おさるランド&アニタウン、猿山を一新 直接動物たちと触れ合える空間に

2023年7月3日(月) 配信

7月15日にリニューアルオープン

 おさるランド(村﨑太郎社長、栃木県日光市)運営の「日光さる軍団劇場」は昨夏、「おさるランド&アニタウン」としてリニューアルした。このほど、同園のシンボルの猿山を改装し、7月15日(土)に「アニマルバレー」(動物たちの渓谷)をオープン。来場者が眺めるだけではなく、動物たちと直接触れ合える空間となる。

 第1弾として、「ヤギ」「ヒツジ」「ウサギ」「モルモット」などの小動物をメインに、餌をあげたり頭をなでたり、動物たちとの触れ合いが楽しめる。

 同社は「普段外から眺めていた『猿山』という空間に実際に入り、動物たちとの直接的なやりとりを楽しんでいただける場所です。この特別な体験は、きっと多くの方にとって心に残るものになると思います」とアピール。「アニマルバレー」は今後もおさるランドの新たなシンボルとして、段階的に進化させていくという。

 おさるランドの入園料は大人(中学生以上)が2300円、子供(4歳以上)が1100円、シニア(65歳以上)が1800円。

滋賀県旅行業協会 新会長に北川宏氏 国スポへの取り組み強化

2023年7月3日(月) 配信

北川宏新会長

 滋賀県旅行業協会(加納義之会長、76会員)の2023年度定時総会が6月6日、草津市内のホテルで行われた。任期満了に伴う役員改選で、北川宏氏を新会長に選出した。

 北川新会長は「2025年に滋賀で国スポ・障スポが行われる。何らかのカタチで事業に取り組みたいと考えている。会員一丸となって仕事を取りにいきたい」と意気込みを述べた。

 会長を退き監査役に就いた加納氏は「約20年間にわたり滋賀県の支部と組合、事業会社に携わってきた。長年の支援と協力にお礼を申し上げる」と謝辞を述べた。そのうえで、「新型コロナは旅行業の在り方を大きく変えた。我われが得意とする団体旅行がまだまだ戻らないなか、情報収集を強化し、お客様のあらゆるニーズに応えていかなければならない」と結んだ。

 議事では新年度事業計画や収支予算案などすべて決定した。

 新年度は、25年に同県で開かれる第79回国民スポーツ大会および第24回全国障害者スポーツ大会の取り扱いに向け、県などと連携強化に努めることを盛り込んだ。

 他方、㈱滋賀県旅行業協会(北川宏社長、株主数70人)の23年度定時株主総会も同日行われた。任期満了に伴う役員改選で、北川社長を再任した。北川氏は協会と事業会社のトップを兼任することになった。

 北川社長は「コロナ禍で仕事が激減するなか、各方面に支援策をお願いしてきた。20年度から始まった県による安全安心な観光バスツアー助成事業もその1つだ。現在は25年の国スポに向けて動いている。仕事をとってきて、皆様に回していきたい」とあいさつした。

 議事では所定の議案をすべて決定した。

 両総会終了後には、旅館や観光施設の受け入れ協定会との合同懇親会が行われた。

みずの企画 業者用予約サイト開設 京都の町家ホテルから

2023年7月3日(月) 配信

あるたネットのトップページ

 安藤予約センター四国営業所を運営する「みずの企画」(水野真人代表、愛媛県松山市)はこのほど、旅行業者用予約サイト「あるたネット」を開設した。

 京都府と四国4県の宿泊施設を中心に掲載する計画で、まずは第1弾として、京都府で1棟貸しの町家ホテルなどを経営するレアル(京都市中京区)と契約し、同社が展開する「鈴」ブランドの各町家ホテルが予約可能となった。現在は「鈴 四条高瀬川」「鈴 祇園八坂前」など6軒がネット予約でき、年内には30軒まで増やす。その後も順次拡大する。レアルが経営する施設は町家タイプ36施設、ホテルタイプ21施設の計57施設。

 伊予鉄タクシー(愛媛県松山市)とも契約し、同社が実施する「道後・松山 酒蔵めぐりの観光タクシー」の予約も受け付ける。

 旅行業者の利用は事前登録が必要だ。2024年3月までに登録すれば無料で利用できる。宿泊予約の場合、送客手数料は15%。支払い方法は施設やプランによって異なり、①お客が宿泊当日、宿泊施設で支払い②旅行業者が宿泊日までに手数料抜き税込で宿泊施設に振込――の2パターン。

