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「観光革命」地球規模の構造的変化(228) ワーケーションの行方

2020年11月1日(日) 配信

 菅義偉政権の誕生に伴って「ワーケーション(workation)」が注目を集めている。ワーケーションはワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークを活用して働きながら休暇を取るスタイルのこと。とくに環境省は小泉進次郎大臣の下でワーケーション推進に注力している。「国立・国定公園、温泉地でのワーケーション推進」を目指して、コロナ感染リスクの低いキャンプ場などの自然志向の高まりとテレワークの推進を前提にして、ロングステイとエコツアーの利用促進によるウイズコロナ時代の地域経済の下支えや観光地の活性化が意図されている。

 和歌山県は国の動きよりも早くからワーケーション推進を打ち出していた。昨年11月には「ワーケーション自治体協議会」が設立され、65自治体が参加している。テレワークを活用し、普段の職場や居住地から離れ、リゾート地や温泉地などで、仕事をしつつ、休暇を楽しむことが推奨されている。環境省は10月2日にオンラインで第5回全国温泉地サミット(全国温泉地自治体首長会議)を開催し、コロナ禍での関係人口の拡大を目指した温泉地でのワーケーション推進について、自治体首長などがプロモーションを行っている。

 北海道のリーディングバンクである北洋銀行はすでに地域産業の活性化に向けてワーケーションの道内誘致を推進するために「北の大地でワーケーション!」プロジェクトを開始している。豊かな自然、恵まれた気候、低い人口密度などの北海道の利点を活かして、首都圏の企業に対するワーケーション誘致に力を入れている。

 日本ではいまワーケーションへの期待が高まっているが、一方で課題が山積していることも事実だ。ワーケーション推進の最も重要な前提の1つであるテレワークは、4月の緊急事態宣言に伴って一挙に注目を浴びたが、宣言解除に伴って急速に下火になっている。またワーケーション推進に不可欠なWi―Fi環境の整備も不十分である。そのうえコロナ禍の長期化によって数多くの企業が業績悪化で苦しんでおり、従業者の給料も減り続けているためにワーケーション導入に伴う費用負担の解決は容易ではない。コロナ禍での日本型ワーケーションの行方に注視したい。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

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