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LINKED CITYの全容に迫る① 「点在する光を結び付け地域に人を呼ぶ」(鈴木裕会長)

2021年8月9日(月) 配信

鈴木裕会長

 国際観光施設協会(鈴木裕会長)の旅館観光地分科会(川村晃一郎分科会長)は今年3月、観光型スマートシティ「LINKED CITY」構築に向け研究会を発足した。地域資源とAI、IoTデジタルオープンプラットフォームによる事業インキュベーションで雇用を創出。都市と地域、地域と地域をつなげることによる分散型社会の構築を実現させることが狙いだ。「観光とは国の光を観ること。日本全国の光をITで結び、全国に発信したい」と、さまざまな可能性を模索する鈴木会長に話を聞いた。

 国際国際観光施設協会はインキュベーションプラットフォームとして、会員企業のビジネスにつながるさまざまなことを一緒に研究してきました。

 LINKED CITYの研究は、2019年に東京ビッグサイトで開かれた国際ホテル・レストランショーから始まりました。協会のブースで、ホテルや旅館を起点とし、まちの施設やイベント、人をテクノロジーでつなぎ、周辺の活性化や地方創生を目指す「町じゅう旅館・ホテル」構想を紹介したところ、ソニーマーケティングの光成和真氏が興味を持ってくれました。その後同氏が参画してくれ、東京都台東区にある行燈旅館で実証実験を行いました。

 同構想の研究を進めていくなかでさまざまな意見があがり、深化したのが「観光型」のスマートシティ研究です。

 観光の語源は、国の光を観ること。日本は南北3千㌔に至る、雨に恵まれ四季のある温帯モンスーン気候の大変美しい国土です。

 しかし、同時に4つのプレートがせめぎ合う世界一の災害大国でもあります。そうした国土に育まれた2000年の美しくも悲しい風土と人間性、そこから生まれた伝統、文化が日本の光だと思います。そのような実情を残念ながら活用できているとはいいがたい状況にあるので、これらを国の光として磨き上げ、点在する個々の光を結び付けて地域に人を呼び込むことが狙いです。

 研究の軸は、ワーケーションとビジネスマッチングになります。自治体と地方民間企業を連携させ、各省庁の助成金も活用し、実現に向け知恵を出し合い共創します。

 現在同研究会には、多くの事業会社が参画していて、観光MaaSのプラットフォームの構築、地域の人が活躍できるコンテンツ作り、宿のソリューション構築、自治体のコンサルティング、ブランディングに関するアイデアを生み出すべく、知恵を出し合っています。

 スマートシティは①観光②教育③モノづくり④働き方⑤医療⑥モビリティー――の6つのアイテムで構成されます。この6つを結ぶのが、ジョルダンが持つ観光MaaSです。このMaaSは観光に関係することなら、観光施設情報の検索や、最適な移動ルート、電子チケットの決済などをすべが自己完結できることを目指し開発が進められています。

 6つのアイテムの中で一番重要なのは、「教育」です。全国にはその土地ならではの宝物がありますが、その多くが日の光を浴びていないと感じています。こうした郷土の歴史を高校生に発掘してほしい。そして発掘した「素材」を磨き上げ、世界に発信してもらいたいと思っています。

 そのために、東洋大学国際観光学部国際観光学科の徳江順一郎准教授に会員として参画いただき、アドバイスをしていただけるよう環境を整えました。

 モノづくりでは製品の原点を見るツアーを実現し、インバウンドを地域に呼び込んでいきたいです。医療では、外国人に日本の先進医療を受けてもらう医療ツーリズムや、僻地での遠隔医療の可能性についても議論をしてみたい。

 働き方に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響で、「テレワーク」や、「リゾートテレワーク」の導入に向けた議論が進んでいます。重要なのは、住宅と事務所の境がなくなったこと。ホテルなども仕事場として考えられるようになってきているので、今までは仕事場ではなかった場所で仕事をするうえで便利になる新しい機能も考案する必要があります。

 一方で、一番難しいと考えているのが「モビリティー」です。2次、3次交通の問題として、駅から観光地まで、交通の利便性をどう向上させるかを、参画している相乗りサービス事業者NearMeなどと議論していきたいです。併せて、IT事業者に協力してもらい、交通量が少ない時間帯は車道を歩行者専用にするなど、町中の道を時間と移動量のバランスに応じて調整する方法もカタチ作れたらいいと思っています。

 LINKED CITYの研究の理想のカタチ、あり方は、色々な分野の企業、人に参画していただき、自由に発想し、その発想のもとに人と人を結びつけながら発展させていくこと。アメリカのポートランドでは、1人が何か新しいアイデアを出すと、業種に関係なくさまざまな人が実現に向けたアイデアを出し合う文化があります。
 アーキネティクス代表の吹田良平氏が、誰かがアイデアを入れると、実現に向けてさまざまな人が集まるアプリを開発しているので、このアプリをLINKED CITYと連携させたい。

 いずれにしても、この研究は、同構想の実現に向け、参画するSC企画・十勝CD・アーキネティクスの3社が「LINKED CITY Lab(仮)」を立ち上げたように、個々をベースに参画者同士で新しい分野に挑戦してもらうことも大切です。

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