県内のデザイン性に優れた品が一堂に 香川デザイン倶楽部開かれる

2019年2月21日(木) 配信

香川の県産品を融合したアクセサリーブランドクエット

香川県は3月5日(火)まで、県内のデザイン性に優れた工芸品や県産品が一堂に会する展覧会「香川デザイン俱楽部」を伊勢丹新宿店本館5階で開く。作家が作品の魅力を説明しながら販売を行うほか、今年誕生した香川の県産品を融合したアクセサリーブランド「qetto(クエット)」を初お披露目する。

 クエットはアートディレクターの村上モリロー氏が立ち上げた。香川漆器作家の松本光太氏、庵治(あじ)石作家の伏石康宏氏らとともに、忙しい現代社会を生きる女性に向けた商品を開発した。コンセプトは、「折り重なることで美しくなる瀬戸内の多島美のように、県内の伝統工芸や地場産業を折り重ね新たな価値を生み出す」。香川漆器の技術を丸亀うちわの技法や庵治石とそれぞれ組み合わせたピアスや、手袋のニットを漆で固めたネックレスなど4種類を商品化した。

(左から)伏石氏、村上氏、松本氏、浜野弘文課長補佐

 村上氏と松本氏、伏石氏は2月19日(火)、香川県交流推進部県産品振興課の浜野弘文課長補佐とともに本紙を訪れ、「香川デザイン俱楽部」と「クエット」のPRを行った。村上氏は「伝統工芸品をつくる技術は、心を豊かにするために磨かれてきたと感じている。クエットは、それに気が付くきっかけになると思う」と語り、「香川県の他の伝統工芸や地場産業ともコラボレーションし、ブランドを強化していく」と語った。

 松本氏と伏石氏は香川漆器と庵治石の認知度が低いこと課題に挙げ、「香川デザイン俱楽部は、工芸品を見るとともに、職人の話も聞ける場。訪れて、香川の伝統工芸品の魅力に触れてください」とPRした。

福島への送客目標10万人へ 第14回国内観光活性化フォーラムinふくしま開く

2019年2月21日(木) 配信 

会場のビッグパレットふくしま(郡山市)には多くの会員が参加した

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は2月15日に、福島県郡山市で「第14回国内観光活性化フォーラムinふくしま」を開いた。全国47都道府県から約1200人が集まった。フォーラムでは、同県への送客キャンペーンの目標が10万人に決まった。これまで慣例化していた3万人から大きく増え、会場ではどよめきが起こったのち大きな拍手で認められた。二階会長は「観光発展こそが復興につながると確固たる自信をもって奮起してほしい」と述べた。

二階俊博会長

 

 二階会長は冒頭、「東日本大震災から、東北地方で入込客数は震災前の水準に戻りつつあると聞いている。大変力強く感じ、うれしく思っている」とあいさつ。そのうえで今後も、「観光こそが日本の未来をひらくと気合をかけて、活躍していただきたい」と述べた。

 来賓代表あいさつで観光庁の田端浩長官が登壇した。18年の訪日外国人旅行者数が3119万人、消費額は4兆5064億円で、ともに過去最高だったとした。

 田端長官は基調講演も行った。東北6県の観光産業の現状について「延べ宿泊者数は2010年度と比べ、17年度は106%まで回復した」と報告した。ただ全国で延べ宿泊者数は7969万人泊いるが、東北6県の合計は107万人泊と全体の1%程度。田端長官は「まだ課題は残る」と語った。

 教育旅行も厳しい状況が続く。震災前は約70万人泊を受け入れてきたが、11年に約13万人泊に減少した。17年度は約49万人で、震災前の7割ほどにとどまる。

講演を行う田端長官

 田端長官は教育旅行再生事業として、ホープツーリズムを紹介した。ホープツーリズムは、復興に正面から向き合う「人」との出会いや「福島のありのままの姿(光と影)」を体験してもらうツアー。17年度にはモニターツアー8本に191人の参加があった。

 「過去にモニターツアーに参加した学生が、生徒会などへプレゼンして旅行を企画した。18年度(2月7日時点)の参加者は121人にのぼる。非常にすばらしい取り組みだ」と強調した。