 ①のケースでは旅行業者から宿泊施設に15%の送客手数料を請求する。なお、お客がクレジットカードで決済した場合は2%の決済手数料が発生し、送客手数料は13%となる。

水野真人代表

 サイト開設にあたり水野代表に話を聞いた。

 ――「あるたネット」の狙いは。

 中小のリアルな旅行業者はデジタル・ディバイド(情報格差)にさらされ、ネットで部屋を取ろうとすれば悪戦苦闘のうえ、手数料は10%程度ということが多い。「あるたネット」は手数料15%を確保する。そういう意味で、手数料15%を出せるプランを設定してくださる宿泊施設の協力で成り立つサイトだ。

 ――宿泊施設にとって手数料は少しでも下げたいのでは。

 OTA(オンライン旅行会社)のシステム手数料も上がっている。競合他社がそろうなか、掲載順位を上げるために支払う経費を換算したら、15%を超えているケースもあるのでは。宿泊施設にとってはプランを設定し、登録していただければ、販売経路が増やせる。

 ――リアルな旅行業者が苦境にあえいでいる。

 インターネットは、安い宿泊料金を探すのは得意だが、旅の楽しみ方はあまり探せない。「旅の楽しさ」を教えてくれる旅行業者がまだまだ必要。個人客の要望に応えることができ、手数料15%が入るのは大きなメリットだ。

 ――サイトを通して集客目標は。

 宿泊施設、旅行業者の双方に参加を呼び掛ける。年内までに旅行業者の登録アドレス数を100、利用件数は30件300万円を目指す。

【土橋 孝秀】

九州観光機構 リピーター拡大へ 10月にツール・ド・九州

2023年7月3日(月) 配信

唐池恒二会長

 九州観光機構(唐池恒二会長)は6月15日、福岡県福岡市内で、同日に開かれた2023年度定時総会で決まった23年度事業計画の概要を説明した。

 唐池恒二会長は「24年度から7年間で、第3期九州観光戦略のビジョン『住んでよし、訪れてよし、働いてよし』の九州を実現する」と強調した。目標としては「観光消費額と延べ宿泊者数に加えて、リピーター率を増やしていく」と述べた。

 とくにリピーター拡大については、「リピーターを増やして観光客を増す。インバウンド目標も絶対数よりリピーター数の増加に注力していく」と語り、「そのために、重要なのは商品力と営業力」と指摘。「商品力である観光地の磨き上げが大事となる」と話した。

 大規模イベントでは、今年10月6―9日まで、福岡と熊本、大分の3県を舞台に開催される国際サイクルロードレース「ツール・ド・九州」に合わせ、「サイクルツーリズムで、国内外から誘客する運動を展開し、九州に根付かせたい」と述べた。

 また、北海道・札幌で9月に開催のアドベンチャーツーリズム(AT)の世界サミットに機構も参加。九州各地のアドベンチャートラベルのコース企画を欧米豪にアピールする。

 「ATはこれから最も伸びる。国内では北海道が1番だが、九州も2番手として加速させたい」と意気込みを示した。

 このほか、10月1日から行う宿泊ごとにポイントが貯まる「ふたたびの九州・たびたびの旅」キャンペーンや、12月9日に本選大会を実施する第2回「学生対抗九州観光ビジネスプランコンテスト」の開催なども説明した。

 唐池会長は富裕層の誘客について「福岡、長崎で外資系のホテルが開業し、欧米豪富裕層誘客の武器になる」と期待を述べた。

「旅館100選」HPを開設 入選施設のニュース随時受付

2023年7月3日(月) 配信

トップページ(一部)

 旅行新聞新社はこのほど、主催事業「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」入選旅館の魅力を発信する一般向けサイト(https://ryokan100.com/ja/)を開設した。ニュースや最新ランキングなどで、入選施設の魅力を発信していく。

 これまで順位と館名の一覧を公式ホームページで公開してきたが、新しいサイトではランキングに加え、ニュース配信を強化した。入選施設が新規オープンやリニューアル、宿泊企画などを発信できる場として運営していく。情報提供はメール(100sen@ryoko-net.co.jp)で受け付けている。

 ランキングは総合をはじめ4部門の入選施設を画像やキャッチコピー、公式ホームページへのリンクで一覧にして紹介している。このほか、旅行新聞新社スタッフが取材・営業などで各地を訪ねた際に撮影した写真で地域の魅力を紹介するコーナーも。

