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「女将のこえ224」上村早苗さん、淡路島観光ホテル (兵庫県洲本温泉)

2019年7月28日
編集部:入江千恵子

2019年7月28日(日) 配信

淡路島観光ホテル 上村早苗さん

憧れとなる道を描く 

 神戸と徳島間の瀬戸内海に、淡路島は大きな体を横たえている。島の中ほど、洲本市の青い海沿いに淡路島観光ホテルはある。

 上村早苗さんは嫁いで10年。島で生まれ育ったが、以前は島外への憧れが強かったという。転機は、神戸の大学を出た後、「クイーン淡路」(観光キャンペーンガール)になったことだ。「淡路島を何も知らないと痛感しました。大丸はないけれど、観光客がわざわざ来てくれる魅力的な島だということも」。

 クイーンの仕事で同館の雄二郎さんと出会い、女将の道へ。早苗さんの学生時代の夢は国連職員。幸せに対する意識が高いのだろう。その感覚はホテル経営に生かされていく。

 当時は、社員に何か注意すると、「会社は何もしてくれないのに要求ばかりする」と反発された。その意をくんで、就業規則や評価制度を作り、残業代も明確化した。

 思いや情報を全員と共有するため、社内報も毎月発刊。社長、女将、部門長やスタッフの声、売上高なども社内公開されている。

 「人事異動」の張り紙を掲げたときは社内がざわついた。「泣く人もいましたが、他部署を知らないので助け合えない状況を払拭したかった」と早苗さん。現在は部門を超えて助け合う習慣が生まれてきたという。

 毎週火曜を休館日としたり、料理人を変えたことも大きな変革だ。厨房は透明性が高まり、100%淡路島産の食材を使う料理も可能となった。さらには、個人客はすべて直接予約に。早苗さんの実家は不動産仲介業で、原価がなくほぼ利益だ。旅館業の薄利に疑問を抱けたことが改善の力となった。

 また忘れてはならないのが、「日本一のフィッシングホテル」と銘打ったことだ。「釣り好きの主人のネタだったんです。こう言うとお客様が笑ってくださる。一年中楽しめるフィッシングを冠にしたことで、ご滞在の目的を明確に掲げられました」。

 プライベートの釣り場があり、船釣りもできる。早苗さんは船舶免許も取った。フィッシング事業部まであり、おもてなしは抜かりない。お客は手ぶらで来ればよく、必ずスタッフが付くので安心だ。「ご家族やグループの思い出づくりになり、私たちも直接、喜びが伝わってくるのがうれしいんです」。

 実家の不動産業を手伝っていた時は、三角の土地を四角にはできなかった。しかし、旅館業の幸せ貢献には限度がない。「そこが楽しい」と早苗さんは言う。この島とこの仕事が人々の憧れとなるような幸せの道を、早苗さんは描いていく。

 (ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

住所:兵庫県洲本市小路谷1057-17▽電話:0120-22-9700▽客室数:73室(360人収容)、1人利用可▽創業:1961年▽料金:1泊2食付き13,000円~(税別)▽泉質:アルカリ性単純泉▽「日本一のフィッシングホテル」を掲げる。初心者~本格派まで楽しめるプライベート釣り場あり。船釣り可。魚の調理サービス(有料)。無料の竿、有料の餌あり。

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

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“「女将のこえ224」上村早苗さん、淡路島観光ホテル (兵庫県洲本温泉)” への 3 件のフィードバック

  1. 早朝からおはようございます。
    小学生の小さい頃から親父によく連れられて主に波止場からの海釣りを教えて貰い今日まで生きてきました。その親父も今は他界し、親父と晩年の喜寿のお祝いに和歌山県加太へ初めての船釣りを一緒に体験出来て、良い思い出になりました。その私も65歳定年退職をきっかけに小型船舶2級の免許も取得出来たので、第二の人生を楽しもうという時に左足股関節から下に皮膚の感染症にかかり、足が倍に腫れ病院生活の末、今年から施設にお世話になり、未だに残る足の痛みを薬治療で緩和ケアしながら、淡路島観光ホテルに現役時代に2度ほどお世話になった思い出が忘れられず、日々リハビリ治療に奮起し、ホテルの様子と復帰を目指し、ホテルと共に頑張ります。

  2. 私も関西出身です。                  徳島に行く為、必ず淡路島は通るのですが、残念ながら今は素通りです。次回は淡路島で下りて、淡路観光ホテルで、過ごしたいと思います。                  淡路大橋が出来る前は明石からフェリーで岩屋に出て、したすら洲本を目指して徳島に行ったものです。                 徳島は阿波踊りの練習に行ってます。           家元 龍雲

  3. 私は淡路島観光ホテルに出会ってから、釣りや温泉が好きになり、今では年5.6回行ってます。昨年夏休み孫も連れて行きました。スタッフの心遣いの嬉しさや、お料理の美味しい事に満足してます。ここらが癒されますね。

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