 記念講演は、元ラジオ福島アナウンサー(現在はフリーアナウンサー)の大和田新氏が登壇した。福島県での津波被害を描いた紙芝居をなどを紹介し、いまなお残る原発事故のつめ跡を力強く訴えた。「道路や建物などのインフラを整備することは復興ではなく復旧。家族を亡くした人たちが一歩前に進むこと。『亡くなった家族の分も、生きていこう』。きっとこのときが、初めての復興だと思う」と来場者に語りかけた。

高知県送客CPと学生プランコンテスト表彰式

最優秀を受賞した岩崎さん(前列左から2人目)

 昨年の高知県送客キャンペーンは延べ3万5516人を超え、目標を達成した。最優秀会員賞は日本内外旅行(熊本県)。優秀会員はそらまめキッズツアー(埼玉県)で、準優秀会員は奥伊勢ツーリスト(三重県)、トラベル本舗(長野県)の2社となった。

 一方、今年の3―12月末の10カ月間に福島県への送客キャンペーンを行う。目標送客人数は10万人とした。國谷一男副会長は「福島県の魅力を全国に発信し、一層の送客・支援に協力してほしい」と会員に呼び掛けた。

 「学生がつくる高知県の着地型旅行プランコンテスト」では32人27作品の応募があった。最優秀賞は国立大学法人福島大学2年生の岩崎綾さんの「奥会津みぃつけた! 伝統体験の旅」となった。

 岩崎さんは「今回の取り組みを通じて、福島県の魅力を再発見することができた。この経験を糧にして、今後の大学の活動にも生かしてきたい」と喜びを語った。

次回は熊本県へ

熊本開催へ

 引き継ぎ式で東北地方支部長連絡会の髙橋幸司議長から、九州地方支部長連絡会の岩本公明議長に大会旗が手渡された。

 熊本県の松嶋洋支部長は「(熊本地震の)復興までは道半ば。ただ、ぜひ熊本に来てもらい、創造的復興が進んでいるさまをみてほしい」とあいさつした。松嶋支部長は、大弾幕を掲げる大勢の支部会員と声を合わせ「火の国くまもと来てはいよ」と締めくくった。

 懇親交流会ではフラガール(スパリゾートハワイアンズ)らが会場を盛り上げた。開催地の地元郡山市の日本酒もふるまわれ、交流会は熱気に包まれたまま終了した。

モニターツアーで誰もが訪れやすい観光地域づくりを検証 KNT首都圏

2019年2月20日(水) 配信

リフト付大型バス(イメージ)

近畿日本ツーリスト首都圏(KNT首都圏)と成田空港活用協議会、千葉県観光物産協会、ちばプロモーション協議会は3月7日(木)、リフト付き大型バスで行くモニターツアーを行う。車イス利用者らに協力してもらい、成田山新勝寺や佐原のまちなみなどを巡りながら誰もが訪れやすい観光地域づくりを検証する。

 ユニバー サルツーリズムの推進に取り組むKNT首都圏は昨年、千葉県内の観光事業者を対象に「ユニバーサルツーリズムセミナー」と「観光地視察」を実施した。千葉県は交流人口の拡大に向けたユニバーサルツーリズムを推進することを重要視し、機運の醸成をはかっている。今回のモニターツアーは、セミナーと視察の内容を踏まえたうえで、実際の観光地を車イス利用者らとともに巡りながら参加者の声を集め、観光地域づくりに生かすことが目的だ。

早春の成田山新勝寺参拝と小江戸・佐原 さわら雛めぐりモニターツアー 概要

日程:3月7日(木曜日)日帰り

旅行代金:9800円(大人・子供同額)

添乗員:同行

食事:昼1回

行程:JR上野駅・公園口(午前8:00集合・8:30出発)=リフト付バスにて成田山新勝寺へ(参拝)=マロウドインターナショナルホテル成田(展望レストランで千葉の食材を使った昼食)=佐原・さわら雛まつり、伊能忠敬記念館(入場)=徒歩で佐原の街並みを散策、佐原町並み交流館見学=JR上野駅(午後5:30着)

企画・実施:KNT首都圏・千葉支店

「丹後くろまつ号」 2019年春・夏商品の販売始まる 沿線地域食材をふんだんに

2019年2月20日(水) 配信 

沿線の魅力をまるごと

京都丹後鉄道(丹鉄)を運行するWILLER TRAINS(寒竹聖一代表)は2019年4月5日(金)から、走るダイニング列車「丹後くろまつ号」2019年春・夏コースの運行を始めると発表した。運行開始に先駆け、2月18日(月)に丹鉄HPで申込受付を開始した。それぞれのコースでは、沿線地域の食材をふんだんに使った料理を堪能できる。