 今秋には台湾市場向けに中国語(繁体字)ページも公開する予定だ。

〈旬刊旅行新聞7月1日号コラム〉――リクガメとの生活 「ペットの世話」と「旅行」のジレンマ

2023年7月1日(土) 配信

 家に来て2年半になるリクガメが可愛くて仕方がない。先日、隣の部屋にいたはずなのに、私が冷やしトマトをつまみに、ビールを飲んでいたら、丸い背中でノコノコと近くまで寄ってきて、「トマトが欲しい」と首を伸ばしてせがむ。リクガメは想像以上に鼻が利くのだ。最近一番の好物は、トマトとブロッコリーで、モロヘイヤも良く食べる。

 

 私自身、モロヘイヤなんてほとんど食べて来なかったが、リクガメとの生活が始まってからしばしば食卓に並ぶようになった。リクガメの到来でチンゲン菜やサニーレタス、小松菜などを食べる機会が増え、野菜中心の食生活に変化して、結果的に良かったのかもしれない。

 

 好奇心旺盛なリクガメであるが、臆病者でもある。外出して家に誰もいない間、あまり動かずに、オシッコやウンコも我慢していることが多い。いつも世話をしてくれる人間が帰宅すると安心するのか、近くに来て尻尾を動かして続けざまにする。排泄の瞬間は最も無防備のため、生物にとって危険な瞬間である。2億年もの間、外敵から身を守り続けた歴史と記憶がそのような行動をさせるのだろう。

 

 家に来たときにはまったく想像もできなかったが、リクガメの考えていることが少しずつ分かるようになってきた。信頼関係も深くなりつつある。

 

 癒され、心が通い合う瞬間を感じ取れる喜びがある一方で、「長期の旅行がしづらくなる」という新たなジレンマが生まれ、頭を悩ませている。

 

 

 ようやく子供たちが育ち上がったので、「念願の旅行三昧の日々が到来する」と思った矢先に、リクガメ君のことばかりが気になって、長期の旅行が簡単ではなくなってきた。

 

 九州の実家も、マメ柴を飼い始めてから、まったく旅行をしなくなった。

 

 コロナ禍の間に、ペットを飼い始めた家庭も多いのではないだろうか。ペットホテルなども多くなってはきているが、「預けるのには抵抗がある」というオーナーの気持ちも、分かってきた。

 

 旅行というのは、さまざまな条件が合ってこそできるもので、一つひとつの旅行をもう少し噛みしめて、大事にしていこうという気持ちになる。

 

 

 旅行をするときにペットの世話をしてくれる「信頼できる人」の有無によって、旅行できるかどうかが決まってくる。

 

 夫婦で旅行する場合は、2年半前にリクガメを買って来た息子に数日間預けるか、休みの日に来て世話をしてもらおうと考えているが、それだって結構大変だ。

 

 だが、リクガメの世話をするのは、基本的に1人いればいいのだ。とすると、私か妻かどちらかが家にいれば、問題ない。

 

 最近妻にとっても、1人の方が楽だということをちょいちょい仄めかす。そうなると、必然的に1人旅の機会が増えることを意味する。

 

 

 1人旅といえば、オートバイでどこかに行きたくなる。私は年間平均で約7000㌔オートバイに乗っている。だが、今年は半分を過ぎようとしているのに、まだ2000㌔ほどしか走っていない。長いコロナ禍の間、地道に手を入れ、メンテナンスもしてきた。あとは、夏にリクガメ君を数日間妻に任せ、日本列島を北上するオートバイの旅を夢見ている。

(編集長・増田 剛)

 

【特集 No.637】富士レークホテルResort&Village シフトを可視化 業務シェア進む

2023年7月1日(土) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その人気の秘訣を探っていく対談シリーズ「いい旅館にしよう! Ⅲ」の15回目は、山梨県・富士河口湖温泉郷「富士レークホテルResort&Village」社長の井出泰済氏が登場。今年3月、夕食を会席料理から和洋ビュッフェに移行。また、シフトを基準に勤怠管理を行うことで、休日数の増加や時短が進む。現場スタッフを交えて改革を語り合った。

