に選任された西村氏と握手を交わした。また、民泊問題に触れ「我われの統一見解をしっかり示さなければならない。民泊問題は、責任を持って自分の任期中に収めたい」と語った。 

 西村 総一郎氏(にしむら・そういちろう)1974年8月7日生まれ。42歳。97年に早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、アサヒビールに入社。2000年西村屋(屋号西村屋本館・西村屋ホテル招月庭)に入社、11年11月に代表取締役社長に就任。青年部では、01―02年度に組織活性化委員会副委員長、15―16年度に政策担当副部長を歴任。