 2019年春・夏商品では、「スイーツコース」「ランチコース」「アフタヌーンティーコース」「サンセットコース」の4コースを用意した。これまでから1コース追加。運行ルートや時間帯を選びやすくし、行程や宿泊場所、訪れる観光地など、より客の旅行スタイルに合わせて使えるようにした。

 同社は「“丹鉄FOOD EXPERIENCE”をコンセプトに、“丹鉄沿線ならでは“にこだわった絶景や食をはじめ、地域の人との出会いなど、ここでしか味わうことができない感動体験を提供します」とコメント。

 「スイーツコース」では、福知山産完熟苺を使用したミルフィーユや、「ランチコース」では地元特産のへしこのお茶漬け、「アフタヌーンティーコース」では神崎の塩をふんだんに使ったキャラメルプリン、「サンセットコース」では食事に合う地ワインの飲み放題があるなど、地域ならではの味を楽しめる。

『スイーツコース』概要

スイーツコース

…北近畿を代表する洋菓子店『パティスリーカフェ カタシマ』のスイーツプレートを提供。

価格:4800円(税込)(福知山午前10:10発⇒天橋立11:53着)

メニュー:天橋立ワインのジュレと爽やかなチェリー&苺のコンポート▽春苺と氷上牛乳のティラミス▽絶品!玉露のサブレでサンドした京抹茶のテリーヌショコラ▽福知山産 完熟苺のミルフィーユ ~天滝ゆずの軽いムースを添えて~▽ワンドリンク付

おみやげ:地産地消にこだわった沿線地域に住む主婦らによる手作りのお土産を用意(日によって内容は変更)

『ランチコース』概要

ランチコース

…天橋立ホテルが手掛ける、本格懐石料理を提供。由良川橋梁での徐行と奈具海岸で絶景を堪能するための停車時間を設けたのち、東雲駅にて地元民との交流もある。

価格:1万800円(税込)(天橋立午後12:48発⇒西舞鶴2:50着)

メニュー:天橋立八寸(季節の胡麻豆腐、モロヘイヤと桜海老のお浸し、トマトチーズ射込み、厚焼き玉子、カレイ西京焼き)▽造里(鯛野菜巻き、鮪、間八)▽温物(麦入り蟹真丈、蟹味噌餡、彩野菜)▽竹筒海鮮蒸し(栄螺、金目鯛、海老、烏賊、野菜、ポン酢、変わり味噌)▽食事(へしこ茶漬け、薬味一式、香の物)▽デザート(ほうじ茶プリン、フルーツ色々レモンジュレがけ、ワンドリンク付)

おみやげ:舞鶴茶とクッキー(日によって内容は変更)

『アフタヌーンティーコース』概要

アフタヌーンティーコース

…過去に実施したコースでも人気のあった「アメイロビストロアルル」のスイーツが、アフタヌーンティーコースとして復活。地元の旬の食材をふんだんに使った、季節を感じ見た目にも楽しめるスイーツを、丹後くろまつ号のために厳選ブレンドした紅茶とともに楽しめる。

価格:3200円(税込)(西舞鶴午後3:30発⇒天橋立4:32着)

メニュー:▽章姫いちごのモンブランタルト▽ケークサレ風シフォン▽神崎塩キャラメルプリン▽柑橘のスコーン▽北欧紅茶

おみやげ:プレーンの『フロランタン』と丹後くろまつ号をイメージして竹炭で真っ黒に仕上げた『クロランタン』

『サンセットコース』概要

サンセットコース

…夕映えの時間帯に丹鉄沿線一の海の絶景スポットを走行する。同コース限定で「丹後くろまつ号」をイメージし黒・赤・ゴールド色を使ったオリジナルカクテルを開発。オリジナカクテル1杯か、天橋立ワイン飲み放題のどちらかを選べる。

価格:6400円(税込)【4月5日(金)~5月31日(金)】(天橋立午後4:49発⇒西舞鶴午後6:18着)、6月1日(土)~9月29日(日)】(天橋立午後5:30発⇒西舞鶴7:02着)