【増田 剛】

 ――宿の始まりはいつからですか。

 井出:元々は富士山信仰の「御師(おし)」の家柄で、1932(昭和7)年に祖父が創業しました。祖父は渡米して帰国後、東京・日本橋で歯科医を開業しました。その後、河口湖に戻ると、米国滞在中にホテルなどを見ていたこともあり、「これからは観光業だ」と、ホテル業を始めました。
 当初は7部屋からのスタートで、木造の瀟洒な建物でした。帝国ホテルのインテリアをデザインされた先生に設計してもらいました。
 父の代になり、1964(昭和39)年の東京五輪の年に河口湖まで高速道路が伸び、富士山の5合目まで富士スバルラインが通ると、大きな観光ブームが湧き起こり、周辺も観光地化していきました。当館は延べ床面積約1万平方㍍で、河口湖畔では最大規模になります。
 バブル崩壊後の1994(平成6)年、28歳のときに常務として宿に入りました。観光業にとって厳しい時期で業績も下がり続けていました。 
 生命保険業界にいたため、数字至上主義の世界から自館に入って驚いたのは、月次損益計算もなく、年に一度の決算時に、赤字なのか、黒字なのかが分かるという状態でした。

 内藤:まずは何から着手されたのですか。

 井出:若くて、肩に力が入っていた私は、売上目標やコスト削減などを社員に求めましたが、空回りするばかりでした。
 ユニバーサルデザイン(UD)という言葉が出始めた98年に、山梨県内の講演会に参加した際、「これだ」と思い、翌99年には1部屋UDルームを作りました。
 しかし、当時は販売チャネルもなく、まったく売れませんでした。
 宿の状態は、社員が長続きせず寄せ集め集団だったため、軋みは強くなるばかりで、2000年にすべての部署の部長、支配人、料理長が一斉に辞めるという危機的状況に直面しました。その後、社員に長く定着してもらおうと、大卒の新卒採用を始めました。
 富士山が世界文化遺産に登録された13年からインバウンドが飛躍的に伸び、14年の売上高は約9億円でしたが、19年には12億円まで順調に推移していました。

 内藤:社長に就任されたのはいつですか。

 井出:09年で43歳のときでした。10年後の19年7月に会長の父が他界しました。その直後にコロナ禍に突入しました。トップの私に責任が集中し、ずっしりと重く感じました。今から振り返ると、コロナ禍に全責任を負ったため、背水の陣で思い切った変革ができたのかなと思います。

 ――思い切った変革とは。

 井出:コロナ前までは増加するインバウンド需要と併せて、当館には大きな宴会場や会議室がたくさんあるため、従来型の団体旅行も受け入れていました。婚礼需要を含め、すべてのお客様を受け入れるという、欲張りな「多方面戦略」でしたが、現場は疲弊していました。コロナ禍になって団体旅行が完全に消滅し、「個人旅行に絞った経営」へ進むべき方向性が明確になりました。

 内藤:個人客に絞るとは具体的にどのように変えていったのですか。

 井出:主に団体客向けの客室を、個人客が滞在できるような客室にリニューアルしました。
 大きな決断は、料理をビュッフェに変え、団体は取り扱わない方針を決めたことでした。清水総料理長から「ビュッフェで勝負しましょう」と言っていただけたことも背中を後押ししました。昨年夏に決断し、冬には西館を閉館して改装し、今年3月1日から夕食を会席のコース料理から和洋ビュッフェに変えました。朝食は元々ビュッフェでした。

 内藤:休日も増やされたのですか。

 井出:以前は94日だった年間の公休を、昨年12月から105日としました。そのタイミングでタイムカードをやめ、シフト編成システム「OPSPLOT(オプスプロット)」を導入しました。残業代は支払いますが、残業をしなくても給料は改革前以上の水準のため、労働時間も大幅に減少しています。
 パートスタッフの時給も上げ、賃金体系も変えました。週1回のシフトミーティングで、業務シェア(マルチジョブ)を決めています。

 内藤:休日が増えると、全体の出勤者数が減ります。

 井出:最初は不安もありましたが、現場のスタッフは会社の方針が決まれば一生懸命に業務シェアに取り組んでくれています。総務部が布団上げやベッドメイク、夜はレストランを手伝うなど、継続していくことが大事だと思っています。

 内藤:一般的に出勤人数が減ると、仕事の量は変わっていないので皆困り、知恵を出し合い、改善が進むようになります。人が余っているとセクト主義になり、縦割りが多くなり、縄張り争いをして業務シェアも行われず、「人が足りない」という声ばかりが聞こえてくる悪循環に陥ります。
 さらに、「専門職でなければできない」と思っていた仕事が、専門職でなくてもできるということが分かってきます。例えば、調理部の一番大事な仕事は仕込みや調理と思いがちですが、厨房スタッフでなくても、しっかり教えることでそれなりに天ぷらを揚げ、出汁巻卵を作れるようにすることで、セクショナリズムが解消します。そのためには、調理部のレシピづくりや、教育が大事になってきます。
 客室案内について、現場はどうですか。

