【特集No.583】城西国際大「ホテル・旅館奨学生制度」 学部と宿泊施設で人材育成
2021年6月10日(木) 配信
城西国際大学観光学部(安房キャンパス:千葉県鴨川市)は、近隣の宿泊施設と連携し、「ホテル・旅館奨学生制度」を導入している。宿泊施設が社員寮を安価で学生に提供する一方、学生は授業のない週末や平日夜、長期休暇中などに宿泊施設で勤務し、現場で実務経験を積むことができる、全国でも珍しい制度を整えた。今回、県内の「満ちてくる心の宿 吉夢」(小湊温泉)と、「鴨川館」(鴨川温泉)の2施設の奨学生3人から話を聞き、制度の現状や課題を探った(写真は、撮影時のみマスクを外しています)。
【入江 千恵子】
□将来のミスマッチ防ぐために
制度を作ったきっかけは、私が旅行会社勤務後に転職した人材紹介会社で、第二新卒担当のキャリアアドバイザーをしていたときの経験からです。
新卒採用の課題は①大学で学ぶ専門性と実社会の非連続性が一般的になっている②ミスマッチによる入社3年以内の離職率の高さ③安直に会社を辞める若者の判断――だと感じました。
残念ながら、観光業界も若手の離職率が高い業界と言われています。それは採用企業の責任だけでなく、企業選びをする学生側にも大きな問題があると考えています。
将来のミスマッチを防ぐためにも、大学1年生から学校での「座学」と、現場での「実践」をリンクさせることが必要であり、大学がサポートすることも必要であると思いました。
また、地域貢献や就業機会の提供、保護者の費用負担軽減など、多方面の利点も併せ持つ制度を目指しています。
しかし、これまでに13人の学生が制度を活用しましたが、観光学部は来年4月に千葉県東金市のキャンパスに移転するため、鴨川では今年度で終了します。
今後は、制度の継続に向け、新たなエリアとの交渉が必要ですが、東金市から近い成田空港エリアも交流人口と多様性が魅力のエリアです。
今後も学生たちに「実践」を学べる場が提供できるよう、取り組んでいきます。(城西国際大学観光学部 山本剛助教)
【全文は、本紙1831号または6月17日(木)以降、日経テレコン21でお読みいただけます】