メニュー:▽季節のピクルス、6種野菜のカポナータ▽小豆島産グリーンオリーブの塩漬け、鰆のアヒージョ▽マスタードポーク、鶏むね肉のハム▽自家製ローストビーフ クリームチーズ、クラッカー・バゲット▽章姫いちごのカルディナール くろまつ号アイスボックスクッキー▽オリジナルカクテル1杯またはワイン飲み放題

おみやげ:フィナンシェ2種(プレーンと竹炭とイチゴの赤ラインで丹後くろまつ号をイメージした黒いフィナンシェ)

□全コース共通

定員:1コースあたり30人

定期運行:ランチコース/スイーツコースは金曜・土曜・日曜・祝日、アフタヌーンティーコース/サンセットコースは土曜・日曜・祝日

貸切運行:月曜・木曜

定期運行:2019年2月18日(月)午前10時から順次(乗車日の3カ月前より受付可能)

貸切運行:順次受付中(乗車日の3カ月前より受付可能)

※丹後くろまつ号の利用特典として丹鉄沿線の1日フリーきっぷが、1枚700円の特別価格で購入できる

HIS、平成の30年を振り返る 様変わりした旅行業界

2019年2月21日(木) 配信 

平成の時代を経て、大きな変化があった「旅」(画像はイメージ)

エイチ・アイ・エス(HIS)はこのほど、2019年4月末の天皇陛下の御退位、皇太子殿下の御即位に伴い改元されることを踏まえ、平成時代30年間の旅行トレンドを3つの時代に分け、振り返った。「インターネットの普及に端を発するIT技術の革新で、旅行業界にもイノベーションが起きた時代だった」――。

インバウンドが急増し、日本人出国者数を上回った

1989年~2000年 海外旅行転換期

【旅の主流はパッケージツアー】

HIS初代パンフレット

 この時期は、バブル景気から崩壊へと国内の経済が急激に変わり、ベルリンの壁開放、ソヴィエト連邦解体という世界でも大きな転換期を迎えていた。海外旅行の主流はパッケージツアーと呼ばれる、旅行会社が企画・募集・催行するものだった。他方、FIT(Foreign Indepedent Tour)と呼ばれる個人で海外に行く手配を取り扱う旅行会社が徐々に増加してきた時代でもあったという。

 1980年に創業したHIS。大手旅行会社とは異なり、海外格安航空券の販売から開始していた。1989年(平成元年)から、自由度の高いパッケージツアー「Ciao(チャオ)」を主催・販売を始めた。

 当時のパッケージツアーでは珍しく、1人から催行し、延泊や滞在行程のアレンジを可能とした新たなスタイルとして市場に打ち出した。今でも主力商品として販売してる。このほか、HISの旗艦商品であった海外格安航空券は他旅行会社も取り扱いが進み、今では一般化している。

【情報はTVや雑誌などマス媒体から】

 

 当時は、海外の物価事情を取り扱ったクイズ番組やヒッチハイクの旅が社会現象にもなったバラエティ番組など、現地の情報を収集する手段はテレビを中心としたマス媒体が主流だった。

 現地に実際に行かなければ得ることができない情報も多く、海外旅行は「まさに未知との遭遇という時代」だと振り返る。旅行の航空券・ツアーを比較・検索する情報源としては月刊誌「エイビーロード」(1984年創刊、2006年9月号で休刊し現在はウェブでの展開)に代表される旅行商品比較情報誌が書店を通じて流通し、海外旅行を身近にした一役を担っていた。

 そのあと、1998年前後よりインターネットや携帯電話が世帯・個人に徐々に普及し始めた。これらが海外の情報を知る1つのツールとして活用されるようになっていった。

【拡大する中国への渡航】

中国の渡航が目立つ

 

 海外渡航先ランキングでは中国が急増した。1990年は約46万人だった日本からの渡航者数は、翌1991年に約64万人にまで増えた。

 当時の中国は、鄧小平氏による経済の改革開放が行われて経済が急成長。「世界の工場」と呼ばれるまでになり、生産の拠点を中国にも置く日本企業が増えてきた時期だった。渡航者の拡大はレジャーよりも、ビジネスでの渡航が増えてきた背景があり、2000年以降も同じ傾向が続いた。
 
