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「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(2月号)」

2019年2月24日
編集部

2019年2月24日(日) 配信

http://zoomjapon.info
クロード編集長

〈巻頭言〉

 1月末にフランス南東部のアングレーム市で開催されたヨーロッパ最大の国際漫画祭は、今年で46回目を迎えました。1974年の立ち上げ時はフランス・ベルギーを中心に確立されたジャンルのマンガ、バンド・デシネのイベントでしたが、近年は鳥山明氏の特別賞受賞(2013年)を皮切りに、会場内での日本漫画の存在感が高まっています。長い年月をかけて築かれたこのイベントの信頼性は、確実に欧州における漫画文化の価値を高める一翼を担っていると言えるでしょう。弊誌最新号の特集の主題は、来年の同漫画祭における展覧会開催が告知されたばかりの、つげ義春氏。世界中にファンを持つ同氏に、海外メディアとして独占インタビューをする機会に恵まれました。「いて、いない」存在でありたいという孤高の漫画家の言葉を、フランスの読者に伝えらえることを誇りに感じています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 未知の才能、つげ義春

「スポットを浴びるのが苦手」というつげ義春氏の貴重なショット

 真の芸術作品はいつになっても見飽きない。つげ義春作品もそうだ。伝説の雑誌「月間漫画ガロ」の連載で注目されたつげは60年代後半を代表する作家だが、同氏の作品は未だに読む度に新しい発見がある。当時失われつつあった日本の詫びしさを背景に、シュールな夢と旅の世界を際立つ作家性で描いたつげ義春は、どんな日本を生き、どのように作品が生まれたのか。この特集では、日本漫画の一時代を築きながらもミステリアスであり続けるこの作家の素顔に迫るべく、まずは氏が幼少時代の一時期を過ごした千葉県大原の海でつげ作品の原風景を目に焼き付けた。次に彼を知る出版業界のキーマンたちに話を聞き、そしてついに作家本人に出会うことが叶った。■つげ作品の翻訳、海外への紹介に尽力した「ガロ」元編集者・浅川満寛氏の視点。■「ガロ」「漫画主義」「夜行」などの元編集者、高野慎三(権藤晋)氏が知る旅人・つげ義春。■つげ義春氏本人が語る、水木しげるのアシスタント時代から漫画制作に関すること、そして調布で暮らす今について。筆者の質問への率直な回答の中に、シンプルながらも独特な世界観を感じる意義深いインタビューとなった。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉日本人の相次ぐ受賞

ミシュランの星取得で笑顔の杉山あゆみさん(右)

 フランスで昨年7月から大規模に繰り広げられた文化芸術イベント「ジャポニスム2018」は、この2月で閉幕します。この終わりゆく政府主導のイベントと入れ替わるように、今年に入ってからは個人の活動が評価される日本人のニュースが相次いでいます。まずは、パティシエでもある杉山あゆみさんのパリのレストラン「Accents Table Bourse」が2019年のミシュラン・フランス版で1つ星を獲得しました。オープン2年目での快挙です。次に、毎年リヨンで開催される国際製菓コンクールで、今年は五十嵐宏シェフ率いる日本チームが世界21カ国中2位に! 続いて、アングレーム国際漫画祭で「うる星やつら」などの作者・高橋留美子さんが、その長年の功績を評価されグランプリを受賞。そして、2月1日にパリで開幕したコンセプトカー展示会では、カーデザイナー山本卓身さん設計のコンセプトカー「A Portrait of db」が話題を呼んでいます。各人に共通するのは情熱と技術、そして継続。話題性重視の日本イベントで企画力が問われがちな昨今、国際舞台において長いスパンで何が評価されるのか、改めて実感させられる出来事です。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

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