 高部:宿泊人数に合わせて客室にアメニティや備品をセットしていたのを、「基本ゼロセット」を目標にしています。
 露天風呂付き客室や、リニューアルした角部屋などは定数2でタオルをセットする例外はありますが、リネン担当は各部屋の人数を確認していた作業が無くなりました。その分、お客様のご案内にスタッフを集めて、案内時に浴衣のサイズを聞き、フェイスタオルを人数分お渡ししています。
 アメニティは大浴場前に設置しています。浴衣とフェイスタオルだけをお届けして、「これ以外は大浴場前にありますのでお持ちください」とご案内しています。できるだけお届けするアメニティの数を減らすことで、案内するスタッフの作業を軽減しています。
 夕食の提供をビュッフェに変えたことで、サービスの人員は半分くらいで対応できるようになりました。このため、夕食の準備をしていたスタッフを客室へのご案内に充てています。誰かが休んでもカバーできる仕組みになりました。

 内藤:コロナ禍で客室案内をやめた旅館が多いですが、最も大事な顧客接点の部分です。一方で、富士レークホテルは「アメニティのセッティングはお客様を案内した時にやりましょう」という考え方で、事前セッティングをやめているだけです。全体のオペレーションを見ると、むしろ作業は減っています。

 ――支配人の視点からいかがですか。

 早川:これまではコロナ禍ということもあり、お客様との接点が少なかったですが、今はコミュニケーションを取りながらご案内をしています。アンケートでも「スタッフのおもてなしが良かった」という声もいただいています。少しずつですが良い方向に向かっている実感はあります。

 内藤:顧客満足を追求するとよく言われますが、顧客満足とは事前期待とのギャップなのです。しっかりと自分たちのサービスを説明して事前期待を固定すると、「ここまでやってくれるんじゃないの?」という下ブレがなくなります。たかが案内ですが、色々な意味でお客と接する時間を増やすメリットはあります。 

 早川:外国人旅行者には土足禁止の説明なども必要なので、カタコトの言語であっても可能なかぎり説明をしています。

 内藤:土禁をしっかりと説明することで、清掃の負担が大きく軽減します。

 早川:お客様が入室後のアメニティの質問など内線電話をいかに減らすかというところに重きを置いています。

 ――富士レークホテルの特徴であるUDルームは何部屋あるのですか。

 井出:全70部屋のうち、現在は23部屋です。バリアフリーの露天風呂付きで、当然健常者でも、どなたでも利用できます。付き添いの方も利用されるケースも多く、客室単価は他の客室と比べ高くなっています。リピート率も約40%と高いのが特徴です。次回来られるときに、「備品をあらかじめ用意しておいて下さい」というリクエストも多く出てきます。
 また、UDルームには、重度の障害のあるお客様からの問い合わせや、ご相談の電話もあり、担当者が30分掛けて細かな質問に対して一つひとつ説明するなど、労働生産性を意識した対応も今後の課題になっています。

 内藤:UDルーム用の備品はどうされているのですか。

 井出:ユニバーサルデザインの定義の中に、B&C(ベビー&チャイルド)という妊婦さんを含め、小さな赤ちゃんを連れたお客様への対応を重視しています。
 以前は、事前にお客様の要望を聞いて客室にセットしていました。今は玄関を入ってすぐのところにB&Cコーナーを設置して、お子様や赤ちゃん用の備品をたくさん置いて選んでいただいています。これによって事前にお客様と確認することも、業務部がセットする負担もなくなりました。

 ――シフトについて。

 岩月:シフトは部署ごとにエクセルで作っていたため、手作業で時間もかかっていました。
 オプスプロットを昨年12月1日に導入して4カ月が経ちました。シフトの入力と勤怠管理を移行したことによって一人ひとりのシフトが見える化し、シフトをより一層意識するようになりました。管理業務に携わるスタッフには大きな変化を感じています。人数を厚くすべき時間帯や、あるいは必要のない時間帯も分かってきて、少しずつ生産性の高いシフトの組み方もできるようになってきました。部署ごとではなく、全体でシフトを反映できるところが可視化に大きくつながっています。本当に必要なところに人をかける精度をもっと上げていきたいと思っています。

 内藤:現場の反応は。

 岩月:従来は、出勤時や業務終了時にタイムカードを打刻する単純なやり方でしたが、今はシフト表をもとに、もし勤務時間が延びるようであれば、残業を申請するというやり方に変えました。一見すると手間が増えるので、最初は面倒くさいなどの反発はありました。しかし、やっていくなかで理解されつつあるという感じです。
 休みの細かな事由も現場で入力されているので、最後に漏れが無いかを確認するだけなので、総務部の負担も減りました。