 一方、USドルの為替レートの変動が大きく乱高下した時代(1990年1USドル=約144.8円、1995年1USドル=約94.06円、1998年1USドル=約130.9円/数値出典:国際通貨基金データ)だったが、海外渡航者数には大きな影響はなかった。横ばいから微増傾向で、海外出国への意欲はアーリーアダプター層が担っている時代だったという。

2001年~2008年 9.11後の世界情勢混迷期

【燃油サーチャージの設定】

世界情勢は不安定な時代に

 

 大きな転機となったのは2001年のアメリカ同時多発テロを発端とする、世界各地で起きた情勢不安。伝染病の流行などもあり、海外旅行に対するネガティブな印象が色濃くでた時期だった。
 
 9.11のテロ以降、原油価格の変動が大きくなった。2005年、航空会社が急激な変動にも対応できでるよう、海外航空券の運賃とは別に変動制の「燃油サーチャージ」が設定されたのも、この時期となる。

 パッケージツアーでも燃油サーチャージは徴収となり、HISでは他社に先駆けて、燃油サーチャージ込みの総額表記での販売を開始(2008年2月)している。この総額表記は現在では多くの旅行会社が導入しており、一般的となっている。

【スマホの登場で情報取得が手軽に】

情報の入手が容易に

 

 技術の革新は加速度的に進んだ。iPhoneを代表とするスマートフォンの出現、Facebookなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)の登場により、世界はどこでもすぐにつながる時代となった。

 同時にネット予約が確立し始めた。海外の情報を比較的簡単に手に入るようになり、海外での過ごし方も多様化する傾向もみられ、FIT化が進む一歩となった。「情報を手もとで得ることのできる時代においての海外旅行は、癒しに代表される現実からの一時的な逃避が多くの目的であったように思う」。

 HISでもいち早く2008年からオンラインでの予約を始め、これに伴いコールセンターによる予約が急成長した時期だった。

【安近短のアジアがブーム】

アジアがブームに

 

 この時期の海外旅行者の動向は、アジアが全体的に人気で、逆にヨーロッパの人気渡航先であったイタリアが下がった。一方、アジアでは韓流ブームに起因した需要の波が海外レジャー市場にも波及し、近距離・安価に行くことができるアジアへ複数回行く傾向が出てきたことなども、ランキングに影響しているという。

2009年~2018年 情報過多時代

【LCCの参入と訪日ブームによる市場激化】

 2009年7月に中国人個人観光客への査証が解禁され、訪日外客数は東日本大震災の年を除き毎年増え続けている。2015年には、ついに日本人の出国者数を上回った。日本にとって「国際観光」が国策となり、インバウンドによる観光消費は小売業、飲食業など地域・関連企業に影響を与えるまでとなった。

 同時期、航空自由化も進んだ。インターネット予約や徹底した低価格、短中距離市場に特化、簡素で効率的な運営を特徴としたLCC(格安航空会社)が日本市場にも多く参入した。羽田空港の新国際線ターミナルが開業したことも相まって、海外旅行がより一層身近になった象徴となった。

【スマホの普及増加によるオンラインビジネスの登場】

スマホの普及で新たな勢力も

 

 スマートフォンは急速に普及した。2012年には人口の約半数が、2015年には約72%が保有するという、ほぼ1人1台情報端末を持ち歩く時代となった。知りたい情報はいつでも、どこでも手に入るようになり、スマホをプラットフォームとする多様なサービスが登場した。

 シェアリングエコノミーが活発になり、一般消費者間の取引(C2C)という新たな動きがみられる時代に突入した。より一層個人に合った消費が求められた海外旅行は、モノからコトへ体験に重きを置いた個人の価値観重視の傾向が顕著になっていった。

 旅行業界では新たな勢力としてオンライントラベル会社(OTA)が登場した。旅の形態もスマホによる検索性や閲覧性、予約機能などが向上し、需要が多角化。FITもシェアを拡大した。他方、パッケージツアーや航空券、ホテルなど旅の商材のメタサーチが出てきたことで、自らほしい商品をより的確に検索、購入することが安易になった。

【台湾がハワイと同規模の渡航先に拡大】

台湾が人気に

 

