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第162回旅館大学セミナー「稲取銀水荘」で開く 部屋食からの脱却を

2018年12月19日
編集部:平綿 裕一

2018年12月19日(水) 配信 

会場のようす。当日は約130人以上が参加した

リョケン(佐野洋一社長)は12月13、14日に静岡県・伊豆稲取温泉の「稲取銀水荘」で、通算162回の旅館大学セミナーを開いた。銀水荘は18年1月に6階フロアを約9億円かけ改装し、部屋食からの脱却をはかった。同日に加藤晃太副社長が講演し、銀水荘の現状や課題、改装の目的など細かに説明した。講演後の館内見学では、参加者は従業員に質問するなど熱心に見て回った。

 6階フロアには、露天風呂付き「おもてなしスイート」とダイニング「銀の海」、ラウンジ「濤の音(なみのね)」を新たに作り上げた。設備投資の目的は、表向きはCS向上だったが、本丸はESだった。離職に歯止めをかけるため、労働環境の是正をはかった。

 とくに朝食・夕食の部屋食を、ダイニング場に集中化させた。部屋食は100室中8室のみに抑えた。これまでより従業員の労働量も減らすことができた。労働環境は少しずつ改善に向かっていた。

 しかし人材流出が止まらなかった。加藤氏は「大型投資をして、労働環境も変えたのになぜ辞めるのか」と考えた。一方、これまで部屋食にやりがいを感じていた従業員には理解が難しかった。部屋食を止めることで、ベテラン社員からは「銀水荘らしさが失われる」との声も漏れたという。

加藤副社長が講演

 加藤氏は「本当に甘かった」と振り返る。ESを上げるためだったが、部屋食を止めてダイニングにすると手段ばかり訴え掛けていた。物事を変えることが、過去の否定と捉えられてしまっていたのだ。今回の投資を通じて「一番の収穫は自分の甘さと仲間の大切さだ」とし、経営者として意識改善すべきだと気付かされたという。

 一方で、ダイニングやラウンジのオペレーションが安定してくると歯車がかみ合ってきた。客室稼働率は8~11月から4カ月で8割を超えた。社内の評判も上がってきた。

 今後はESとCS、収益の3要素をバランスよく回していく。今までは売上の最大化を追い求めたが、これからは空室在庫と労働在庫のバランスをみて、売上の最適化を目指す。

「自活経営 スイッチオン!」

佐野社長が講演を実施

 2日目は佐野社長が2019年旅館の経営指針を発表し、「自活経営 スイッチオン!」をテーマに講演を行った。

 自活経営は、自ら活動・活性化、自ら活路を切り拓くとする。事業構造を変えることを核にビジネスモデルの変更や、業務プロセスを見直す必要があるとした。「今がチャンスであるということと、今やらないと間に合わなくなる」(佐野社長)という。

 「OTA(オンライン旅行会社)と外国人が頼みの綱になってはいないか。ネット集客の比率が高いことはいい傾向だが、大半がOTA経由になっていないか。OTAに頼り、外国人が増え売上は横ばいを維持し、日本人が減少していることが当たり前なのか。改めて考えてほしい」と強く呼び掛けた。

 その後、リョケン研究員から商品造成や販売促進、人材育成などを軸に講演し、参加者は熱心に耳を傾けていた。なお、次回は2019年7月10~11日に、群馬県・水上温泉の「みなかみホテルジュラク」で行う。

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