 内藤:賃金体系も見直されましたね。

 岩月:12月から社員については、みなし残業をやめて、基本給プラス職務手当に変わりました。みなし残業だと、「実際にどれくらい残業をしているか、それによってどれくらいコストが増えるか」いう部分が見えづらかった。そこが見える化したことで「残業時間を減らしていこう」という意識が高くなりました。以前は仕事が終わるまで何となく残っているスタッフもいました。
 パートスタッフも12月に賃金アップされたことと連動して、より多くの業務をしていただいています。これまでやったことのない業務にチャレンジしてくれるパートさんも出てきました。

 ――対外的な印象は変わりましたか。

 岩月:新卒の合同企業説明会に行くと、当社が「休日は年間90日」と説明している横で、週休完全2日と説明している企業と比較され、「仕事のやりがい」などをPRするしかありませんでした。今春からの採用では、「ホテル勤務ですが週休2日を取れ、働き方改革によって残業時間も少なくなっています」と胸を張ってアピールできるようになりました。学生の反応も変わり、「お休みの日は皆さんどのように過ごされているのですか」などの質問も受けることが増えました。

 内藤:タイムカードだと基本的に社員が労働時間の管理の主導権を持ってしまい、会社が管理することは難しくなります。そこに固定(みなし)残業があると会社も社員もお互いが馴れ合いになってしまう。
 シフトを基準に勤怠管理し、残業する場合は申請して承認を受けるというやり方に変えると、時間帯別に細かく可視化できるため、精度の高いシフトが組めるようになります。残業代を支払う代わりに、管理するというやり方です。
 職務規定と職務手当の基準も作られました。

 岩月:何度か評価制度を作ろうとしたことがありますが、スキルは目に見えないものがたくさんあるため評価しづらい。存在感があり、目立つ人の評価が高くなりがちになったり、「縁の下の力持ち」のように、表に見えづらい業務をしている人の評価が低くなったり。任せた仕事に対する評価というのが一番明確だと感じています。

 内藤:評価制度を作るということは、競争させるということ。競争させると自分のノウハウを出さなくなる。つまり教えなくなる弊害もあります。
 サービス業は1人では成り立ちません。プロセスとしてさまざまな仕事の受け渡しがあって、お客にサービスを提供するもので、競争よりも協力の方が大事です。協力させるには評価制度は無い方がいいというのが私の考えです。
 評価制度のもう一つの大きな課題は、「忙しかったからできませんでした」など、個々の状況を判断しなければならなくなることです。会社から見れば、「できる、できない」ではなくて、「やる、やらない」といった方が圧倒的に大事なので、「この役職になったらこれをやる」ということを明確にして、役職手当を付ける代わりに仕事をやってもらう。もしやらなければ役職を変更する。社員からすると、将来、役職が上がっていけば手当も増えるが、その分責務が大きくなるということが明確化するメリットがあります。

 ――洗い場について。

 内藤:食事会場のすぐ裏に食洗器を置きましたね。

 丸山:一度に大量にお皿を下げると作業が滞留してしまうことは、前職のファミレスの店長をしていたころから経験していました。このためビュッフェのトレイをやめ、お皿で料理を取り分けることに移行し、より小まめにバッシングができるようになりました。
 大型食洗器は人を張り付けていないと運用が難しいですが、小型の食洗器を導入することによって必然的に人手が不要になりました。大型食洗機を使っていたかつては長い距離を運んで洗っていましたが、食事会場のすぐ裏で洗えるようになり、ムダな作業を大幅に減らした要因になっています。

 ――料理について。

 井出:当館は2018年に本格的なフランス料理レストラン「PREMIER(プルミエ)」を東館7階のスカイホールの奥に開業しました。東京・銀座の「マキシム・ド・パリ」の総料理長などを歴任したフランス人のダニエル・パケシェフを招きました。和食の調理人4人に対し、プルミエは7人の計11人体制でやっています。
 本格的なコース料理だけでなく、この強みを生かそうと、今年3月1日から和洋ビュッフェをスタートしました。

 清水:パケシェフにビュッフェへの料理提供を最初に相談したときは、「プルミエ」の営業もあるため、デザートと3品程度の提供を考えていましたが、間際に10品くらいは出せるとのお話をいただき、期待していた以上の協力がありました。和食とフランス料理のメニューの調整もスムーズに行い、8―9割は固定ですが、食材などの仕入れ状況や、パケシェフからのさまざまな提案もあり、頻繁にコミュニケーションを取っています。