 近年は年により上下の動きはあるものの、台湾の上昇が目立つ。東京だけでなく地方空港からもLCCが就航し、手段・価格の幅が広がって、ハワイと同規模の客が訪れるようになった。
 
 海外渡航者数の上位10位以内にランクインはしていなかったが、東南アジアなど新興国への渡航がふえたのもこの時代だ。各国の経済状況が上昇して、治安の向上や宿泊施設の充実化したことが大きな要因とみる。

 HISでは、訪日需要の高まりによる座席確保の環境が変化し、チャーター便の仕入れ強化をはかった。海外支店で旅先でのサポート体制をより充実させることに加え、海外支店がある強みを活かした“貸切プラン”をパッケージツアーに組み込むなど、旅ナカの体験価値の向上に注力。OTAとの差別化を進めてきた。

 国内店舗の一部を渡航先に特化する専門店の展開を拡大したのもこの時期だった。現在は、ハワイやヨーロッパ、沖縄といった、人気観光方面に明るいスタッフによる専門店ならではの旅の提案を行っている。

【若者は海外旅行に意欲的】

若者の海外旅行への割合は増えている

 以前は、「若者の海外旅行離れ」という言葉をよく耳にした。日本の総人口における若者の人口が減少していることで、全体の海外渡航者数における若者の構成比率は縮小している。しかし、若者層(20~29歳)の出国率でみれば、SARSやイラク戦争など、外的要因が高まった十数年前には若者の渡航は弱含みの傾向があったが、近年は増加傾向をみせている。
 
 要因として、LCCが就航し価格の選択肢が広がったことのほか、スマホなどで情報収集や発信が手軽になり海外への敷居が低くなったことなどが影響しているとみる。「今後、日本人の出国者数増加には、発信力がありコミュニティを持つ若者の動向が大きく影響する可能性があるといえる」。

総括

新しい時代の幕開けを

 平成はアナログからデジタルに、オフラインからオンラインに大きく技術的な転換を向えた。物理的距離は情報により身近に感じられるようになり、日本における海外旅行はより安易になった。
 
 HISは格安航空券販売から始まり、自由度が高く格安のパッケージツアーを世の中に提案し、海外旅行の自由度が拡大していくことに合わせ成長してきた。今では旅行会社の店舗に行かなくても、海外旅行のすべての手配ができる。一方、「実際の旅を通してでしか得たり感じたりすることができないことも多くある」という。
 
 「我われ旅行会社は、世界各地の事情や航空会社、ホテルなどの現状を把握し、正確な情報として客に届けることはもちろん、旅を通じて叶えることができる多くの可能性を伝えていく必要があると考えている」。
 
 5月の改元より、新しい時代の幕開けとなる。今年はラグビーワールドカップ、2020年には56年ぶりに東京オリンピック・パラリンピックが開催される。訪日需要にさらなる注目が集まるが、海外旅行でも観光庁は2020年に2000万人突破を目標に据えている。
 
 同社は、「未来を担う若者はもとより、多くの年代層が海外に行くことで、その国の文化や歴史を知り、相互理解をはかる。アウトバウンドの活性化による国際競争力が向上を目指し、HISも少しでも助力となるよう、引き続き邁進したい」と結んだ。

平成生まれ割!を導入、ジャルパックが若者の海外旅行を応援

2019年2月20日(水) 配信

オペラハウス      (C)Photography by Dan Bou

ジャルパック(江利川宗光社長)はこのほど、若者の海外旅行を応援する、平成生まれ限定の割引特典「平成生まれ割!」を開始した。第1弾として同特典が利用できる「売りつくし『オーストラリア』」を2月19日(火)に売り出した。

 「平成の時代を過ごしてきた多くの若者たちにもっと『海外』に出かけてもらいたい。その経験を活かし新元号となる新たな時代を彼らが切り開きリードしていく――」という想いから、平成生まれの人はツアー代金が2万円割引「平成生まれ割!」を設定した。これを機に「海外旅行に行ってみよう」「 友人を誘ってみんなでお得になど、と若者の海外旅行への機運を高めていく。

 今後、2019年3月19日(火)には、「平成生まれ割!」第2弾となる「アメリカ・カナダ」の発売も予定している。 

商品概要

設定期間:2019年5月3日(金)~8月8日(木)
出発日:成田
コース:エアーズロックとシドニー周遊 5・6日間、シドニー4・5・6日間、メルボルン4・5・6日間、ケアンズとシドニー6・7日間
ツアー代金(一例):79,800円~139,800円 シドニー4日間(エコノミークラス、 1室2人利用/大人1人)※平成生まれは2万円割引、「平成生まれ割!」

西郷どん×男子新体操~PR動画第2弾~ 公開1カ月で65万再生!

2019年2月20日(水) 配信

鹿児島実業高等学校男子新体操部の部員が西郷どんに扮し、華麗なダンスで鹿児島市のみどころやグルメを紹介するPR動画「維新dancin’ 鹿児島市」のseason2が、公開から約1カ月で65万回以上再生される人気ぶりだ。第1弾は2018年1月に公開され、100万回を超える視聴と6千を超える「いいね」を獲得し、大きな話題を生んだ。

鹿児島実業高・男子新体操部が主演

 PR動画「維新 dancin’ 鹿児島市~season2~」に出演しているのは市内の鹿児島実業高等学校に通う男子新体操部の部員。同部の高い技術とユニークさを持ち合せた演舞は、テレビをはじめメディアなどでも大きく取りあげられている。動画では第1弾に引き続き、主演の部員全員が西郷どんの“太い眉毛”のビジュアルで、温泉やグルメ、歴史の足跡、桜島など鹿児島市の魅力を華麗なダンスとともに届ける。

 男子新体操という世界で新しいチャレンジを続けている鹿児島実業高等学校男子新体操部もまた鹿児島市の持つ多面的な魅力の1つ。日本発祥のスポーツであり新しい挑戦に取り組む男子新体操と日本の革命児・西郷どんとの共演は、異色でありながら一味同心のコラボレーションだ。地元の学校の高校生たちによる爽やかで熱い演舞とともに、温泉やグルメ、歴史の足跡、桜島などのみどころを紹介していくこれまでにない新しいPR動画だ。

西郷どんだけじゃない」鹿児島市の魅力を

 第1弾の動画のコンセプト「西郷どんも知らない!?」に続くseason2のコンセプトは、「西郷どんだけじゃない!!」。2018年の西郷どんブームで盛り上がった鹿児島だが、それだけにとどまらない魅力を鹿児島実業高等学校男子新体操部がユニークな振り付けに合わせて伝える。

 桜島や世界遺産、温泉など歴史的に有名なスポットのみならず、ウォーターフロントやグルメなど、西郷どんはもちろん、多くの人が知らない鹿児島市を西郷どん扮する男子部員が華麗なダンスで巡る。

ジャルパック 熊本旅行が最大1万6千円割引になるクーポンを配布

2019年2月19日(火) 配信 

熊本応援クーポン(イメージ)

ジャルパック(江利川宗光社長)は2月18(月)から、九州観推進機構(石原進会長、福岡県福岡市)と連携して、3月出発の熊本行きツアーが1人につき最大1万6千円割引になる「熊本応援クーポン」を配布している。JALダイナミックパッケージの商品を1人当たり3万円以上の利用で、1泊の人を8千円割引し、2泊以上の人を1万6千円割り引く。

予約対象期間:2019年2月18日(月)~2019年3月30日(土)
※なくなり次第終了。また、予約の取消状況により、再販する場合あり
出発対象期間:2019年3月1日(金)~2019年3月31日(日)
利用人数:1人以上
割引額:1泊の人 8,000円(1人につき) / 2泊以上の人 16,000円(1人につき)
利用上限数:先着170枚
旅行代金条件:

対象:熊本空港到着で、熊本県内の対象施設に宿泊の人(同ページより予約した人に限る)。予約成立後の取り消しの際、取消料の適用は割引前の旅行代金となる。
※同クーポンは九州観光推進機構からの補助金を活用している

既存の観光情報にはない小ネタを掲載 みんなでつくる旅の小ネタ帳「tabinoco」運用開始

2019年2月19日(火) 配信

サイトイメージ

ピーチ・アビエーションはこのほど、みんなでつくる旅の小ネタ帳「tabinoco」の運用を開始した。旅先での意外な発見から、そこでしか味わえない感動の体験まで、個人の価値観を通じて見つけたこだわりの情報を写真と共に投稿、共有するサイト。既存の観光情報にはない小ネタを掲載し、旅の価値の多様化に対応する。オープンを記念して、「tabinocoためしてみなきゃンペーン」も行っている。