 内藤:ビュッフェに変えていかがですか。

 清水:会席は午前中の仕込みが多いですが、ビュッフェは営業が始まってから仕事が多くなります。このため労働時間も短くなりつつあります。
 宿の収容が最大200人のため、160人程度の食事ができるように、上手くオペレーションや回転ができるようになると、売上も上がります。接客の方も考えながら動いていただいていますので、お互い工夫しながら改善の余地はあると思います。
 フランス料理の固定客は少しずつ増えていっていますので大事にしていきたい。和食もビュッフェに切り替え、お客様からの声を聞きながら、良い部分は伸ばし、改善すべき点はどんどん修正していきたいと思います。

 ――本格フランス料理に加え、ビュッフェがスタートした宿の変革を、パケシェフはどのように捉えていますか。

 パケ:最初に社長のアイデアを聞いたときは、正直なところ抵抗もありました。自分としては湖畔の静かな落ち着いたホテルといったところに、ビュッフェというのはどうなのかという思いはありました。今は、お客様が喜ばれているので、そこが一番大事だと思っています。
 時代とともにお客様も、レストランのスタイルも変わっていくものだと感じています。お客様がたくさんいらっしゃって、レストランでも、ビュッフェでも満足されているのを見ていますので、すごく良いことだと感じています。

 ――手作りへの強いこだわりは。

 パケ:ソーセージやスモークサーモンも手作りでやっています。スイーツも基本的にはホテルメイドです。他で作ったものはすべて同じになってしまい、ここにお客様が訪れる意味がなくなってしまう。自分たちの作った味を提供するのが一番だと思っています。厨房に入って60年近くになりますが、私が厨房で学んだことです。今はあらゆるものが手に入る時代ですが、自分はこのスタイルでやっていきたいと思っています。

 ――若い世代に伝えていくこと、育てることは。

 パケ:富士レークホテルの若いスタッフは、経験値は高くなくても皆やる気があります。自分はひょっとすると厳しすぎて、理想的な先生というわけではないと思いますが、結果を出せてきているので満足しています。

 井出:18年にフランス料理を始めて、22年7月にパケシェフが監修するフランス伝統のパンの店「パン・ダニエル」を当館の向かいにオープンしました。
 本格的なフランス料理レストランがある河口湖の伝統ホテルとして特徴を出してきましたが、新しい魅力づくりにも取り組んでいます。「パン・ダニエル」には、地元のお客様や、他館の宿泊客、別荘族を含めて客層が広がりました。河口湖温泉全体の魅力アップにもプラスになる事業だと思っています。

 ――ありがとうございました。

【全文は、本紙1905号または7月6日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

屋久島国立公園とやんばる国立公園が舞台 第4回ナショナルパーク検定の受講申し込み開始

2023年7月1日(土)配信 

屋久島国立公園(イメージ)

 ネイチャーホスピタリティ協会(小川正人理事長、東京都中央区)はこのほど、第4回ナショナルパーク検定の受講申し込みを開始した。

 今回のテーマは、屋久島国立公園(鹿児島県)とやんばる国立公園(沖縄県)。国立公園の成り立ちや特徴、地域の食や文化、歴史などを全10回のオンライン講義で学ぶことができる。

 屋久島の山岳部を中心とした地域と口永良部島全域からなる「屋久島国立公園」。屋久島は、九州最高峰の山々が聳える急峻な地形を有するとともに、樹齢千年を超えるスギなどの巨樹・巨木の天然林が広がる特異な自然景観を有しており、その「自然美」は世界遺産の顕著な普遍的価値として認められている。

やんばる国立公園(イメージ)

 一方沖縄島北部に位置し、2016年に33番目の国立公園として指定されたやんばる国立公園は、ヤンバルクイナなど多種多様な固有動植物や希少動植物が生息、生育し、石灰岩の海食崖やカルスト地形、マングローブ林など多様な自然環境を有している。

  全10回の講義では、屋久島公認ガイドの中馬慎一郎、神﨑真貴雄氏や、環境省 沖縄奄美自然環境事務所 やんばる自然保護官の椎野風香氏らが講義を展開。その後、検定試験が行われる。

 「屋久杉と呼ばれる古代の巨木が生い茂る神秘の島『屋久島国立公園』と沖縄県に位置する自然保護区域で亜熱帯の秘境『やんばる国立公園』の2つの国立公園が今回のテーマ。普段接することがない各界で活躍する一流の講師陣から、他では聞けない、今まで知らなかった国立公園の魅力を、オンライン形式で楽しみながら学ぶことができますよ」(担当者)