 「tabinoco」は同社就航地以外の情報や航空機以外の交通手段での旅情報も投稿可能とし、旅に関心のあるすべての人に、情報を発信する。サイト上で探した旅を参考に旅程を組み、他の人とシェアすることもできる。また、「行きたいスポットは明確に決まっていないけれど、なんとなくこういう旅をしたい」という抽象的なイメージから検索できる「トランク検索」も用意。寿司、温泉、猫など50種類以上のイラスト化されたアイテムのなかから、気分に合ったものを選びトランクに入れると、選んだアイテムのイメージに合う旅を探すことができる。

 併せて、独自の視点で旅する人をピックアップし、おすすめ旅として情報を紹介する。初回は、沖縄を拠点に活動中の編集者セソコマサユキ氏と、コラムニストなどとして活躍する小鳥遊しほ氏、トラベルフォトライターの田島知華氏の記事を掲載している。

 同社は旅行前の情報収集時にSNS(交流サイト)などを通じて個人が発信する情報のリアリティや、速報性を重視する人が多いと分析。何気なく見つけたさまざまな「旅の小ネタ」が他のユーザーにとって気軽に旅に出るきっかけとなり、「tabinoco」が旅行需要全体の拡大に貢献することを期待する。

「tabinocoためしてみなきゃンペーン」 概要

参加方法:

tabinocoの会員登録を行い、自身が実際に行った旅に関するノートを指定のハッシュタグ(#tabinocoためしてみなきゃ)を付けて投稿

商品:

ピーチの運賃や料金、およびそれらに付随する税金や手数料の全額または一部の支払いに利用できるピーチポイント5千円分

当選者数:50人(抽選)

キャンペーン期間:3月15日(金)午後5:00まで

訪日外国人旅行者向けICカード 「PASMO PASSPORT」を発売 

2019年2月19日(火) 配信 

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交通ICカードを発行するパスモ(河村悟社長、東京都新宿区)は2019年9月1日(日)に、訪日外国人旅行者向けのICカード乗車券「PASMO PASSPORT」を売り出す。

 同商品は短期滞在の外国人向け商品。日本を旅するときの2つ目のパスポートという意味を込めた。デザインは日本を代表する桜を背景に、アジアをはじめ外国人に人気があるサンリオのキャラクターである、「ハローキティ」と「シナモンロール」、「ポムポムプリン」を描いたオリジナルデザイン。

 通常のPASMOと同様にICカード対応の鉄道やバスに乗車できるほか、電子マネーでの買い物に利用できる。チャージすれば繰り返し利用できる。また、同カードの提示で、店舗などで優待特典割引を実施する。なお、発売は訪日外国人旅行者に限り、発売箇所でパスポートを確認する。

PASMO PASSPORTの概要

名称:PASMO PASSPORT

発売開始日:2019年9月1日(日)

内容:関東地方のほか、全国ICカード対応の鉄道・バスの利用、電子マネーでの買い物にも利用可能

発売対象:訪日外国人旅行者

発売価格:2千円(SF1500円 + 発行手数料500円)デポジット(預り金)は不要

優待特典:券面の提示により、PASMOエリア内の施設や店舗等で「PASMO PASSPORT」専用のお得な割引サービスなどが受けられる

発売箇所:成田空港や羽田空港の鉄道駅のほか、外国人の利用が多い一部(予定) 事業者の主要駅

発売方法:発売箇所にてパスポートで外国人旅行者であることを確認し、専用の台紙を付けして発売する

使用可能期間:28日間(SF残額の払い戻しはできない)

その他:お得な企画券を「PASMO PASSPORT」に搭載するなどの利便性向上を検討中。具体的な内容は後日発表する

WELCOME KANTO PASMOとは

 外国人向けのPASMOとしては、現在「WELCOME KANTO PASMO」がある。2018年12月にPASMO加盟事業者12社局が企画し発売を開始した。外国人利用者が多い一部の駅で発売している。通常のPASMOを ベースにしており、関東地方のICカード対応の鉄道やバスに乗車できるほか、電子マネーでの買い 物にも利用でき、券面の提示で上野・浅草・秋葉原の施設や店舗でお得な割引サービス等が受けられる。