ネイチャーホスピタリティ協会とは

 国立公園のさまざまな楽しみ方を提供、紹介する指南役「ナショナルパークアウトフィッター」の育成を目指して設立された団体で、検定試験などを通じ交流人口増加のための人材養成とファン作りを進め、国立公園と温泉地の活性化することを目的に掲げている。「ナショナルパークアウトフィッター」は、自然との関わりを楽しむ人、自然体験を提案する人を指す「アウトフィッター」に、国立公園を掛け合わせた協会考案の造語。受講者はナショナルパーク検定合格後クラブに入会し、さらに複数の検定に合格すると、「ナショナルパークアウトフィッターに認定され、協会が主催するユーチューブチャンネルへの出演や、地域や施設のPRなどが行える。

【第4回ナショナルパーク検定 講師とテーマ】

・小林誠氏(環境省 自然環境局 自然環境計画課 課長補佐)

・楠本浩史氏 (環境省 関東地方環境事務所 地域循環共生圏構想推進室 調査官)

・中馬慎一郎氏 (屋久島公認ガイド 屋久島観光協会ガイド部会会⻑)

・神﨑真貴雄氏(屋久島公認ガイド 屋久島の自然図鑑著者)

・大野睦氏 (日本ウミガメ協議会 理事/元屋久島観光協会ガイド部会会⻑)

・妹尾望氏(東村観光推進協議会エコツーリズム部会副会長)

・椎野風香氏(環境省 沖縄奄美自然環境事務所 やんばる自然保護官)

・鈴木倫太郎氏(喜界島サンゴ礁科学研究所 研究員)

・黒田尚嗣氏 (クラブツーリズム テーマ旅行部顧問)

【日程】

申し込み期間:7月31日(月)まで

口座開催日:8月2日、9日、16日、23日、30日(毎週水曜日)  

時間:午後6:30~(1コマ目)、午後8:00~(2コマ目)

   1コマ50分。見逃し配信あり

検定試験期間:9月6日(水)午後12:00~9月12日(火)午後6:00

検定試験結果発表:9月20日(水)午後12:00~

受験料金: 1万1000円(税込)

 ※受験料金には認定講座9回分と検定試験の料金含む。

事項申し込みはコチラ

〈観光最前線〉絵金の魅力に迫りたい

2023年6月30日(金)配信

薄明りに浮かび上がる芝居絵

 幕末の絵師、金蔵(通称絵金)。おどろおどろしい芝居絵で有名な絵師で、彼が生まれた高知県の各所では、絵金屏風を夏祭りの間飾る風習があるという。

 過日、高知県外で約50年ぶりに行われた大規模展覧会に出掛けた。絵金の作品は血の滴りすらも色っぽく、凄惨な場面すらそう感じさせない魅力があり、それでいて、描かれている人物の恨みや哀しみなど、さまざまな感情が生々しく浮かび上がってくるようでしばらく絵の前から動くことができなくなってしまった。

 ただ明るい場所で見るからか、おどろおどろしさは、感じず。ろうそくの明かりに照らされるからこそ、おどろおどろしくも艶めかしい絵金の作品が完成するのかもしれない。早く高知の夏祭りで、絵金の作品を堪能したい。

香川県観光協会、島滞在旅を促進 島旅20%オフCP実施

2023年6月30日(金) 配信

「島へ行こうキャンペーン~島滞在旅~」

 香川県観光協会は7月1日(土)から、多島美の魅力発信や島への滞在型観光を推進するため「島へ行こうキャンペーン~島滞在旅~」を開始する。その島にしかないアートや景色、食などを巡る島周遊や滞在型旅行商品が最大5000円まで20%オフになる。期間は10月31日(火)まで。

 同期間は香川県独自の旅行支援「観光需要回復支援事業(かがわ割NEXT)」も実施される。県内で1泊以上の宿泊を伴う旅行商品に対し、旅行代金の20%・最大3000円の助成がある。

 このほか、うどん県ハッシュタグキャンペーンを9月30日(土)まで展開している。インスタグラムでうどん県の公式アカウントをフォローしたうえで、香川を旅した際に見つけたグルメや体験、景色、イベントなどの写真を「#香川ナノタビ」のハッシュタグをつけて投稿するだけで応募が完了する。抽選で往復ペア航空券や宿泊券などが当たる。